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衝撃体験談

世間的にはGWになってしまい、この時期になるとなんだか思い出してしまったので語りたくなった
去年のGWに一人旅をした時に発生したとっても素敵な出来事を語っていくよ

とりあえず当時の俺のスペック

富山出身在住
仕事はジムのインストラクター
26歳♂
176cm
65kg
俳優の平岡祐太に似ていると言われたことがある(後述
そして童貞だ

まず俺は一人旅が好きだった
一人旅と言っても、特に明確な目的もなく遊びに行く感じなんだけどね
今までは北海道、東京、石川、京都、大阪、兵庫、三重、和歌山辺りに行ったことがある
交通手段は車が多いけど、バス、電車、新幹線、飛行機、船等なんでも使う
行き当たりばったりで宿泊は車中泊やネカフェ、カプセルホテルやビジネスホテル、旅館等様々

行ったとこ見てもらって分かるとおり、西日本が多いんだ
そこで今回は東北に目を向けた


せっかくだから最北に行きたくて、大間を目的地とした
そう、今回は珍しく予定を立てたんだ
と言っても寄るところを目星付けとくだけなんだけどね
とりあえず道中の平泉、恐山は行くことにした
調べていくうちに恐山には宿坊があることを発見したので、そこに泊まることにした
宿坊の予約を取って、5月2日から8日まで連休なのでフル稼動予定で出発

出発は2日の夜7時頃だったかな
車で出発して高速道路をひた走る
高速はGWとは思えない程快適で、とんでもなく暇だった
外も真っ暗で景色もクソもないが、まだ序盤なので疲れもなく車内カラオケで一人熱唱して満喫してた
新潟を通り、磐越道に入ると更に高速は過疎った
GWなのかと疑いたくなるほど快適な走行だった
東北道は混むだろうという想定で、渋滞をなるべく避けて朝イチに出発する為に東北道には入っておきたかった
そこで宿泊地として目的にしたのが東北道に入ってすぐのSA
ここは結構大きいSAで、夜遅くまで店はやってるしそこそこ明るい

とんでもなく快適な磐越道から東北道に入ると、世界が変わったかのように車の波が押し寄せた
車のライトでめっちゃ明るい
実は入るときちょっと怖かった
混みっぷりを見てSAに入れるか心配だったが、無事到着
と思ったがSA入り口で渋滞
嫌な予感が当たったかと思って諦めかけたけど、もう夜12時を回ろうとしていた所だったので並ぶことにした
1時間以上の渋滞を覚悟したけど、誘導員さんの見事な誘導で20分程で停めることが出来た
田舎者の俺はこれには感激
無線を使って十数人がキレイに誘導してた
富山の混雑してる駐車場なんて「空いてるとこ入ってくださーい」って言って混み混みの駐車場に投げこまれると言うのに
無事に宿泊地を確保し、飯でも食いに行くかと車を出る
先にトイレに寄ろうとしてトイレを探して歩き回ったんだが、少し裏に入ったところで妙なものを見つける

小学生低学年(1・2年?年長?)くらいの男の子が座って草むしりをしてる
正直言って声が出そうになった
見事なまでに足がピタッと止まったよね
何だよこれ幽霊?見ちゃいけなかった感じ?
とりあえず周りを見渡し、ちょっと戻って更にキョロキョロする
特別変な空気でもない
そこで視線を男の子に戻すと、こっち見てた

俺氏、勇気を出して幽霊との対話を試みる

俺「どうしたの?」

男の子「お母さんどっか行っちゃったー」

俺「いつから?」

男の子「さっきだよ」

(俺氏、男の子の傍に座る)

俺「そっか、今はなにしてるの?」

男の子「・・・」

(俺氏、死を覚悟して男の子の頭に手を添える)

俺「(サワレタ!!!??)」

俺「一緒にお母さん探そっか?(ドキドキ)ここにいたらお母さんも見つけられないよ?(ドキドキ)」

男の子「・・・うん!」

どうやら人間のようだ

立ち上がろうとした時、後ろから女性の声が聞こえた

女性「○○!もうこんなとこきて!」

男の子「お母さんいなくなるんだもん」

女性「トイレ行くから待っててって言ったでしょーもうー!」

(俺と同い年くらいかな?ちょい上?てか美人やし・・・)

俺「・・・」

女性「・・・」

男の子「お兄ちゃんと、お母さん探しに行こうとしてたんだよ」

女性「あ、すいません、ご迷惑かけたみたいで・・・」

俺「いえいえ、見つかって良かったです」

お母さんはペコッと頭を下げると、男の子を連れて駐車場に戻っていった
(不審者にされなくて良かった・・・)
割と本気でそう思った

俺もトイレに行き、財布を車に忘れてきたことを思い出して車に戻った
すると隣の車から先ほどの母親が出てきた

女性「あ、先ほどはどうも・・・」

俺「隣だったんですねー、男の子は車の中に?」

女性「どこか行かないように夫にお願いしましたw」

女性「夫も子供も寝ましたけどねw」

俺「これからご飯ですか?」

女性「そうなんです、そちらも・・・?」

俺「はい、車に財布忘れて取りにきたんですw」

女性「・・・富山からですか?」

俺「え・・?(あ、プレート見たのか」

俺「そうなんですよ、今日はここに泊まって、青森の大間まで行こうと思ってて」

女性「うわー、長旅ですね!w」

俺「先は長いですねー、そちらは・・・(プレートチラッ」

俺「宇都宮ですか!どちらまで?」

女性「仙台に実家があるので、そこまで帰省するんです」

俺「なるほど、牛タンうまいですよねw」

なんていう世間話をしてたんだけど、女性から一つの提案が成される

女性「あのー・・これからご飯なら一緒にどうですか?」

俺「えっ」

女性「あ、別に変な意味はなくて!ここで話すならご飯食べながらでもどうかなーってw」

俺「(確かにちょっと肌寒いし・・て言うか大歓迎ですし」

俺「あー、じゃ是非お願いしますw」

女性「それじゃ行きましょ!」

夫がそこの車で寝てるのになんて人だ・・と思ったけど嬉しいので何も言わない
俺は定食、女性は蕎麦を食べながら世間話の続きをした
夫はどんな人で、いつ結婚してとか
子供や夫の愚痴、いやノロケ
お互いの仕事のこと
ほとんどが女性のことばかりで、自分から話していた
夫は仕事終わりで運転して疲れていたのですぐ寝てしまったらしい

女性「じゃ行きましょうか」

俺「そうですね、俺はここ初めてなので少し見て周ってきます」

女性「分かりました、色々話してしまってすいません・・w」

俺「いやいや、楽しかったですよほんとw 大丈夫です」

女性「ではまた縁があれば、気を付けて大間まで行ってくださいねw」

俺「はい、そちらも気を付けて。ありがとでした!」

女性「こちらこそー!」

そんな感じで別れて、俺は外に散歩に行った
ほんとに広いとこで、二階とかあったけど夜だからほとんど店が閉まってた
外をぐるっと回ってトイレに寄って、今度は昼に来たいなーなんて考えながら外に出た
すると自販機の辺りで先ほどの女性とあと2人の女性が話しこんでいた
知り合い?もしくは初対面の人と話すの好きなんかなーと思って自動ドア越しに通り過ぎようとしたけど

女性「あっ!」

女性「お兄さん!ねぇちょっとお兄さん!」

俺「(!?)はっ、はい!」

女性「あのね、この人たち・・・」

そこには2人の女性が何かプレートを持って立っていた
もしかしてヒッチハイク?女性2人で?チャレンジャーだな・・・
見た目的には年下に見える
片方は女優の小島瑠璃子に似ているので『るり』とする
もう一人は北乃きいに似てるので『きい』にしとく
似てると言っても激似ってことじゃなく、雰囲気がそんな感じの2人だった

女性「この人たち、ヒッチハイクで八戸まで行きたいみたいなんだけど・・・」

女性「もう夜遅くて人も少なくなってきてるし、家族連れとか団体が多いみたいで人が捉まらないみたいなの」

俺「・・・(確かにプレートにあいのりみたいなテンションで「八戸」って書いてある・・・」

女性「お兄さん青森まで行くでしょ?良かったら乗せてあげてくれないかなーって・・・」

るり&きい「「お願いします!」」

俺「いや、でも・・」

女性「うちはもう車がいっぱいだし、ここで朝までとか辛いだろうし・・ね!おねがい!」

俺「いや、俺はいいんだけど・・通り道だし」

るり&きい「「ほんとですか!?」」

女性「ほんと!?ありがとうございます!」

俺「や、ちょっと待ってw てことは今日は俺の車で寝るってことでしょ?ちょっと狭いよ?」

俺の車は5人乗りの普通車です
後ろのシートを倒せば少し足を曲げて寝ることは出来るけど、2人でいっぱいいっぱいになりそう

るり「大丈夫です、ここに朝までいるより全然いいんでw」

きい「でもお兄さんの邪魔になるなら無理にとは言わないですけど・・」

俺「んーならいいけど・・・」

るり&きい「「ありがとうございます!」」

俺「だからちょっと待ってってw」

俺「確かに大間までは行くから八戸も通ることは可能だけど、途中で平泉に寄るからねー」

俺「だから着くのは明後日とかになるよ?」

俺「しかも俺は男でしょ?そちらは女性、不安じゃない?」

るり「寄り道大歓迎ですw」

きい「女性さんからいい人って聞いてますw」

女性「(にこっ」

俺「・・・・」

俺「んーじゃいいよ、八戸までね」

るり&きい&女性「「「ありがとうございます!」」」

と言うことで2人同行することになった
4人で車まで行く途中、ずっとお礼を言ってきた
よくよく考えればちょっと嬉しかったりする
車に着いたとこで女性と別れる

女性「ほんとにありがとうございます、よろしくお願いしますね」

俺「いえいえ、何か賑やかで楽しそうなんで全然大丈夫ですよw」

女性「るりちゃん、きいちゃん、何かあったら隣にいるから大丈夫だよw」

るり&きい「「はーいw」」

俺「・・・(なんだこれ」

女性「じゃ失礼しますね、おやすみなさーい」

俺&るり&きい「「「おやすみなさーい」」」

俺「・・・よし、じゃちょっと待ってて」

寝床を作らねばなるまいて
シートを倒す、トランクに置いてた毛布数枚を取り出す
俺の荷物と2人の荷物は助手席に詰め込み、寝床完成、非常に簡単

俺「じゃ、2人は後ろでね。俺は運転席で寝るから」

るり「え、でも運転席じゃ横になれないですよね・・・?」

俺「まぁ・・そうだけど、慣れてるから大丈夫だよ」

俺「さすがに後ろに3人じゃ狭いだろうし・・てか何かダメでしょやっぱw」

きい「すいません・・・」

るり「ほんとにいいんですか?」

俺「いいよいいよ、気にしないで寝てくれていいよ、狭いけどw」

るり&きい「「ありがとうございます」」

毛布を2人に渡し、俺も予備の毛布に包まって就寝

夜中、ふと目が覚める
後ろでゴソゴソと音がして、少し話し声が聞こえる

きい「ねぇほら起きちゃうって!(ヒソヒソ」

るり「だから私はいいってー(ムニャムニャ」

きい「お願い、やっぱり怖いから行こうよ!早く!(ヒソヒソ」

るり「もうーわかったよー(ムニャムニャ」

きい「じゃ起こさないようにね(ヒソヒソ」

(バタン!

俺「・・・(出てった」

俺はずっと目を閉じて寝たフリしてた
ただ単純に眠かっただけだが
なんだやっぱやめるんかい・・・

(ガチャ、バタン!

るり「(コソコソ」

きい「(ゴソゴソ」

俺「・・・ん?」

きい「あ、すいません、起こしちゃいましたか?」

俺「いや・・どしたの?忘れ物?」

るり「え?あ、ちょっときいちゃんがトイレ行くの怖いからってw」

俺「あ、そゆこと(やめるんじゃないのか」

きい「すいません、起こしちゃって」

俺「大丈夫、すぐ寝れるからw」

そう言った直後に寝てたと思う

朝は5時頃目が覚めて、2人はまだ寝ていた
起こさないようにそっと外に出て、コーヒー飲みながら背伸びしたりストレッチしてた
やっぱ数時間運転後に座って寝るのは腰にくる・・・

車に戻ると2人はもう起きていて、小さなカバンを持ってトイレに行った
化粧かな?女の子は大変だな

ちなみに話をすると2人は大学2年生だそうだ
何か変わったことがしたくて2人でヒッチハイクに出たらしい
実家が八戸にあり、東京の大学へ進学したようだ

予定ではヒッチハイクで実家に帰り、そこからは電車で帰る予定みたい
ほんとにちょっとした遊びって感じだね
それにしても若い女性2人でヒッチハイク、しかも男の車で寝るとか度胸が据わってると言うか危機感がないと言うか

とりあえず車のシートを直して出発準備をしてると2人が帰ってきた

るり「もう行きますか?」

きい「なんか早い出発ですね!」

俺「多分だけど、東北道は混むだろうし、ちょっとでも早めに出ようかなーと」

るり「私たちはいつでもオッケーです!」

きい「オッケーです!」

俺「じゃ行きましょか!」

隣の車はまだ動いていなかった
挨拶していこうと思ったけど、さすがに家族で寝てる中に向かって声をかけることは出来ないので自重した

きい「女性さんに書き置きしていきますか?」

るり「あ、それいい!」

俺「書き置き?」

きい「ノートとペンあるんで!」

きい「(カキカキ」

俺「(昨日はありがとうございました。お先に行きますね!よい旅を!」

俺「(もっと派手に書くと思ったけど意外にシンプルだな」

きい「じゃこれ車の窓に挟んでおきますね!」

俺「何も言わないよりこっちの方がいいかもね、ありがとう」

るり「行きましょー!」

後ろに2人、助手席に荷物って形で出発した
SAを出ると、案の定とんでもない混みっぷりだった
朝5時だと言うのになんだこの車・・・

2人も意外だったようで、「うわーw」とか「えーw」とか言ってた

るり「お兄さんの早起き作戦で良かったですねw」

俺「あ、俺(名前)っていうんだよね、ごめん遅くなって」

るり「私るりです!」

きい「きいです!」

俺「自己紹介遅くなったけど、よろしくねw」

るり&きい「「よろしくおねがいします!」」

るり「俺さんはどこから来たんですか?」

俺「富山だよ」

きい「えーめっちゃ遠くからなんですね!」

俺「高速だとわりとすぐだけどねw」

俺「てか2人はここまでどうやってきたの?」

るり「最初は大学の友達に高速のSAまで連れてってもらって、そこからです」

俺「あーなるほど・・・」

きい「ここまでは2回乗せてもらったんですけど、どっちも女の人だから良かったよねw」

るり「だねー、楽しかったw」

俺「・・・(今は男だから楽しくないとでも言うのか」

そんな会話をしながら宮城に入った辺りでとんでもなく混み始め、正に渋滞真っ只中の状態になった

るり&きい「「zzzz・・・・・・」」

俺「・・・・・」

るり「あっ、すいません、寝てました・・」

俺「疲れてたら寝ちゃっていいよー、どれくらいあのSAいたの?」

るり「夕方からなんで・・6時間くらいかな?」

俺「そんなに!?それまで誰も捉まらなかったの?」

るり「えーと・・油断しちゃってw まだ大丈夫って思って看板出さないでたらトラックの人と家族連れだけになったんですw」

俺「そっかー、トラックの運転手って結構乗せてくれるイメージあるけどダメなんかな?」

るり「なんか、2人だと乗れないことが多くて」

るり「あとは仕事だから余裕がないとか、結構多かったです」

俺「なるほどね・・、でも2人かわいいしすぐ乗せてくれる人結構いそうだけどねw」

るり「またまたw でもほんと良かったです、俺さんに乗せてもらって」

俺「いやいや、何か賑やかになるし、俺も嬉しいから気にしないで」

俺「てかヒッチハイクって色んな人に乗せてもらいながら行くのが楽しいんじゃないの?」

俺「俺一気に目的地まで行っちゃうけど良かったの?」

るり「全然オッケーですw」

るり「てかどこか寄るって行ってましたよね?それ楽しみですw」

俺「平泉だよ?w 寺見に行くだけだよw」

るり「大丈夫ですよー!私たちだけじゃ多分行かないとこだから楽しみなんですw」

俺「そっか、それなら良かった」

きい「・・ごめん、ねてた・・(ムニャムニャ」

るり&俺「「おはよー」」

きい「何話してたんですか?」

るり「寄り道どこ行くのかなーって話!」

きい「あっ、そうだ!楽しみー!」

みたいな感じで話しながら降りるICに到着

るり「ついたー!」

俺「まだまだw これから寺行く前にちょっと行きたいとこあるからそこ行くよー」

そう、平泉に着いたら行こうと思っていた所

厳美渓ってとこがあるんだ
町の中にある渓谷で、なかなか珍しいみたいなんだよね
せっかく来たから寄ろうと思っていたところの一つ

ICを降りてわりとすぐに厳美渓に到着
駐車場に入る前にフライングでちょっと見えた

きい「うわーすごーい!」

車から降りて渓谷に向かう

るり「えーすごいね!」

きい「きれいー!」

俺「だねー、めっちゃ水キレイだよ」

きい「ほんとだ、緑だw」

るり「エメラルドグリーン?」

ほんとにそんな感じ
川に入浴剤でも入れたのかってくらいキレイなエメラルドグリーン

少し桜が咲いていたので余計にキレイに見えた
2人もやたら大興奮で写真を撮りまくってた

駐車場の近くに店がたくさんあって、そこの一つで遅めの朝食をとることにした

俺「なんか食べてこー」

るり「私あの蕎麦屋さんがいいな」

きい「いいね!なんか美味しそうなとこだねw」

俺「じゃそこにしよっか」

3人で店に入り、蕎麦をむさぼる
普通にうまい
かなり本格的な蕎麦だった

俺が会計を払おうとしたんだけど、さすがに悪いって言って3人別々に出した
正直、助かったって思ったのは秘密

厳美渓から出発し、平泉と言えば・・の寺に向かった
平泉には目的が3つあった

まずは中尊寺、そして毛越寺、最後に義経堂だ

ここは確実に行っておきたかった
位置的には毛越寺が一番近いのでそこに向かい、義経堂、中尊寺の順で周ることにする

厳美渓から毛越寺へはほぼ一本道で、苦労することなく目的に近付いてきた
が、ここで問題が起きる

どうやら偶々、ほんとうに偶々だが祭りをやっていた

しかも源義経公東下り行列なるものが年に一回行われ、見事そこに遭遇した
とてつもない混みっぷり
よりによって行列が行われる時間の1時間前に鉢合わせた

運がいいのか悪いのか、車を停めることが出来なかったので近くの市役所にある臨時駐車場に車を停めることになった
屋台も多くあり、女性陣2人は大興奮
あれやりたいこれ食べたいあれ見たいあそこ行きたい
保護者になったそんな気分だった

一人旅で寺を巡って悟りを開く予定だったんだけどな・・・とか思いながらも少し楽しかった、いやかなり

30分ほど祭りの出店を堪能して、毛越寺へ

入り口には警備員が大量配置で、門前の道の両脇には行列を見ようと大勢の人がズラッと列を作って並んでいた
どうやら毎年義経役は変わるようで、今年は平岡祐太という俳優になるとのこと

名前を見てもさっぱりだったが、写真を見たら分かった、イケメンだった
どおりでこんな寺(失礼)に若い子が多いと思ったよ

その写真を見てるりが一言

るり「平岡祐太って何か俺さんに似てるね」

俺「!?」

きい「あ、確かにー!」

俺「!!!!??」

初めて言われたぞそんなこと・・・
これは素直に喜んでいいのかどうなのか

返答に困ってると2人は中に入りたいのか急かしてきた

るり「ね、入ってみよー」

俺「あ、あぁじゃ行こうか」

きい「お金かかるみたいだよ」

俺「参拝料かな?それは俺が出すよ、俺が行きたいとこだったんだし」

また悪いからって言ってきたけどここは譲らず俺が出した

中に入ると本堂前にとんでもない人混みが
どうやら本堂で平岡祐太扮する義経様が儀式的なものを行ってる模様

終わったところにちょうど出くわしたようで、義経が本堂前に出てきた
義経が通る道の両端にはロープが張られ、入れないようになっていたので、思うように動けなかった

義経に続いて、おそらく弁慶、たぶん静御前がご登場
弁慶は義経よりちっちゃかったけど怖い顔してた

そのまま3人はすぐ隣の池に向かい、船首が龍になっているボートで池の中心に造られた祭壇のようなところに行っていた
そこでもまた儀式をするようで、人々は池の周りを囲んで見入っていた

一部は「祐太くーん!」とやや場違いな黄色い声援を飛ばしていたが

るり「あーやっぱかっこいいね」

きい「うん、顔ちいさいw」

るり「実際見ても似てるよねw」

きい「うん、ほんとねw」

俺「!!!!??」

もしかしてからかってるのか?
またもや返答に困っている俺を尻目にるりは続ける

るり「ね、もうあんまり見えないから外で行列待ちしよw」

きい「そうしよっかー、ここにいる人全部出ちゃったら大変だもんね、先に行こっかw」

俺「・・・・・(毛越寺全然見てない・・・」

外に出ると、俺たちが寺に入る前よりももっと大勢の人が道の周りに並んでいた

るり「やばーいw」

きい「遅かったかなw」

俺「ここら辺人少ないからここで待ってようか」

るり「そうしよー」

10分程待つと門が閉まり、20分程待つと開門した
あー義経来るんだーと思ったらまさかの馬が出てきた

るり「馬ww」

きい「え、めっちゃでかいよ!w」

確かに馬ってこんなでかいのかってくらいでかかった
良い位置に陣取っていたので、目の前1mちょいくらいを馬が歩いていく

続いて甲冑のようなものを着た人を乗せて馬が続く
どんどん続く
まだ来るのかよってくらいめっちゃ続く

数十人が過ぎた頃、入り口の辺りから黄色い声援が聞こえてきた

俺「(あ、祐太きおったわこれ」

一瞬で分かるくらいにきゃーきゃー言ってた

祐太くーん!きゃー!こっち向いてー!祐太くーん!

そればっかりで、行列を普通に見に来ていたと思われる爺さん達は諦めて後ろへ行ったようだ
祐太くんは優しいので、馬に乗りながらニコニコして手を振っていた
目の前に来たとき、2人もきゃーきゃー言って手を振っていた

その時るりはチラッとこっちを見て

るり「やっぱ似てるw」

俺「!!!??」

そこでどうやら前方が詰まったようで、祐太くんは目の前でストップしていた

ここでも周りにイケメンスマイルを振りまきながらずっと手を振っていた
そして俺と目があってニコッとして手を振ってくれた気がした

俺に向かって

気のせいだと思うが、俺が女だったらこれは絶対に惚れてまうやろ
そう思いながら隣を見ると、るり&きいがめっちゃ可愛い顔になって祐太くんを見つめていた

ここで事件が起きた

なんと祐太くんが乗っていた馬がう○こをし出したのだ

そう、我々の目の前で

るり「あ、やっちゃったw」

きい「わー、すごい臭うw」

周りからもうわーとかきゃーとか声がする

しかしながらこれは動物であれば仕方がない
ちょうど止まったところで便意を催したのだろう

祐太くんもそれに気付き、苦笑いをしながら手を振っていた
ここで行列は動き出し、また排便中だったお馬さんはう○こを振りまきながら進んでいった

上ではイケメンが笑顔で手を振り、下ではう○こしながら歩く馬

かつてない程シュールな絵にココロオドってしまった

ちなみにこれに続いていた弁慶さんは華麗にう○こを避けながら怖い顔をして徒歩で進んでいった

そのまま進んでいってしまい、見えなくなったので次に向かうことにした

車に乗り込み義経堂へ出発すると、どうやらそこ辺りにも義経一行は来るようで、入れないように道路を規制されていた
諦めて先に中尊寺へ向かうことにする

中尊寺へ到着するとここもやはり混んでいた
第3駐車場までたらい回しにされ、やっと停めたところは中尊寺からは結構離れていた
少し歩くことになるが、車に乗りっぱなしで身体が固まっていた俺たちにはちょうどいい運動になった

中尊寺はしっかりと見ることが出来て、本堂にお参り、金色堂を見学、松尾芭蕉の石像の頭を撫でて、奥のレストランに向かった

森の中にあるレストランで雰囲気は結構良かった
ここでは季節限定で葉わさびの蕎麦があったが、先ほども蕎麦を食べた俺たちはちょっと躊躇した

しかし季節限定という言葉に弱い我々は、愚かにも2食連続で蕎麦を食べることにした
やっぱり蕎麦はとってもおいしかった

レストランから出ると、先ほどとは打って変わってすんごい人混み

なんだなんだと思っていると、馬に乗った義経様が光臨なされた

どうやら一行のルートは毛越寺→義経堂→中尊寺になっていた模様
そうとは知らずに暢気に毛越寺から中尊寺まで来た俺たちは、知らぬ間に祐太くんの追っかけみたいな状態になっていた

るり「ここにも来るんだw」

きい「ね、追っかけみたいw」

るり「あーやっぱ似てるw」

きい「笑った顔とかそっくりだよねw」

俺「!!!!??」

るり「俺さんモテますよね?」

俺「は?え?いや全然・・・(童貞です」

きい「うそだよ!絶対モテるw」

俺「いやいやほんとw そもそも似てるとかも初めて言われたよw」

るり「えーすごい似てますよw 髪型もそうですけど、笑った顔が可愛い感じそっくりw」

俺「!!!??」

そんな話をしてややパニックになっている所で義経様は馬から降りて祭壇のような所へ向かい、儀式を始めた
そこで俺たちは引き返し、中尊寺を後にした

さっきは行けなかった義経堂へ向かい、階段を上った先では平野が広がっていた

そこから向かって右側に石碑があり

『夏草や 兵どもが 夢の跡』

という有名な句が彫ってあった
勝手な解釈だけど、この眼前に広がる青葉で茂った平野を見て、芭蕉はこの句を詠んだのではないかと感慨にふけっていた

女性陣2人は全く興味がないようで、学校の話をしていた
俺は資料館を見て、2人は景色を見ながら話し込んでいた
桜も咲いていたので、なんか雰囲気は良かったな

毛越寺と中尊寺は騒がしかったから、それもあってここはすごくいい雰囲気だった

義経堂を出ると、もう夕方になっていた

ここで風呂に入るため、公衆浴場というかスパというか
温泉施設を探していた

近くに平泉温泉なるものがあり、○○の湯(名称はすっかり忘れた)という公衆浴場を見つけたのでそこに向かう

温泉は時間制で、3時間いくら、6時間いくら、という感じだった
値段は100円ほどしか変わらなかったので6時間にして、ゆっくりと過ごすことにした

俺は男湯で久しぶりの一人の時間を堪能し、ゆっくり温泉に入った
超気持ちいい

一人旅に来たのに全然一人じゃないな・・・とか思ったけど、何だかんだ楽しいのでちょっとニヤけた
それを爺さんに見られてニヤけ返された

俺が出ると2人はまだのようで、座敷のくつろぎスペースみたいなとこで2人を待つことにした
そこで横になると、なんか久しぶりに横になった気がして少し眠ってしまった

目を覚ますと2人はもう風呂から上がっていて、俺の横にいた

俺「あぁごめん、寝ちゃってた」

るり「あ、いいですよ、ゆっくりしてください」

きい「そうですよー、ずっと運転してもらってるんですから」

俺「じゃーお言葉に甘えて横になっとくよw」

俺は仰向けに寝て、その横に2人が座っている
何だろう、なんか知らんけどちょっと幸せな気分になった

どうやら俺は30分程寝てしまっていたらしく、温泉を出る頃には2時間が経過してすっかり夜になっていた
3時間コースで良かったじゃないかと思ったけど、時間に追われたくなかったのでこれでいいのだ

車に乗り、とりあえず高速に乗りたかったのでさっさと近くのICから高速に突入する
岩手をある程度進み、9時頃になったところでSAに停車する

そこにもレストランがあったので、夕食を済ませて土産コーナーを3人で回っていた

2人はキーホルダーみたいのを買っていたみたいだけど、俺は旅のお供でもあるブラックブラックを購入した

車をトイレの近くに移動して、前日のように寝る準備をしてからトイレに向かった
俺がトイレから帰ると、2人は外に出て何か話してた

俺「寝ないの?」

るり「あ、えっと・・」

きい「あの、今日も運転席で寝るんですか?」

俺「だねー、でも昨日よりちょっとだけ席倒させてw」

るり&きい「(ヒソヒソ」

俺「ん?なに?」

きい「やっぱり座ったまま寝るのって疲れますよね?」

るり「ずっと運転してるのに寝るときも横になれないってやっぱり辛いと思います」

きい「温泉でも寝ちゃってたし・・・」

俺「まぁ・・でもそこで横になったし、ある程度寝たから大丈夫だよ」

るり&きい「(ヒソヒソ」

俺「なによw」

るり「後ろで3人で寝ません?」

俺「!!!!!!????」

俺「いや・・え?それはちょっとまずいんじゃない?」

きい「えーだってさすがに・・・2日連続は悪いですし・・・」

るり「2人でも余裕あったから大丈夫ですよ!」

俺「いやいや、結構狭いしさ・・・多分ぎゅーぎゅーならない?」

きい「大丈夫!1人分くらい余裕ありました!」

るり「ね、だから今日は普通に寝ましょ!」

俺「・・・いや2人がいいなら助かるけどさ・・・」

るり「よし、決定ー!w」

そう言うとるりは先に乗り込んだ

きい「じゃ、どうぞー」

俺「!!!!??」

俺「・・・・・(え?俺が真ん中???」

俺「いやいやお先にどうぞ・・・」

きい「い・い・か・らっ!早くw」

そう言いながら押し込まれた

きい「お邪魔しまーすw」

俺「・・・・・(なんだこれ」

るり・俺・きいの順で文字通り川の字になった

俺は仰向けに寝てる

というか横向けないし、どっち向けばいいのよこれ状態

しかも狭いし・・・言ってることちゃうし・・・めっちゃくっつくし・・・

るり「やっぱりちょっと狭いかな?w」

きい「大丈夫、結構あったかいしw」

俺「・・・・・(いい匂いする」

2人は仰向けだと肩が車の外側に当たって気になるらしく、更に2人で会話することもあってそれぞれ内側を向いていた

2人は俺越しに会話を続け、ごそごそ動くたびに俺に身体が当たってくる
大変刺激的な状況に童貞の私は成す術がない

相変わらず2人の会話は留まる事を知らず、たまにお互いに手を伸ばして突っ込みのようなことをする

お気付きかもしれないが、俺を超えて手を伸ばして片方に触れようとすると、手を伸ばした側の胸が俺に当たるのだ
そんなことを知ってか知らずか2人はきゃっきゃきゃっきゃと俺を挟んでじゃれ合い続ける

一方、俺は死人のように両手を組んで腹の上へ置き、ぴくりとも動けずにえも言われぬ恐怖に似た何かに包まれていた

ぴくりと動くのは俺の息子さんだけだった

高校生の修学旅行かと疑いたくなるほどのじゃれ合いを繰り広げる女子大生
それに挟まれている最早死人同然の俺は耐え切れずに言ってしまった

俺「場所・・・変わろっか?」

きい「あ、すいません、うるさいですよね・・・」

俺「いや、て言うか2人隣同士の方がいいんじゃないかなーって」

るり「疲れてるのにすいません・・・」

俺「あ、そう言うことじゃなくt」

きい「よし、寝ましょ!」

るり「明日で着いちゃうんだねーw」

きい「だねー、おやすみ!」

るり「おやすみなさーい」

俺「・・・・・(聞いちゃいない」

先ほどから両手を組んで腹の上に乗せて全く動けない俺は、とりあえず目を瞑ることにした

いつか寝れるだろうと思っていた俺に更なる恐怖が押し寄せる

2人は車の外壁にぶつかるのが嫌なのか、それともそちら側が寒いのか分からないが、中心に身体を寄せてくる
俺の頭の少し下、肩の辺りに2人の頭がくるので、さっき入った温泉でのシャンプーの香りが俺の眠りを妨げる
ほぼ完全に2人とも横向きに俺に身を寄せる形となって落ち着いた

恐らく既に寝ていて、寝相でそのような状態になったと思われるが、こちらとしては大変困った状態
起こすと悪いので動けず、死人スタイルで俺の形は固定された

ひたすら目を瞑って寝れるのを待っていると、どうやら俺も眠りにつけた模様

ふと目が覚めると、外は少し明るくなっていた
俺の体勢は全く変わっていない
2人もほぼ変わらず、変わっているとすれば2人して俺の二の腕を掴んでいたことだけ

どうも俺は誰かと寝たり、近くに誰かが寝ている状態、修学旅行や合宿等の状態になるとよく眠れないらしい
いや、眠れているのかもしれないけど、目を覚ますときは決まって「・・スーッ」とゆっくりと目を開けるだけ
パッと目が覚めたり、ウーンムニャムニャみたいに伸びをしながら起きるなんてことはないんだ

寝ていた体勢のまま、「・・スーッ」と目が覚めた

そのお陰で2人を起こすことはなかったが、この状態は俺も起きれない
スマホは助手席にあるので時間を確認することも出来ず、とりあえず2人を起こしてしまうのを覚悟で身体を起こす

うまいこと起こさずにスマホゲットで時間を確認すると、朝の5時半
なかなかいい時間に起きることが出来てちょっとだけ嬉しい

外に出て身体を伸ばしたかったので、新たなミッションに挑戦することになる

2人を起こさずに外に出る

起こしてしまっても問題なさそうだけど、なんとなく気持ち良さそうに寝てるのを起こすのは忍びない

俺はきいを跨いで外に出ようとするのだが、狭いので立つことが出来ない

そこで両手両足をついた状態、つまり四つん這いで跨いでいこうとする
するとどうでしょう、俺が四つん這いになっている下にスヤスヤ寝ている女子大生

これは今起きられると非常にまずい気がする

第三者が見たら完全に女の子を襲おうとしているおっさんの図
だがしかしこの状況に俺の身体が少し硬直してしまった

なぜならちょっとドキドキしたから!

当然のことながらこのまま動かない訳にはいかないので、触れないようにそっと外に出る

車のドアを締めた後、カーテンの隙間から中を見ると、どうやら起こさずに脱出することに成功したらしい

一晩振りに開放されて、背伸びをすると朝の冷え込んだ空気と相まってとっても清清しい
そのままトイレからのコーヒータイムといういつものパターンで15分程過ごし、車に戻る

さすがにあの中に戻るのは辛いものがあるので、運転席で時間を潰すことにする
こっちで寝た方がすっきり寝れたかもしれないな・・・なんてことを思っていると、るりが起きた

るり「あれ?あ、おはようございます」

俺「おはよー」

るり「もしかしてそっちで寝ました?」

俺「いや、さっき起きて外に出てたんだよね。起こすと悪いからこっちに戻っただけだよ」

るり「そうですか、なら良かったw ちゃんと寝れましたか?」

俺「あー・・お陰さまでぐっすりです(嘘」

るり「良かったw ちょっとトイレ行ってきます」

なんて話してるときいも起きて、一緒に外に出て行った
まだ車の中は片付けず、そのままにしてちょっとゆっくりすることにした

きい「今日で着いちゃいますねー」

るり「ねー、すごい楽しかったw」

きい「ほんとねw お祭りもあったし、川もキレイだったし、温泉入れたし!」

るり「それ!温泉入れるとかすごい嬉しかったーw」

俺「寄り道はしたけど楽しんでくれたんなら良かったよw」

るり&きい「「楽しかったですよー!」」

きい「俺さんもすごいいい人だったんで、めっちゃ楽しかったです」

俺「いやいや、乗せただけだからねw」

るり「だけじゃないですよ、ほんと!」

きい「ほんとそれw」

お礼とヨイショタイムに俺氏照れっぱなし

準備して6時半頃に出発

車の中では相変わらず賑やかに話が盛り上がっていた

俺の仕事のこととか、これから行くところ
2人の過去の話や、今回の思い出話
色々話してるうちに八戸到着

実家の近くだと言うコンビニで2人を降ろし、外でまた話をするが、話すのはやはりお礼のことばかり
ひたすらお礼を言われてヨイショされ、俺は車に乗り込む

手を振りまくる2人をミラー越しに眺め、車を出す
コンビニから出ても2人はずっとこっちに手を振ってる

俺も走りながら窓から手を出し、パタパタと手を振る
少なくとも2人は見えなくなるまで手を振っていたと思う

ここから俺の旅はまた一人旅に戻ることになる

一人旅が好きなはずだった俺だけど、しばらくあの賑やかな中で過ごしたらさすがに少し寂しくなった

もうこのまま帰ろうかとさえ思うほどだった
なんだかんだでやっぱり楽しかったなーと思いながら大間へ向かう

道中、コンビニに寄って、助手席に置いてあった荷物を後部座席で移動させようとしたら何かを発見した

書き置きだった
2人が1枚の紙にお礼の言葉を書いていた

『ありがとう、ほんとに楽しかった。東京に遊びに来ることがあったら連絡ください』

みたいな内容だった
下の方に2人のLINE IDとメールアドレス

もう会えないと思っていたのでちょっと嬉しかったけど、俺は当時LINEを登録してなかったのでとりあえず置いておいた

どの道多分会うことはないだろう

家に帰ったら連絡だけはしようと思って財布の中に畳んでしまっておいた

なんか寂しい気分で大間に向かっていたけど、これがまた遠い
青森に入ってしまえばすぐだろうと思っていたけどとんでもなかった
地図ちゃんと見れば良かった

いや、遠いと感じただけかもしれない
一人でずっと運転していると長く感じるのかもしれないね
これまではそれが普通で当たり前だったけど、今回の出来事でやっぱり数人で旅行するのもいいのかななんて思ったりした

そんなこんなで大間に到着

大間はやはり最北端を大々的にアピールしていて、観光案内所のような施設の横にマグロ一本釣りの石像があった

近くには店が多くあり、海産物をこれでもかと堪能出来る

これはどこの海際の観光地でも似たようなものだけど、石像の周りにはカモメが大量発生している

少し離れた場所にマグロ丼が食べられる有名店があったので、そこで昼飯を食べることにする

店の外には大漁旗が掲げられ、漁師の店をアピールしまくっていた
昼時の少し前なのでそれほど混雑もしておらず、さっと入れた

その直後くらいに人が押し寄せ、どうやら外に行列が出来ているみたいだ
運が良かった

ちなみに三色マグロ丼(大トロ、中トロ、赤身)の値段は確か3500円くらい
いや全くとんでもない

正直に言うと、実は海産物にはあまり興味がないんだよね

だから実際に本場のお高い大トロを食べても特別美味いとは思わなかった
回転寿司のマグロと何が違うのかさっぱり分からん

でも不味いわけではない
その店の名誉の為に言っておくが、ただ単に俺が味覚オンチなだけだと思われる

店を出ると数十人にも及ぶ行列が完成していて、ほんと運が良かったと改めて思わされる
目的を達成した俺は大間を後にする

ここに来る道中で「仏ヶ浦 ○○km」という看板をいくつも見たので、たぶん名所だということでそこに向かう
何があるのかはさっぱり分からないけど、とりあえず行ってみる
これがいつもの一人旅

正直本当に一人だけの一人旅を文章にすると、とんでもなくつまらないと改めて思い知らされる

特に何か起きる訳でもなく、会話するのは店の人くらい
今朝までの出来事が異常とも呼べる展開だっただけに、ここからしばらくは正直つまらないかもしれない

そのまま海沿いを仏ヶ浦に向かって車を進める

しばらくすると峠のような道に入り、すぐ下は崖という道をくねくねとひたすら進む

ちょっと怖かった

そんな感じの道がずっと続き、こんなとこに何があんだよ・・・って思い始めた頃に仏ヶ浦に到着

到着したところはどうやら駐車場のようで、そこから徒歩で約15分、山道を下ると仏ヶ浦に辿り着ける
ほぼ登山に近いくらいの山道で、帰り道、つまり登りのことを考えると行きたくなかったけどせっかくだから頑張る

少し湿った地面を進むと横向きの丸太を埋め込んだ階段が現れる
そのまま進むと板で足場を作った道が出てきて、その先には階段があった

その階段に差し掛かったところで、仏ヶ浦の全貌が見えてきた

とんでもなくでかい岩がいっぱい
それが仏ヶ浦

ただし普通の岩ではなく、岩石が長い時間海蝕されて出来たようだ
これはちょっと俺の言葉のレパートリーからは説明することが出来ないので、興味があったらググッちゃってください
足元が苔でぬるんぬるんして滑りそうだったことははっきりと覚えている

来た道を引き返し、プチ登山のようなものを乗り越えて車で出発
ここから恐山へ向かう

恐山はちょっと楽しみにしてたとこの一つで、何よりも宿坊に泊まるので久々の布団でゆっくり寝れることが待ち遠しかった
来た道は戻らず、少し遠回りになるけど下北半島をぐるっと回って恐山へ行く予定
道中の峠は崖崩れを起こして片側通行になってるところがあったり、ガードレール無しで隣は崖という道もあった

ちょっと怖かった

恐山に向かう道中で湧き水を発見した

ここも観光名所らしく、看板が置いてあった

恐山冷水と呼ばれ、1杯飲めば10年、2杯飲めば20年、3杯飲めば死ぬまで若返ると言われているらしい
俺はまだ死にたくなかったので、2杯に留めて6歳くらいまで若返っておいた

冷水を過ぎると、窓を閉めた車の中にいても硫黄の匂いが漂ってくる
有名なのかもしれないけど、恐山に温泉があるのは知らなかったことなのでちょっと焦った

山道を走り、林を過ぎると少し広いところに出る
そこには小さな橋があり、橋の傍には「三途の川」と書かれていた

どうやらこの先は地獄らしい

ようやく地獄・・じゃない、霊場恐山に到着

思ってたよりも広い駐車場に大きな食堂と土産売り場、隣にはアイス
結構カジュアルな観光地だった

参拝料500円程度を払い、門をくぐる

真っ直ぐ本堂まで続く参道の両脇には灯篭が並べられている
見た感じ大きいけどわりと普通の寺って感じ

ただその先がさすがの恐山
本堂から左に抜けると、有名な恐山の景色が現れる
小さな石を積み重ねている、あの景色だ
賽の河原とでもいうんでしょうか

その石の山は至るところに存在し、むしろ道以外の所には全て石の山で敷き詰められてると言っても過言ではない
石の山の周りには小さな地蔵、そして定番の風車
中には「○○家」と書かれた石もあった

あちこちの岩場からは温泉の蒸気のようなものが吹き出していた

結構本格的な墓も存在し、気軽な観光地とはあまり呼べない空気が漂っていた

あ、でもとてもいい観光地です

先に進むと○○地獄のような看板がいくつもあった
「順路→」みたいな看板もあったが、至るところにありすぎて素直に従っているとよく分からんことになる

砂浜のような場所の手前には、両脇に「希望の鐘」「鎮魂の鐘」と書かれた鐘がある地蔵様があった
これは東日本大震災の際に建てられたもので、追悼の意を表しているとのこと

その先の砂浜は極楽浜と言って、何もない、白い砂浜にキレイな湖だけの景色だ

前方を見れば極楽浜、振り返れば地獄
恐山は天国と地獄が存在する、あの世を表しているかのような場所だった

そのままぐるっと周って参道に帰ってくる

ちなみに参道の両脇には小さな横長の小屋があり、本堂に向かって左に2つ、右に1つ
この小屋は温泉になっていて、参拝者は誰でも入ることが出来る

左の2つの内、1つは男湯、もう1つは女湯、右側は男湯という形で別れている
どうせここで泊まるので、この外湯は後で入ろうということでここはスルー

一度外に出て車まで荷物を取りに行く
荷物を持って恐山寺務所横の宿坊へ

宿坊と聞いたら古びた建物を勝手に想像していたけど、恐山の宿坊はとんでもなくキレイ
ホテルかと思うほどにしっかりした内装で、寺の中にある宿泊施設とはとても思えない

部屋に案内されると更に驚く

おそらくここは3〜4人くらいがベストな感じの部屋で、とても広い
洗面台もちゃっかり二つ用意されているが、俺は一人だけ
広々としすぎている部屋に一人でいるとなんか色んな意味で切なくなり、夕食までは1時間程時間があったので先に温泉に入ることにする

宿坊の中にも内湯があり、大浴場になっている

2日連続温泉なんていう贅沢を味わいながら、濃い硫黄の温泉に浸かる
浴槽内には湯の花があり、けっこうぬるぬるして座ってるとケツが滑る
何度か後頭部から温泉に沈みそうになるのを堪えながら、たっぷりと温まらせて頂いた

温泉から出てロビーでくつろいでいたら、すぐ傍で直立式の大きなエアコンが中々の温風を送ってくる

そこで俺は何かを閃き、エアコンに近付く

少し屈むとエアコンの送風口がちょうど俺の頭の位置にくる

そうです、俺はそこで髪を乾かすことにしたのです
ドライヤーと違って腕が疲れないし、熱くないので結構カラカラに乾きそう

何か知らんけど楽しくなって、エアコンに向かって一人で頭をわしゃわしゃしながら髪を乾かしていた
もしかしたら少し「あーー」とか声が出てたかもしれない

すると突然、後ろから女性の声がした

??「何してるんですか?」

俺「!!!」

??「・・・・・」

俺「あ、えっと・・・髪を・・・ね、乾かして・・・」

俺「・・・・(すげー恥ずかしい」

??「そこでですか?w」

見た感じは年下で、有村架純によく似ていた
今思えばね、当時は存在を知らなかったから、ただただすごい可愛い人だと思った
ということでかすみと呼ぶことにする

どうやら風呂上りで、俺の少しあとに風呂からここに来たみたい

俺「あー・・うん、めっちゃ乾くんですよこれ」

かすみ「ふふっ、じゃあ私もやろうかなw」

隣のエアコンで同じことし始めた
かすみは少し背が低いので、普通に立ってるだけでちょうど送風口が頭の位置にくる

かすみ「ほんとだ、すごいサラサラになりますねw」

俺「でしょ!(出来れば見られたくなかったけど」

かすみ「今日は一人で来たんですか?」

俺「ですよー」

かすみ「ですよね、ここに来る途中で冷水飲んでるの見ましたw」

俺「!?」

かすみ「私バスで来たんですけど、ちょうどその時に通ったんですよねw」

俺「あー・・・なるほど」

俺「そちらは友達と?」

かすみ「あ、私かすみっていいます」

俺「あ・・・俺(名前)です」

かすみ「私も一人なんですよねw」

俺「へー・・・って何で?一人旅ですか?」

かすみ「そんな感じですw」

俺「一人旅でわざわざ恐山に?」

かすみ「ですね、何かちょっと来てみたかったんですよ」

俺「んーいいとこですよね、想像してたより何かキレイで清清しかったです」

かすみ「そうですよねー。俺さんはどこから来たんですか?」

俺「富山からです」

かすみ「えっ!ほんとですか!?私もですよ!」

俺「!!!」

俺「バスってことは・・電車か何かで?」

かすみ「はい、電車と新幹線で、下北駅からバスです」

俺「はー・・マジですか・・・」

かすみ「偶然ですねw」

かすみ「俺さんは車でずっと?」

俺「ですよー、途中寄り道は結構しましたけどねw」

まさかの同郷だった
そこから寄り道した話やかすみの道中の話をしていたら食事の時間になった

夕食は席が決められていて、かすみとは別々になった
と言うか20人程いて、どこに座ったのか全然分からなかった

その後は部屋に戻り、すぐ後で住職の説法があるとのことで希望者だけ会場に集まった

住職は中々に面白い人で色々な話をした

恐山にはイタコはいないこと
幽霊は出ないこと
恐山で修行したという霊能力者なんて聞いたことない
温泉の硫黄の成分が強すぎるので、空気中の硫黄で電気製品がすぐ壊れること

やはり話し方が上手なので聞き入ってしまった
想像していた説法とは違い、落語のようなそんな空気だった

ちなみに恐山にはイタコがいないことについて、覚えてる限りでお伝えしておく
間違って覚えてるところもあるかもしれないので、完全に鵜呑みにはしないで欲しい

厳密に言えば恐山という場所にはイタコはいる

ただし、恐山という枠の中にイタコは存在しない
つまり、イタコは恐山という場所を借りて商売をしているだけ
恐山はその場所を無償で貸し出しているだけ

いくら恐山に問い合わせてもイタコには繋がらないし、居場所も分からない

「イタコさんにお願いがある」という問い合わせが多いこと多いこと、と住職は愚痴ってました

あえて言えば、昔は連絡先くらいは知っていたそうだ
ただ、泥沼の遺産相続問題でイタコにお願いしたお客が、納得いかずに恐山に苦情を言ってきたそうな
そこで板挟みになって以来、恐山としてはイタコとの橋渡しすらしないことにした、と

更に言えばもう一つ、イタコとは相容れない理由が恐山にはあるとのこと
これは後で述べることにする

次に幽霊は出ないことについて

これについては決して住職の強がりでも何でもない
見たという人は是非私に直接教えて欲しいと言っていた

何年もここにいて、夜中に何度か散歩したこともあるが、人魂一つ見たことがないと
幽霊というものがここに存在するのであれば、是非出てきて欲しい

たまーに聞く恐山での幽霊話なんて、もし仮にそれ目当てで来たお客さんをがっかりさせることになる
出るなら定期的に、最低でも1ヶ月に1・2回程度は出てもらわないと困る、と

そもそも恐山の本尊は地蔵菩薩
弱い霊も救って成仏させるという慈悲深い地蔵菩薩様がいるのに、成仏出来ない霊が彷徨うなどということはあってはならない
そして霊という存在自体、いるかいないかは証明は出来ない・・と言っていたが、これについては何か難しい話になったのでうまく言葉にできない

ちなみにイタコについてだが、弱い霊も成仏させてくれるという地蔵菩薩を本尊におく恐山
対して死んでしまった故人の魂を呼ぶとされるイタコ
成仏させる恐山、霊を現世に呼び戻すイタコ、どう考えてもこの二つが相容れることはないとのこと

他にも沢山話を聞いたけど、何となく覚えてはいても文章にして伝えることが出来ない
気になる人は恐山に泊まっちゃって説法聞いちゃってください

説法も終わり、自由時間となったので部屋に戻る

ここで外湯の存在を思い出し、浴衣に着替えて外に向かう

外湯のある参道に出ると、少しの明かりを残して見事なまでに真っ暗
日の光が消えた寺というのは少々怖いものがあるが、住職を信じて外湯へ向かう

まずは参道から左側
かなり古い横長の小屋の戸を開けると、のれんも何もなく、いきなりの脱衣所
そして脱衣所と湯船との間に木の壁はあるものの、上部は胸くらいまでしかないので入ってすぐに湯船が見える

シャワーも何もなく湯治湯のような温泉なのでここで身体を洗うことはない
ちなみに湯船は2つあり、小さく、せいぜい4人が限度といった狭さで、既に合わせて3人程入浴中だった

湯船に入ると相変わらずの湯の花
ケツが滑る滑る
ただ狭い湯船なので、背中を壁につけて足を前に投げ出して身体を固定すれば滑ることはない

10分も入るとかなりしんどくなる熱さなので、5分程度で湯船の縁に腰掛け、少し涼む
これを2度程繰返して次に向かうことにする

外に出ると、温まった身体に夜の冷えた空気がとても気持ちいい
なんと言ってもここは山の中なので空気もキレイ(硫黄臭いけど

続けて参道を横切り、もう一つの外湯へ入る
ここでもほとんど同じような感じだったけど、入ってすぐの脱衣所と湯船の間の壁の造りが違った

こちらは入ってすぐ両脇に脱衣所があり、正面に壁がある
先ほどのよりも少し高いけど、少し伸びれば余裕で湯船が見える
ただ、壁の両側が空いているので、その壁ももはやあってないようなもの
先に入ってるおっちゃんたちに見られながら着替えを済ます形となる

同じように温泉に入り、外に出て散歩する
気持ちいいけど湯ざめしない程度に散歩して戻ろうとすると、もう一つの外湯があることを思い出した

恐山の境内地図に載っていたが、参道沿いではなく、宿坊の裏手にぽつんとあるようだ

何を隠そう、そこは唯一の混浴だった

正直、混浴は気が進まなかった

万が一鉢合わせたら恥ずかしいじゃないか
もっと言えば、男だけ集まってたら何か情けないじゃないか

混浴自体には興味はなかったけど、せっかく来たんだから全ての外湯には入っておきたかった

今はみんなが自由時間であり、外湯巡りをしている人も多かったので混浴に誰かがいる可能性は大いにある
そこで俺は早朝に混浴の外湯に入ることにして、宿坊に戻った

部屋に入ると俺はすぐに寝た
確か時間は9時くらいだったので、大体4時くらいに起きればちょうどいいだろうと思い、眠りにつく

ちなみに恐山宿坊には朝のお勤めがあり、それは6時から始まる
十分に間に合うので、ゆっくり浸かることを妄想しながらいつの間にか寝てた
布団で寝るのは久々だったしね、ほんとうにゆっくり寝れたと思う

朝、目が覚めるとちょうど4時を過ぎた頃だった
これまたいい時間に目が覚めたと気分がよくなる

身支度を済ませ、しばらくぼーっとしてから外湯に向かう

5月と言えども、早朝の青森、そして山の中ということもあり結構肌寒かった
やや駆け足で宿坊の裏に回り、混浴の外湯を発見する

寒かったのでさっさと中に入り、5月なのにさみーなぁ・・とか独り言言いながら浴衣を脱いだ
浴衣だから脱ぐのはもう一瞬だよね

で、湯船に入ろうと目を向けると衝撃的な光景が目に入る

誰かいる
しかも女性?

俺「・・・・・・・・」

俺「あっ!すいません、後できます!」

急いで浴衣を着て外に出ようとする

??「いえ!どうぞ。気にしないでください」

俺「!!?」

俺「いや、ちょっと・・・いいですよ、ゆっくり入っててください」

??「寒そうなんで気にしないでくださいw」

俺「じゃあ・・・すいません、失礼します」

湯船に向かうと、女性の顔がはっきり見えた
かすみでした

かすみ「おはようございます」

俺「おはようございます・・・」

湯船は2つあり、かすみは手前に入っていたので俺は奥の方に入る

俺「・・・・・」

かすみ「・・・・・」

俺「朝、早いんですね」

かすみ「あ、早朝なら誰もいないかなーと思って」

かすみ「せっかくだからこっちも入っておきたかったんですけど、夜だと結構人がいそうで恥ずかしくて」

かすみ「だから朝にしたんですけど、もしかして同じこと考えてましたねw」

俺「全くそのとおり・・・早朝なら誰もいないかなーと思ったけど同じこと考えてましたね」

薄い白濁湯なのが救いだった

昨日の夕方に話した時と同じように話すことが出来て、なんとか普通に会話することが出来た
本当はダメなのかもしれないけど、2人ともタオルを湯船の中に入れて隠していたし、少し白濁なので目を凝らさなければ中は見えない

かすみ「俺さんはいつまで連休なんですか?」

俺「8日までかなー」

かすみ「へー、なんかちょっと連休ズレてる?んですね」

俺「そうだね、全員で一気に休むわけにはいかないから、少しズラして連休もらうんだよ」

かすみ「なるほど!私は12日くらいまで休むつもりですw」

俺「長いねw てか学生さん?」

かすみ「そうです、大学2年なんですよ」

また大学2年生
なんだろう、大学2年て旅に出たくなるお年頃なのかな?
でもあの2人に比べると落ち着いてると言うか、個人的にはすごく話しやすい印象だった

俺「じゃ今日はこのまま青森とか観光する予定?」

かすみ「うーん、車だったら色々行けそうですけど、このまま帰ろうかなーと思ってます」

俺「え?でも12日まで休みなんでしょ?」

現在は5月5日

かすみ「そうですけど、うーん・・・」

俺「何かあるの?」

かすみ「いえ、予定とかはないんですけど、行きたいところがここだけだったので、帰ってゆっくりしようかなって」

俺「なるほどー、まぁゆっくり休むのも大事だよねw」

かすみ「俺さんはこのまま帰るんですか?」

俺「そうだね、こっからは帰るだけだけど、来た道戻るのも面白くないから日本海側から色々周って帰ろうかなと」

そんな感じの話をしながら、かすみは暑くなったのか湯船から出ようとしていた

かすみ「じゃ、私そろそろ出ますね」

俺「うん、色々ありがとう」

かすみ「いえ、こちらこそ楽しかったです」

かすみ「・・・・」

俺「・・・あっ、ごめん」

俺はそのままの形だったので、かすみが湯船から出ようとすると視界に入る
それを気にしてかすみは出れなかったようで、俺は空気的にそこに気が付いてしまった

俺はかすみに背を向けると、かすみは小さく「すいません」と言って着替えを始めたようだ

かすみ「ではお先に行きますね」

俺「うん、俺ももう出るよー」

かすみ「あ、すいません、私出ないと上がれないですよね・・・失礼しますね」

ガラッと音がして、かすみは出て行った

なんとなく息詰まった空気から開放されて俺は深く溜息をついた

俺も結構のぼせそうな感じだったので、そのまま湯船から出ると身体を拭いて浴衣を着る
外に出ようとガラッと戸を開けると

かすみ「あっ」

俺「!!」

外に出てすぐ横にかすみが待っていた

かすみ「良かったらちょっと散歩しませんか?」

俺「え?あ、ぜひぜひ!行きましょ」

昨日の夜と同じく、俺も正に散歩してから戻ろうと思っていた所だった

談笑しながら、かすみと早朝の恐山を散歩する

本堂の奥は岩場になっているので、宿坊のサンダルで来ていた俺たちはそこで足止めとなった
本堂にお参りして、ゆっくりと参道を歩いて戻った

かすみ「気持ちいですねー」

俺「うん、朝はやっぱり空気いいね」

チラッと横を見ると、肩より少し長いストレートの黒髪を後ろで束ねたかすみが隣を歩く
浴衣から覗くうなじが綺麗で、ついつい見とれる
宿坊備え付けの巾着袋を両手で持ち、木製のサンダルで歩く姿は、可愛いというより美しいという表現がよく似合っていた

俺「あのさ・・・」

かすみ「はい?」

俺「もしこのまま帰るんだったら、良かったら一緒に帰らない?・・かなー・・・って」

かすみ「えっ・・・」

なんかついつい言ってしまった
このままここで別れてしまうのがちょっと寂しかったんだ

かすみ「あ・・・でも・・・」

俺「無理にとは言わないけどさ、同じとこに帰るなら一緒にどうかなーと・・・」

かすみ「・・・・・」

俺「・・・あ、でもごめん、泊まるとこ多分車の中になるから・・・だめか、忘れてw」

かすみ「・・・・」

かすみ「俺さんがいいなら・・・」

俺「!!!」

かすみ「いいですか?一緒に行って」

俺「や、でも泊まるとこが」

かすみ「大丈夫ですよ、そういうのは。さっきもそうですけど、なんか俺さんはそういうとこ大丈夫そうw」

かすみ「それに秋田の方から帰るんですよね?そっちもちょっと行ってみたいです」

どうやらかすみは混浴でのことで少し信頼してくれたらしい

後で聞くことになるけど、一人旅は今回が初めてで、思ったより寂しくなったんだそうだ
だからこのまま帰ろうとした所で誘ってくれてちょっと嬉しかったと

そして2人っきりになっても手を出さないところ、というかはっきり言って奥手な印象を受けたから大丈夫そうだと思ったと
つまり根性無し、所詮は童貞
いやそこまでは言ってないけど、要するに一緒に寝ても大丈夫そうだということだった

かすみ「よろしくお願いします(ペコッ」

俺「あ、あぁ・・・ほんとに?」

かすみ「はい」

俺「おー・・・よし、じゃ行こう!」

かすみ「何時くらいに出る予定ですか?」

俺「うーん、8時・・・か9時くらいかな?ご飯終わってからもう一回内湯に入ってこようかなって」

かすみ「なるほど、私もそうしますね!じゃあ8時くらいにロビー集合でいいですか?」

俺「そうだね、そうしよっか」

そのままロビーで別れて、お互いの部屋に向かった
お勤め前にかすみと再開し、そこから一緒に行動することになった

お勤めは本堂内で行い、宿坊から少し外に出て廊下を歩いて中に入った
まぁ・・・普通にお経を聞いただけだったから何も言うことはない

ちなみに私は神も仏も全く信じていないけどこんなとこに来ている

その後は朝食だったが、相変わらず席は決まっているので別々に食事をとる

ちなみに夕食もだけど、精進料理のような感じでちょっと少なめ
朝食を終えて部屋に戻り、荷物を整理してから大浴場へ向かう
身体を洗って部屋に戻るまで、かすみと会うことはなかった

8時を過ぎた頃だったのでロビーに向かうと、かすみはもう座って待っていた

俺「ごめん、待たせたかな?」

かすみ「いえ、ほんとに今来たところなのでバッチリですw」

2人でチェックアウトして、かすみの荷物をトランクへ、そしてかすみは助手席に座る

平泉での2人は後部座席だったので、助手席に人がいるとなんか緊張する

かすみ「改めて、よろしくお願いします(ペコッ」

俺「うん、こちらこそ」

俺「て言うかそんな敬語じゃなくてもいいよ?」

かすみ「ほんとですか?でも何か慣れないのでたまに敬語出ちゃうかもですw」

俺「無理にタメ口にしろってわけじゃないから、話しやすい方でw」

かすみ「じゃ、基本タメ口で、あんまり気にしないで話すことにしますねw」

そう言ったかすみは早速敬語だった

とりあえず目的地は秋田の男鹿半島
本州を横断するような形になるので、結構遠い

その途中、青森の弘前で桜が見頃だと聞いて、寄り道をすることにする
だが、思いのほか混みまくっていて車を停めるどころじゃなかった

かすみ「すごい混んでますね」

俺「そうだねー、これは車停められないかなぁ」

かすみ「窓から見えるのだけでも私は充分満足出来ましたけどねw」

俺「んー、しょうがないか、ここで時間使っちゃうと何も出来なくなっちゃうしね」

かすみ「秋田まで行く途中で停まれそうなとこあったら停まりませんか?」

俺「そうしよっか」

結局降りられる場所はなく、ほぼ渋滞のまま桜が咲いているエリアは終わってしまった
近い場所なのにその桜エリアを出るともうその先は葉桜になってしまってるんだね

目的地の男鹿半島にある入道崎には正午前に到着
車から降りると結構強い風が吹いていた

かすみ「うわーすごい風ですね」

俺「だね、大丈夫?」

かすみさん、めっちゃ髪ばさばさなってる

かすみ「大丈夫ですw ちょっと行ってみませんか?」

俺「なんか灯台あるね」

かすみ「登ってみたいです!」

俺「行ってみよっかw」

灯台を登るんだけど、螺旋階段でちょっと酔いかける

上に着いて外に出ると、下にいるときよりもすんごい風が吹いてる
高めの柵があるから大丈夫なんだけど、吹っ飛ばされそうなそんな感じ

かすみ「やばいですねw 前向けない・・・」

俺「大丈夫?俺ちょっと風避けなろうか」

かすみ「すいません、ちょっと後ろ隠れさせてくださいw」

そう言って俺の後ろに回りこむ
俺の上着の背中部分に右手を当て、裾の部分を左手で軽く摘むかすみ

かわいい

駐車場の目の前にはお店が並んでいて、食事をとることが出来る
ここで昼飯をとることにして、レストランに入る

やはり海鮮系が多く、俺もかすみも海鮮丼を頼んだ
いくらや海老、うにが乗っていて、これは美味い

大間で食べたマグロ丼は正直特別美味いと思わなかったけど、これは美味い
一応言っておくと、個人的には味覚オンチだと思っているのであまり鵜呑みにしないで欲しいけど

ちなみにここでの会計は俺が出した
合計で5000円くらい
かすみは自分が出すって言ってたけど、ここに連れてきたのは俺なのでやや強引に出させてもらった

入道崎を出発し、男鹿半島を進む

するとわりとすぐに男鹿水族館が現れる
ここも目的地の1つだったので、寄りたかった

俺「えーと、この先に水族館あるんだけど、寄っていいかな?」

かすみ「ほんとですか!?行きたいです!」

俺「よっしゃ、行こっか!」

かすみ「水族館好きなんですか?」

俺「んー、水族館てか動物が好きなんだよね。動物園もよく行くよ」

かすみ「私も好きです!かわいいですよねー」

俺「お、ほんとに?じゃ帰り道に動物園あるからそこも寄っていい?」

かすみ「行きたいです!w」

男鹿水族館はほんとに海ギリギリみたいなとこにあり、岩肌に波が打ち寄せるのがすぐそこに見える
入り口の前にはたこ焼き屋やジェラートのような出店があったけど、さっき食べたばかりなのでスルー

ここの入場料も俺が払うことにして、有無を言わさず勝手に出させてもらった

入るとすぐに大きな水槽があり、眺めていると突然アナウンスが入る

『それではこれより、お魚さんのお食事タイムです!ダイバーさんにご注目ください!』

いまから?と思っていたらすぐにダイバーが現れた

かすみ「え、すごいタイミングですねw」

俺「いいタイミングだったねー」

かすみ「かわいいー」

その水族館にはホッキョクグマがいて、なんか水族館にホッキョクグマがいるのはちょっと珍しいなって思った
動物園とかではよく見るけど、水族館でホッキョクグマが見れるとは思わなかったので嬉しい

かすみはイルカショーを見たがってたけど、残念ながらここにイルカはいなかった

館内はそんなに広くはなく、でも1000円というリーズナブルな価格としては非常に満足できる場所だった
立地としてもなかなか面白い場所にあって、館内から見える日本海の荒々しさも印象的だった
日本海を眺めながらかすみと話して、あまり遅くなるのも何なのでそろそろ出ることにした

ちなみに、ここまで読んで何となく分かるかもしれないけど
思いのほか長くなりすぎて正直疲れている部分がある

会話部分を覚えているところが少ないので、ただの感想だけになってしまいがちで申し訳ない
覚えている限りは会話部分を入れていこうと思います
そんなに面白い会話でもないかもしれないけどね

かすみ「あの・・・」

俺「ん?」

外に出てすぐにかすみに呼び止められる
足を止めて少し下を向いて黙っている

かすみ「・・・・」

俺「どしたの?」

かすみ「えっと・・・」

俺「・・・何かあった?」

かすみ「・・・・」

俺「・・・・?」

かすみ「・・・たこ焼き、食べていいですか?」

俺「え?いいよ、そんなこと聞かなくてもw」

かすみ「すいません、さっき食べたばかりなのに・・・」

俺「足りなかった?」

かすみ「ううん、何かいい匂いで食べたくなっちゃってw」

俺「確かにねー、俺も食べよっかな」

かすみ「そうしましょ!良かった、なんか恥ずかしかったんですよねw」

俺「そんなこと気にしなくてもw じゃ買ってくるね」

かすみ「あ、ここは私が!ほんとに!大丈夫ですから待っててください!」

俺「あ、はい・・・」

すごい勢いで制止された

かわいい

たこ焼きは6個入りだったが、2つオマケしてくれたみたいなので買うのは1つだけにしたそうだ
さすがかわいい子は何かと得が多い
小さな受け皿も貰ってきたみたいで、この子はほんとに気が利く

かすみ「おいひー(ハフハフ」

俺「(かわいい」

かすみ「あついですねw(ハフハフ」

俺「(かわいい」

かすみ「食べないんでふか?(ハフハフ」

俺「(かわいい」

俺「え、あ、もらうよw」

たこ焼きを食べて駐車場に戻り、車を出した

この男鹿半島には温泉があるが、ここで温泉に入ると出る頃には夜になってしまう
男鹿半島は結構狭い道が多く、すぐ隣は崖や海になっていて少々怖いので、男鹿半島を出てから温泉を探すことにする

すると結構大きい公衆浴場のようなものがあり、そこに入ることにした
1階はレストラン、2階に風呂があるようだ
ここはもちろん男湯と女湯が分かれているので別々に入る

女湯はどうなっているのか知らないが、男湯の方は結構人がいておっちゃんの巣窟になっていた
正直ちょっと尻込みしてしまった

温泉に浸かって眺めているとサウナを発見したのでそこに向かう
ここには高温と低温の2種類のサウナがあって、俺は低温でゆっくりと入ることにした

サウナには誰もいなかったので軽く横になってゆっくりと過ごした

20分程入っていたけど、結局誰もこなかった

色々なことを考えた

ここまで、一人旅をしたのは八戸から恐山までの間だけ
偶然にもヒッチハイクで2人と行動を共にし、恐山からはかすみと一緒に帰ることになった
かすみは俺が誘ったんだけど、普段ならこんなことしないんだよなぁ

ほんとに常に一人
水族館も動物園も基本的には一人で行く
誰かと行く方がむしろ珍しいくらいだった

それが今回の一人旅では行く先々で誰かと出会って行動を共にした
偶然とは言え、なかなかに刺激的な体験に、非現実感を感じてしまっていた

もしかしたらもう、一人旅をする度に思い出して寂しくなってしまうかもしれないな
そんなことを思いながら再度湯船に浸かり、温泉を出た

温泉を出るとかすみがもう待っていて、椅子に座って待っていた

俺「お、早いね」

かすみ「そうですか?俺さん1時間半くらい入ってましたよw」

俺「え、あれ?まじで?ごめん待たせたかな」

どうやらゆっくりしすぎたみたいだった
そこでまたかすみと話して、外を見るとすっかり日が暮れてしまっていたので帰ることにした
外に出ようとすると、1階のレストランが目に入る

俺「・・・・(季節限定がある」

かすみ「・・・・」

俺「ここで食べてく?」

かすみ「同じこと思ってましたw」

稲庭うどんというものがゴールデンウィーク期間に限定販売されていた
後で知ったけど、秋田の名産なんだってね

俺「俺は稲庭うどんにしよっかな」

かすみ「あ、私もです」

俺「おいしそうだよね」

かすみ「はい、て言うか季節限定ってのに弱くて・・・w」

俺「同じ!俺もどっちかっていうとその理由w」

かすみ「いいですよね!旅先だと特に、ご当地で季節限定だと・・・w」

俺「ほんとね、瞬殺されるよね」

稲庭うどんは少し黄色い麺で、いい感じにコシがあってツルツルですごいおいしかった
冷やしを頼んだので、温泉で暑くなったこともあってかなり気持ちよく食べられた

温泉を出て少し走ると海沿いの道に出る

もう夜も更けてきたので寝床を探しながら走ると、海沿いの駐車場のようなところに公衆トイレがある場所を見つけた
今夜はここで車を停めて泊まることにする
かすみには少しの間外に出てもらい、シートを倒して準備をする

俺「大丈夫かな?ごめんね、こんなとこ連れてきてこんなとこ寝させて」

かすみ「大丈夫ですよ、なんかこういうのも新鮮でいいですね」

俺「毛布は何枚かあるから、寒かったら追加してね」

かすみ「はい、ありがとうございます」

俺「よし、じゃ寝よっか」

かすみは車に乗り込み、俺は先にトイレを済ませに行く

やはりこういうところの公衆トイレはとてもキレイとは言えず、電気はついていても暗くて少々恐怖を感じる
海がすぐ近くにあることもあって空気は冷えていて、外灯もほぼないので真っ暗

車を停めているのは俺たちだけで、そんなに広くない駐車場だけど車は出来るだけトイレの近くに停めた

車に戻ると俺は運転席に乗り、少しシートを倒す

俺「これくらい倒しても大丈夫?」

かすみ「あ、はい・・・て言うかそっちで寝るんですか?」

俺「うん、そうそう」

俺「あ、ごめん、毛布取ってくれる?」

かすみ「・・・そこじゃ足伸ばせませんよ?」

俺「後ろもそんなに広くないから、あんまり変わらないよw」

かすみ「・・・・・」

かすみ「・・・こっちで寝てください」

俺「!!!??」

かすみ「私がいなかったらいつも後ろで寝るんですよね?」

俺「まぁ・・・そうだけど」

かすみ「じゃあ私が助手席いきます」

俺「いや、それはダメだって。ちゃんと横になれないと疲れるよ?」

かすみ「ほら、やっぱり疲れるんじゃないですか!」

俺「・・・・(墓穴掘った」

かすみ「私がいるせいで俺さんがちゃんと寝れないのは申し訳ないので・・・」

かすみ「俺さんが後ろで寝るのは決定です!」

俺「・・・・・」

かすみは思ってたより強引と言うか、引っ張っていくタイプ?
でもしっかり気が利く子で、俺のこと考えて言ってくれてるんだろうなっていうのは伝わってきた

かすみ「私が前行きますね」

俺「だからそれはダメだって。まだ明日も車で移動するんだし、ずっと座りっぱなしになってしんどいよ?」

かすみ「やっぱり俺さんが我慢しようとしてたんじゃないですか・・・」

俺「・・・・」

俺がバカなのか、かすみが上手いのか
俺は自分が我慢して運転席で寝ようとしてたことを白状させられるように見事に誘導されていた

かすみ「私も後ろでいいんですか?」

俺「いや、男と女だしさ、それはちょっとまずいんじゃないかな」

かすみ「じゃあ私が前?」

俺「それはダメ」

かすみ「もうー!」

俺「・・・・」

俺「やっぱ俺がこっちでいいよ」

かすみ「それはダメです!」

お互いに譲らずに時間は経過する

かすみ「どうしますか?」

俺「俺が前で寝r」

かすみ「ダメです」

俺「・・・・・」

かすみ「もし隣で寝るの気にしてるなら、ほんと気にしなくて大丈夫ですよ」

俺「・・・・・」

かすみ「・・・ね!」

俺「・・・分かったよ、じゃ申し訳ないけど俺も後ろ行かせてもらうね」

かすみ「最初からそう言いましょうw」

岩手で3人で寝たときみたいにくっつくことはなく、確かに2人だとそんなに狭くは感じなかった

お陰さまで俺は以前のように死人になるようなこともなく、ちゃんと寝れそうだ
ただ、横を見るとかすみがいる

めっちゃドキドキする

特にこれといって話したりすることもなく、少しだけ明日の予定を話してお互い眠りについた
優しい人なんだなって素直に思った

かすみ「・・さん、・・・俺さん」

俺「ん?(ムニャムニャ」

かすみに起こされて目が覚めた
時間を見ると夜中の2時半?

俺「どしたの?」

かすみ「あの・・・」

俺「ん?」

かすみ「すいません、トイレついて来てもらっていいですか・・・?」

俺「え?あぁ・・・いいよ、そっか暗いもんね」

かすみ「すいません・・・」

外に出てトイレに行くと、かすみは女子トイレに入る前に一言

かすみ「絶対そこにいてくださいね?絶対ですよ?」

俺「大丈夫、ここで待ってるよw」

俺は入り口のすぐ前、男子トイレと女子トイレが分かれているところで立って待っていた
まだ車は俺の車だけで、他の車は全く停まっていなかった

かすみ「俺さーん?」

俺「どしたのー?」

かすみ「ちゃんといるかなってw」

怖いのか、入って戸を閉める音が聞こえてすぐに声をかけてきた

かすみ「俺さーん?」

俺「大丈夫、いるからw」

かすみ「俺さーん?」

俺「はいはいw」

かわいい

かすみ「すいません、迷惑掛けて・・・」

俺「ううん、大丈夫、真っ暗だもんねー」

かすみ「こういうとこのトイレちょっと怖いですw」

俺「夜だとね、確かに一人だと不安かもね」

かすみ「ありがとうございました」

そう言ってまた2人で横になる
お互いにすぐに寝てしまったようだ

翌朝もまた、俺は「・・スーッ」と目が覚め、ピクリとも動かずに目が覚めた
お互いに内側を向いて寝ていたようで、目を開けた先にかすみの寝顔が見えた

かわいい

3人で寝たときのように朝起きてもくっついてることもなく、起こさないようにそっと外に出た

ここには自販機がないので、恒例のコーヒータイムがないのが少し寂しい
すっかり明るくなっていて、夜には見えなかった海が見える
位置的に朝日を見ることは出来なかったけど、日の光が海に反射してキラキラしてる

バタンッ

かすみ「あ、おはようございます・・・わーきれいですね!」

海を眺めているとかすみが起きて出てきた

かすみ「うわー、こういうの、車中泊でもないと見れないですよね」

俺「そうだね、それも醍醐味みたいなもんかなぁ」

かすみ「なんかありがとうございます」

俺「いやいや、こちらこそ」

かすみ「ううん、来てよかったです、誘ってくれてありがとうございます」

俺「なんかそう言ってもらえると嬉しいよ」

俺「寝るとこなんか車だし、正直迷惑だったかなーって思ってたから」

かすみ「ううん、ほんとに。楽しいです」

俺「それなら良かった、そろそろ行こっか?」

かすみ「あ、もうちょっと見ていっていいですか?」

俺「もちろん、ゆっくりしてこー」

俺は一旦車の中を整理して、海側に車の後ろがくるように動かした
そしてトランクを開けっぱなしにして、車に座るようにして2人で海を眺めた

少し肌寒かったので、お互いに毛布に包まりながら20分近く海を眺めて話していたと思う

8時前くらいに出発し、途中コンビニに寄って朝食を買う
俺もかすみもおにぎり2つとお茶を買った

車で走りながら食べることにして、とりあえずおにぎりを開封しようと試みる

かすみ「開けましょうか?」

俺「え?あ、ごめん、お願いしていいかな」

かすみ「・・・(ゴソゴソ)はい!どうぞ」

俺「ありがとー」

俺「(お茶お茶・・と」

かすみ「はい!」

かすみがお茶の蓋を開けて持っててくれた

俺「おぉ・・・ありがと(ゴクゴク」

俺「なんかずっと思ってたけど、すごい気が利くよね」

俺がお茶を置こうとすると、当たり前のようにお茶を受け取ってドリンクホルダーに置くかすみ

かすみ「いえ、なんか・・・お世話になってばっかりなのでこれくらいしないとw」

このことだけで気が利くと言った訳じゃないけど、自然に相手のこと考えて動ける人なんだなって思った

道中、秋田の大森山動物園という所がある
ちょうど開園してすぐくらいの9時頃に到着
ゴールデンウィークとはいえ、まだ朝早いのでお客さんは疎ら

入り口の横に立て看板があり、工事のお知らせと書かれていた
どうやら今年の夏くらいに正面ゲートが新しくなるらしい

たぶんまた来る

中に入ると、人も少なく快適に周ることが出来た

面白かったのが、遊具と動物観察が一緒に出来るようになっている場所があったこと
これは他の動物園ではあまり見たことがなかったので新鮮だった

いつもなら一人で来る動物園や水族館だけど、もし一人で来てたらこの遊具には入り込まなかったと思う
かすみと一緒になんかデート気分でめっちゃ楽しめた

人も少ないから人目も気にすることなくはしゃぎまわった
はしゃぎまわった記憶しかなくて、それ以外はほとんど覚えてない

水族館もそうだけど、そういうこと行くとつい夢中になっちゃうんだよね
だからもしかしたらかすみはつまらなかったかもしれないと後で反省はした

動物園には4時間程滞在し、ライオン、トラ、キリン、ゾウ等メジャーな動物たちを眺めたあとにレストランに行く
その頃には人も増えていて、時間も昼時なのでレストランもなかなかの混みっぷりだった

レストランで食事を済ませて、駐車場に戻ったら14時に近くなっていたと思う

山形には特に寄ることもなかったので、新潟に突入する

いや何もない訳ではないんだ
寄りたかったところは海沿いにはなく、少し内陸に入らなければならなかった
そこに寄ると俺の連休の都合上ちょっと厳しくなりそうなので今回は諦めた

そのまま新潟の海沿いを走ると、正にすぐ横に海を眺めて走る、日本海夕日ラインというルートに入る
ちょうど夕方に差し掛かっていたところだったので、どこか停まれる所を探した

この道沿いには多くの海岸があり、特に苦労することもなく車を停めることができた

時期が時期なので人は全然いなくて、天気も良かったので日本海に沈む夕日を眺めることが出来た
砂浜の入り口にあたる幅の広い階段・・・というか砂浜とほぼ同じ幅くらいの階段に2人で座り、日が沈むのを待った

かすみ「すごーい・・・ほんとに綺麗ですね」

俺「そうだねー、俺もこうやってちゃんと夕日見たの初めてかも」

かすみ「なんか・・・ほんとにありがとうございます」

俺「いやいやほんとにこちらこそだって。ついて来てくれてありがとう」

お互いを見ることなく、夕日を眺めながら話していたんだけど、ふとかすみを見ると少し泣いていた

俺「え、どうした・・・?」

かすみ「・・・すいません」

俺「・・・・・」

正直どうしたらいいか分からなくて、なんで泣いてるかも全然分からなくて、なんて声をかければいいか分からなくて
少し思考が停止した

大学や私生活でいろいろうまくいかず、精神的に疲れていたので遠くに行きたくて一人旅に出たこと

一人旅に出たけど、想像以上に寂しくなってしまったこと

帰りに誘ってくれたこと

最初は俺についていくのが不安だったこと

今は本当に楽しくて、来て良かったと思っていること

ゆっくりだけど、色々なことを話してくれた
俺は黙ってそれを聞いているだけだった

話し終わるとすっかり日は暮れて夜になっていた
少し寒くなってきたので、2人とも無言のまま車に戻った

かすみ「すいませんでした、なんか・・・」

俺「ううん、大丈夫?」

かすみ「はい、もう大丈夫です!」

俺「んー・・・うまく言えないけどさ・・・」

俺「なんか・・・話してくれてありがと」

かすみ「・・・ううん、こちらこそ、ありがとうございます」

俺「じゃ、行きますか!」

そう言って車を出した
ここも海沿いの駐車場は多くありそうだったので、特になにも考えずに車を走らせる

かすみ「・・・今日も車に泊まるんですか?」

俺「そうだね、そろそろ停まろっか」

かすみ「疲れてないですか?ずっと車で・・・」

俺「んー、まぁ・・疲れてないと言えば嘘になる・・・かな」

大丈夫って言ってもかすみには何か見透かされてる気がしたので正直に白状する

かすみ「今日はちゃんとしたとこ泊まりませんか?」

俺「うーん、もう時間も遅いし、見つかるかな?」

かすみ「少し街に行ってみません?」

俺「探すだけ探してみよっか」

今思えば、これはかすみが勇気を出して言った一言だったようだ
本来は俺が言うべき言葉だったのかもしれない

走りながら宿泊施設を探すというのはなかなか難しく、探索は難航する
大きな道を走っていると、左側にホテルのようなものが見えてきた

かすみ「あそこは?」

俺「あ、ホテルかも。行ってみようか」

ここまで何も気付かないのは童貞であるが所以であろうか
本当に全く何も考えていなかった

考えていたことと言えば、もしかしてかすみは車で寝るのが嫌だったから宿泊施設を探してるのかなとか
それもあってとにかく泊まれる所をすぐにでも探したい気持ちだったんだ

駐車場に車を停め、入り口から中に入るとようやく気付く
入って左側に大きな明るい部屋の写真?パネルがあり、右側に受付がある

先輩諸君はもうお気付きだろう

「あ、ここ・・・ちがうね、戻ろっかw」

かすみ「・・・いいですよ、もう夜遅いし、横になるならどこでも一緒です」

俺「!!?」

俺「いや、でもここって・・・」

ポチッ

かすみ「・・・大丈夫ですよ、俺さんならw」

そう言って先にボタンを押しちゃうかすみ

これはどっちなんだ
どういうことなんだ先輩諸君
俺とならそうなってもいい?俺が手を出すようなことはない?

どっちだ

受付で鍵を受け取り、部屋に入る
俺は今の状況に付いていけず、平静を装いつつもパニックになりながら部屋のすっごい隅っこに荷物を置く

かすみ「先にお風呂入っていいですか?」

俺「あ、どうぞどうぞ・・・」

そう言ってかすみは荷物を持って風呂に向かった

一方、俺は古畑任三郎さながらに部屋をうろうろして纏まることのない考えをひたすらに巡らせていた

どういうことだ?

どうすればいい?

何でこうなった?

どういうつもりなんだ?

全く結論は出なかったが、少し落ち着いてベッドに腰掛ける
何故か少し震えてきた

そこでかすみが風呂から上がってきた
下はスウェットで、上はTシャツという形

かすみ「お風呂、広いですよw」

俺「あ、あぁ・・・え?」

かすみ「え?」

俺「あ、じゃ俺も入ろっかな・・・」

俺氏、落ち着いた頭が完全にパニック
何を言ったのかあまり覚えてない

風呂に入るとまた落ち着いてくる
シャワーを頭から被りながら、修行僧の滝行のようにして頭を冷やす

この状況は何なんだろう

俺が気にしすぎなだけなんだろうか

かすみは普通にただ寝るだけのつもりでここに来たのだろうか

どれだけ考えても答えは出ず、同じ問答を頭の中で繰返す
でも考えていると少し落ち着く
いくつか考えも出たけど、俺が辿り着いた答えはこれだった

(たぶん寝るだけのつもりだな)

(車の中でも隣で寝たし、場所が変わっただけのことだ)

(いつも通りでいいか)

(よし、そうしよう)

半ば強引にこの答えを出し、俺は完全に落ち着いた
ただ寝る場所が変わっただけのこと
そう考えれば随分と気が楽になった

まぁ、今思えばいつもこうやって逃げるように考えているから童貞のままなんだろうな

風呂から出るとかすみは荷物を整理していた

俺「明日どこか行きたいとこある?」

かすみ「あ、私はもう・・・何があるのか分からないんで、お任せします」

俺「そっか、俺も特に気になるところはないからそのまま帰ろっか」

かすみ「分かりました、じゃ明日が最後ですねー」

俺「うん、ありがと、ほんとに楽しかったよ」

かすみ「ううん、なんか・・・こちらこそ色々ありがとうございました」

そんな感じで話しながら俺はベッドに腰掛け、かすみもベッドの方に来る

俺「じゃ、そろそろ寝よっか」

かすみ「はい」

電気を消して、お互いにベッドに入る

目を瞑っても頭の中では恐山からの思い出がかけめぐる

さっきかすみが言った、明日が最後って言葉
それが少し心に残っていた

明日が最後か・・・

そう思うと急に不安と言うか寂しさと言うか
もうお別れなんだなって思うとなかなか寝れなかった
ずっと上を向いて寝ようとしてたけど、体勢を変えようと横を向く

するとかすみもこちらを向いていた

かすみもまだ寝ていなくて、お互い向かい合わせになった

かすみ「ふふっ、なんか寝れないですねw」

俺「んー、なんかねw 明日が最後かって思うと色々思い出しちゃって」

かすみ「うん。すごっく楽しかった」

俺「・・・・・」

かすみ「・・・・・」

やっぱり可愛いな

もう頭の中はかすみとの思い出でいっぱいだった
たった数日だけど、ずっと一緒にいた
人生の中で見れば本当に短い間だけど、すごく充実して、幸せな時間を過ごせた

正直、帰りたくない

そう思ったら、つい言ってしまったんだ

俺「・・・好きなんだよなぁ」

かすみ「え?」

つい思ったことが口に出てしまっていた
焦ったね
焦ったよ

俺「あ、いや、うん。え?」

かすみ「・・・・・」

俺「・・・・・」

かすみ「聞こえなかったよ」

俺「あ、じゃいいんだw」

かすみ「もう一回」

俺「え?」

かすみ「聞こえなかったからもう一回言って・・・」

この時はずっと敬語だったかすみは普通に話していた

俺「いや・・・」

かすみ「もう一回」

俺「・・・・・」

かすみ「・・・・・」

俺「・・・好き、みたいなんだよね」

かすみ「・・・・・」

俺「かすみちゃんのことが」

かすみ「・・・・・」

俺「会ってから全然経ってないけどさ。何ていうか、帰りたくないって思ったんだ」

俺「だから・・・付き合って欲しい」

かすみは何も言わず、黙って聞いていた
時が止まったかのように沈黙が続く

俺の中では時間が停止していたので正確な時間は分からないが、恐らく数分?いや数十秒?か経った頃
かすみがゆっくりと口を開き始める

かすみ「・・・私も」

俺「え?」

かすみ「私も」

俺「・・・・・?」

俺はさっき自分が何を言ったのか忘れていた

かすみ「私も、好き・・・かも」

俺「え、あぁ・・・そっか。・・・え!?」

かすみ「確かに知り合ってそんなに経ってないけど」

かすみ「私もなんか・・・そう思う。好き」

そこからかすみは何かを言っていたが、全く聞こえてこなかった

口だけが動いている
何を言ってるのか聞こえない

分からない、聞き取れない
ここは本当に分からないんだ、ごめん
ボーっとしていて、何も考えていなかった

後から聞くと、なんでかすみが俺のことを好きだと思ったのかとか
俺のどういうところが好きになったとか
自分もこのまま終わりたくなかったこととか話してくれてたみたい

混乱して聞こえてなかったって言っても残念ながら詳しく内容は教えてはくれなかった

かすみ「ねぇ・・・。ねぇってば!」

俺「・・・え?」

かすみ「聞いてる?」

俺「あ、うん、え?」

かすみ「よろしくお願いします」

俺「・・・え?」

かすみ「だから!よろしくお願いしますってばw」

俺「・・・・・」

かすみ「・・・・・」

俺「ん?」

かすみ「もう一回言う?w」

俺「いや・・・え?」

かすみ「もう!w 私も好きだから、よろしくお願いしますw」

俺「あぁ・・・うん、え?俺?」

かすみ「ふふっ」

指で自分を指し、かすみを指し、行ったり来たり

俺「あ、俺、うん。え?付き・・・合う?」

かすみ「うん、よろしくお願いします」

俺「あ、うん。え?」

俺「彼氏?」

かすみ「うん」

俺「彼女?」

かすみ「うん」

俺「付き合う?」

かすみ「うん」

俺「・・・マジか」

かすみ「うん」

俺「ほんとに!?」

かすみ「ふふっ、うんw」

俺氏、長すぎるパニックを経て、ようやく理解する

俺「そっかぁ・・・あ、よろしくお願いします」

かすみ「ふふっ」

俺「何かこんなとこで・・・こんな格好でごめんね」

かすみ「ムードも何もないよねw」

俺「ははっ・・・(苦笑い」

かすみ「・・・・・」

俺「・・・・・」

どちらからともなく、顔を近付ける

ちゅ

唇がほんの少し、一瞬だけ触れるキス

俺「・・・・・」

かすみ「・・・・・」

ちゅ

唇が触れるだけの長めのキス

ここからは正直あまり覚えていない
この後はお互いを抱き寄せ、随分長いことキスをしていたと思う

結果から言えば、俺はこの日から童貞ではなくなった

朝、目を覚ますと目の前20cm程にかすみの顔がある

かすみはこっちを見ていて、先に目が覚めていたようだった

寝起きでいきなり人が現れたので、俺はちょっとびっくりしちゃった

俺「ん、おぉ・・・!」

かすみ「ふふっ、おはよ」

俺「あ、おはよう」

かすみ「・・・・・」

俺「ん?どしたの?」

かすみ「ううん、寝顔見てたw」

俺「いやもう・・・いいよーw」

やめてくれよー的な感じで俺はガバッと起き上がる

かすみ「あっ」

起きると2人とも裸で、かすみは布団を胸元に寄せて「ふふっ」と笑った

俺「あ、ごめん」

俺はまた横になり、天井を見つめる
昨日のことが夢じゃなかったんだと改めて思い知る

またお互いに見つめ合い、かすみは俺の肩に頭を乗せるようにしてくっついてくる
俺はそのままかすみの頭を抱き、しばらくその姿勢のままで時間が過ぎていく

この後、かすみとは別々で風呂に入った
何か今思えばここって一緒に入るとこだったんじゃないかなって思うけど、結局俺のヘタレ癖は抜けていなかった

精算を済ませ、車に戻る

俺「よし、行こっか」

かすみ「うん!」

明らかに昨日までの空気とは違っていた
恋人同士になったからといって何が変わったとはうまく言えないけど、やっぱり何か違った

確実に変わっていたのは、かすみが敬語じゃなくなったことかな

かすみ「今日何時くらいに着くかな?」

俺「んー、昼の3時くらい?夕方になる前には着くと思うよ」

かすみ「そっかぁ」

俺「何か予定ある?」

かすみ「ううん、じゃ夕ご飯食べてから帰りたい」

俺「ん、じゃどっかで買い物とかして夕飯食べて帰ろっか」

かすみ「そうしよ!」

気まずくなるようなこともなく、車の中は昨日のように楽しい空気が流れていた

海沿いの道を走っていると右側に海が見える

かすみはずっと海を見つめていた

つまり俺の方側を見ていたんだ
なんだか俺が見られているような気がしてそわそわした

朝食はまたコンビニで済ませ、昼食はかすみが見つけた和食屋に入った

それ以外はどこにも寄ることはなく、16時頃に富山に到着した
とあるショッピングモールに立ち寄り、色々と見て回った

何か形になるようなものが欲しくて、お互いに色違いでお揃いのスマホカバーを買うことにしたんだ
安いものだけど、これだけで充分幸せだったなぁ

せっかく旅に行ってたんだから、旅先で何か買う方が良かったかもしれないけど、何しろもう旅は終盤だったからね

夕食はかすみの家の近くの定食屋さん
かすみはここのてんぷら定食が好きでよく来るようで、俺にも食べてみて欲しいとのことだった

すごくおいしかったよ
漬物も、お茶も、茶碗蒸しも味噌汁も全部おいしかった
なんかね、こういうことだけでもすごい幸せだった

もうここからは話すことはないんだ

この後かすみを家まで送って、俺も家に帰った
一人の時間は少なかったけど、俺の一人旅はここで終了した

あとは普通の恋人として、普通の生活を送ってきたつもりだ
特に変わったこともない

ちなみに最初に出会った2人のことだけど

かすみと連絡先を交換する時にLINEを登録して、電話番号とアドレス、LINE IDを交換したんだ
で、家に帰ってからLINEで2人に連絡をすることにした

2人とも登録して、連絡をするとすぐにグループが作られた
ちょっとまだLINEをよく理解してなかったけど、2人と久々に話したよ
普通に会ってる時よりLINEのがテンション高かったけどね

あの後のことを話して、2人も無事東京に帰ったことを知った
俺も恋人が出来たことを話した

ナンパしたのかとか、手が早いとか色々言われたけど、ちゃんと祝福してくれたよ
それ以来、もうほとんど連絡は取ってないし、もちろん会ってない

少し後になってからだけど、かすみにも2人のことは話した

どういう経緯で同行して、どういう話をして、どこに行って、どう過ごしたか

別に怒るでも引くでもなく、すごい経験だったねと笑っていた

真意は分からないけど、多分そこは気にしてないだろう

LINEのやり取りも見せたし、会うつもりも特にないことを話した

今度私も一緒に平泉行きたいと言ってたので、俺も毛越寺はろくに見れなかったしいつか行くと思う

あれから1年

たまにかすみはあの夜のパニクった俺を少しからかいながら話してくるので、まだ最近のことのように思い出す

たまたま行った東北で、たまたま2人と出会い、たまたま泊まった恐山でたまたまかすみと出会い
たまたま早起きで混浴が被り、たまたま声をかけたらたまたま同行することになった
そして、口を滑らせて出た「好きなんだよなぁ」

色々なことが重なって、今はとても幸せ

あの日からもう一人旅はしていない、と言うか結果的に最後の一人旅になったんだ
今はもう、どこへ行くにも二人旅になっている

またこの連休に二人でどこかへ出かけてくる

小さな偶然が重なって、大きな幸せが転がり込んできたお話

オチがなくてごめんね

おしまい

>後ろに大人3人寝れるって、どんな車だ?フリードみたいなやつ?

いや、フィットシャトル
3人寝れたとは言えないくらいギッシリだったよ
女性陣が小柄だったから良かったけど、でかい大人3人だと多分無理てか痛そう

1人とか、2人でも車中泊は苦じゃないよ
3人寝るのがちょっとね・・・幅が問題だよ

大学生2人と同行しなければ寂しさも生まれなかっただろうし
そうしたらかすみを誘うこともなかったと思う
色々辿っていくと、母親の隣に車を停めたことも大きいんだよね

そう考えるとすごい奇跡的なことなんだなって思ったんだ
日常の何気ない普通の喜びも、ちょっと辿っていくと色々な偶然が重なってて、色んなことに感謝できるようになった

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この記事のコメント一覧
1 . 名無しさん  ID:5QuIr45.0編集削除
長過ぎ
2 . 名無しさん  ID:aMEAAHgi0編集削除
すごく長い

でも読み応えは良き
3 . 名無しさん  ID:7Wkj6y110編集削除
長い目が滑る中身ない
4 . 名無しさん  ID:YdOAKLaI0編集削除
とりあえずこの筆者ぶん殴りたい
5 . 名無しさん  ID:Vfpdh7wT0編集削除
読んでないけど、やたらと長いと思った
6 . 名無しのくそ八幡  ID:WTVUpu7D0編集削除
うんkしながら読んだ。
7 . 名無しさん  ID:2EGltc.s0編集削除
会話形式の長文は創作臭い
8 . 名無しさん  ID:.fXiYS3G0編集削除
小島瑠璃子と北乃きいと有村架純じゃ信じてもらえない。森三中くらいにしておけ。
9 . 名無しさん  ID:ln4976gR0編集削除
長い
10 . *  ID:UYTwgDSl0編集削除
私は「そして童貞だ」までは読んだぞ。
※7 本日のハゲはお前だな。どんまい。
11 . 名無しさん  ID:SMJoJoQc0編集削除
どこかのナイスガイさん、あらすじ頼む
12 . 名無しさん  ID:BaXByG1i0編集削除
長いけど読んだ。ほほえましい。
13 . 名無しさん  ID:CqPk0P7F0編集削除
最初のSAの男の子が、座敷童で縁を取り持ってくれたんじゃないかな。
そして、吟味役の2人の女子大生を大切にしたことで、地蔵菩薩様が取り持ってくれた縁。
へたれ童貞でも誠実なイッチには、もげモゲの祝いをかけておく!

途中で3Pやレイープ話になるのを、どっかで期待してしまってた。
邪心にまみれたオイラが、はげハゲの呪いを引き受けることにしようかの。
14 . 名無しさん  ID:1pJdpMuN0編集削除
何コレ?パンツ脱いでたら
風邪ひいたじゃねーか
15 . 名無しさん  ID:KaZs2A7q0編集削除
マイカーで旅に出た
かすみに会った
DT卒業した

まとめたら産業で済んだ。
16 . 名無しさん  ID:TysYN0fv0編集削除
やったらモテるな
昔の青年誌の主人公みたい
17 . 名無しさん  ID:euFMuPdl0編集削除
登場人物が全員美男美女じゃあ創作くせえな。
小説家になりきって自分に酔ってる感じがプンプンする。
18 . 名無し  ID:XNpM9XnX0編集削除
僕は童貞まで読んだ
19 . 名無しさん  ID:enlgtDYe0編集削除
どう見ても新人作家が暇つぶしに書いた創作

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