俺と嫁の馴れ初め
嫁と初めて会ったのは高校1年生の4月
希望進路別クラス編成のマジックで、男女比率1対6のクラスで嫁と出会った
女子が圧倒的に優位なこのクラスでは、男子はおとなしく過ごすことになる(よくあるギャルゲみたいな設定に喜べるような空気じゃない)
しかし他の男子生徒は運動部だったこともあり、それなりに一目置かれていたのに対し、俺だけが文化部(パソコン部)だったので、唯一の格下認定
率先して俺をパシリに使っていたのが、嫁
呼び名も、例:山田太郎なら、山田君→山田→太郎→タロ、と遷移していく徹底ぶり
嫁は1年生にして水泳部のエース候補でありながら、美術部にも入っているというバイタリティで、他の女子からの人気もあった(運動部と文化部の兼部は許されていた)
そんな嫁にひっぱられた他の女子も俺を呼び捨てにする、という流れ
これで俺の1年間のパシリ生活が決定した
(ちなみにこの件が悔しかったため、理系をむっちゃ勉強して2年次には理系クラスに移り、のちに国立大の理系学科に合格する)
水泳部はともかく、美術部はそこそこ暇だったらしく、水泳部の練習が無い火曜日と木曜日の日には嫁はパソコン部に入り浸るようになる
そこで、ホームページを作るから手伝え、と言われる
逆らうと怖いので、丁寧に教えたつもりだが、嫁からは一言
「くどくてわかりにくい」
仕方がないので、俺が代わりに開設する羽目に
そうこうするうちにゴールデンウイークになり、嫁から解放されたと安心したのもつかの間、嫁からの呼び出しで
「家に来い」
とのこと
またホームページのことか?と思って重い気持ちで出かけていくと、そこは修羅場だった・・・
なんと奥さまは腐女子だったのです
ゴールデンウイーク後半に開催される某アニメのオンリーイベント用の同人誌が完成しておらず、パソコンを使う必要があるため俺が呼び出されたのでした
俺のアニメ趣味をさんざんバカにしていた嫁だったが、実は同族嫌悪だったことが判明
嫁の中学時代からの同人仲間(すべて女子)に囲まれて辟易しつつも、オタクイベントに参加できる喜びが勝り、搬入・搬出まで手伝うことになった
ここから嫁の態度は軟化し、今思うとフラグでも立ったんじゃないかと思えるような感じでベタベタしてくるようになった
ただし、呼び名や態度は相変わらずで嫁はますます口が悪くなっていった
俺はインドア派なので、水泳部の嫁のように日焼けしていない
そのことが気に入らなかったのか、なぜか俺も水泳部に入れられる羽目に
小学生時代25メートルが泳げず、水泳を苦手としていた俺に、クロールと平泳ぎを仕込んだのは嫁
それなりに仲良くなって、二人でコミケ夏の陣へ
そこで知り合った同人仲間に招待され、数日後に行われるコスプレのオンリーイベント(キャラの誕生日会)には、二人でコスプレして参加(どちらも男で、嫁が攻めキャラ・俺が受けキャラorz)
ハイテンションのまま二人で嫁の自宅に帰り、二人で記念撮影しよう、ということになって三脚を使ってデジカメで撮影
いくつかポーズをとって撮影したのだが、そのうちのひとつにキスシーンのポーズがある(アニメ本編ではキャラ二人の顔が近づく程度のシーンだが腐女子の脳内ではニアミスの後、キスと変換されているらしい)
顔が近づくのが恥ずかしかったが、ノリで撮影すると、嫁がガチでキスしてきた(マウストゥマウス)
俺はびっくりはしたが、キャラの設定を崩しちゃいけない、と思って、嫁の背中に手を回した
が、撮影が終わっても嫁は離してくれななった
その後何事もなく解散したが、夏休みだったこともあり、部活以外で会うこともないので嫁の態度の変化には気付かなかった
新学期が始まると、なぜか嫁がよそよそしい
俺は実力テストの勉強で忙しく、あまり深く考えなかったが、テスト最終日に呼びだされ
「あのことをどう思ってるのか」
と聞かれた
嫁はかなり不機嫌で、俺はgkbrしていた
俺は間抜けにも
「あのことって?」
と聞き返したところ、
「これだよ!」
と嫁に髪の毛をつかまれて強引にキスされた
呆然としてる俺に向かって嫁は
「付き合うの?付き合わないの?」
と聞いてきた
俺は、なにいってんだこいつ、とか、途中を端折りすぎじゃないか?とか、順番おかしくね?とか思っていたが何も言い返せずにいた
すると嫁は
「おまえは、私のいうことに『はい』って言ってればいいんだよ!」
と言われ、俺は勢いに押された格好で
「はい」
と答えた
嫁は途端に期限が良くなり、笑顔で腕を組んできて
「じゃあ、今日からあんたは私の彼氏ね」
と言った
先日二人目の子も腐女子候補だと判明した
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