勇者XXX「ふふっここまでだな、大魔王よ。」

大魔王「ぬぅう、たかが人間にここまでされるとは…。油断したわ…。」

勇者XXX「最後にお前の泣き言が聞けてうれしいよ。じゃあな。」

―勇者XXXは剣をゆっくりと振り上げた。―

大魔王「あまいわ!!!」

ピカーー!!!



―大魔王は呪文を唱えた!勇者XXXと大魔王は光につつまれた!―

勇者XXX「な、なにをした!」

大魔王「お前は強い。さすがの余も今のお前には勝てぬ、今のお前にはな。」フフフ

大魔王「ならばお前から‘今のお前’を奪うまでのこと…。」

勇者XXX「きさまあああああ!!」

―光はさらに明るさを増し、あたりはその輪郭を徐々に失っていった!―

大魔王(お前から次に奪うのはお前の命だ。それまでその姿になった自分の運命を呪うがいい)ハッハッハッハ

【池のほとり】

(…。)

勇者XXX「…。」

勇者XXX「ここはどこだ…。俺は確か大魔王と戦っていたはず…。何故池のほとりにいる?」

クラッ

勇者XXX「う…。」

勇者XXX「顔でも洗うか。」

―勇者XXXは池を覗き込んだ!紫色の瞳の乙女が水面に写っている。―

勇者XXX「うわぁあああああああああ!!!!!rftgyふじこおl」

勇者XXX「おんなになってる!!?」

勇者XXX「うそだうそだ!?」

さらさら

勇者XXX「黒髪ロングだ――――!?」

もちもちぴちぴち

勇者XXX「もち肌だーーー!?」

ち、っぱいん

勇者XXX「ひんぬーだ――――――!?」

つるん

勇者XXX「ないないないないないない!うわぁああああ!」

クチュ

勇者XXX「あ…。/////」

(目が覚めたら俺は女になっていた。そしてこの後、俺が大魔王と戦ってから数年たっていたことを知る。世間では俺は死んだことになっており、俺の実力に当てはまる後釜がいないこの時代では各国から勝手に認定された勇者たちであふれかえっていた。)

【王立図書館】

勇者XXX「あったぞ。そうか、最後に大魔王が唱えた呪文は俺を違う者に変化させる呪文だったんだな。なになに…。」

チェンジス:モシャスの亜系呪文。相手を変えたいものに変化させる呪文であり仲間を強いものに変えたり、敵を弱いものに変化させるために使用される。

勇者XXX「おおこれだ、これだ。」

効果持続時間は施術者の魔力によるがすぐきれるものから、大魔王程度の魔力であれば半永久的に続くものもある。

勇者XXX「ひえええええ。」

効果解除条件は施術者によるReチェンジスもしくは施術者の死亡。

他の施術者によるチェンジスの上書きも不可能である。

しかし変化されたものがその状態で死亡したり、子を宿すなど運命を固定された場合は

その効果が解除されることは永遠になく再度チェンジスをかけることはできない。

勇者XXX「おいおい!」

勇者XXX「まぁ、前者の大魔王にReチェンジスをかけてもらうのはあり得ないが、大魔王が死ねば効果が切れるってのはありがたい話だな。目的は変わらない。よし!」

勇者XXX(こんな状態じゃ今までの様な一人での冒険は無理だ。大魔王を倒す仲間が必要だな…。)

【始まりの街の城 玉座の間】

王様「勇者、ちゃんと西の塔攻略進んでる?」

勇者「申し訳ございません。まだ途中までです。」

王様「ちょっと早くしないと他の国の勇者に手柄とられちゃうよ?大魔王を倒した王としてわしの名前をのこしたいんだからさー。」

勇者「はっ!その代わりと言ってはなんですが踊る宝石が巣食うほこらをみつけました。」

王様「おおお!おっととゴホン。そうかごくろうじゃ勇者。おぬしにそこのほこらのモンスターまで退治させるのはしのびない。わしの近衛兵をかわりによこそう。」ニヤァ

勇者「はっ」

王様「そうそう、おぬしに仲間をひとり見つけておいたぞ。しかも後衛じゃ感謝せよ。」

勇者「はは!ありがとうございます。」

王様「記録官!いまの事を記録しておくように!」

記録官「はっ!○年×月 王様、勇者をねぎらい、その背中を守る仲間を見つけ出された。また世界の平和のため自ら魔物の退治を行うと宣言されました。」

王様「うむ。」

勇者(俗物が。)

【始まりの街 城下】

僧侶(勇者XXX)「はじめまして勇者様。僧侶ともうします、よろしくお願いいたします。」

(ふっふっふ、やはり勇者一行として大魔王討伐に向かうのが一番だ。我ながら名案!)

勇者「…。」クル スタスタ

僧侶「あ、勇者様?!どこへ?」

勇者「宿。」

僧侶「え?確かにもう夕暮れですもんね。」

勇者「…。」スタスタ

【宿】

勇者「男一人。」

宿屋の主人「はいご案内〜。」

僧侶「あ、あの?」

勇者「…。」スタスタスタ バタン!

僧侶「ひとりで部屋にいっちゃった?」(なんだ、こいつ?無視しやがって。)

宿屋の主人「あいかわらずだねえ勇者ちゃん。」

僧侶「へ?」

宿屋の主人「勇者ちゃんの優しさですよ。どうせ早いか遅いかですし逃げていいってことですよ。」

僧侶「???」

(宿屋の主人の話では勇者XXXが死んだ今では本気で大魔王を倒そうとするものは少なく、

勇者一行に加わろうなどという変わり者は見かけなくなってしまった。

そのためこの国では勇者のパーティーに加わったものには報奨金が出るようになったのだが

ほとんどのものが報奨金目当てにパーティーに入り翌日姿を消しているとのことだった。)

僧侶「そういえば100Gもらってた…。」(世も末だな。)

【宿屋 朝】

僧侶「おはようございます勇者様!」(結局宿屋のラウンジで夜を明かしてしまった。)

勇者「…。」

僧侶「勇者様?」

勇者「容量の悪いやつだな。逃げ遅れたのか?」

僧侶「ちがいます!わたしは勇者様にお仕えするためにパーティーに入ったのです!」

勇者「もう追加の報奨金はでないぞ?」

僧侶「〜〜〜〜。」(こいつううううう!!!)

僧侶「…。」テクテクテク

勇者「?」

浮浪者「おや、かわいい僧侶様、まずしい私に何かめぐんでくださらないかね?」

僧侶「わたしにはこのようなものしか差し上げられません。貴方様に主の思し召しがありますように。」

浮浪者「ひゃぁあああこんな大金!!100Gだなんて!ありがたや、ありがたや。」

勇者「!」

僧侶「勇者様、次の目的地はどこでございますか?」ニッコリ

勇者XXX(ドヤ)

勇者「めずらしいやつだな。本気で大魔王を倒す気でいるのか?」

僧侶「はい!」

勇者「…。」クル スタスタスタ

僧侶「あぁ!勇者様まってください!」(もーーー!!なんだこいつ)

【西の塔入口】

勇者「お前、魔物と戦ったことはあるのか?」

僧侶「いえ」(お前よりあるわ!ぼけ!)

勇者「じゃあこれが初陣だな。さがってみていろ。」

―オークがあらわれた!―

―勇者の攻撃!オークに18のダメージ!―

オーク「がおるるうる」

―オークの攻撃!勇者に15のダメージ!―

勇者「フンッ、オークのくせに生意気だな。」

オーク「ぐおおおう!」

僧侶(よええええええ!こいつ本当に勇者か。オーク単体だろ?

そら本気で大魔王討伐考えないわな。

まぁ勇者一行って立場さえあれば旅も楽だし最後は俺が大魔王倒せばいいしな…。)

勇者(恐怖で声も出ないか。)

勇者「うおおおお!!!」

―勇者の攻撃!会心の一撃!オークを倒した!―

勇者「はぁはぁ、これが魔物との戦いだ。やめるなら今のうちだぞ。」

僧侶「…。」

―僧侶はホイミを唱えた!勇者の傷が癒えていく!―

勇者「!」

僧侶「勇者様他にお怪我はありませんか?」ニコ

勇者「勝手にしろ!」クル スタスタスタ

僧侶「うれしい、お供していいんですね。」

(まじこの雑魚をどうやって育てるかが難題だな…。はぁ…。)

【西の塔ダンジョン】

僧侶(時間かかるなぁ…。こんなダンジョン、前の俺だったら3往復はできてるぜ。)

僧侶(しかし女の体は体力ないな…。そういえば朝ごはんも食べてないし、お腹ペコペコだ…。)

僧侶「」グゥーー

僧侶「勇者様…。////」

勇者「飯ならないぞ。うちの王様はけちだからな給料なんてほとんどでない。もう食費もない。」

僧侶「だ、だいじょうびですぅ〜」(エーー)

【西の塔最上階】

ボス「よくきたな人間。だがそれもここで終わりだ!」

勇者「でやあああ!」

―勇者とボスは戦っている!―

僧侶「…。」(お腹すいたな…。)

―勇者とボスは戦っている!―

僧侶「お腹すいたな…」

―勇者とボスは戦っている!―

僧侶(まだかな…。)

―勇者とボスは戦っている!―

僧侶「ザキ」ボソ

―ボスを倒した!―

勇者「え?倒した?」

僧侶「わーすごいです!勇者様西の塔のボスをたおすなんて!さあお城に帰りましょ。そして報酬をもらうのです。そしてそしてお腹いっぱいご飯をたべようじゃないですか!」

勇者「そっか、意外とあっさりだったな。」

僧侶「はい!」(こいつを鍛えるためのはずが空腹に負けて倒してしまった。)

【始まりの街】

勇者「僧侶、ほら。」

僧侶「おかえりなさい勇者様!陛下は喜んでくださいました?」

勇者「まぁ西の塔を攻略したわけだからな。夕飯をかってきた。」

僧侶「わーーーおいしそうなプリンぱん!食べていいんですか?」(めしー!めしー!)

勇者「ああ」

僧侶「わぁぁああい!しあわせー!」(ふごー!ふごー!)

僧侶「あれ?勇者様は?」

勇者「俺は城でフルコースを食べてきた。」ポリポリ

僧侶「エーズルイ」

勇者「散歩してくる。」クル スタスタスタ

僧侶「…。」

【裏山】

勇者「あぁ、あったあった。この時期でも生えてるんだな。」ブチ

勇者「モシャモシャモシャ」

勇者「ゴクン」

勇者「まずいな…。」ボソ

勇者「しかしあの王様、西の塔に大したアイテムが落ちてなかったからって報酬があれだけっておかしくないか?次の冒険の準備したら、パン1個しかかえねーじゃねえか!」ブツクサブツクサ

勇者「…。」

勇者「ここらの野草は食い尽くしたな…。」グー

僧侶(こっそり後をつけてきたらまさかこんなみじめな勇者がいるなんて…。俺も飢えにたえてきたことはあったがこの扱いは悲しすぎる…。それなのに俺にプリンぱんを買ってくれたのか。)

【宿屋】

僧侶「お帰りなさい。」

勇者「うん?お前まだパン残してるのか?腐るぞ。」

僧侶「勇者様をまってたんです。」

勇者「?」

僧侶「食事とはただ動物のように物を口に運ぶものではありません。食事とは家族や仲間が寄り添い一日の労をねぎらいながら神への感謝とともに行う祈りなのだろうと思います。」

勇者「あほか。俺ははらいっぱいだっつーの。」グー

僧侶「一緒に夕食をとってはくれませんか?」

勇者「…。ちっ、しょうがねえな。」パク

僧侶「あー!待ってくださいよ。わたしも。」パク

勇者「甘いな。」

僧侶「甘いです。」

僧侶「勇者様との初めてごはんはプリンぱんでしたね。」ニコ

勇者「あぁ。」

僧侶(愛想ねーな。)

【東のほこら ダンジョン内】

僧侶「勇者様は何故勇者様になられたのですか?」トテトテ

勇者「何故そんなことを聞く?」

僧侶「それは勇者様のことをもっと知りたいからです!」

(大魔王を倒すレベルまで育ってもらうには前情報は不可欠だからな!)

勇者「なれと言われたからなっただけだ。」ポリポリ スタスタスタ

僧侶「えぇ?それはどういう事ですか?」

勇者「お前少しうるさいぞ。」

僧侶「ごめんなさい」シュン

(このコミュ障勇者め!)

【東のほこら ボス戦】

―勇者の攻撃!ほこらのボスに35のダメージ!―

勇者(くっ、強いな。回復を…。)

勇者「そっ…!」

―僧侶はホイミを唱えた!勇者のHPが44回復した!―

僧侶「バイキルトです!勇者様!」

―僧侶はバイキルトを唱えた!勇者の攻撃力が倍増した!―

勇者(こいつ絶妙のタイミングで支援してきやがる。)

―勇者の攻撃!ほこらのボスに70のダメージ!―

―ほこらのボスは両の爪をふりまわしてきた!しかし勇者はひらりとかわした!―

勇者(よし反撃だ!)

僧侶(この手モンスターはこういう攻撃の後、強力な攻撃魔法うってくるんだよな。)

―勇者は攻撃を仕掛けようとほこらのボスに突進した!―

勇者「でやああああああ」

ほこらのボス「クオオオオオオン」

―ほこらのボスは呪文を唱えている!―

僧侶(でもこの一発をしのげばスキができるんだよな。たぶんこれベギラマだし女の身体でも耐えれるだろ。うんで勇者がとどめをさせば楽勝だな。)

―ほこらのボスはベギラマを唱えた!―

勇者「しまっ」(さっきの大振りの攻撃はおとりだったのか!)

僧侶「勇者様!」(あらよっと)

―僧侶は身を挺して勇者をかばった!僧侶に58のダメージ!―

勇者「僧侶!!!」(こいつ俺をかばって…。)

僧侶「勇者様、今です!ボスにとどめを。」ガクン

(あら?思ったよりダメージやばいな。女の身体ってこんなに貧弱なのか…。)

勇者「くそ!」

―勇者は剣をふかぶかとほこらのボスに突き立てた!会心の一撃!ほこらのボスに173のダメージ!―

ほこらのボス「ギャオオオオオオオオオオン」ドサ

―ほこらのボスを倒した!―

僧侶(ちっ、なかなか強くなったじゃねえか勇者。昔の俺ほどじゃねえけどな。)

勇者「おい大丈夫か?」

僧侶「さすがです勇者様…。」(あは、なんかぼーっとしてきた…。)

勇者「おい、しっかりしろ!」

僧侶「…。」

【大魔王城 前】

戦士「そんな無茶だ!女僧侶は限界だぞ。」

勇者XXX「大魔王にたち向かうのに無茶は承知だったんじゃないのか?」

女僧侶「せ、戦士様私は大丈夫です。勇者様のいうとおりこのまま攻めましょう。」

戦士「馬鹿!無茶するな!!これ以上禁呪法を使ったら本当に死んでしまう。」

女僧侶「フフッ優しいのですね、普段はあんなに意地悪なのに…。」

戦士「そ、それは俺はお前が…ゴニョゴニョ」

勇者XXX「弱いやつらはいいな。互いになぐさめあえて。」

戦士「貴様――――――!!!」バギ!!

―戦士は勇者XXXに殴り掛かった!!会心の一撃!勇者XXXに0のダメージ!―

戦士「くっ」(俺の全力でも眉一つうごかさねぇ)

勇者XXX「お前たちはここで冒険を降りろ。犬死するだけだ。」

【フィールド】

僧侶(ここは?)

勇者「気が付いたか。」

僧侶「え?勇者様?」(こいつ、あのダンジョンからここまで俺をおぶさってきたのか。)

勇者「…。」

僧侶「勇者様、おります。自分であるけます!」ジタバタ ジタバタ

勇者「…。」

僧侶「」ガクン

(あ、ちから入んねえや)

勇者「一人で歩くのは無理だな。」

僧侶「す、すいません。」

勇者「二度とするな。」

僧侶「え?」

勇者「俺一人でも倒せた。俺の盾になって敵の攻撃を受けるなんて二度とするな。」ポリポリ

僧侶「で、でも」(お前完璧に魔物に誘い込まれてたやんけ!!)

勇者「うるさい!勇者に従え!」

僧侶(あ、こいつ涙の跡がある…。)

僧侶(そっか、愛いやつ。)

僧侶「じゃあ守ってくださいね、勇者様。」ギュ

勇者「ねてろ。」

【宿屋】

勇者「おい、入るぞ。」

僧侶「あ、勇者様おかえりなさいませ。」

勇者「次は隣国からの要請で魔物にとらわれた隣国の姫を助けてくれってよ。姫は北の孤島にいるらしい。」

僧侶「そうですか。王様へのご報告ご苦労様でした。」

勇者「怪我はどうだ?」

僧侶「ばっちりですよ!むん! アイタタ」

勇者「馬鹿なやつめ。」

僧侶「勇者様やさしいですね。」フフ

(意外といいやつなのかもな…。)

勇者「あほか。ほら。」

僧侶「わープリンぱんですね!こんなにたくさん!うれしい!」

勇者「東のほこらには、高価なアイテムが大量に保管されていたからな。うちのケチな王様でも今回は褒賞がはずんでた。めずらしい食べ物や飲み物ももらったしな。」

僧侶「では勇者様ご一緒に。」

勇者「あぁ。」

僧侶「天にまします我らが父よ。今日もこの愚かな我らに糧を食み、この体躯を安らげる場を設けてくださいましてありがとうございます。我らは常に主の御許に。」

勇者「ぱくぱくぱく。」

僧侶「あぁお祈りをして下さい!」

勇者「ふるふぇー(うるせー)」モグモグ

僧侶「もう!ではいただきます ニコニコ」

勇者「うん。」

僧侶「おいしいです。」パクパク

勇者「…。」

僧侶「あ、レモンのジュースもあるんですね。飲んでいいですか?」

勇者「好きにしろ。」

僧侶「ありがとうございます。ごくごく。」(このレモンジュース味きついな…。うまいからいいか。)

勇者(レモンのジュースなんかあったか?)

僧侶(しかし、北の孤島か。あそこの周囲は渦で囲まれていて船じゃ近づけねえ。昔の俺だったら行けたけどな…。)

勇者「どうした?」

勇者「どうした?」

僧侶「?」(勇者が二人いるぞ?)

勇者「お前これ、リモンチェッロっていうレモンの食前酒だぞ。全部飲んだのか?」

勇者「お前これ、リモンチェッロっていうレモンの食前酒だぞ。全部飲んだのか?」

僧侶「はれー勇者様が二人いるー。」

勇者「酔ってるな。大丈夫か?」

僧侶「そっか!そういえば俺は勇者XXXだった!ともに大魔王を倒そう!ワハハハハ!」

勇者「駄目だこいつ。酒乱だ。」

僧侶「なんかあついれすねー。」ぬぎぬぎ

勇者「おい!」

僧侶「すっぽんぽんになっちゃった!」

勇者「おいいいい!」(プリンぱんが二つ!!)

僧侶「お!そこの勇者ずるいぞ!先輩だけぬがしてなんとする!男同士裸のつきあいだおー!」

勇者「ど、どうみてもお前は女だ!そして俺は男だ!」

僧侶「ええい言い訳は見苦しいぞ!!」ダキツキ!

勇者「そ、そんな駄目!初めては海の見えるホテルでって決めてるんだから…。」

ゴチーン!

―僧侶は勇者を押し倒した!勇者はベッドの柵に後頭部を強打した!―

僧侶「お、どうした?」

―返事がない!勇者は気絶している!―

僧侶「寝たのか。なんだ、つまらん。」

僧侶「夜はこれから…だと…いうに…ふわぁ…。」

僧侶「むにゃむにゃ…。」

【宿屋 朝】

チュンチュン チュンチュン

勇者「いてて、後頭部が痛いな。朝か?」

僧侶「すやすや。」

勇者「!!!」

勇者「なんで???」

勇者「あ、そっか。こいつ酒飲んで暴れたんだっけ。」

僧侶「あれ?朝ですか勇者様?」ムクッ

勇者「あ、おい。これはな。」

僧侶「え…?」(なんで俺、裸なんだ?)

勇者「昨日お前がな…。」

僧侶「…。」ポロリ

勇者「おい?」

僧侶「ひぐっ、ひぐっ」ポロポロ

勇者「おい、泣くな!」

僧侶「うぇーーーーん!!」ポロポロ

勇者「お、俺ちょっと朝の素振りにいってくるな!なんもしてないからな!な!」

―勇者は逃げだした!―

僧侶「しくしくしく」

僧侶(俺、男とえっちしたんだ…。)

僧侶(ぜんぜん覚えてないや…。)

僧侶(氏にたい。)

僧侶(あの勇者とキスしたのかな。)

僧侶(なんか唇が熱い気がする。)ソッ

僧侶(胸もなんか感覚が残ってる。)サワリ

僧侶「」ピクッ

僧侶(勇者に全部触られたのかな…。)ススーッ

僧侶(濡れてる…。)

僧侶「んふっ」ビクン

僧侶(変な声でちゃった。)

僧侶「あん。」

僧侶(手がとまんない…。きもち…。)

僧侶「駄目、勇者様…。そこは。」

コンコン!

僧侶「!!!!!」ビクゥ!!

【部屋の外】

勇者「僧侶?聞こえるか?」

僧侶(ひぃー俺何やってたんだ…。)ドキドキ

勇者「あのな!昨日はな、本当に何もなかったんだ!」

勇者「昨日僧侶が間違って酒を1瓶あけて。酔いつぶれて裸になって、『勇者XXXだ!』って叫んで。」

勇者「んで止めようとした俺は転んで頭をぶつけて気絶してしまったから覚えてないけど。」

勇者「俺、何もしてないから!!」

リモンチェッロ:アルコール度数 約30%

【部屋のなか】

僧侶(そーーーーだったのか!!)

僧侶(確かにいくら俺でも初めてなんだからそれなりに痛かったり、色々残ってたりするよな?!)

僧侶(そうかそうか。草加煎餅!!)

勇者「僧侶?」

ギイ

―部屋のドアが開いた!僧侶が部屋からあらわれた!―

僧侶「勇者様。」

勇者「お、おう。」

僧侶「次の目的地に向かいましょう?」ニッコリ ゴゴゴゴッ

勇者「お、おう。」(これは全てなかったことにしようという笑顔…。)

僧侶「はい。」(わかっているな勇者!忘れるんだぞ!)

【街 商店街】

勇者「この地図を見ると北の孤島への行くには海を越えなくてはならない。」

僧侶「でも船で行こうにも、この周辺の渦潮を超えるのは困難ですね。」

勇者「海路がだめなら空路だな…。」

僧侶「空…ですか?」(俺はトベルーラ使えるけどな…。今の魔力で二人もこの距離を運べる気はしねえな…。)

勇者「仕方ないひさびさに帰るか。」

僧侶「はい?」

【鉱脈と機械の町】

僧侶「わー色んな機械がありますね。わたしこの町に来たのは初めてです。」

勇者「あぁ、こんなに発展するようになったのはこの数年だからな。」スタスタスタ

僧侶「はぁ。」(なんかこいつココに詳しそうだな。)

勇者「早く歩け、おいていくぞ。」 スタスタスタ

僧侶「あぁ待ってください。」トテトテトテ

(女の足じゃ速いっての!)

第一町人「おーー!勇者じゃないっぺや!」

勇者「おじさんお久しぶりです。」ペコリ

第一町人「わが町の英雄に会えて光栄だっぺ。今日は里帰りか?」

勇者「英雄だなんてやめてください。今日は機械工さんの所にお願いをしに来たんです。」

第一町人「そっか、じゃあその様子じゃおじいさん倒れられたのしらんのか。今は問題ないらしいが帰りによってやりいよ。」

勇者「え!!」

僧侶(この町の出身なのか?しかも普段無愛想なのに丁寧な物腰だな、おい。なんか青ざめてるし。)

【機械工の工場】

勇者「こんにちは。」

機械工の娘「はいはーい、親方は今手離せませんよー。」

勇者「よう。」

機械工の娘「勇者!どうしたんだ、いきなり。」

勇者「ちょっとおやっさんに頼みごとしたくってな。」

機械工の娘「なんだ、モンスターと戦うのに、びびって逃げ帰ってきたのかとおもったぜ!」

勇者「ばかやろ。お前の方がなんぼかおっかないっての。」ポリポリ

機械工の娘「あはは。まぁいつでも雇ってやるから勇者廃業したらいいな!こき使ってやるけどな!」

勇者「うっせーよ。」

僧侶「ふふふ。お二人は仲良しなんですね」

機械工の娘「んんーっ?なんだこいつ?」

僧侶「初めまして僧侶と申します。勇者様の回復支援(ヒーラー)として仕えております。以後お見知りおきを。」

機械工の娘「ふーん」ジロジロジロ

機械工の娘「おい勇者、こんなやつ役にたつのか?」

勇者「それなりにな。」

僧侶「勇者様ひどいです。」(勇者より役にたってるわっての!)

機械工の娘「ふーん、別にいいけど。」

勇者「俺ちょっとおやっさんに用があるから中入るぞ。娘、僧侶の相手してやってくれ。」

機械工の娘「えーなんでアタイが…。」

僧侶「いってらっしゃいまし勇者様。」

機械工の娘「…。」

僧侶「…。」

機械工の娘「…」

僧侶「娘様。」

機械工の娘「あんだよ。」

僧侶「娘様は勇者様のことがお好きなんですね?」

機械工の娘「ば、ばか、そそそそんなわけ、あるわけねぇだろ!」

僧侶(図星か…。)

僧侶「わたしと勇者様は恋仲ではありませんよ?」

機械工の娘「ほっ。 いやいやいや関係ねーし!!」アセアセ

僧侶「フフフ」

【小一時間後】

勇者「じゃあおやっさん頼みます。」

機械工「ひょいっと久々に帰ってきたと思ったらこんな難題、土産にしやがって。」

勇者「すみません。でもおやっさんにしかこんな事頼めないんです。」

機械工「ふん、あたりめーだ。俺以外にできるかよ。」

勇者「はい!ありがとうございます。」

機械工の娘「そんで、勇者のやつよ、『男の子しかそのお化けは襲わない』っていうアタイの嘘を信じて毎日女物のパンツをはいてやがったんだぜ。」

僧侶「あらあら大変うふふ。」(でも俺も今パンティはいてる…。)

勇者「おい。何を話している?」

機械工の娘「やべ。」

僧侶「ふふ、勇者様のお話です。親方様とのお話はおしまいですか?」

勇者「くそ、いくぞ。」

僧侶「あら?今夜のお宿ですか?」

勇者「俺の実家だ。」

【一本杉のある家の前】

勇者「俺はちょっとじいさんに挨拶してくる。お前は宿でもとって先に休んでいろ。」

僧侶「あら、それでしたらわたしもおじい様にご挨拶したいですわ。」(勇者の血筋を確認したほうが今後育てやすいしな。)

勇者「宿で寝てろ。」

僧侶「いやです。」キッパリ!

勇者「ちぃ、ちょっと顔だすだけだ。お前は…。」

祖父「なんじゃあ外に誰かおるんかいのう?!」

勇者「お、おじいちゃん!」

僧侶(おじいちゃんだと?ずいぶん甘えた声出すじゃないか。)

祖父「その声は勇者か?!早く家んなか入ってこい!鍵は空いてるからのう。」

勇者「うん。」

【勇者の実家の中】

勇者「おじいちゃん、ただいま!」

祖父「ずいぶん立派になったのう。」

勇者「おじいちゃんが倒れたって聞いたからびっくりしたよ。」

祖父「なあに、持病の慢性閉塞性肺疾患(COPD)がちょいと悪化しただけじゃあ。」ゴホゴホ

勇者「頼むよ!もう若くないんだからさ。」

祖父「ふんまだまだじゃあ。ところで大魔王は倒したのか?」

勇者「まだだよ。そんな簡単にはいかないよ〜。」

僧侶(そっか、おじいちゃん子なんだな。この姿をみられるのが恥ずかしかったんだろうな。愛いやつ。)

祖父「ところでこの方はどなたじゃ?」

勇者「僧侶だよ。一緒に大魔王を倒す旅をしている。」

僧侶「僧侶と申します。勇者様の回復支援(ヒーラー)として仕えております。以後お見知りおきを。」

祖父「こんな立派な方が孫とパーティーをくんでくださるなんてありがたいことじゃ。孫をよろしくお願いいたします。」

僧侶「こちらこそ勇者様にはお世話になっております。」

祖父「それにしても勇者よ、まだいい人はおらんのか?」

勇者「え?」

祖父「正直わしも老い先短い、死ぬ前にお前の嫁に会わせてほしいんじゃ。」

勇者「それは、い、いるよ。」

祖父「なんじゃって!どこのどなたじゃ?」

僧侶(え?)

勇者「えっと、そ、僧侶だよ。この僧侶と旅を終えたら結婚するんだ。」ポリポリ

祖父「なんとこんな綺麗な方とか!!本当か?」

僧侶(おいおい)

勇者「う、うん。」(僧侶すまん頼む。)

僧侶「はい。未だ僧籍の身ですが、もしわたしにも平和な時をいただけたら勇者様の伴侶として過ごさせていただきたいと思っております。」ペコリ

(仕方ないじいさん孝行だ。)

祖父「尼さんに手を出すとは我が孫ながらあっぱれ!僧侶さんこんな家ですが末永くよろしくお願いいたします。」

僧侶「そんな、お顔を上げてください。もったいないことです。」

勇者「そうだよ、おじいちゃん。」

祖父「馬鹿者!お前なんかに嫁に来るなんて奇特な方もう二度と現れんわい!」

勇者「それひどくない?」

僧侶「うふふ」(こういうのもいいな。)

【勇者の実家 夜更け】

勇者「おじいちゃん喜んでいたな。」

僧侶「そうですね。でもあんな嘘をついてよかったのでしょうか。少し心が痛みます。」(嘘は嘘だからなー俺男だし。)

勇者「うん…。」

僧侶「あの、明日たつ予定でしたがもう少しここにいませんか。」

勇者「え?」

僧侶「おじい様に、少しの間でもそばにいてあげませんか?」

僧侶「わたし達が大魔王に勝てなければおじいさまは一人です。わたし少しでもおじい様のために何かしてあげたいのです。」(俺もお人よしだな…。)

勇者「…。ありがとう僧侶。」

僧侶「いいえ。」

(何故か不思議に勇者のじいさんをかまいたくなった。きっと大魔王の呪いの所為なんだろう。早く勇者XXXに戻りたいものだ。)

【勇者の実家 朝】

祖父「うん?朝か。なんかいい匂いがするのう?」

僧侶「あ、おはようございます。」トントントン

祖父「僧侶さん。何をしているんじゃ、貴女様に朝飯なんか作らせては申し訳ない。」

僧侶「いいんですよ。こういう風に誰かのために作るのって久しぶりで楽しいんです。おじいさまは具合が悪いんですから寝ていてください。」(まぁ一人旅でよく料理していたしな。)

祖父「いやいや僧侶さん ゴホンゴホン!」

僧侶「ほら!もう。スープを先に入れておきました。それを飲んで待っててください。」(じじい!寝ろ!)

祖父「すまんのう、お言葉にあまえるとするか。」

勇者「ただいまー腹減ったよー!」

僧侶「おかえりなさい、朝のおけいこお疲れ様です。」

勇者「お、うまそうじゃん!」ヒョイ パク

祖父「馬鹿もん!!先にお祈りをせんか!!お祈りを!!」

勇者「ゴ、ゴメ」

僧侶「ふふ、もっと言ってあげてください。」

(勇者の祖父に料理を作り。)

祖父「おろ、わしの長そでとメリヤスは?」

僧侶「はい!昨日あらっておきました!」シンピン!

祖父「おお、すまんのう。」

勇者「僧侶〜素振りしたらズボン汚れた、頼む!」ッポイ

祖父「こら!」

(衣服をそろえ)

祖父「あーいい湯じゃあ」

僧侶「おじいさまーお背中ながしますよ?」

祖父「うは、いやいやいや!けっこうじゃ!!」

僧侶「遠慮しなくていいんですよ?」(俺男だし。)

勇者「僧侶それやりすぎ。」

(身の回りのお世話をして数日を過ごした。)

僧侶「おじいさま、ここですか?」トントン

祖父「そこじゃそこじゃ、肩までもんでいただいてありがとうございます。」

僧侶「いいええ。」

祖父「僧侶さんは優しい。孫の嘘につきあってくださってありがとうございます。」

僧侶「え?」

祖父「隠さなくてもいい。本当は勇者と結婚の約束なんてしていないんじゃろ。勇者の嘘をつくとき鼻をポリポリと掻く癖はいまだに治らないからのう。」

僧侶「…。」

僧侶「だますような真似をしてすいませんでした。」

祖父「はっはっは!いいんじゃいいんじゃ!」

祖父「勇者はのう、わしの本当の孫じゃないんじゃ。町の橋の下に棄てられておったのをわしがひろってきた。幸い勇者はわしを本当の祖父のように慕ってくれた。」

祖父「勇者はわしと同じ炭鉱夫になるつもりだったのじゃがな、数年前からこの町では石炭が取れなくなってしまった。そして国はこの町への援助を終わらすと言ってきたのじゃ。」

祖父「もちろん困った。わしらは炭鉱のこと以外何もできなかったからのう。」

祖父「そこで勇者が、勇者に志願したんじゃ。勇者の出身地ならば国も援助をやめるわけにはいかんからのう。おかげで町は生き残り、今では新しい鉄鋼の鉱脈がみつかり、工業も国でいちにを争うまでに発展したんじゃ。」

祖父「勇者を守っていたつもりが、気が付いたら守られていた。そんなまぬけな話じゃ。」

祖父「僧侶さん。あのこは優しい子じゃ。いつも自分より他人を優先する。あの子の事をよろしく頼みますぞ。」ポロポロ

僧侶「泣かないでください。わたしが必ず勇者様を守ります。」

祖父「この数日、本当のお嫁さんが来たようで幸せでした。やさしい嘘をどうもありがとう。」

僧侶(じいさん…。)

【勇者の実家】

勇者「いってくるよおじいちゃん。」

祖父「おう、いってこい!」

(勇者の祖父との別れはそんなそっけのないものだった。それでもこの二人には十分なのであろう。)

僧侶「勇者様、おじいさまから聞きました。勇者様が勇者になった理由。」

勇者「おじいちゃん…」ヨケイナコトヲ

僧侶「この町のみんなのためだったんですね?」

勇者「お前勇者XXXって知っているよな?」

僧侶「ええ名前ぐらいは。」(俺よりそいつに詳しいやつはいないけどな。)

勇者「馬鹿、超有名人だろ。唯一大魔王を一人で追い詰めた勇者だぞ。」

僧侶「そうでしたね。」(おい、もっとほめろ。)

勇者「みんな色々いうけどな。あの人特に身寄りもなかったし、勇者になったのは教会の信託で選ばれたからなんだってよ。」

僧侶「すごい方ですね。」(そうだった。羊飼いをしているところを教会の奴らがおしよせてきやがったんだった。)

勇者「そうだ。でもあの人は守るものもなく、言われるがままに他人のために大魔王と一人で戦ったんだ。」

僧侶「…。」

勇者「何て孤独だったんだろうって思う。勇者XXXの事を考えるといつもかなしくなる。」

僧侶「!」

勇者「彼はとても寂しい人だ。」

僧侶(あ…。)

(勇者の言葉を聞いて俺は初めて自分が孤独だったことを知った。)

(どんなに強くなっても消えない焦燥感。)

(民衆の声援や王侯貴族の賛美でも満たされない心の理由。)

(一人で戦う心細さ。戦う理由のわからない日々。)

(俺は孤独だったのだ。)

勇者「それを考えると戦う理由がある俺は何て幸せなんだろうって思…、おいどうした?」

僧侶「いえ…」ホロリ

勇者「なんで泣いてるんだ?」アセアセ

僧侶「えぐ…」ポロポロ

(えんもゆかりもない勇者だけが唯一俺の孤独を知り、いたわってくれていた。)

僧侶「うぇええええん…」ポロポロポロ

勇者「お、おいい、飴あるぞ?いるか?」

僧侶「えぐ、えぐ、勇者様…。」

勇者「な、なんだ?」

僧侶「勇者様にはわたしがいますからね?」

勇者「そうだな、よろしく頼むぞ僧侶。」

僧侶「はい!」

(‘勇者XXX’の孤独は彼の言葉で癒されたのだ。)

【機械工の工場】

機械工「おう、じいさん孝行はしてきたのか?」

勇者「はい。」

機械工「そうか。お前にたのまれたものできてるぜ?」ホラヨ

僧侶「わーすごい!大きな風船」

機械工「気球っていうんだよお嬢ちゃん。ガスを抜いてたためば持ち運べるサイズになる。これさえあれば渦潮の海を渡れるだろう。」

勇者「ありがとうございます!」

機械工「気球の礼はうちの娘をもらってくれるってんでいいぜ。」

機械工の娘「ば、ばかあに言ってんだよ父ちゃん!」

機械工「まぁしかしお嬢ちゃんがいたんじゃあきらめるしかねえか。そうなんだろ?」

僧侶「それは実はおじいさまを喜ばそうとしたデマなんです。でもおじいさまにはばれてしまいました。」

機械工「なにデマ?じゃあうちの娘も脈があるってことだな。」

機械工の娘「やめろってくだらねえ!」ホッ

勇者「おやっさん相変わらずだなぁ。気球ありがとうございました。そろそろ俺ら冒険にむかいます。」

機械工「おう、達者でな!」

勇者「いくぞ僧侶。」

僧侶「はい、でもちょっと待っててください。」トテトテトテ

機械工の娘「?」

僧侶「娘さん、でもわたしたちがライバルなのは本当ですよ?」ボソ

機械工の娘「ち、ようやく本性表しやがったか。上等だぜ。」

僧侶「いざ尋常に勝負です。」

機械工の娘「おう!」ニヤ

勇者「何を話してたんだ?」

僧侶「女の子同士の秘密です!」

勇者「なんだそれ?」

(わたしは勇者XXX。大魔王の呪いで機械工の娘にちょっと意地悪をいってみたんだと思う。)

【北の孤島】

(機械工の気球船で北の孤島にのりこんだ勇者様とわたしは順調にダンジョンを攻略していった。)

勇者「姫様よ!助けにきたぜ!」

姫「あ、貴方は?」

勇者「始まりの町の勇者だ。姫様の国からの要請で助けに来た。」

姫「あぁなんて凛々しい方!ありがとうございます。」ポ

僧侶「ここは姫様救出を優先して脱出しましょう!」

勇者「おう!」

さまよう鎧「…」ブン!

姫「あ、あぶないですわ!」

勇者「よっと!」

―勇者の攻撃!さまよう鎧を倒した!―

勇者「ふん。」

姫「一撃…。」

僧侶(さすがです勇者様!)

姫「素晴らしいですわ!貴方様こそ真の勇者様です!!」ダキツキ

勇者「わ、なんだなんだ?!」

僧侶「!!」ムムッ

姫「はじまりの国の勇者にしておくにはもったいないですわ。是非我が王国の勇者として迎えさせてください。」

勇者「なんだってんだよ。脱出が優先だろ?」

姫「わたくしとしたことが恥ずかしい。つい舞い上がってしまいました。さぁ早く脱出しましょう。おつきの方しんがりをお願いします。」

僧侶(む。なんで姫様にいわれなきゃいけないのよ。)

勇者「僧侶、とりあえずこの姫様を気球に案内するわ。先に行く。」 クル スタスタスタ

僧侶「はい…。」

―アンデッドキングとトロールABCDEFがあらわれた!―

アンデッドキング「おじょうちゃんもう逃がしはしないぜ。」

トロール達「グハハハッハハ」

僧侶「ザラキ。」

―トロールABCDEFを倒した!―

アンデッドキング「!!」

アンデッドキング「いきなりザラキとは卑怯なやつ!しかしアンデッドのワタシにはザラキなど効かんわ!」

僧侶「ライデイン。」

―アンデッドキングを倒した!―

僧侶(なに、あの姫様?勇者様も勇者様です!わたしを一人にして!)ムカムカ

【隣国の王国 玉座】

隣国の王「よくぞ娘を助けてくれました。勇者様の勇気と強さには感服いたしました。どうかこの私めにお礼をさせていただけませんか?何かお望みのものを仰って下さい。」

勇者「隣国の王様。私は魔物と戦うのが仕事です。何も求めはしません。それでもというのであればプリンぱんを数個くだされば満足でございます。」

僧侶(勇者様かっこいい!)ジュルリ

隣国の王「プリンぱんですか!なんとも欲のない方ですな。貴方の様な方ならこの国すら譲ってもかまいませんぞ。」

勇者「冗談でも私のような下賤の者にはもったいないお言葉。それだけで十分でございます。」

隣国の王「冗談ではござらんぞ。どうですかな?私には跡継ぎがおりません。娘をもらってはくれませんか?」

姫「まぁ、お父様ったら。」

勇者「へ?」

僧侶「ええええええーーーーー!!!!?」

勇者&王&姫 ビク!!

【隣国の城 宴会場】

大臣「貴女のような美しい方が勇者様と伴に戦っておられるとはたいしたものですな。」

僧侶「ど、どうも。」

大臣「さぁさぁあなたも一献いかがですか?」

僧侶「はぁ、どうもありがとうございます。」

僧侶(宴会の途中で勇者様は姫様に連れられてどっかに行ってしまった。)

大臣「この国の名産である葡萄酒はのみごこちも柔らかく、女性にも評判なんですよ。」

僧侶「ぐびぐび」

僧侶「ぷはーっ」

僧侶(別にわたしには関係ないけどさ。勇者様のこと好きなわけじゃないし。)

大臣「おおー!なんという素晴らしいのみっぷり!」

僧侶(ただ嘘とはいえ結婚する約束をしたわけで。)ムカムカ

大臣「ささ、もう一杯。」トクトクトク

僧侶「…。」

僧侶(ってか大魔王を倒すんじゃなかったの?)

僧侶「ぐびぐび」

僧侶「ぷはーっ」

僧侶(そう!大魔王を倒してもらわないと困るの!だってもとに戻れないじゃないですか!)

大臣「ほれぼれしますな!!さすが勇者様ご一行!まだありますぞ!」トクトクトク

僧侶「ぐびぐび」

僧侶「ぷはーっ」

僧侶「そうよ!だいまおうをらおすんだから!!はれ…?」

バタン キュー

大臣「ちょ!誰ぞー人を呼べー!」

ワーワー キャキャー タイヘンヨー

【姫様の部屋】

姫「見てください。ここの窓から見える景色を。町は活気にあふれ、人々はいきいきと暮らしています。」

勇者「…。」

姫「確かに肥沃な大地に在る我が王国は、それがため魔物の標的となることはあります。しかしこれほど栄えている王国は他にはないでしょう。欲しいものがあれば隣国に行けといわれているほど様々なものにあふれています。」

勇者「…。」

姫「そんなこの国を自分の物にしたいとはおもいませんか?あなたが望めばそれは叶います。私ごとこの国を勇者様の物にさせて下さいませ。」

勇者「俺の故郷は何もないところだった。何もないのには慣れている。」

姫「しかしそれで勇者様はお幸せですか?」

勇者「大魔王を倒すのが俺の仕事だ。」

姫「大魔王を倒してからでもかまいません。」

勇者「いやね、だからさ…。」

姫「私の事がいやならはっきし言ってください。」

勇者「いやじゃないんだけどね。だけどさ。」

姫「それとも他に思い人がいらっしゃるんですか?はっきり言っていただけたら私あきらめます!」

勇者「…。」

勇者「わかった。はっきり言おう、俺には…」

衛兵「勇者様のおともの方が倒れてしまわれたぞーー!!」

大臣「はやく介抱をするのじゃー!!」

勇者「あいつ…。すまねえ姫様!ここで失礼するわ!」

姫「あぁ勇者様!?」

【客間】

僧侶「は!」

ズキン

僧侶「あう、頭痛い…。」

僧侶(またやってしまった…。)

勇者「起きたか?」

僧侶「勇者様!?」

勇者「またお前酒飲んだのか?いい加減酒乱だってことに気付け!」

僧侶「べ、別に勇者様には関係ないです!それより大魔王討伐は続けるんですか?やめるんですか?」

勇者「へ?なんだそれ?」

僧侶「だって勇者様は姫様とご結婚されるんでしょ?それだったら大魔王討伐はできませんもんね!」

勇者「おいおい落ち着けよ。」

僧侶「落ち着いています。でもねわたしも次のパーティー探さなくてはならないのではっきりして欲しいんです!」

勇者「あのな姫様と結婚なんてしねえよ。」

僧侶「え?」

勇者「ふられちゃったんだ。」ポリポリ

僧侶「!」

僧侶(お鼻掻いてる。)

勇者「だから大魔王倒したら嫁さん捜ししないとな。」

僧侶(そっか。断ったんだ…。)

僧侶「ふふ、せっかくのギャクタマ残念ですね。」

勇者「まったくだ。」

僧侶「よし!ハートブレイクの勇者様を今日は慰めてあげますよ。」

勇者「酒でもつきあってくれるのか?」

僧侶「う…。それは勘弁してください。」

【隣国の王国 城下 門】

僧侶「…。」ムスー

勇者「おいおいどういうつもりだ?そんな旅支度の格好をして。」

姫「私、昨日一晩考えましたの。勇者様に私のこともっと知ってもらう必要があるって。ですから私、勇者様の大魔王討伐にお供することにしましたわ。幸い回復魔法は全てマスターしております。どうぞ良しなに勇者様。」

勇者「…勝手にしろ!」

僧侶「え?いいんですか?」(やだー!やだー!)

勇者「駄目って言って引き下がる姫様じゃねえだろ?」

姫「ふふ、勇者様に少しは私の事を分かってもらえているようで嬉しいですわ!」

(こうして勇者一行は3人となった。)

【始まりの街の王国 玉座】

王様「勇者ちゃんご苦労様。おかげで隣国からたっぷり礼金をもらったよ。ちなみに仲間みつけといたから、今回は火力だぞ。感謝してよね。」

勇者「はい?」

【始まりの町 城下】

魔法使い「勇者様!アタシ魔法使いといいます!どうぞよろしくお願いいたします!」

勇者「う、うん。」

姫「私は姫ですわ。回復系は全てこなせますわ。貴女はどんな魔法が使えまして?」

魔法使い「えっと基本的なのだけなんですが、メラゾーマ、イオナズン、ベギラゴンクラスならできます。さすがにメテオとかアルテマとかはできないんですが…。」

僧侶(最強ランクじゃないですか。これはかなりの実力です。)

姫「そういえば僧侶さんはどこまで魔法がつかえますの?」

僧侶「ええっとライデインかな…?アハハ」(つっても威力は勇者XXXのときの10分の1くらいだけど…。)

姫&魔法使い「シーン」

僧侶「う…。」

勇者「おい、早く南の城塞にむかうぞ。」

姫「む、わかりましたわ。」

魔法使い「はい、すいません。」

僧侶(昔のわたしならともかく、今のわたしが誇れるものってなんだろ…。)

【南の城塞】

―リビングデッドの攻撃!勇者は37のダメージをうけた!―

勇者「…!!」

姫「勇者様!」

―姫はベホマを唱えた!勇者は全回復した!―

勇者「もったいないまねしてんじゃねーよ!」

―勇者の攻撃!リビングデッドに107のダメージ!リビングデッドを倒した!―

姫「あら心外ですわ!魔法の盛衰はいくらでもありますもの。」

―ストーンマンがあらわれた!ストーンマンはいきり立って勇者に襲いかかった!―

僧侶「あ、あぶない!!」

魔法使い「ベギラゴン!」

―魔法使いはベギラゴンを唱えた!ストーンマンを倒した!―

勇者「く、さんきゅー。」

魔法使い「えへへどういたしましてです!」

僧侶(うぅ、わたし空気だ…。わたしも役にたたなきゃ。)

―キングレオがあらわれた!キングレオはこちらの様子をうかがっている!―

姫「む、キングレオまでいるなんて。きりがないですわね。」

キングレオ「がるるる」ノッシノッシ

魔法使い「きゃ、こっちに来ましたです!」

僧侶「えぇい!」(わたしだって!)

ポカ

―僧侶の攻撃!キングレオに14のダメージ―

僧侶「うは」(しょぼすぎ〜、女の子の身体ってこんなによわかったの?)

キングレオ「がおるるるう!!」イテージャネーカ

―キングレオはいきり立ち僧侶に襲いかかった―

僧侶「きゃ」

勇者「僧侶!!」

―勇者は身を挺して僧侶を守った!勇者に145のダメージ!―

勇者「ぐぅ」

僧侶「え?勇者様!!」

勇者「東のほこらの借りはかえしたぜ はは」ガクン

僧侶「ゆ、勇者様しっかりしてください!」

魔法使い「勇者様!」

姫「まずいですわ!いったんひきましょう。」

キングレオ「くおおおおおおおおんん!」

姫「リレミト!!」

―姫はリレミトを唱えた!勇者達は南の城塞から脱出した!―

【始まりの街 宿屋】

魔法使い「勇者様大丈夫ですか?」

姫「私のベホマをかけましたわ。命に別状はないでしょう。」

勇者「あぁなんか痛みも取れてきた。」

魔法使い「よかったです。今日は一日絶対安静ですからね」ホッ

僧侶「…。」(わたしのせいで勇者様が…。)

姫「時にあなた!」

僧侶「はい…。」

姫「今回の責任をどう感じていらっしゃるの?!」

僧侶「す、すいません。」

勇者「おい。僧侶は関係ないだろ。」

姫「勇者様は僧侶さんに甘いですわ!」

姫「それに教会に問い合わせたところ‘僧侶’という僧侶はどこにも登録されていませんでしたわ。」

勇者「!」

僧侶「…。」

魔法使い「え?それって僧侶さんは僧侶でもなんでもないってことですか?」

僧侶「そ、それは…。」

勇者「それは別に関係ないだろ!!」

姫「百歩譲って僧籍にないことは見逃します。しかし回復呪文も攻撃魔法も物理攻撃も劣るあなたにこのパーティーの一員である意味がありまして?」

僧侶「…。」

(わたしが勇者XXXだったのは昔のことだ。今は回復魔法でも支援魔法でも長所のない役立たずであるということに今になってやっと気が付いた。)

【始まりの街 宿屋 勇者の部屋】

僧侶「勇者様。」

勇者「僧侶か、どうした。」

僧侶「…。」

勇者「さっきのことは気にすんなよ。」

僧侶「すいませんでした。」

勇者「おいおい、お前は必要な人間だよ。」

僧侶「…!」

僧侶「勇者様。わたしは僧籍に在るなんて嘘なのは本当です。ベホマすら使えない、前衛でも戦えない。そんな者を本当に必要だなんて思ってますか!!」

勇者「おい…。」

僧侶「わたしだって…わたしだって…。えぐ…。」

勇者「おい!」ガ

僧侶「わたしなんかいらない子です。離してください勇者様!」

勇者「うるさい!」ギュッ

僧侶「ゆ、勇者様?」

勇者「うるさい勇者に従え。」ギュウ

勇者「お前は俺のパーティーメンバーだ。」

僧侶「…。」

僧侶「はい…。」ギュ

チュ

僧侶(へ?)

チュウ

僧侶「ゆ、勇者様?」ドキ

ハム

僧侶「ひゃん!」(耳!)

チュ

僧侶「はう。」(首…。)

僧侶「あの…。勇者様…?」

勇者「…。」

ツーー…

僧侶(あ、首を伝って…。)

僧侶「」ビクン

僧侶「だ、だめです…。」グイ

勇者「いやか?」

僧侶「だって…。わたしのちっさいんですもん。」

勇者「ははは」

僧侶「わ、笑わないでください!」

勇者「僧侶!」

僧侶「あう。」

ギュ

【宿屋 夜中】

僧侶「…。」ムクリ

勇者「すーっすーっ」

僧侶(寝てる。かわいい。)キュン

ブルッ

僧侶(わたしの服、あんなとこに。)

トテトテトテ

僧侶(うんしょうんしょ。)

僧侶「よし。」

僧侶(勇者様、今までありがとうございました。必ず強くなって帰ってきます。)

(今のわたしでは大魔王討伐の役に立たない。だからわたしは勇者様から離れることにした。)

【夜道】

僧侶(夜はまだ風が寒い…。)トボトボ

僧侶(一人で夜道を歩くなんて、もう考えられなくなってた。)

僧侶(いつも暗いところや危ないところは勇者様が付いてきてくださったもんな。)

僧侶(夜がこんなに怖いなんて、一人がこんなに心細いなんて知らなかった。)

グゥ

僧侶(フフ、勇者様と食べたプリンぱん美味しかったな。一個持ってくれば良かった。)

僧侶(落ち込んでてもお腹ってすくんですね。)

僧侶(…。)

僧侶「さみしいよ、勇者様。」ポロリ

【港町 コスタール】

僧侶「んー潮の香り。野宿なんて大魔王と戦ってたとき以来だな。」

僧侶「強くならなくっちゃ!」ヨシ

僧侶(勇者様今頃なにしてるかな?)

「勇者XXXなんて知らねえよ!」

僧侶「え?」

記者「いやいや貴方が勇者XXXと戦った。戦士さんだってことは知ってるんですよ!ぜひお話しを聞かせてください。」

戦士「俺は今は宿屋と小料理屋の店長だ。勇者XXXの話なんてしたくもねえ。」

僧侶(うへ。)

記者「おや?やはり勇者XXXとあなたは仲が悪かったのは本当なんですね?あの大魔王討伐に失敗したXXXの裏話聞かせてくださいよ〜!」

戦士「!!」

バギ!!

戦士「あいつの悪口を言っていいのは俺だけだ!!おとといきやがれ!」

記者「ひ、ひ〜〜〜!」

―記者は逃げだした!―

僧侶(戦士だ…。大魔王城突入前に喧嘩別れした以来だな。)

戦士「ん?」

僧侶 ジー

戦士(なんだこの修道女…。)

戦士「やじうまかい?お客さんかい?」

僧侶「へ?え?あ、あの。お客さんです!」ワタワタ

戦士「ふん、じゃあ入ってきな。」

【コスタールの小料理屋】

女僧侶「おかえりなさい」

戦士「おう。」

女僧侶「あら?お客さん?」

戦士「おう、ちょっと店の裏にいってくる」ドスドス

僧侶「え、ええとその。」(女僧侶もだ!懐かしい、元気にしていたんだなぁ。)

女僧侶「こんにちは。勇者XXX様のことを聞きにこられたのかしら?」

僧侶「え?そういうわけでは…。」(なんでいきなり?)

女僧侶「あら、そうですか。ここに立ち寄られる方は皆勇者XXX様の事を知りたがるんです。でも私は禁呪法の反動に耐えられず途中でリタイアしてしまったから大したことは話せませんけどね。」

僧侶「禁呪法…。」(そっか、この手があった。)

(まだわたしが勇者XXXだったころ、女僧侶に渡したのが禁呪法の魔法書だった。彼女は禁呪法の影響で身体がボロボロになり大魔王城突入直前でパーティーを離れたのだ。)

僧侶「禁呪法の魔法書を渡して使わせるなんて勇者XXXは酷い人ですね。」

女僧侶「!」

女僧侶「禁呪法がなかったら私はあの戦いを生き残れませんでした。ですから私は勇者XXX様に感謝しています。」

(彼女の言葉に救われた。そして『禁呪法』、これこそがわたしが勇者様と伴に戦ううえでの武器になるのであろう。)

僧侶(禁呪法があれば勇者様と一緒に戦うまでの実力を持つことができる!)

僧侶「あの、禁呪法の魔法書をいただくことはできませんか?」

女僧侶「何故ですか?先ほども言ったように禁呪法は放った術者にも悪影響を与える代物です。貴女がそれほどの力を必要とする理由はなんですか?」

僧侶「そ、それは。」

(勇者様と伴にいたいから…。)

僧侶「わたしは始まりの街の勇者様とパーティーをくませていただいていました。」

僧侶「勇者様はどんどんと実力をつけられ今や大魔王に挑戦するほどに成長されました。しかしわたしは勇者様と戦いを一緒にできるほどの実力にはなれませんでした。」

僧侶「強くなりたいのです。勇者様の役に立てるほどに強くなりたいのです。」

僧侶「彼とならんで歩けるほどの実力が欲しい…。」

女僧侶「そう…。」

女僧侶「貴女はその方に恋しておられるんですね。」

僧侶「え。」

(そうだ、わたしは勇者様に恋をしていたのだ。大魔王を倒すための手段だと思っていたのにいつのまにか勇者様がわたしの目的になっていた。)

僧侶「そうです。」ポ

女僧侶「ふふ、禁呪法を手に入れるのにそれより相応しい理由なんてないですね。」

僧侶「じゃ、じゃあ?」

女僧侶「でも駄目です。勇者XXX様が魔法書を下さったのをしっているのは私と戦士様と勇者XXX様だけ。」

僧侶「!」

女僧侶「貴女は誰かしら?」

戦士「俺も知りたいな。」ヌ

僧侶「戦士!」(いつのまに!)

戦士「俺の名前も知っているのか。禁呪法の魔法書とXXXから預かった伝説の剣を奪いに来たのはお前だけじゃない。ただのコソ泥から大魔王の手先までいた。」

戦士「お前は何者だ?」ギラリ

僧侶(そっか。しまったな。戦士も僧侶もこういう人達だった。黙っているのも潮時だな。)

僧侶「ふふふ」

戦士「何がおかしい?いつでもXXXの剣がお前ののどをきりさけるんだぞ。」

僧侶「なにがおかしいって二人とも俺の物を後生大事に守っているもんだから律儀なもんだとおもってな。」

戦士「!!」

女僧侶「あなたのもの?どういうことです?!」

僧侶「俺が勇者XXXだ。」

戦士「お前ここに来るまでの間ウサギをどうした?」

僧侶「白いウサギは海に、青いウサギは野原に逃がしてやったよ。」

戦士「もう一羽はどうした?」

僧侶「月にいっちまった。」

戦士&女僧侶「!!」

僧侶「懐かしい。モシャスばかり使うモンスターへの対応に戦士が考えたんだったな。」

女僧侶「勇者XXX様なんですね…。」

僧侶「俺の預けたものを返してもらえないか?」

【コスタールの小料理屋】

(わたしは大魔王と戦い、この姿になったこと。そして勇者様と出会ったこと。すべてを二人に話した。)

(ふたりは訝しげに話をきいていたが最後には禁呪法の魔法書と伝説の剣を渡してくれた。)

女僧侶「私達の憧れだった勇者XXX様をここまでかえた始まりの街の勇者様に嫉妬してしまいました。いつかあってみたいものですわ。」

僧侶「ふふ、素晴らしい方ですよ。」

戦士「かわいらしくなっちまったなXXX。」

僧侶「今ではその言葉もほめ言葉です。」

戦士「XXX。」

僧侶「はい?」

戦士「お前が実力の足らない俺たちが犬死をすることを恐れて、最後パーティーを解散したのはわかってるんだ。」

僧侶「…。」

戦士「お前も無理だと思ったら躊躇せずに逃げてほしい。」

僧侶「フフッ優しいのですね、普段はあんなに意地悪なのに…。」

戦士「バカヤロ。」

【南の要塞】

姫「ベホマ!」

魔法使い「ベギラゴン!」

―モンスターたちを倒した!―

姫「やったですわ。」

魔法使い「やったー!」

勇者(お前らMP使いすぎだろ。)

キングレオ「がおうるる!!」

―キングレオがあらわれた!―

姫「この前はこいつにやられたんでしたわね!」

魔法使い「まかしてください!」

―魔法使いはイオナズンを唱えた!キングレオに203のダメージ!―

ちゅどーん!

キングレオ「きゃいいーん…。」

―キングレオをたおした―

魔法使い「楽勝ですぅ!」

勇者「おい!まだボスが控えているのにMPを大切にしろ!」

姫「勇者様あの子がいなくなってから何かピリピリしすぎじゃありませんか?」

魔法使い「倒したのにあんまりですぅ。」

勇者「〜〜〜。もういい!」

要塞のボス「ほほう、仲間割れとは助かりますね。」

―要塞のボスがあらわれた!―

勇者「お前がここのボスか。」

要塞のボス「いかにも。うちのかわいい猫をいじめてくれたお礼をしなくてはいけませんね。」

―要塞のボスは仲間をよんだ!サイクロプスABCDEFGHIがあらわれた!―

姫「ここにきて…。」

魔法使い「この手数ですか。」

【南の要塞 ボス戦】

姫「はぁはぁ、あらかた倒しましたがもうMPがありませんわ。」

魔法使い「ふぇ〜ん、アタシもです…。」

勇者「おい、くるぞ!お前たちは下がっていろ!」

―サイクロプスBが迫ってきた!サイクロプスBの攻撃!―

「ライデイン!」

―サイクロプスBをたおした!―

勇者「!」

姫&魔法使い「え?」

要塞のボス「修道服にそんな長い剣なんて変わった格好をしていますね。」

僧侶「変な姿のあなたにそんなことを言われる筋合いはありません。」

姫「あなた!?」

魔法使い「僧侶さん!」

僧侶「皆様、どいてください。勇者様の隣はわたしの席です。」

勇者「おまえ…。」

僧侶「勇者様、ただいまです。僧侶は帰ってきました。」

勇者「僧侶。」ギュ

僧侶「へ?勇者様?駄目です!皆さんいるのに…」

僧侶「あう。///」

要塞のボス「私の前で余裕ですね。いつまで抱き合っているのですか?かわいいサイクロプス達を倒してくれた仇とらしてもらいますよ?」

勇者「僧侶下がってろ!」

僧侶「大丈夫です勇者様。」

―要塞のボスの攻撃!僧侶に0のダメージ!―

要塞のボス「なに?こんなひ弱な身体に私の爪がとおらないだと?」

僧侶「これがスカラの禁呪法です。」

僧侶「そしてこれがボミオスの禁呪法です。」

―僧侶はボミオス(禁)を唱えた!要塞のボスの素早さが0になった!―

要塞のボス「な〜〜ん〜〜て〜〜こ〜〜と〜〜だ〜。う〜〜ご〜〜け〜〜な〜〜(以下略)」

僧侶「ルカニの禁呪法もあります。」

―僧侶はルカニ(禁)を唱えた!要塞のボスの防御力を消し去った!―

要塞のボス「や〜〜め〜〜ろ〜〜。た〜〜す〜〜(以下略)」

僧侶「ふふふ、この戦いも以下略です!」

(その後南の要塞を攻略し、わたしは勇者様のパーティーに戻ることになった。)

【始まりの街 宿屋】

コンコン

僧侶「はい?」

勇者「僧侶。」

僧侶「あら勇者様こんな夜更けにどうしました。」

勇者「いやお前がいなくなってないかと思ってな。」

僧侶「わたしだってお化けじゃないんだからそうそうフラフラと消えていったりしませんよ。」

勇者「ばかやろ!フラフラしてるじゃないか!」

僧侶「す、すいません。」

勇者「僧侶」

僧侶「はい?」

勇者「この冒険が終わったら、おじいちゃんに言った嘘を本当にしないか?」

僧侶「え?」

勇者「お前が好きだ。結婚して欲しいんだ。」

僧侶「本当ですか?」

勇者「本当だ。」

僧侶「じゃあ証拠をみせてください。」ン

チュ

僧侶「ふふ、信じました。///」

勇者「もっとすごい証拠をみせてやる!」ガバ ドサ

僧侶「やん」

【大魔王城 玉座前】

僧侶(ここに来るのは2回目ですね。)

姫「ついにここまで…」

魔法使い「きましたです。」

勇者「みんな、準備はいいか?行くぞ!」

皆「「「はい!!」」」

【大魔王城 玉座】

―勇者一行と大魔王は交戦中!!―

大魔王「よくぞここまできただけはあるな。」

勇者「貴様を倒すことが俺たちの未来だ!」

―勇者一行と大魔王は交戦中!!―

大魔王「なるほど、たしかに余が少し押されておるな。」

姫「そうです私たちが押してますわ!」

魔法使い「はい!このまま押し切ります!」

―勇者一行と大魔王は交戦中!!―

大魔王「しかし以前勇者XXXが来たほどではないな。」

大魔王「お前たちにはもったいないが余の秘術をみせてやろう。」

―勇者一行と大魔王は交戦中!!―

勇者「ぬかせ!けりをつけてやる!でやああ」

大魔王「ふふふ。」

僧侶「い、いけません!この光は…!」

ピカーー!!!

―大魔王は呪文を唱えた!勇者達と大魔王は光につつまれた!―

勇者「な、なにをした!」

大魔王「余は並み居る強敵をみなこの秘術で取り除いてきたのだ。」

勇者「うわぁああああ!!」

姫&魔法使い「きゃああああ!!」

―光はさらに明るさを増し、あたりはその輪郭を徐々に失っていった!―

大魔王「はぁはぁ。勇者XXXは最後の力でリレミトで逃げたがな。どれ貴様らの無様な姿を見てやろう。」

勇者「けろけろ」

姫「ぶひーぶひー」

魔法使い「わんわん!」

大魔王「ふはは、貴様らは特別に我が大魔王城で愛玩動物としてかってやろう。」

大魔王「貴様!何故?!」

僧侶「チェンジスがかかったものにチェンジスはかからない。そうでしたね?」

大魔王「そうか!貴様か!勇者XXX!」

僧侶「さぁリターンマッチです。」

僧侶(勇者様たちがチェンジスをかけられたのは幸いでした。大魔王を倒した後元の姿に戻ったのを見られる前に立ち去ることができますもの。)

僧侶「バイキルトの禁呪法!!」

―僧侶はバイキルト(禁)を唱えた!僧侶の攻撃力が倍増していく!―

僧侶(身体がきしむ。女僧侶はこんな禁呪法の反動に耐えていたんですね。)

僧侶「いくぞ!!」ギン!

大魔王「返り討ちにしてくれるわ!!」

【大魔王城 大魔王戦】

大魔王「一度ならず二度までも同じ人間にここまで追い詰められるとは…。」グハ

僧侶「最後に泣き言が聞けてうれしいです大魔王様。」ハァハァ

大魔王「しかしな、ただでは死なぬただではな。」

僧侶「え?」

大魔王「魔族の繁栄のため貴様らのような禍の種は余の命をもって取り除いてくれるわ!!」

僧侶「ま、まさか?!」

僧侶「ま、まさか?!」

僧侶「く、バシルーラ!」

―僧侶はバシルーラを唱えた!勇者たちは彼方へと吹き飛ばされた!―

大魔王「メガンテ。」

―大魔王はメガンテを唱えた!あたり一面は吹き飛ばされた!―

【大魔王城 がれきの山】

僧侶(うぅ油断しました。)

僧侶(もう身体が動かない。)

僧侶(咄嗟に勇者様たちを庇いましたが大丈夫だったのでしょうか…?)

僧侶(このまま、土に還ってしまえば勇者様との別れを悲しむこともないでしょう・・・。)

姫「勇者様こっちに人が倒れてます!」

勇者「本当か?今いく!」

僧侶(あぁ無事だったんですね。チェンジスが解けているということはわたしはもう僧侶として接することはできないのですね。)

僧侶(このまま、こと切れてしまえば楽になれるのに。丈夫な勇者XXXの身体が憎いです。)

勇者「僧侶!大丈夫か?」

僧侶「わたしが…僧侶って…わかるんですか?」

勇者「あたりまえだろ!」

僧侶「あんまり…、みないで…下さい。こんな、姿…。」

勇者「馬鹿無理してしゃべるな!女のくせに無茶しやがって!」

僧侶「え?」

僧侶(女?わたしはもう勇者XXXの姿のはず。)

僧侶(わたしの手…、白くて細い。胸も腰もとても華奢ね…。)

僧侶(あぁそうか。チェンジスの解除不能条件に一つありましたね。)

僧侶「ふふふ。」

勇者「だ、大丈夫か?」

僧侶「勇者様。」

勇者「どうした!」

僧侶「責任とってくださいね。」ニコ

―fin―

【始まりの街 王国 玉座】

王様「勇者よ、よくぞ大魔王を倒した。これほどの功労にどのような報奨をもって報いよう。」

勇者「王様。今度は何個プリンぱんとお酒をいただけるんですか?」

王様「はっはっはっ。何を望んでもよいぞ。お前が望めば、この国ごとやってもかまわん。」

勇者「へ?」

王様「わしが大魔王討伐に躍起になったのは仇討ちじゃ。娘を殺された卑しい父親の恨みとわらってくれればよい。だがその仇である大魔王が滅びた今、軍資金となる金もいらぬ、軍さえもいらぬ。」

勇者「…。」

王様「どうじゃ、この国を自分の物にしてみないか?そちの祖父に孝行もできようぞ勇者。」

勇者「陛下!ではお願いがあります!」

王様「なんじゃ?」

勇者「先日、僧籍の身分を偽って拿捕された仲間に恩赦をいただきたくございます。」

王様「ならぬ。僧籍の偽証は重罪じゃ。修道服は剥ぎとられ、最終誓願への道は閉ざされざるおえぬ。」

勇者「く…。」

勇者(ならば力ずくでも。)ギリ

王様「それゆえ還俗したものがどのようになろうと教会は一切関知せぬ。」

勇者「え?」

王様「あの方をこちらへ。」

衛兵「はっ」

トテトテトテ

勇者「そ、僧侶!!」

僧侶「勇者様、あまり見ないでください。こんな格好。///」

王様「大魔王には一歩も引かなかった勇者も、さしもの花嫁の美しさには圧倒されたようじゃな。」

僧侶「や、やめてください。///」

王様「ほっほっほ。勇者にウェディングドレスを魅せると張り切っていたのはそなたじゃったろうに。さぁ勇者よ、何もいわぬのか?気の利かぬやつじゃ。」

僧侶「ゆ、勇者様?へ…変ですか?」

勇者「ハッ」

勇者「陛下!私は欲しいものを今すべて手に入れました!」

王様「ほっほっほ。わしに言っても仕方あるまいに。」

勇者「そうか!」

勇者「僧侶!はだかのお前の素敵だが、ウェディングドレスのお前もそそるぞ!」

僧侶「ちょっと?ゆ、ゆーしゃさま!!!///」

ダキ!

僧侶「あう。///」

王様「初夜には気が早いぞ。さぁ結婚式を始めよう!すべて王族のしきたりで行う!」

僧侶「勇者様の所までエスコートする父親がいませんのは申し訳ないです。お許しくださいね。」

王様「案ずるな。この国の民は全てわしの子供たちじゃ。そなたの父親にはわしがなろう。」

勇者「僧侶。」

僧侶「はい。」

勇者「お前は俺のものだ。これからも全て勇者にしたがえ。」

僧侶「はい!」

その日始まりの街の王国では全ての教会が鐘を鳴らした。それは世界に平和が戻ったことを祝うためではなく、新しい夫婦を祝福するためだった。

僧侶「ちょっと!XXX!ちゃんとお祈りをしなさい!」

少年XXX「いまから、友達と大魔王城に探検行くんだよ!んじゃいってきます!」モグモグパクパク

勇者「XXX元気だな。」

僧侶「元気すぎます!お祈りもしないでご飯食べながらでかけちゃって…。」

勇者「ひょい ぱくぱくぱく。」

僧侶「あぁ勇者様!勇者様がお祈りをしないからXXXが真似をするんです!」

勇者「ふるへー(うるせー)」モグモグ ゴクン

ドサ!!

僧侶「きゃん!」

勇者「俺がお前を食べるときにお祈りをしたことが一度でもあったか?」

僧侶「あう。」

勇者「僧侶…。」

ビクン

僧侶「ら、らめですぅ〜こんらとこで…。」

僧侶「おふとん…、しきま…しょ。」

【勇者の家】

僧侶「」ムクリ

勇者「すーっすーっ」

僧侶「もう、おわったら直ぐにねちゃって!」

チュ

勇者「ふにゃ。」

僧侶「ふふっ」

僧侶「勇者様。」

僧侶「わたし幸せです!」

―本当におしまい!―

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この記事のコメント一覧
1 .   ID:.PHJQlFy0編集削除
結局のところホモでは…?
2 . 名無しさん  ID:qrmEgKc.0編集削除
このシリーズいらん!
3 . 名無しさん  ID:WvHXyB0D0編集削除
魔王「死に逝くものこそ美しい」 女勇者「その通りだ」

が好きです。よかったらggrks
4 . 名無しさん  ID:EaEx7QZX0編集削除
ホモじゃないですかーやだー
5 . 名無しさん  ID:6Lkohk.B0編集削除
ろ〜んぐろ〜んぐたいむ顎
6 . 名無しさん  ID:4nFILUC80[評価:1 ]編集削除
只々キモイ
7 . スラリン  ID:z0wOj4wV0編集削除
すごく良かった
8 . なな  ID:H2N..CnZ0編集削除
意外と面白かった

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