とりあえず登場人物

俺:おバカ丸出しの量産型小学生。
一部女子から嫌われてた。

名探偵:少々大人しかった奴

Iさん:それなりと可愛い娘。今回の事件の被害者

ルパン:俺の親友。なぜルパンかというと祭りの屋台でワルサーP38のエアガンを買ったから。

イケメン:頼もしいイケメン。昔から下ネタ大好き

小学4年の頃の話。

その日は梅雨晴れした熱い日で、登校する時に田んぼでゲーゲー蛙が鳴いてたのをよく覚えてる。

朝登校する時に親友のルパンと昨日やってた犬夜叉とコナンと、世界丸見えの話なんかしていたのも記憶にある。
クラスに着くなりクラスメイト達とそんな他愛のない世間話をして、授業が始まる。

今日も何の変わり映えのない日常が続くんだと思っていた。
その時までは。

その日の何の授業だったかは覚えてないが、外で花だかのスケッチをするという事になった。
校舎のすぐ横にある広場でクラスのみんなでスケッチブックと色鉛筆を持って絵を描く。

当時健康優良児だった俺とルパン、その他数名の男子生徒達はそんなメルヘンチックでノスタルジーな事はかったるく、適当にスケッチを終えて鬼ごっこをしていた。

遠目で見ていた女子達の中にどこの学校にでもいるようなチクリ女子によって、俺達の遊びは担任によって中止となった。

俺達はまた退屈になり、個々に散ってそれぞれ楽しみを見つける事にした。

そこで俺とルパンは広場から見て校舎の向こう側(広場の反対側)にある森の中を探検しようという事になった。


当時俺の通っていた学校は田舎で、学校は小さな山の上に建っており、学校からは周囲の田んぼが見渡せる。
そんで例の森は学校のすぐ横にある。

その森はフェンスで遮られているが、一部だけ破けた場所があって、そこから侵入出来るのだ。

当時、そこは先輩方から受け継がれている秘密の森であった。

やれ、エロ本が大量に落ちているだの、昔殺し屋がそこで拳銃を隠して、それを後輩が偶然見つけて撃ったという迷信めいた伝説が残っていた。

俺とルパンは情報提供者が仲のいい先輩だった為、前者を信じてエロ本を探す冒険に出たのだ。

そしてこれが大変なスパイラルを招いた事件簿になるとは思わなかった。

フェンスを潜り抜け、木々から漏れる光が幻想的な森へと踏み込む。

森の中はどっかから持って来たであろうお菓子の空き袋や何年前かのラベルが貼られた飲料水の錆びた缶が転がっているだけであった。

俺達は長い棒きれを持ち、まるで異世界を歩くファンタジーの住人のような気分で歩いた。
その辺のゴミを棒きれでつついたり、持ち上げたりして遊んでいた。

ぶっちゃけ、とにかくそういう探検が好きだったから別にお宝とかどうでも良かった。
実際本物の拳銃なんて見つかったら大変だけど。

しばらくしての事だった。

ルパンが突然

「トイレに行きたい」

と申し出た。

俺は

「その辺ですりゃあいいじゃん」

と言ったら

「うんこなんだよ!わりぃ、離脱する!」

と言い放ち、ルパンは去った。

当時、学校でうんこする奴は非国民並みの扱いを受ける差別が横行していたが、この年代になるとむしろ誇らしく言う奴がちらほら出てきた。
ルパンはその風習の発案者に近い奴だったので、気にしなかった。

ルパンが去った後、俺は一人で探索をしていた。

しかし、一人で探索するのはどうにもつまらない。

そこで俺は持ち前の小二症を発揮し、その辺の木を悪者と見立てて、棒きれを剣のように振る舞った。

それはそれは楽しい時間だった。

多くの妖怪に囲まれた主人公一人。
相棒の拳銃使いのルパンはいないが俺一人で十分だぜ。

それっぽいワイルドな台詞を吐き、俺は自らの身体に秘められた力と必殺技を駆使し、バッタバッタと敵をなぎ払って行く。

そんな妄想に塗れた脳内と汗たぎる身体を存分に震わせて、何の罪もない木々に棒をぶつけていく。

どれくらい時間が経っただろうか、闘いの終わりは授業の終了を告げるチャイムが遠くで聞こえた時だった。

俺は棒きれを捨てて、急いで校舎へと戻った。

フェンスを抜け、校舎の裏を通って広場の方へと戻る。

すでにクラスメイト達の姿がなかったのですぐに昇降口で上履きに換えて教室に戻った。

教室にはみんな居た。

もちろんルパンも居た。
広場に忘れた俺のスケッチブックを持って帰っててくれた。

俺はルパンから

「わりぃ、先戻っちまったw」

という謝罪とスケッチブックを受け取って自分の席に戻った。

すぐにチャイムが鳴り、国語の授業が始まる。

担任が入って来て、どこの学校にでもあるポピュラーな礼をして授業が始まる。

そして事件が始まった……。

それはIさんの悲痛な声から幕が上がる。

「あれ、私の筆箱がない!?」

突然声を荒げるIさん。
周囲のクラスメイト達がIさんに向き直り、

「どうしたの?」

と声を掛ける。

「私の筆箱がないの。外に出る前はあったのに」

俺はこの時まではどうせランドセルに入ってるんだろ、とよくありがちなオチに流れると思って、筆箱に隠し持ったガチャポンのSDのジムとザクを使って遊んでいた。

すぐに担任が

「どうしたのIさん」

と声を掛ける。

Iさんはすぐに担任に事情を話す。
当然担任はランドセルやお道具箱は探した?と返す。

周囲にいた友達を含めて捜索に当たるが見つからない。

やがて騒然となる教室。

騒ぎはやがて不穏な空気に変わり、クラスメイト達に感染していく。

Iさん周辺の人間達もくまなく探すが、見つからない。

そんな中、ある男子の一声で雰囲気がまた変わった。

「誰か盗んだんじゃね?w」

彼の一声が女子達を疑心暗鬼の塊へと変えた。

「えー誰?ちょーきもいんだけど」

「そういう事する人って最低だよねー」

疑心暗鬼の集合体はすぐに男子達にも感染し、それは刃のような矛先へと変わる。

そんな言葉が口々に飛び、真っ先に疑われたのがクラス一番のやんちゃな奴だった。

「ちげーし!それだったらMとか怪しくない?」

やんちゃな奴に名指しされたMが咄嗟に否定する。

「いやいや俺?俺○○と居たじゃん?それだったらHとかじゃね?」

そうして名指しを受けた者がまた違う者を指名していく。
こうして犯人を疑うスパイラルが発生していく。

そんな空気を切り裂く、一人の少年の声があった。

「みんなちょっと待って!とりあえずアリバイを整理しよう!」

それこそ後に俺に濡れ衣を着せる名探偵であった。

名探偵は普段おとなしく、よくからかわれる少年だった。

子供というのは相手がムキになるのが面白く、それを何度も見たくて相手に挑発をかけるものなのだ。
彼はそれによく適した人材であった。

俺とルパンもよくからかっていた。
でもたまに遊んだりアニメの話をしたりする、そんなちょっとした友達。

そんな名探偵が言う。

「先生、とりあえずみんなに聴取しましょう!」

その時の真直ぐな眼差しはまさに名探偵であった。
この難事件を解決する、一つの小さな灯の様にも見えた。

その時までは。

名探偵の出現により、捜査が始まった。

全員のアリバイを洗いざらいにしていく。

みんなのその時の行動が晒されて行く。

それぞれがアリバイを主張し、それを証明する者が現れる。

それをうんうんと頷き、自由帳にメモしていく名探偵。

そして最後に俺とルパンというアリバイのない容疑者二人が浮上した。

クラスから軽蔑を含んだ冷たい視線が浴びせられる。
それはまるで俺達、もしくは俺かルパンかどっちかが犯人かのような冷酷な視線。

俺達は口を揃えて、

「校舎の横の森を探検してました」

と白状した。

先生はもちろん激怒。

「なんでそんな所に行ったの?」

と聞かれ、

「面白そうだったから……」

と俯きながら答える俺達。

そんな時だった。

「じゃあ二人はずっと行動してたの?」

名探偵が俺達と担任の間に割って入る。

ルパンが

「うん。でも途中で俺はトイレに行きたくて戻った」

と正直に白状した。

そこでルパンに白羽の矢が立った。

「じゃあルパンが盗んだんじゃね?」

女子の声にきょどるルパン。

目をギラギラさせる名探偵。

だがそこでクラス1のイケメン(俺が勝手にそう呼んでるだけ)が

「いや、それはねーよ。だってルパンと俺は一緒に便所行ったもん」

と彼のアリバイを証明した。

名探偵がイケメンに詰め寄る。

「どうして二人でトイレなんかに?」

この時点で俺はこの名探偵が疎ましくて仕方無かった。

イケメン「いや、うんこだったから。な、ルパンw」

ルパン「おうw」

誇らしげに言うルパン。
こいつはどうやら見張りにイケメン君を立ててたようだ。
抜かりのない奴め。

名探偵は神妙な面持ちでメモする。

そうなると次は俺だ。

当然アリバイを証明をしてくれる人はいない。

クラスメイト達が犯人を探す目から、犯人だ、という確信めいた目で見つめてくる。

涙目の俺。

「N(俺)、お前が盗んだの?」

「最低なんだけど…」

「うわーww」

まだ何も話してないのに非難中傷と罵詈雑言の嵐が俺に投げかけられる。
唯一の救いである先生もなんだか冷たい。

そして名探偵が俺を追いつめていく。

名「一人で何をしてたの?」

俺「いや、適当に棒きれで遊んで…」

名「でもそれを証明してくれる人はいないんだよね?」

俺「うん…」

名「そしてN君が確実に森に居たという証拠もないんだね」

俺「……」

スラスラとメモしていく名探偵。
なんだかすっごい腹が立つ言い回しだったが、そこは堪えた。
やがて名探偵は勝手に推理を言い始めた。

名「よし、犯行はこうだ。N君はルパン君が帰ったのを見計らい、校舎の裏にある勝手口を使って教室に戻る。
     そうすれば昇降口を使わずに中に入れるからね」

そんな誰でも思いつきそうな推理を、堂々と披露する名探偵に腹が煮えくり返そうだった。
それ以前に俺が犯人だと決めつけられているのがより怒りを増幅させた。

窃盗の犯人にはなりたくないが、暴行の現行犯になら喜んでなりたいと思った。

名「そしてすぐにIさんの筆箱を持ち出し、
     教室を出て校舎裏の勝手口を使わずに教室の前の窓を使って逃げ出した」

女子「なんで勝手口を使わないの?」

一人の女子が名探偵の推理に突っ込む。
それを待っていたかのように名探偵が人差し指を挙げて口を開く。

名「そう、それがポイントなんだよ」

いじらしく笑う名探偵。
俺はその顔を見て不安な表情だったが、内心は暴行の現行犯から殺人の現行犯になりたいと願った。
それほどの殺意があった。

名「その時にはイケメンとルパンがトイレに行っただろう?彼らは外のトイレを使わずに校舎の中のトイレを使った。
     つまり鉢合わせを避けるためさ」

名探偵の推理にみんな呆気にとられていた。
まるでオペラ歌手の歌声に感動を受ける観客の様だった。

担任の先生はどうでもよさそうに聞いていた。

そして名探偵の推理は続く。

名「N君はそして何食わぬ顔で最後に教室に戻って来た。
     それは第一発見者が一番に疑われるのを避ける為だ。さぁ、そろそろ白状した方がいいよ?」

名探偵が俺を追い詰めにかかる。

名探偵の声にみんなが俺を睨み、

「白状しろ」だの
「返してあげなさいよ!」

と罵声を浴びせる。
既に俺は泣いていた。

俺は泣きながらIさんの方を盗見した。

Iさんは涙目になりながら俺を睨んでいた。
胸が痛くなる。

そして遂に担任の先生が切り出した。

「N君、あなたが盗んだの?」

その一言が胸に突き刺さった。
俺は更に涙を流した。

クラスメイト達の突き刺さる視線。

きょどってるルパン。

目をギラつかせ、自分に酔っている名探偵。

自分を疑っているIさん。

圧倒的に不利な立場であった。
空気的には黙秘権すらない。

俺は震える声で

「僕じゃありません……」

と答えるのが精一杯だった。

すぐに非難の声が飛ぶ。

「ウソつけ」とか
「マジひどい」とか

そんな汚い言葉。

そんな中、名探偵がしれっと言った。

「犯罪者はいつもそういうんだよ?」

その言葉に殺意が湧いた。

俺が(こいつだけは殴ろう!!)と決心した瞬間、新しい希望の光が射した。

イケメン「まぁみんな待てよ。まだ犯人がNと決まったわけじゃないじゃん」

ルパンのアリバイを立証したイケメンが言う。
それはまさに救いの言葉。
暗雲の中に射した世界を変える光。

俺は彼に救いの手を伸ばす事にした。

だが当然、それをよしとしない者も居た。

「それはどういう事!?」

名探偵だ。
彼はどうやら自分の推理を否定されと思ったのだろう。
顔を真っ赤にして声を荒げた。

イケメン「だってよぉ、結局筆箱がどこにあるかは言ってないじゃん?」

推理の穴を指摘され、焦る名探偵。

名探偵「それはN君に問い詰めればいいだk……」

イケメン「じゃあNが犯人じゃなかったら?」

名探偵「そんな事ない!Nが犯人だ!」

すでに呼び捨てにされる俺。
イケメンと名探偵の押し問答が繰り返される。
俺達凡人はただそれを見守るしかなかった。

やがて痺れを切らした名探偵が叫んだ。

名探偵「じゃあNの持ち物を確認しよう!そうすれば絶対見つかる!」

それはまさに好転のチャンスであった。

俺は犯人じゃない。これは逆に俺の疑いが晴れる。

イ「おいN、どうするよー?w」

俺「うん。やろう」

俺は涙目ながらも強く頷いた。
やはり事件解決には会議室ではなく、その足が決める。

俺達は俺の机に移動し、手荷物検査を始めた。

名探偵が鋭く睨む中、俺の机やランドセルが開け放って行く。

結局、俺の荷物の中からIさんの筆箱はなかった。

その代わりザクとジムが見つかり、これは没収となった。

イケメン「な、なかったろ?w」

イケメンの問いに名探偵がファビョリだす。

名探偵「そんな事ない!!絶対こいつが持ってる!!
            それに大体なんで学校におもちゃなんて持ってきてるんだ!くぁwせdrftgyふじこ」

顔を真っ赤にし、手に負えないぐらい叫び出す名探偵。
その姿は哀れであった。

教室の空気はやがて白け始め、徐々に俺が犯人論という説は消えかかっていた。

それでも名探偵は諦めなかった。

名探偵「そうだ!きっと森の中に隠したんだ!!そうに違いない!!」

この時俺は涙目から怒りと謎の優越感に浸っていた。
そしてファビョル名探偵に言いかえす。

俺「じゃあ昼休み行ってみる?w絶対ないからww」

名探偵「言ったな!!絶対見つけてやるからな!!!」

そんな辺りで先生からのストップがかかった。

結局捜査は無理矢理中断され、授業が再開された。

Iさんは周囲の人から筆記用具を借りて授業を受けた。
ひそひそと聞こえる女子の声がすっごく不快だった。

名探偵はしきりにぶつぶつ言いながら俺を睨んでいた。

そして授業が終わり、給食になった。

給食では名探偵が当番で、奴はその日出たカレーの担当だった。

Iさんがカレーを受け取る時に、名探偵が

「すぐに見つけるからね」

と囁いたのを覚えてる。
そして半ば迷惑そうな顔をしてたのも。

そして俺の番の時には少なく盛りやがった。
イケメンも同様だった。

この時は二人で顔を見合わせ、苦笑したのを覚えてる。

もちろんカレーはおかわりした。

そして事件は意外な形で幕を降ろす。

昼休みになり、俺とルパン、名探偵、イケメンと数名の男子とIさんと数名の女子で外に出るという事になった。

どうやら数名の女子はまだ俺が犯人だと疑っているようだ。
少し悲しい。

俺達は、俺の身を潔白すべく森へと行く事になった。

そして昇降口に来た時であった。

靴箱の上にIさんの筆箱があった。

突然の出来事に戸惑う俺達。

すぐに名探偵が叫ぶ。

名探偵「ここに隠してたのか!?」

当然のように首を横に振る俺。

そして衝撃の一言が飛び出した。

I「あ、そう言えば外出る時に間違って持って来ちゃってここに置いたんだ!」

なんと事件はただのIさんの置き忘れであった。

先の事件などなかったかのように喜びあうIさんと女子達。

な〜んだとがっかりする俺達男子メンツ。

一人怒りと屈辱が収まらず、俺とIさんを睨む名探偵。

こうして事件は解決したのだ。

その後、晴れて無実が証明された俺。

Iさんを含むクラスメイト達が

「疑ってごめんね」

と謝ってくれた。
すっごく嬉しかった。
持つべきものは友達だと思った。

ルパンは特に気にせず遊んでた。

イケメンは

「良かったじゃんww」

と言ってくれた。
さすがイケメン。

もちろん名探偵は謝りに来なかった。
担任も謝りに来なかった。

この事件はその後ネタになり、もちろん名探偵もネタにされた。

終わり

名探偵の制裁については後日談的なものがあります。

「名探偵、暴虐なるボンバーマン」

Iさん筆箱喪失事件以後、名探偵はよりからかわれるようになった。

クラスの男子からよく

「時計型麻酔銃撃てよww」とか
「キック力増強シューズ履いてねーじゃんww」

などとに言われていた。

当然ムキになって起こる名探偵。
より過激さを増すからかい。

やがて名探偵はコナン君というあだ名になった。

男子達はどこかまわず彼をコナン君と呼び続けた。
その度に顔を真っ赤にして切れるコナン君。

そして事件は起こった。

セミがミンミンと鳴く昼下がりの授業の合間の休み時間。

男子達はまだ新鮮なネタにされていたコナン君をからっていた。
彼の周囲で

「しんいちー。しんいちーw」

と囁く。

最初は

「うるさい!」

と言っていたコナン君。
しかしそこは小学生。
そんな事も気にしないでからかい続けた。

やがて彼は黙る様になり、それにヒートアップする男子数名。

そして、惨劇の幕が上がる。

「あああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

獣の様な咆哮。

思わずクラス全員がその発生源を探す。

雷鳴に近いその轟音はコナン君から発せられていた。

熟したトマトよりも真っ赤にした顔を怒りに歪ませた彼は、荒々しく立ち上がる。

そしてすぐ近くのちょっかいを掛けていた男子の席に前に立つなり、彼の机を思いっきり蹴った。

思いっきりフロントキックを受けた男子(S)が後方に吹き飛ぶ。

教室中に女子の悲鳴が飛び交い、床にはSの教科書やお道具箱の中身が飛び散った。

コナン君はすぐにもう一人の男子の席に行き、彼に飛び蹴りを放った。

飛び蹴りを受けた男子は横に吹き飛ぶ。

女子達はすぐに教室の端に逃げ、数名の勇敢な男子がコナン君を静止させようと駆け寄った。

だがコナン君の怒りは収まらず、今度は近くにあった椅子を持ち上げて振りかざした。

怯む男子達。そしてコナン君はその隙をついて持ち上げた椅子を倒れていたSに投げつけた。

そこは既に平凡な日常とかけ離れた修羅の国へと変わっていた。

コナン君はすぐに近くの椅子を掴み、止めに入ろうとした男子達に投げつける。

数名の戦士たちはうまく回避する。

だがコナン君は泣き叫びながら次々に近くの椅子を掴んでは彼らに向かって投げつけた。
それはまるでボンバーマンが爆弾を作っては投げる動作にも似ていた。

コナン君の注意が彼らに向かっている間に教室を脱出するクラスメイト達。俺はというと、ルパンと共に負傷したSの救助をしていた。

頭を押さえながら呻くSを教室の外に出した時、俺のすぐ傍の引き戸に椅子がぶつかった。

振り向くと肩で荒々しく息をし、鬼の様な形相をしたコナン君と目があった。

俺はすぐに教室を飛び出し、開いた引き戸の隙間からコナン君と彼らのやりとりを見つめた。

勝負は劣勢で、数名居た戦士達もコナン君のボンバー攻撃にたじろき、教室を脱出していた。

教室にはコナン君とサッカー部のエースが居た。
ちびまるこちゃんで言う大野君に例えると解りやすい。

大野君はすばやいフットワークで飛んでくる椅子や教科書を上手く回避している。
とはいえギリギリの勝負。
いつ大野君が大けがをするか分からない。
このままでは教室が壊れ、大野君が……。

だが救世主は意外な所から現れた。

「なにしてんだコラァーーーーーー!!」

教室の窓から突如響いた怒鳴り声。

窓の外にはバレー部顧問で熊のような体格を持ったM先生が居た。

バレー部の顧問の癖に、なぜか自分の受け持つクラスにスラムダンクを全巻置いてるM先生。

M先生は土足のまま教室に上がり、コナン君をビンタした。

動きが止まるコナン君。
そして両腕を乱暴に掴み、

「こっち来いオラァ!!」

と叫んで教室の外に連れ去って行った。

こうして修羅の乱は一人の武人によって幕が降ろされた。

その後、コナン君と彼をからかった連中全員が説教コースとなり、次の授業はつぶれた。

幸いにも窓ガラスなどの大きな破損はなかったものの、数名の筆記用具は見るに堪えないものになっていた。

帰りの会でコナン君が泣きながら

「僕の事、コナン君と呼ばないでください」

と言い、彼は担任の証人保護プログラム入りとなった。

こうして事件は完璧に闇に葬り去られた。

終わり。

「イケメンVS名探偵 〜武力行使による解決〜」

忘れもしない小学5年の夏。
俺達は納豆が名産地の県にある林間学校へと向かった。

バスから見えた青い広大な海。
皆で力を合わせて作ったカレーとバーベキュー。
クラスの皆ほとんど集まってやった鬼ごっこ。

素晴らしい小学校生活の思い出が出来る。

俺はそう疑って信じなかった。

それは夜の消灯時間を過ぎた頃であった。

俺の部屋は相変わらずのメンツで、ルパンと前回負傷したS、数名の平均的男子児童、そして名探偵(ゴレイヌ)が居た。

俺達は最初トランプで遊んでいたがすぐに飽きてしまい、遊戯王をやろうという事になった。
この時ゴレイヌだけはただ横目で俺達のやりとりを見つめるだけで、輪に入ろうとしない。

最初は気を使って声を掛けたが奴は入らず、ルパンの

「ほっとけよ」

って声に押され、俺達だけで遊んでいた。

しばらくすると別の部屋の男子が来て、

「暇だから女子の部屋でババ抜きしようぜ」

という声があり、俺達はそっちに行く事に。
もちろんやましい気持ちもあったが、そこは小学生。
ただ好きな娘と遊ぶというのが目的であった。

俺達はゴレイヌを残して女子の部屋に行き、大人数でババ抜きをした。
ここは関係ないので省く。

俺達の青春は見回りに来た先生により中断され、その場で解散を余儀なくされた。

俺達は部屋に戻り、くだらない話をして床に着いた。
その時には既にゴレイヌは寝ていた。

朝になり、起床を促すチャイムが館内に鳴り響く。
俺達はちょっと寝不足ながらも林間学校パワーで目覚め、すぐに食堂に行って朝食を摂る。

隣でルパンが納豆を食べてて、不快だった記憶がまだ残ってる。

その日のプログラムは海岸に出て、海を満喫しようと事で部屋に戻り、準備を始める俺達。
だがその時に異変が起こる。

俺の遊戯王のデッキがない……。
先輩から手に入れたサウンザンドアイズ・サクリファイスや兄から貰ったラーの翼神竜の入った豪華なデッキが…。

特にどうでもいい話だが、俺達は禁止カードとかはOKで、別に入れてても平気だった。

俺「俺のデッキがない!!」

思わず叫んでしまった。
みんながすぐに駆け寄る。
事情を説明するなり、みんなが自分達の鞄に紛れこんでないか探した。

しかし、どこにもない。
ベッドの下や各所探したがどこにもない。

一方でゴレイヌは準備を済ませるととっとと部屋を出て行ってしまった。

結局見つからずにどうしようとなった時、Sが

「ゴレイヌが盗んだんじゃね?」

と言った。

そこでみんなでゴレイヌの鞄を漁ろうとした時、担任(新しく赴任してきた若い女の先生)がなかなか出てこない俺達の部屋に来た。

俺達は先生にその事を相談せず、そのまま水着を持って部屋を出た。
遊戯王を持ってきたことがバレたら怒られるのは俺達だと思ったからだ。

海に行く道中、俺達はゴレイヌをどうしようかと考えた。
当時のゴレイヌは前と比べ大人しかったが、融通の効かない奴だったし単刀直入に言っても答えは出ないのは明白であった。

そこで俺達はそことなく訊いてみる事にしたのだ。

海岸で自由に遊んでいる時、大人しい女の子二人と砂の山を作ってるゴレイヌに声を掛けた。

俺「なぁ、ゴレイヌ。俺のデッキ知らない?」

俺の問いかけにゴレイヌは

「知らない」

と答えた。
みんなの所に戻ってその事を伝えるとSは

「絶対ウソついてる」

と切れた。
しかし、他の男子が

「もしかしたらあいつじゃなくて、別の奴かも知んないじゃん」

と言う。

そこで俺達はゴレイヌが盗った派と別の犯人派に別れた。

結局意見はまとまらず、俺達は遊びに興じてその日の海で遊びは終わった。

夕食の時、食堂でルパンがゴレイヌに訊いた。

ル「なぁ、お前。マジで知んないの?」

その問いにゴレイヌは首を横に振る。

ゴ「知んないって」

ル「本当に?」

ゴ「うん」

捜査は難儀した。
ゴレイヌは嘘をついてるかもしれない。
だからと言って、無理に鞄を漁って見つからなければ俺達はただの悪者だ。
それに、こいつが犯人じゃなかった時にこいつに申し訳ない。
小学生のプライドながら、こいつにだけは絶対謝りたくなかった。

そんな時だった。

ゴ「あ、そういえば皆が出ていった後にN君が来たよ。寝惚けていたから部屋に入るところだけしか見ていないけど」

ゴレイヌがそう言った。

N君とはクラス最大のおバカで、やんちゃな奴だった。
アマガエルを何匹か捕まえて来ては自分の机の上で飼ったり、校庭に入って来た犬を追いかけ回したりと伝説を残している。
漫画に出てくる野生児そのものだ。

たまにN君は他人の物を借りたまま返さない前科もあった。(でもちゃんと言うと返してくれる。ただ忘れてるだけ)
そして何よりルパンや俺とは犬猿の仲に近かった。

その原因は俺とルパンその他が作った秘密基地がNの襲撃に遭い、貴重なエロ本を盗まれた事にある。

夜の消灯時間に奴の部屋に行く事にした。

夜の消灯時間にNの部屋に家宅捜索に行く俺達。

Nの部屋ではイケメンとNが楽しそうに野球拳をやっていた。
イケメンはパンツとTシャツ一枚だけになってた。
すぐにNに問い詰める。

N「は?遊戯王?しらねーよ。つーか昨日俺ここでT(同じ部屋の奴)のアドバンスやってたし」

その答えにルパンが強めに言う。

ル「本当だな?絶対だな?」

N「おう。だったら俺の鞄見てみるか?」

そこでNの鞄を探してみる事にした。
この時事態は大きくなり、Nの部屋住人達がこの事件に関わる事になっていた。

Nの鞄はなぜか知らないがベイブレードがたくさんある以外は特に何もなかった。

すぐにNがキレる。

N「誰が俺が盗んだって?」

俺「ゴレイヌが言ってた」

N「は?www意味わかんねーwwあいつぶっ殺すわwww」

そう言うとすぐに部屋を飛び出るN。
慌てて追いかける俺達。

「おいゴレイヌ!!」

Nは俺達の部屋のドアを蹴るように開けると、すぐにゴレイヌの元に駆け寄る。
ゴレイヌは布団中で包まっていたが、すぐにNが布団を引き剥がし、ゴレイヌを起こす。

「ちょっと遊ぼうぜゴレイヌww」

そう言ってゴレイヌの首に腕を回す。
ゴレイヌは「なんだよぉ」と弱弱しく声を漏らした。
ゴレイヌもこいつは天敵だった。

N「お前俺が部屋に来たって言ったらしいなww」

ゴ「…言ってないよぉ」

もうこの時点でこいつが犯人だと俺達は確証した。
ルパンがキレる。

ル「お前、部屋に来たって言ったじゃん!!」

ゴ「見間違えたかもしれない……」

N「は、嘘だろ?」

そう言ってNがゴレイヌにヘッドロックを掛ける。

N「ホントの事言えよwww」

ゴ「違うよぉ、違うったら!!」

N「ウソだったんだろ?ww」

ゴ「……ごめんなさい」

すかさずイケメンが割って入り、ゴレイヌを解放した。

(つうか俺も名前がNだからわかりづらくてスマソ)

咽るゴレイヌにSがキレる。

S「じゃあお前、部屋に誰が来たんだよ?」

ゴ「……」

沈黙するゴレイヌ。
痺れを切らした俺達は

「盗んだんだろ!?」

とか罵声を浴びせる。
そこで場を収拾したのがイケメンであった。

イ「まぁ待てって。とりあえずゴレイヌさぁ、部屋に来たのはNじゃなかったんだな?」

みんな静かになってゴレイヌの反応を待つ。
黙って頷くゴレイヌ。

イ「じゃあ誰が来たんだ?」

だんまりするゴレイヌ。

イ「じゃあ、誰も来てなかったのか?」

頷くゴレイヌ。

イ「……じゃあさ、お前が盗んだの?」

イケメンの問いかけにしばらく何も答えなかったゴレイヌだが、ついに頷いた。

イケメンの問いかけは続く。

イ「なんで盗んだ?」

ゴ「……みんなが、輪に入れてくれなかったから」

弱弱しく言うゴレイヌ。
その答えにイケメンが俺達に

「そうなのか?」

と訊く。当然首を横に振る俺達。
昨晩何回も誘ったのに来なかったのはゴレイヌだ。
その事もちゃんと伝えた。

イ「みんなお前を誘ったって言ってんぞ?」

ゴ「……」

膝を抱えてだんまりするゴレイヌ。
この時ぐらいにNは飽きたのか、俺達のベッドで寝っ転がっていた。

イ「なぁ、なんか言えよ」

ゴ「……」

イケメンの問いかけに何の反応も示さないゴレイヌ。
ここまで優しかったイケメンもさすがに堪忍袋の緒が切れた。

イ「あのさぁ、何で嘘つくんだよ!お前、最低だぞ!!」

イケメンの怒鳴り声に小さく震えだし、膝に頭を埋めたままうっうっ、と泣き始めるゴレイヌ。

イ「それにさぁ、ちゃんと誘ってくれたのに入らなかったのはお前じゃん!!それで人の物盗むなんて最低だろ!!」

痛快に攻めていくイケメン君。
ゴレイヌはただただ泣くばかりであった。

イ「お前さぁ、泣いて許されると思ってんの!?まず、N(俺)に謝れ!次にNだ」

そう言うと何故か頭を埋めたまま首を横に振るゴレイヌ。
もちろんキレるイケメン。

イ「なんで謝らないの?お前が一番悪いんだぞ!?」

ここでゴレイヌが喋った。

ゴ「……ない」

イ「は?何、聞こえない?」

ゴ「……俺は悪くない」

ゴレイヌの答えに遂に俺がキレた。

俺「お前が一番悪いんだよ!この泥棒!!」

その瞬間、ゴレイヌが俺に飛び掛かった。

ゴレイヌは俺の首を両手で掴み、床に叩きつけると一気に力を込める。
その時ゴレイヌは何か叫んでいたがまったく解らなかった。
顔真っ赤にし、奴の唾を浴びながら抵抗する俺。

慌てて皆がゴレイヌを引き剥がすと、今度はゴレイヌを引き剥がしたイケメンにターゲットを変えた。

イケメンの顔面を殴り、イケメンに馬乗りになるゴレイヌ。
みんな引き剥がそうとするが、それがなかなか離れない。

そこで回復した俺がゴレイヌの脇腹に渾身の蹴りを入れた。
あまり道徳的ではないが、こうでもしないとゴレイヌは止まらないと思ったからだ。
ゴレイヌは息が止まり、その場でうずくまって咽ていた

イケメンの首には無数の引っかき傷が出来、そこからダラダラと血が流れていた。

その影でNがゴレイヌに追い打ちのキックを打ちこんでいたのが見えた。

それからしてゴレイヌも落ち着き、ちゃんと謝って遊戯王を返してくれた。

どうやら海に行く時に水着とタオルの入った袋に入れてたらしく、デッキには少し砂が混じっていた。

イケメンの傷はしょうがなく、二人で口裏を合わせて喧嘩したって事にして先生の所に行った。

先生に説教を喰らうかと思ったら、案外優しくて俺(俺も首を引っかれてた)とイケメンの傷を消毒して、

「もう喧嘩しちゃ駄目よ」

と言って返してくれた。
マジで女神だと思った。

その後はゴレイヌを混ぜての大勢でババ抜き。
途中、イラつく事があったが仲直りパワーでなんとかなった。

次の日、帰りのバスでもみんな仲良くワイワイと返った。
Sがバス酔いするまではだが。

終わり

「Q・E・D〜名探偵、愛の証明終了〜」

※ここからは甘酸っぱい青春グラフィティーになります。

話は飛んで中学3年生となる。
あれから新しい学校生活と他の小学校の人間達と混じり、俺達にも変化が出てきた。

・俺→中二症を発症し、少し前の邦楽を愛する痛い子
・ルパン→相変わらずのおバカさん。音ゲーにハマる
・ゴレイヌ→すっかりいい奴になりにわか萌オタ
・イケメン→テニス部副部長。彼女が出来るスーパーリア充化
・N→野生児だが学校に来なくなり、タバコを吸う半不良化
・S→イケイケ集団の金魚のフン

中学に入学し、俺とルパン、そしてゴレイヌは同じ卓球部へ。

始めは喧嘩みたいな騒動があったが、中3にもなると俺達三人はすっかり仲良くなっていた。
ゴレイヌはあれだけ我儘だったのに、すっかりいい奴になっていた。

過去にあった事もすっかりどうでもよくなり、俺達は一緒に帰ったり、遊んだりもした。
小学校の頃の事なんでどうでも良かった。

季節は秋頃。
俺達は大した成績を残さないまま部活を引退し、高校受験への準備が始まりつつあった。
だがアンポンタンな俺達はそんな事より今が楽しくて仕方なかった。

学校が終われば大勢の友達で公園に行き、チャリンコレースをしたり鬼ごっこしたり、正直小学生の時と何も変わらなかった。

とにかく勉強なんて学校と家でやればいい
今はみんなと楽しくやれればいいやと思ってた。

本当にその辺は何も変わらなかった。

恋というもの知るまでは。

いつも遊ぶ連中は画面の中で恋するか、は?何それwwwそれより野球しようぜ!っていうタイプばかりであった。

だが同級生カップルが仲良く帰ってるのを見るのは正直羨ましくて仕方なかった。

もちろん女の裸で興奮する年代だし、不純の混じった目で俺達は奴等を見ていた。
気が付けばイケメン君ですら一つ下の彼女が出来ているという始末。

ある日、俺とルパンとゴレイヌでみんなが帰った公園で語り合った。

最初は周囲の奴のカップル情報。
誰々と誰々がキスした、とか誰々は誰々の事が好きだ、とかそんな他愛のない話。

やがて話は盛り上がり、遂には自分の好きな娘の話へと変わった。

その時は修学旅行的なテンションになっていた。

ルパンは同じ小学校出身のHさんという女の子が好きだと言った。

黒髪で大人しい子で顔立ちも良かった娘だ。
ひな人形みたいな娘だ。

ひなのどこがいいの?って訊くと

「だって可愛い過ぎだろw」

ともじもじしながら言うルパン。
この時だけルパンがなんだかちょっと可愛かった

俺はというと剣道部に所属する後輩の女の子のWが好きだと白状した。

Wという娘は元々同じ地域に住んでおり、朝の登下校の班も一緒で、中学に入ってからも学校や近所で話したりもしていて、親ぐるみの付き合いで遭った為に結構仲が良かった。

すぐにゴレイヌとルパンが

「どこが好きなの?w」

と訊いてきた。
俺は

「面倒見がよくって素直な所…w」

と言った。
それは確かに事実で、その時は剣道部の部長であった。

次にゴレイヌの番になった。

ゴレイヌは始め言うのを渋った。

最初はヒントばかりでまったく誰だか当てられなかったので、俺達が問い詰めまくった。

そこでゴレイヌは白状し、ゴレイヌの好きな娘が同じクラスのKさんである事が判明した。

Kさんは普通に明るく、顔立ちもいい娘であった。
八重歯も可愛く、今で言う宮崎あおいみたいだ。
ただ、Kさんには彼氏がいた。

俺達はすぐに訊く。

「どこが好きなの?w」

するとゴレイヌから意外な言葉が返って来た。

「D君(彼氏)と一緒にいる時や、友達と話してる時の顔が好きだ」

って。
それに加えて

「正直な話、付き合えなくていいから告白だけはしたいなぁってw」

この時ゴレイヌはなんだか大人っぽかった。
俺とルパンは関心した。

俺達はそこで馬鹿な中学生の発想でみんなで好きな娘に告白しようってなった。

今考えればゴレイヌだけは絶対勝算はないのにゴレイヌもそれに乗ってくれた。
俺達は門限ギリギリまでどうやって告白しようか考えた。ついでにおっぱいとかそんな下らない下ネタの話もした。

俺は家に帰ってグレイプバインの「ふれていたい」を何度もリピートして聞いた。
当時俺は「流行の音楽なんてクソ。こういう昔の音楽の方が素晴らしい」と考えてる痛い奴だったからである。

俺の中でWさんを思い出す時は「ふれていたい」と聞いていた。
「君が笑った明日は晴れ!」ってフレーズでWさんを思い出す。

そしてとにかく色々妄想する。
学校のヒーローになって彼女を振り向かせる。
今の冴えない俺のまま不器用な恋愛を送る。

どんな妄想でもWさんがヒロインだった。

当時の俺は本当に気色悪かった。

話は逸れたが後日、学校で俺達三人だけ集まってどうやって告白するか考えた。

ラブレターを書いて呼び出すか、とか直接会って堂々と告るかとかそんな議論。

色々話しているうちにひとつの問題点が浮上した。

誰が最初に告白するか?

俺達は無言になった。

しばらく「どうする?どうする?」となった時、ゴレイヌが言った。

ゴ「じゃあ俺が最初いくよ」

俺とルパンは驚いた。
まさかゴレイヌが最初とは……。正直俺達の中で一番冴えてない奴だったから。
と言っても俺達事態が冴えない集団だったけど。

だがルパンがゴレイヌに闘争心を燃やし、

「いや、俺が最初にするわ」

と言った。

ここで「俺が!」と手を挙げても良かったが、そこはうぶな中学生。
結局何も言えずルパンが一番に、次にゴレイヌ、最後は俺と順番になった。

ノリで盛り上がっていたが、俺は内心では告白して関係が崩れるのが怖かった。

俺の本心とは裏腹に、淡々と日程が組まれていく。

何時何時まで告白する、とか誰が呼び出すか?とか。
その時まで笑っていた俺は正直不安で仕方なかった。

家に帰るとバインと兄貴から貸してもらったスピッツを聴いていた。
純愛とはなんだ?とロマンチストに気取っていた。

ただ単純に告白するのが怖かっただけであった。

そして遂にルパンの決行日。

ルパンは告白用のメモを何度も見て告白に向かって頑張っていた。
ルパンが作った告白用のメモだが、結構普通な物であった。

「何年の頃から好きです。もしよろしかったらお付き合いしてください」とかそんな感じの物。
まぁ妥当な告白の文章であった。

そして放課後。

Hさんを駐輪場で待ち伏せ、Hさんを呼びとめる。

そして人が少なくなった時にルパンは告白した。

「好きです!付き合ってください!!」

色々考えていた台詞は緊張で吹っ飛んだんだろう。
困惑するHさん。

「お返事は後で構いません!それでは!!」

と逃げるように走り去るルパン。
物影で見ていた俺とゴレイヌも慌ててルパンを追う。

ルパンは何故か教室まで靴で駆けあがり、誰もいない教室で顔を埋めていた。

ル「言ったぁ!言ったよぉ俺!!沙羅ちゃ〜〜ん!!」

ルパンが耳まで真っ赤にして叫ぶ。ちなみ沙羅ちゃんとは双恋というアニメのキャラだ。
俺とゴレイヌはルパンにGJ!と称賛を送った。

ルパンはひとしきり笑った後、

「やっべぇwwやっべぇwww」

と壊れたように言い続けた。

帰り道、

「なんだかすっきりしたぁ!!」

と叫び全力で立ち漕ぎするルパン。

なんだかこいつだけ大人になった感じだった。
俺とゴレイヌは正直ルパンが羨ましかった。

そして次の日。

気まずそうに学校生活を送るルパン。
幸い、まだ誰もルパンが告白したという情報は流れてはいなかった。

中学生において、誰かが告白したという情報は何故かタブーだった。
他の学校はどうか知らないが、情報が流れると一気にネタの対象にされる。
そして女子からは何故か軽蔑の目で見られる。
付き合えたら別だが。

その日は他のクラスとの合同授業もあり、そこにはHさんも居た。
必死に目を合わせないようにするルパン。
Hさんも平静を装ってるのか、普通に友達と話していた。

そして授業の終わり頃。
Hさんがルパンの元に寄った。

俺はHさんが何て言っているのか解らなかったが、どうやら「放課後に駐輪場の裏に来てください」的な用件だったらしい。
より一層そわそわするルパン。

普段と違って給食もあまり手につけないほど緊張していた。

昼休み。
俺達は集まってルパンの興奮を宥めかかった。

ル「やべーwwwマジやべぇwwこえーwww」

俺「落ち着けって」

ル「振られるのかなぁ、OKなのかなぁ」

ゴ「ルパン、大丈夫だって。想いは伝えたんだろ?」

ル「うわああ、こええぇぇぇwww」

変なテンションではしゃぐルパン。
やがてそんな調子で学校も終わり、遂に放課後が来た。

駐輪場に行くと、Hさんと他に事情を訊いたと思われる女子二人が居た。
お互いに気まずい中、Hさんとルパンは二人で人気のない駐輪場の裏へと進む。

俺とゴレイヌはこの女子二人に色々聴かれた。

「いつから好きだったの?」

とか興奮して訊いて来るから正直疎ましくてしかなかった。

しばらくして二人が戻って来た。
互いに気まずい空気を醸し出し、ルパンに至ってはなんだか表現しにくいけど、泣き笑いみたいな顔を浮かべていた。

もうこの時点で結果は見えていた。
俺達はHさんに別れを告げ、学校を後にした。
いつもの公園に着くまでずっとルパンは無言だった。
俺とゴレイヌも何も訊かなかった。

公園に着き、ルパンはブランコに腰掛ける。
その時点ですごい負のオーラが漂っていた。

ゴレイヌが最初に口を開いた。

ゴ「あのさ、どうだった……?」

その問いにルパンがぼそりと

「……まぁ、振られたよね」

と呟いた。
俺とゴレイヌはガックリと肩を落とした。

ル「『気持ちは嬉しいけど、私はそういうのよく解らないからごめんなさい』ってさ」

ル「まぁ、予想してたけど仕方ないよね」

俺とゴレイヌはなんて声を掛けていいか解らなかった。
しばらくしてルパンが無理矢理笑顔を作って

「まぁ次だ、次!」

と大声を挙げた。

俺達も無理にテンションを上げてルパンに励ます。
無理矢理のテンションでチャリンコで公園の小高い丘を駆けまわり、アスレチックなんかで遊んだ。
そしてそのまま家に帰った。

家に帰り、勉強しながら今日のルパンの事を思い出した。
振られても無理にはしゃいでたルパンの顔を思い出すのはなんだか胸が痛かった。

好きな人に拒絶されたのは辛い。

けどルパンが帰る時、俺は帰るルパンの背中をじっと見ていた。
その背中は心なしか、なんだかすっきりした様な感じだった。

今思えばその時のルパンの気持ちがすっごく解る気がする。
あいつはきっと付き合えなくても満足だったんじゃないかな?って
まぁそれはすぐに解るんだけど。

俺はスピッツの「けもの道」を聴いてルパンの事と、Wさんの事を思い出してた。

明くる日。

教室にいたルパンは少し元気がなかった。
喋りかけると元気に返すが、気が付けばちょっと上の空だった。

そして次にゴレイヌの番になった。

しかしルパンはすでに賢者モードに入り、俺もあまり乗り気じゃなかったからなーなーな状態であった。
だがゴレイヌは違った。
どうやらマジで告白するようだ。

どうやらルパンの告白でモチベーションが上がったらしい。
俺は正直ウジウジしてるクソ野郎だったからそんなゴレイヌを理解出来なかった。

しばらくして三人で告白の話はしなくなった。

ある日の事。

昼休みにイケメンとゴレイヌが二人で話しているのを目撃した。

イケメン君はガチでイケメンだから誰の相談でも親身なって乗ってくれる。
特にゴレイヌとイケメンは小学校から中学にかけて大分仲良くなったから尚更であった。

後日、イケメンにそれとなく訊いてみるとどうやら告白についてだった。

彼氏がいる相手に告白するのは気が引けたのだろう。
どうしたらいいかと相談と持ちかけたそうだ。

イケメンは「正直よろしくないからそのまま告白しないか、あえて玉砕+彼氏に殴られる覚悟でいくかだ」と返答したらしい。
イケメン君の答えにマジでこの人中学生かよっと思った。

そして数日後。
俺とルパンはゴレイヌに呼ばれて公園に集まった。

俺とルパンが

「どうした?」

と訊くとゴレイヌは一言。

ゴ「俺……明日、告白する!」

と豪語した。
突然の発言に言葉に詰まり、

「お、おう……」

と答える俺達。

ゴ「やっぱり自分には正直で生きて行こうと思う!」

そう言い切ったゴレイヌはカッコ良かった。
俺達はゴレイヌにエールを送りまくった。

公園でKさんの名前を大声で叫ぶゴレイヌ。
爆笑しながらも一緒にはしゃぐ俺。

次の日。
遂に決行の日。

俺とルパンは特にゴレイヌからどういう風に告白するか訊いていなかったら、どういう風にするか知らなかった。

そこでゴレイヌに訊いてみるが、

「まぁ見ててw」

と言うだけであった。

何のアクションも起きないまま昼休みにまで行った時だ。
ゴレイヌに連れられて、Kさんの居る教室に行く事に。

教室を覗きこむとKさんは友達と一緒に喋っている。
どうするんだろうと思ってると、ゴレイヌはKさんにズカズカと近づいていく。
呆気にとられて見ているとゴレイヌが声を掛けた。

ゴ「あの、Kさん」

K「え、うん」

すぐにKさんの周りの友達もゴレイヌを見る。

ゴ「実はちょっと大事な話があるんで放課後残ってて貰っていいかな?」

K「え、あ」

ゴ「友達とか一緒でもいいから、お願い」

そう告げて教室をスタスタと出ていった。
慌てて追う俺達。

ゴレイヌは体育館の入り口に着くなり

ゴ「うわああ、緊張したぁあwwwこええわwww」

と笑った。
ゴレイヌのそんな姿に俺達は笑いながら

「お前マジですっげーわwww」

と称賛を送った。

俺達はすぐにゴレイヌに「なんて告白するの?ww」とか訊くが「まぁ見ててw」とゴレイヌははぐらかされた。

その後、授業中もゴレイヌは

「あーやべぇ、緊張するww」

と呟いていた。
そして遂に放課後になった。

放課後、緊張した面持ちで教室に行くゴレイヌとお伴の俺とルパン。

教室にはKさんとその取り巻きの女子と何故か彼氏のD君。
D君がすっげーキレそうな顔でこちらを睨んでいる。

多分みんなゴレイヌが何をするのか察しが付いているのだろう。
物すごく険悪なムードというか、殺気掛かってた空気が教室に充満していた。

俺とルパンはすっげえ気まずかった。

すぐにKさんが声を掛ける。

K「あの、話って何?」

ゴレイヌは

「うん」

と言い、一呼吸おいて切り出した。

ゴ「実はあなたの事がずっと好きでした!」

大きな声でゴレイヌが告白した。
全員がその場で凍りついたように固まった。
ゴレイヌは続ける。

ゴ「でも僕は付き合えなくてもいいです!とにかく、あなたに好きと伝えたかっただけなんです!
    ごめんなさい、迷惑だと思いますが訊いて欲しかったんです!」

ゴレイヌはそう言い、Kさんを見た。
困惑してるKさん。

すっごい驚いた表情を浮かべる取り巻き女子と俺とルパン。

キレかけ寸前のD君。

Kさんは戸惑った表情で

「あ、ありがとう…」

と言う。

ゴレイヌはそれを訊くと

「ありがとうございました!それではすみません!!」

と言って教室を出て行ってしまった。

慌てて後を追う俺達。

ゴレイヌは無言のまま昇降口まで行き、駐輪場まで行く。
俺とルパンは後ろで

「お前、すっげーよ」

と言いまくっていた。

公園に入るなり、

「俺はちゃんと言ったぞぉおおお!!!」

とゴレイヌが叫んだ。

ゴレイヌは興奮した面持ちで

「告白って怖いけどすっげえぇなぁ!!ww」

と言いまくっていた。

それからゴレイヌに訊いた話では、あの告白の台詞はイケメン君と二人で考えたらしい。

しばらく寒い公園のジャングルジムの上で色々語った。
どれくらい好きだったとか、告白って案外気持ちいいんだなとか。

正直その話では俺は付いていけず、ルパンとゴレイヌが話す横でただじっと訊くだけであった。

ゴレイヌもなんかルパンの時と同じく、すっきりした表情をしていた。
そこで俺は二人に今まで抱えていた疑問にぶつけてみた。

俺「なんでさ、振られてそんな元気なの?」

ゴ「え〜なんでだろうww」

ル「なんか抱えてたもんがすっきりしたっていうかw」

ゴ「自分に正直になれたからっかな?w」

ル「かな?www」

当時の俺にはよく理解出来なかった。
けど二人はすっげーかっこ良い顔をしてた。
なんか男らしくなっていた。

その日は三人でまた遊んだが、なんだか俺だけ蚊帳の外の気分だった。
そして帰る時、ゴレイヌに言われた。

ゴ「Nもさ、勧めるわけじゃないけど告白はした方がいいかもよw」

ル「確かしww結構すっきりするぞww」

俺「あ、ああ……。」

そう言って俺達は別れた

その後の学校生活においてゴレイヌはなんだか元気だった。

途中、D君に胸倉を掴まれてキレられたり、それを宥めたイケメン君といざこざがあったりと大変だった。

イケメン君の件についてはD君を宥める時に「好きと伝えるだけで、付き合いたいわけじゃないからさ」と言ったらしく、それでイケメン君がゴレイヌに協力していたのがバレていたらしい。

正直な話、D君の気持ちは解らなくはないが同調も出来なかった。
それからD君がゴレイヌをボコろうかという計画があったが、イケメン君の人望が幸いしてなんとか何も起こらず終わった。

風の噂で、その後D君とKさんの関係が悪くなった時と訊いた。
それを訊いたゴレイヌは

「俺のせいかな……」

とぼやいていた。
イケメン君が

「気にすんなって!」

とフォローしてくれた。

それからちょっとイケメン君とも遊ぶようになった。
公園に彼女さんも来て、5人で仲良くチャリで走り回ったりもした。

俺はというと、あれだけ勇敢に告白した二人を前にして逆にヘタレだった。

余談だが、ゴレイヌとルパンが告白してる間もWさんとは話したりしていた。
しかし、告白まではいかなかった。

だが年が暮れる頃に決心した。

とりあえず俺はへたれだから直球に告白するのは恥ずかしく、少しずつ時間かけて告白しようと思い、彼女にメールした。

内容的にはちょっと気になるアーティストいるから暇だったら一緒にCD屋でも行かない?的な内容。

正直どうしようもない奴だった俺。

メールの返信はOKだった。

当日、ワクテカして起きたら外は雪景色。
とんでもない豪雪であった。

これはどうしようかと思い、気を使いメールで「今日雪降ってるけど大丈夫?」と送った。
内心では断って欲しくなかったが、心のどこかで断って欲しいと思ってた。
ここで断ってくれたら諦めようと考える節もあった。

しかし返信は「雪は慣れてるんで大丈夫だよ」と帰って来た。
俺はテンションを上げて外を出た。
ちなみに彼女は小学校からの知り合いなので敬語は使ってない。

俺はすぐに待ち合わせの場所へと向かった。
途中、慣れない雪道のせいで思いっきりずっこけたが。

待ち合わせ場所にはマフラーを巻いて寒そうにしているWさんが居た。
会うなり、

「頭の雪すごいですよww」

と笑われた。

そして他愛のない話で俺達は街へ向かってチャリを漕いだ。
正直何を話したのか覚えてない。
とにかく気分はフワフワしていた。

大型のショッピングセンターに着き、俺達はCD屋にお目当てのアーティストを見つけ、買った。
買ったのは忘れもしないスピッツの「空の飛び方」っていうアルバム。
兄貴の受け負いの言葉を並べ、スピッツの良さをWさんに語った。

正直スピッツなら広く受けているからだと考えた。
Wさんは

「そうなんですか。なら、今度貸して下さいよ」

と言ってくれた。
これでまたWさんと何らかの繋がりが出来た。

浅ましい上に姑息な考えだが、俺にはこれが精一杯だった。

それからフードコートに行き、マックを食べながら雑談した。

雑談してる中でゴレイヌとルパンの話が出てきた。

ルパンの話は彼女にバラしてしまったが、ゴレイヌの話はどうやらどの学年でも有名な話になっているらしい。
そこで俺は話を恋愛にすり替え、彼女に好きなタイプや付き合いたいならどんな人か訊いてみた。
すると

W「う〜ん、どうなんだろう。とにかく気配りが出来る人がいいなぁ」

と呟いた。
俺は平然を装って「ふ〜ん」と返したが、内心では彼女の理想の男になろうと決め込んでいた。

その後、雑貨屋に行って彼女が好きなキャラクターのグッズを見たりしてゲーセンに行った。

ゲーセンに行き、クレーンキャッチャーで彼女の好きなキャラクターのぬいぐるみを取ろうと躍起になっていた。

そこで思わぬ人物に遭遇する。

それはクレーンキャッチャーを諦め、他のゲームに移ろうとした時だった。

W「あれ、あそこにいるのルパン先輩じゃないですか?」

そう言ってWさんが指さす。
指先にはドラムマニアに汗だくで興じるルパンが居た。

俺は見つからない様に離れようと思ったが、先にルパンに見つかってしまった。

ル「お〜N。何してんの?」

そう言いつつニヤニヤしながら俺とWさんと交互に見ながらドラミングするルパン。

俺は「おぉ。ちょっと買い物って感じ……かな?」

シャイな俺は適当にはぐらかす。

W「先輩こんにちは〜」

ル「おぉ、Wさんこんちわ!!ww」

元気よく挨拶を交わす二人。

W「先輩は何してるんですか?」

ル「俺?暇だからゲームしてるww」

W「ドラム上手いですねw」

ル「まぁねw」

そうしてWさんはルパンのドラムマニアを楽しそうに眺めていた。
俺は正直せっかく二人っきりのデートなのに、Wさんを独り占めされた気分だったのでつまらなかった。
ルパンに嫉妬していた。

それからルパンがゲームを終了すると

ル「どうせだしみんなでバトルしようぜw」

とカーレースをする事になった。
写真撮られるゲームで、ルパンは変顔で写真を撮ってWさんを笑わせていた。
俺はというとシャイだから仏頂面で撮った。

ひとしきり楽しんだ後、Wさんがトイレに行った時にルパンが詰め寄った。

ル「お前ズリィだろww」

俺「は?」

ル「告って成功したなら俺達に言えよww」

どうやら俺達が付き合っていると勘違いしていたらしい。
事情を話すとルパンはがっくりしていた。

ル「付き合ってないのかよwwお前勘違いしちゃったじゃんかよww俺気まずいだろww」

俺「いや、いいよ」

ル「つうか俺どうしようww」

俺「今更帰れなんて言えないだろw」

ル「とにかく邪魔しないようにするわw」

Wさんが戻って来て、次はどこに行こうかと考えた。
そこでプリクラを撮ろうという事になった。

プリクラを撮る時、最初はルパンが変な顔をしたりしていたが、途中、わざと際どい撮り方をして、自分が写らないようにしていた。

ル「うわぁ、俺映ってなかったわww」

そうおどけて笑うルパン。
ルパンGJだった。

三人でプリクラを分けた時、ルパンが俺とWさんだけ写ってたプリを俺にくれた。

その後、とりあえず雪の心配もあるし、今日は帰ろうという事になった。

帰り道では三人で楽しく雑談して帰った。

途中、ルパンと別れてWさんと二人きり。
テンションを無理にハイにして俺はWさんと話した。

Wさんの頭に大量に積もった雪につっこんだりもした。

気が付いたらWさんの家の前で笑って手を振って別れた。

結局その日は告白は出来なかったが、俺は満足して帰った

そして年が明けて、本格的に高校受験に進む俺達。

俺は勉強に専念しつつ、彼女との関係をちょくちょく築いていった。

たまに公園でルパンとゴレイヌとWさんと話す時もあった。
そこにイケメン君とその彼女も混じる時もあった。

とにかくみんなで話したり、からかいあったり、それだけで満足であった。
正直、告白の事はどこかに飛んで行ってしまった。

いつまでもこんな日々が続けばいいって思ってた。
だがそうもいかない。

高校受験の日。
Wさんからメールで「頑張って!」と送られた。
それだけで俺はもうやる気マックスだった。

周囲の奴はどれも頭良さそうに見えて仕方なかったが、それでも頑張った。
受験が終わり、Wさんに「終わったよ!応援ありがとう!!」と送った。

そして遂に卒業式となった。

卒業式には普段姿を見せなかったNも来ていた。
Nはヤニ黄ばみしたYシャツで出席して、俺達を見かけるなり

「よぉ!」

なんて声を掛けてきたりもした。

卒業式も終わり、俺達は校門に集まった。

イケメン君はブレザーについてるネームプレートを彼女に。
他にも後輩の女の子からボタンをひったくられ、ブレザーとYシャツのボタン全部が無くなっていた。
流石はスーパーリア充。

しかも普段学校に来ないNもなぜか後輩からネームプレートをせがまれていた。

一方で俺とルパンとゴレイヌは特になにもなかった。
まぁこんなもんだろうと思い、帰ろうとした時にWさんがやってきた。

W「卒業おめでとうございます!」

俺「おぉ、ありがとう」

W「N君、良かったらネームプレートちょうだい!」

俺「え?」

突然のWさんの言葉に戸惑う俺。
まさか俺にも遂に春が来たのかとワクワクしながらネームプレートを渡す。

W「ありがとう!」

俺は胸一杯に幸せを感じていた。
次の瞬間までは。

W「あ、後ルパン先輩とゴレイヌ先輩のもください!」

困惑する俺。
恥ずかしいながらも、嬉しそうにネームプレートを渡すルパンとゴレイヌ。
どうやらただ仲の良い先輩のネームプレートが欲しかっただけのようだ。

それからして俺達は高校前の春休みに入った。

幸いにも俺達全員は希望通りの学校に合格した。
ゴレイヌとイケメンは同じ高校。俺とルパンはそれぞれ別の高校であった。
みんな互いにバラバラであった。

俺達はどうしても最後に中学の思い出の終止符が打ちたくて全員でいつも遊んでいた公園に集まろうという事になった。

公園は寒かったがすっかり桜が満開していた。

最初は俺とゴレイヌ、ルパン、イケメン君が揃った。
もうイケメン君はすっかり俺達のグループの一員みたくなっていった。

俺達は同じ小学校ってのもあり、過去の話で盛り上がった。

それはゴレイヌが名探偵になった時の話からブチ切れた話、林間学校での出来事の話。

この話をした時、ゴレイヌは

「やめろってマジで!あんときはさぁ……」

と恥ずかしそうにしていたのが笑えた。

俺達が笑いあってるとWさんとイケメン彼女も来てくれた。
その後、彼女達も混ぜて昔話に盛り上がった。

誰が言ったが覚えてないが、突然缶けりをやろうという事になった。

とにかくみんなではしゃいで遊び回った。
途中、ルパンがイケメン君彼女に絡まって重なるように倒れるハプニングもあったが、そこはイケメン君。笑って許していた。

他にも白線鬼をやったりと色々やった。

そんな楽しい道中の中で、俺はある決心を決めていた。
それは半年以上前からずっと実行出来なかった事だ。

その日は夜ギリギリまで遊び、寂しくないようにみんなでそれぞれの家に送り届けようってなった。

始めにイケメン君の彼女を送り届ける事になった。
そこでノリでイケメン君が彼女にキスするサプライズがあった。

この時初めてイケメン君が照れてるのを見た。
キスした後、

「お前らマジ馬鹿だろww」

と俺らに悪口を言ってたが逆に俺達はそれをなじっていた。

その後次にゴレイヌを送り、イケメン君を送った。

二人とも笑顔で

「じゃあまたな!」

って言ったけど、逆にそれが寂しく感じた。

そしてルパンを家に送った。
ルパンも

「またな!!暇な時遊ぼうぜww」

と笑って帰って行った。

そして最後は俺とWさんの二人っきりになった。

俺達の会話はめっきり少なくなってしまった。

やはり今までずっと遊んでいたメンツが居なくなるのは想像するだけで寂しいものだ。
俺はどうにか他愛のない話をしようとしたが、どうにも浮かんでこない。

「楽しかったね」とか
「今日はたくさん騒いだね」とか

そんなもんしか出なかった。

しばらくしてWさんが呟いた。

「もうみんなで遊べなくなるのは寂しいね」

その問いに俺は「うん」と頷いた。
それっきり俺達の会話はなかった。

それから彼女の家の近くまで差しかかった。
もう俺はここで覚悟を決めた。

俺「俺さぁ」

W「うん」

俺「みんなに会えてすっげぇ嬉しかった。めっちゃ楽しかったし」

W「うん」

そこから俺は今まで抱えていた本音をさらけ出した。
始めにルパンと仲良くなった事、それからイケメン君やゴレイヌとも仲良くなりたくさん遊んだ事。
やりたいと思った事は全部やってきたつもりだ。
少し寂しいけど、後悔していない事をWさんに伝えた。

W「そうなんだー」

俺「でもさ、まだ一つやり残した事がある」

W「なんですか?」

俺「自分へのけじめ、かな?」

W「自分へのけじめ?」

俺「うん。それはさ」

俺はこの時、ゴレイヌの告白の事を思い出していた。
別に付き合うとかそういうのじゃなくって、ただ自分に正直になる事。

俺はあの時ゴレイヌにそう教わった。

俺「俺さ、ずっとWさんの事が好きだったんだ」

W「……え?」

俺「それも大分前からでさ。とにかくめっちゃ好きだった」

W「……はい」

俺「正直に言ってさ……別に付き合えなくたっていいんだ。ただ、Wさんに『好き』って伝えたかっただけなんだ」

W「……」

遂に言い切った。
本当はもっと噛んだりドモっていたりもした。それでもちゃんと言い切った。
心臓がバクバクするのが痛い。Wさんを真直ぐ見つめるのが怖かった。

しばらく黙っていたWさんが口を開いた。

W「なんかズルくないですか?」

俺「ごめんね」

W「でも、すっごく嬉しいです。でも、ごめんなさい」

俺「うん」

W「私ももしかしたら、N君の事好きかもしれない。けど、やっぱり自分の気持ちが解らないから」

俺「うん」

W「こんな事言うと我儘だと思うけど、N君とはこのまま友達でいて欲しい」

俺「うん」

もうこの時点で俺は泣きそうだった。
でもここで泣いたらいけないと思って必死で我慢していた。
Wさんの表情が少し曇ると俺は笑顔で必死に受け答えした。

W「本当にごめんね」

俺「いや、いいよ。逆に俺の方こそごめん。訊いてくれてありがとう」

W「うん」

俺「でもなんか言えて良かったよ。ありがとう。それじゃあ夜遅いしさ、またね」

W「ごめん、ありがとう。またね」

そう言って俺達は手を大きく振って別れた。
その時にはWさんは笑顔だった。
俺はとにかくその時の彼女の笑顔を必死に胸に焼きつけようとした。

彼女の姿が見えなくなると俺は全力でチャリを全力で漕ぎ、家に帰った。

そして風呂に入るとしんしんと泣いた。

とにかく色んな感情が爆発した。

Wさんの事。
Wさんと豪雪の中行ったショッピングモールでのデートでの事。
Wさんと一緒に遊んだ事。
とにかく彼女が愛おしくて仕方なかった。

涙の理由はきっと思いを拒絶されたからじゃない。

ただWさんへの想いで押し潰されそうになった。

とにかくただただ悲しかった。

部屋に戻るとあの日見たプリクラを取り出し、じっと見つめていた。

その日なかなか寝付けなくってずっと音楽を聴いていた。

俺はひたすらスピッツの「フェイクファー」という曲を聴き続けた。
恥ずかしい話だがWさんは俺の中でフェイクファーに登場する女の子になっていた。

こうして俺の告白は終わった。

後日、イケメン君と偶然会った時があった。

「お前、Wさんの事好きだったろ?w」

と言われた。

イケメン君には俺がWさんの事好きだとは言ってなかった。
どうやらバレバレだったらしい。
イケメン君の彼女も気づいてたそうだ。

その後、俺達は新しい学校生活を始めていった。

イケメン君は相変わらずテニスを始め、ゴレイヌは高校で出来たアニオタ仲間達とすっかり仲良くなったらしい。
ちなみイケメン君は高2の時に彼女と別れた。

ルパンは商業系の学校で、なんでもパンチラ見放題だと言っていた。
高校に入ってすっかり麻雀の虜になってしまったみたいだ。

俺はというと普通に生活し、音楽を通じて友達も出来た。
そしてそのお陰で大分邦楽ロックを好きになった。

高校に入っても俺達は遊び続けた。

高校を卒業すると大学進学の為に、地元を離れたがそれでも成人した今でも遊ぶ事はある。

それからWさんの事。

高校1年の時にはよくメールしていたが、次第にそれも薄れていった。

しばらくしてお袋の情報から彼氏が出来たとか。
ちょっと寂しい思いもしたけど、別に嫌いにはならなかった。

今ではすっかりどうしてるか解らない。
お袋の話では大学に進学して地元を離れているようだ。

正直な話、今でも俺はWさんの事を思い出す。
初恋の人は忘れられないって言うように、俺も忘れられなかった。
けど段々曖昧になっていくのが悲しい。
最後に別れた時の表情は思い出せるのに、はっきりとその映像が出てこない。

今付き合えるなら付き合うかと問われると何とも言えない。
付き合いたいかも知れないが、俺は当時の彼女が好きだっただけ。

100sってバンドに「つたえるよ」って曲がある。

その歌詞に「エロい成功より、また、いつか君に会いたい」というフレーズがある。
俺もそれには同感出来る。

臭い台詞だけど、今後どんな形でもいいから彼女に会いたい。

最後に、スピッツを聴くとどうにも彼女の事よりも、みんなで遊んだ事を思い出す。
主旨が全然違うけど、音楽はなんだか魔法みたいだと思った。

全員の現在は

俺は専門学校に入って東京にいます。
バンドサークルに入って遊んでます。

ルパンは地元に残り、車の整備士をやっています。
ちなみに彼女が居ます。高校時代の後輩だそうです。
たまに帰ると車でドライブします。

ゴレイヌも進学して埼玉だかの大学に。
この前一緒にアキバで買い物しました。
どうやら今はすっかりボカロの虜のようです。

イケメン君も進学して都内です。
早稲田だか忘れたけど、頭のいい大学にいます。
世界を飛び回りたいって昔から言ってたからそういう系の仕事かな?
ちなみに今はフリーみたいです。

Iさんは知りません。
でもなんか頭のいい大学いったぽいです。

Nは私立の高校中退して、現在はパチ○コ屋でバイトしてるみたいです。
たまに「ニートやべぇww金がねぇww」という電話を貰いました。

Sは知りません。
高校ではデビュー失敗してハブられたって訊きましたが……。

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この記事のコメント一覧
1 . 名無しさん  ID:hOuzcef90編集削除
結構面白かった
2 . 名無しさん  ID:P1G1rWbj0編集削除
長い
3 . 名無しさん  ID:9ElBqNEp0編集削除
最後まで読んだやついるのかこれ
4 . 名無しさん  ID:GWLQsy1z0編集削除
ちょーながいんですけどー
5 . 名無しさん  ID:aIlGpTx00編集削除
長すぎるだろ・・・。
全部読もうとしなくてよかった。遊戯王カードのとこまで読んだ。
カットするか分割したほうがいいのでは。
6 . 名無しさん  ID:OqKCvfvo0編集削除
バカだな〜
一話ごとに分けて 投稿すりゃいいのにw
三話終わったくらいのとこで読むの辞めた
展開がありきたりで、さほど面白くもなかったし
7 . た  ID:4ecqjrKq0編集削除
ヒマ人が作ったムダに長〜い話
8 . 名無しさん  ID:amC.49yQ0編集削除
面白いんだが長すぎる
こういうのこそ分割されてりゃいいのに
9 . *  ID:8mouKt.q0編集削除
※7 ハゲ人なお前のムダに長〜いオデコをどうにかしろ。
10 . 名無しさん  ID:3N9LfoPl0編集削除
読むつもりはないが担任はコナン君に同調したことを恥じて辞職したか?
11 . 名無しさん  ID:wZklzTWP0編集削除
初めて書くが文章が下手で長くて何が言いたいか分からん
とりあえず報告者がクズガキだったことまでは分かった
12 . 名無しさん  ID:XTxEWd7D0編集削除
くそ長すぎて読む気にならん。Sがハブられたところまで読んだ
13 . 名無しさん  ID:08EheLoa0編集削除
長すぎる。世界まるみえの話をしてるところまで読んだ
14 . 名無しさん  ID:52q4gybO0編集削除
面白かった。
最後の話は、村上春樹的と言うか・・・。

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