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感動体験談

出会ってから諦めるまで所要期間一か月の遠距離片思い

スペック
大4
171cm55kg
黒髪ワンレンショート
冨永愛に似てるとよく言われる

相手
ちょうど10歳上
本業+コンビニ店員の二足のわらじゃー
黒髪ロング
友達いわく見た目ドSっぽい
180前後、細身
オレンジレンジのヤマトに似てると思ったけどさっき画像検索したら大して似てなかった



彼と出会ったのは先月末、大学の友達三人で訪れた旅先のことでした。
3泊4日の旅程中、2日目の夜、私達は酔い止め薬を求めその街きっての繁華街から少し離れたを放浪しておりました。
コンビニにあるかなーと、たまたま入った某店舗。
ふと視線を遣った先、やや疲労感を漂わせながらレジに立つ店員さんに尋常ならざるトキメキを覚え、一瞬にして思考の一切を持っていかれました。
目鼻立ち・髪型・体型・姿勢・雰囲気等、彼が身に纏う全てがドストライクどころの騒ぎではなく、時間にしてコンマ数秒、めでたく私は恋に落ちたのです。

まあでも多少エピソードがついてるだけでやってることは大して変わらんかと

結局コンビニに酔い止めはなく、でもその前にアイス食べたいねーなんて話してたので、とりあえずそこでアイスを購入。
残念ながら彼にはレジをしてもらえず、再び酔い止めを求めて街に繰り出した私達。
アイスを貪りながらコンビニにはどうやら売ってなさそうだと判断したので、薬局を探すことにしたのですが、いかんせん土地勘が無いもので、手っ取り早く場所を聞こうと提案しました。
勿論あのコンビニエンスストアで。
にやついた友達に言われました。

「あの人と話したいだけでしょ?」

当たり前です。

で、再度参ったコンビニ。
ちょうどその時彼のレジ前にお客さんはおらず、右手の自動ドアから直角に入店し、

「あの、すみません、ここら辺に薬局はありますか?」

と、すかさず尋ねました。
すると彼はややたどたどしく身振り手振りを交えて薬局までの道のりを一生懸命教えてくれたのですが、私はというと、あまりにも魅力的な容姿に目を奪われ、話を聞く中でローソンありすぎわろたとぼんやり思う以上の思考は停止しており、重要な情報は右から左でした。
40秒程して少しの達成感と不安の入り交じった表情を浮かべながら小首を傾げる彼の様子から察するに、どうやら説明が終わったらしかったので、努めて爽やかにお礼を言って退店。
外で待つ友達がアイス食いながら話し掛けて来ます。

「近くにあるって?」

「ん?聞いてなかった」

ちょっと彼女がおこだったので、私は慌ててかろうじて耳に残ってる単語と視界の端に映った仕草を繋ぎ合わせて、薬局までの道のりを示しました。

「あっち…ローソン…向かい…右!」

奇跡的に着きました。

無事酔い止めを購入することができた私達は、ホテルに帰ろうと歩き出したのですが、私はどうしても彼のことが気になって気になって思うように足が動かず、前を行く二人との距離がどんどん開いてゆきます。
コンビニとホテルはそんな離れていないし、明日またいたら連絡先渡そう、いや、でも明日シフトに入ってなかったら、いや、でも…
葛藤に次ぐ葛藤により、私の2Dバストは爆発寸前、否、爆発しました。

「ねぇ!やっぱ連絡先渡してきて良いかな!」

前を歩いていた二人は振り返り驚いていましたが、すぐに笑って

「いってこーい!」

と、一緒にコンビニまでの道を戻ってくれました。

私は、名前・電話番号・メールアドレスの書いてあるくまちゃんのカードを財布に常備しているので、何か書くものをと慌てふためく友達をスマートに制しました。
三度コンビニに入店する私。
友達も入って来て、正直外で待っててくれよと思いましたが黙ってました。
連絡先を渡すためだけに話し掛けるのもいかがなものかと思ったので、さして飲みたくもないチューハイを手にしてレジに向かいます。
友達二人の視線が気になりましたが、レジとの距離が近付くにつれてそんなこと言ってる場合ではなくなってきます。
そして、前のお客さんが捌かれ、再び、彼の、目の前に、立ち、ます。

彼はすぐに気付いてくれて、一度眉を上下させました。

「さっきはありがとうございました。薬局、見付かりました」

「良かったです」

レジから身を乗り出し年齢確認ボタンを自ら押す彼は、はにかみながらそう一言。
私はバッチリ目線を合わせながら、お釣りとレシートを受け取り、

「あの、これ」

と、連絡先が書かれたカードを渡しました。
彼は頭に疑問符を浮かべて差し出されたカードを受け取り、見、目を見開きました。

「え?え?…え!?」

と、思いっきり動揺してカードと私を何度も見比べ、更に私と自身を交互に指差す様があまりにも可愛らしくて、私は思わず笑ってしまいました。

「い、いいの…?」

と困惑気味に聞く彼に、私は全力で頷いて応えます。

「惚れました」

満面の笑みでそう言って、一瞬彼がヘラっと笑ったのを見届けてから内心心臓バクバクで颯爽と店を後にしました。
やべぇ友達置いてきてもーた、と50m程進んだ所で振り返ると、走って追ってくる友達。
私は一人だと歩くのがとても速いのです。

「やばい!すごい!」
「尊敬する!うける!」
「ふっ、よせやい」

的な会話をぎゃーぎゃーしながら私達はホテルに帰りました。

翌日早いのと疲れていたこともあり、ホテルに戻ってお風呂に入って即就寝という流れでした。
私も、朝起きたらメール来てると良いなー程度の淡い期待を胸に眠りにつきました。

深夜1時。
私のスマートフォンがけたたましく鳴り響きます。
寝惚けながら約3秒聞き流して、画面を見て理解しました。
そうそれは紛うことなき着信音1。
通知されたのは未登録の携帯番号。
てかいきなり電話かよ!
心の中で突っ込みつつ、よ!のタイミングで着信に応答しました。

「もしもし」

「あ…もしもし、冨永さんですか?」

「はい、冨永です」

「あの…コンビニの…」

もうにやにやが止まりませんでした。
友達が起きる気配がしたので、部屋からそっと出ました。

めっちゃ楽しかった!本当に幸せな時間だった

「いきなり電話ですか、びっくりしました」

「あー…そうだよね、ごめんなさい」

「でも連絡くれてすごく嬉しいです、ありがとうございます」

「こちらこそ、嬉しかったから、すぐ電話してしまいました」

「さっきめっちゃ動揺してましたね」

「そりゃあするよ!だってないでしょこんなこと」

「ないの?」

「ないよ!え、ある?」

「ないですね」

「でしょ。あの後お客さんのビール落としたりミスしまくって、
  心配してきたパートのおばちゃんに事情話したら爆笑された…」

「それは申し訳ないww」

「冨永さんは…なんていうか、アグレッシブですね」

「アグレッシブwや、旅の恥はかき捨てかなと思って」

「なるほど」

「てか冨永さんって、かなり若いですよね?」

「かなりかどうかは分からないですが、今年22になる歳です。ギリギリ大学生です」

「22…わ、若い…」

「でもそんな変わらないですよね?いくつですか?」

「……31」

「え!見えない!20代半ばかと思いました!」

「おっさんでごめんなさい…」

「おっさんてww」

「お名前、名字あれ何て読むんですか?」

「がねこです(※ヤマトの苗字、漢字だと我如古。いかつすぎわろた)。一発で当てられることなかなかない」

「へ〜。下の名前は?」

「ヤマト」

「ヤマトさん」

「普通でごめん」

「いや、普通に良い名前だと思いますよ」

「そういえばヤマトさんって背高いですよね。私も相当高いんですけど、ヒール履いてたのに目線同じくらいだったからー」
「あぁ、うん、178とか」

「何かスポーツやってたりしました?」

「バレーボールやってた、中学の時だけだけど」

「私もバレーボールやってました!中学の時だけ!ポジションはなんやかんや」

こんな感じで、特に会話に詰まることもなく約30分程お喋りしてました。
途中ヤマトさんが時間を気にしてくれて、名残惜しかったのですが、明日朝早くから体力使うことをするのでということをお伝えして、終了。
話してみてますます惹かれてしまった私は考えました。
この旅はもう一泊ある、ヤマトさんも明日は本業のみと言っていた、このまま帰るのは嫌だ。
私の入室によって目を覚ましてしまった二人に、明日の夜抜けても良いかと尋ねると、彼女らは無言で親指を立ててくれました。
愛してる。

私は即着信履歴からお誘いメールを送りました。
それに対して、
・明日最終日なのに大丈夫?
・仕事終わるの20時〜21時くらい
・それでも良ければ仕事終わり次第連絡してもいいですか?
とのことだったので、無論快諾し、連絡待ってます、
楽しみですとの旨を返して、就寝したのは結局午前2時を回っていました。

翌日、旅定を滞りなく完遂し、十二分にエンジョイした後、早めの夕飯とお土産物巡りも楽しんだ私達。
夜が更けるに連れて私の鼓動の高鳴りは激しさを増して行きます。
しかし、20時になっても21時を過ぎても一向に連絡が来ることはありません。
仕事が長引いてるのだろうかと考えましたが、21:30を回って、メールを送っても反応なし。
21時を過ぎてから「連絡きたー?」と10分に一回友達に聞かれる度に、何でもない風を装って「こなーい」と返答するも内心テンションはがた落ちしていくばかりです。
21:45、電話をかけます。
応答なし。

さすがにぶっちされたかな、と諦めの境地に入った21:51、ヤマトさんからメールがありました。

冨永さん、連絡遅くなってごめんなさい!
予定より仕事が押してて大分待たせてしまってる。
もう少しで終われます!

追撃で、

本当にごめんなさい!

と。
もう、好き。
私のボルテージは一気に上がり、呻き声とも雄叫びとも判別つかない奇声(低音)を発しました。

「連絡きたの!?」

とすかさず反応してくれた友達に無言で何度も頷いて、言葉にならない喜びを必死に伝えました。
それから待つこと10分強、ヤマトさんからの着信です。

「本っ当にーごめん!すごく忙しくて、気付いたら21:30で、でも携帯触れる余裕もなくて…」

私がフォローの台詞を挟む隙もなく、あわあわとひたすら謝罪の言葉を並べるヤマトさんに笑います。

「ぶっちされたかと思いました」

「するわけない!本当にごめん」

「今から会って貰えますか?疲れてません?」

「俺は全然!むしろ時間大丈夫?」

「平気です」

ホテルの近くの派手な建物の前で待ち合わせをして、通話終了。
私はローテーブルの上に無造作に置かれたルームキーをひったくると、部屋着でくつろぐ友達二人に敬礼をしました。

「では、行ってまいる」

「いってらっしゃ〜い」

にやにやしながら手を振って見送る友達を背に、いざ出陣です。

ホテルを出て右手を直進すること約200m。
目にもまばゆいネオンギラギラのビルジングが見えてきます。
旅先のテンションですっかり警戒心を失っていましたが、道中、知らない土地でこんな夜更けにほぼ初対面の人と落ち合うってやばくねーかとふと思いました。
が、そもそも性衝動だし、どうせ相手もそうだろうしまあいいかとすぐ納得。
でも向こうが仲間連れてきて複数とかになったら嫌だなーなどと
純度の低い貞操観念と会いたい気持ちの葛藤をしている間に、信号を渡ればすぐ待ち合わせ場所、というところまでやってきました。
すぐ行くとは言ってくれたものの、本業の職場とコンビニ、つまり待ち合わせ場所とはやや距離があると聞いていたので、10〜20分は待つ覚悟で居たのですが、信号が青に変わった瞬間、なにやら向かいから走ってくる人影が。
ヤマトさんでした。

「本当にっ…ごめん!」

息を切らしながらの開口一番、何度も聞いた謝罪の言葉を彼は再び口にしました。

「気にしなくて良いですって。
  こっちから誘ったんですし、むしろお忙しい中時間を割いて頂いてありがとうございます、うれしいです」
「ありがとう…」

「ていうか、早いですね!」

「うん、タクシー使ってきた。ここらへんあんま治安よくないし、一人で待たせるの不安だったから」

ここで捕捉をしておきますが、スペックをご覧いただいてもわかるように、私は成人男性の平均程の身長がある上に顔面偏差値が低く、更にがさつであるので、普段の生活において女の子扱いされることがほぼないのです。
無論バイトでもパワー要員です。
ので、この発言で軽いジャブをいただいた後、彼はおもむろに自身のジーンズのポケットを漁り始め、見覚えのある一枚のカードを取り出しました。

「これ、本当に嬉しくて。持ち歩いてる」

はにかみながら見せてくれたのは、私の名前と連絡先の書いてあるあのくまちゃんのカード。
どこの乙女ですかと。
萌え殺されるかと思いました。

さて、昨晩送ったメールでご飯ご一緒しましょうとお誘いしたものの、私は既に友達と夕飯を済ませていました。
仕事終わりのヤマトさんはさぞ空腹だろうと思いましたが、彼も大してお腹空いていないとのこと。
私達はとりあえずゆっくりできる場所に移動しましょうと、近場の居酒屋に入りました。
カウンター席に通されたのですが、その瞬間今日は最低接吻まではいけるなと確信しました。
着席し、ヤマトさんはハイボール(角)を、私は島美人の水割りをオーダーしました。

「未だにこの状況が信じられない」

「え?」

「何か騙されてるんじゃないかと…」

私は笑いました。

「別に宗教の勧誘したり壷売りつけたりとかしないので安心して下さい」

彼も笑ってくれました。

「あの、さ。昨日、何で声かけてくれたの?」

「うーんと、ヤマトさんが好みのタイプとかいうレベルじゃなくて、連絡先を渡さずにはいられませんでした」

「えぇ〜…そんな良いもんじゃないよー」

「良いもんですよ。最初は見た目だけで声かけましたけど、
  電話してくれてお話できて、もっとヤマトさんのこと知りたいと思ったので、誘ってみました」

「…ありがとう」

「やっぱり積極的だよね」

「そうですねw私はモテないので、自分からいくしかないんです。
  うじうじ悩んでる間に相手に彼女が出来たら嫌じゃないですか」

「たくましいw」

お酒の力も借りて徐々にヤマトさんの緊張?警戒?が解れてきた頃、私は気になっていたことを聞いてみました。

「昨日の電話でさ、彼女"は"いないって言ってたけど、他に何かいるの?」

「うーん…」

「結婚してるの?」

「ううん」

「婚約者?」

「ううん」

「好きな人?」

「いないかな」

「ん?セフレがいるとか?」

「いやー…」

と、何ともはっきりしない様子で首を掻くヤマトさん。
まさかゲイきたか?と考えていると、彼はポツリと呟きました。

「バツイチなんだよね」

私は特に何の衝撃も受けなかったので、至極ライトに相槌を打ちました。

「しかも一ヶ月前に別れたばっかり」

「えっ、ずいぶん最近だね」

「そう」

「子どもは?」

「いる」

「一人?」

「ううん」

「二人?」

「いやー」

「三人?」

「三人…でもない」

「えっ、四人?」

無言で頷くヤマトさん。

「頑張ったねww」

私は思わず笑ってそう言いました。

「どっちが引き取ったの?」

「一番上の子だけ、俺」

「えっ、今日大丈夫?」

「うん。兄貴と一緒に暮らしてるから、面倒見てくれてる」

「あ、そうなんだ。それは心強いね」

「そう、すっごく助かってる」

「一番上の子は、どういう経緯で引き取ったの?」

「自分の意志で、ついてきてくれた」

「そっかー…それは嬉しいね」

「うん、すごく嬉しかった」

それから一呼吸置いて、私の目をしっかり捉えてから彼は言いました。

「だから、すごく申し訳なくて」

意図が分からなかったので、私は眉をひそめます。

「何が?」

「だってさ、せっかくこう…連絡先を渡してくれたってことは、その、好意を持ってくれた訳じゃないですか」

「はい」

「…なのに、こんなおっさんだし、バツついてるし、子どもまでいて…」

彼の声音は次第に尻すぼみになって、目線も反らされてしまいした。

「10歳上でも、バツイチでも子持ちでも、ヤマトさんの印象何も変わらないよ?」

本心でした。

「…そう?」

「うん。むしろ、こんな初期に教えてくれて、好感度上がった」

「えー…でも、うーん、隠しててもしょうがないし」

「でも、子どもいることが申し訳ないっていうのは言っちゃ駄目だよ。
  せっかく上の子なんてお父さんについてきてくれたのに」

「そうだね…じゃあ、申し訳なくない」

「うん、よろしい」

「ほんとに、親の勝手で子ども達には寂しい思いをさせてしまって…謝っても謝りきれない」

ちび、とグラスに口をつけるヤマトさん。
私はこのとき、彼にはどうか幸せになってほしいと、心から思いました。
そしてあわよくば、彼が一番の幸せを感じるときに、私もそばにいたいと。

「せっかく誘ってもらったのにこんな暗い話ばっかりでごめん」

「全然。私から切り出したんだし、それにヤマトさんのこと知れて嬉しい」

「そう?俺根暗だからさー。話しててつまらんくない?」

「根暗なんだw超楽しいよ」

「兄貴は俺と正反対なんだよね。行動力もあるし、多分兄貴と話してた方が楽しいと思う。ごめん」

「そうなんだー。
  会ったことないからわからないけど、でもじゃあヤマトさんと話して楽しいってことは、お兄さんと話しても退屈かも」

ヤマトさんははにかみます。
たまに見せるこの表情が、私はたまらなく好きなのです。

「愛ちゃんは彼氏いないの」

「いたら声かけてないよ」

「どーだか」

「え、ちょっ」

「最後にいたのいつ?」

「今年の1月27日。ふられたー」

「おお細かい…なんでだめになっちゃたの?」

「あーそれ聞く?そういえば元彼もまた根暗だったな…」

家族の話、ヤマトさんの学生時代の話、今までしたバイト、旅行どこ行ったことあるか等々、とりとめのない話は尽きません。

「そういえばヤマトさんのメガネさ、それダテ?」

「ううん、度入ってる」

「よかった―、私ダテメガネかけてる人許せないんだよね」

「なにそれ(笑)メガネないと生きていけないよ、俺」

「ちょっととってみてよー」

「ん。何も見えん」

「視力いくつ?」

「0.02とか。このくらい近付かないと、見えない」

ヤマトさんが言う「このくらい」とは、あと5僂派,班,ぶつかる距離でした。

「無理!」

「え」

「顔面の破壊力が!」

「はかいりょく?」

「かっこよすぎ!そして近い!」

顔面同士はすでに離れていたものの、どっか血管切れてんじゃないかと心配になる程にしばらくドキドキしました。
ヤマトさんは慌ててメガネをかけて、グラスに三分の一ほど残っていた残波を飲み干しました。

「色、白いね」

お互いにだいぶ良い気分になっていた頃だと思います。

「そう?普通じゃないかな」

「白いよー。白い方がいいよー」

「でもこの旅行で結構焼けたんだよ。肩赤くなっちゃった。日焼け止め塗ってたんだけど」

「ほんとだー。かわいそうに」

そう言って、手の甲で私の肩を撫でるヤマトさん。
ちなみにこのとき私はノースリーブのマキシ丈ワンピースを着ていたので、肩丸出しでした。
つまり素肌を触られたわけです。
そして余談ですが私は酔っぱらってくると無性にひと肌に触れたくなるタチです。
ある程度はもちろん自制できますが、そんなことされたらムラムラするじゃあないですか。

「あーでもヤマトさんよりは白いね」

「でしょ?」

私たちはお互いの椅子の肘掛けに乗せた腕を見比べます。
そして視線はそのままに、座席という名の見えない壁を私は打ち破りました。

「ヤマトさんってさ、良い血管してるね」

私は彼の前腕を両手で包み込んでとり、ひっくり返すと、関節付近から延びる静脈がよく見えました。

「採血しやすそー」

「あ、前言われたことある」

相槌を打ちながら私は、浮き上がった血管を両拇指で軽く圧しながら手首までたどってゆきます。

「爪もきれいだね」

そのままヤマトさんの親指の付け根あたりを自身の親指で擦りながらそのようなことをほざけば、彼が自ら指を絡ませてくるのに数秒とかかりませんでした。
計画通り。

手を繋いだまま再び話し込んでいると、深夜1時か2時、閉店の時間になりました。
会計はお通し代+飲み物代で、二人で4500円強だったと思います。
ヤマトさんは仕事終わりにも関わらず結局お通し半分程度しか食べませんでした。
私の方が飲んだので25出そうとしたところを制され、店員さんにはヤマトさんが全額出してくれましたが、私がものすごく変な顔をしたので

「じゃあ1000円…」

と言わせ、渡しました。
ごちそう様でした。

これからどうする?といった会話もないままに歩き出すヤマトさん。
会計時に一旦離れた手は、どちらからともなく繋がれていました。
無論恋人繋ぎってやつです。カップルに見られてたらいいなあ。

「どこに向かってるんだろう」

言ったのはヤマトさんです。
ちなみに方角は私の宿泊先とは真反対でした。
居酒屋の面する国道沿いから住宅地、路地裏を経てふらつきながら15分ほど歩いたでしょうか。
いつの間にか向かって左手に、ポツンとラブリーなホテルが佇んでおりました。
あー入るんだろうなーと考える私をよそに、ヤマトさんはやや場違いなその建物を華麗にスル―し、すぐ近くの公園を抜けて、たどり着いたのは海岸でした。

「海だー!」

「海だねー」

深夜の海岸初体験な私のテンションは上がりました。
私はスカートの裾を持ち上げて、くるぶしまで海に浸かります。

「おお、いくねえ」

「サンダルだから。って、えww」

スニーカーだったか革靴だったか、とにかく足全体を布で覆う系の靴を履いているにも関わらず、ヤマトさんは海に入って私の隣に立ちます。
私は彼を急いで上がらせて、どうやら浸水は免れたようでした。

「どっか座ろっか」

「うん」

「いっぱい歩かせちゃって疲れたでしょ?」

「平気。歩くの超得意だから」

「得意?(笑)じゃあまあ、さっきの公園にでも戻りましょうか」

「ヤマトさんが気にしないなら、ここがいい」

「俺は全然いいけど」

ということで私たちは深夜の海岸、砂浜の上に腰を下ろしました。

「ここね、人工ビーチなんだよ」

「へー」

「だからあんまり眺めよくないんだよね」

幹線道路をぼんやり見つめながら、ヤマトさんは呟きました。
内容の無い会話をしばらくしていると、不意に、途切れました。
私は左隣のヤマトさんの横顔をじっと見つめます。
割と締りのない顔で前を向いたままのヤマトさんは、私の視線に気づく気配がありません。
ので、試しに頬に口づけてみました。
無反応です。
構わず2回3回と繰り返していると、突然ヤマトさんが私と反対方向に倒れました。
見ると、空いている方の手で顔を覆っています。

「…もぉー!」

「なに、どうしたの?」

「どうしたのじゃないでしょー!」

「え、嫌だった?」

繋がれたままの手を引っ張ってヤマトさんの体勢を戻しました。

「嫌くない!全然いやくない!むしろ…嬉しいんだけど、」

「だけど?」

尋ねつつ私は再度頬に唇を寄せました。
ヤマトさんが再び倒れます。

「やっぱり嫌?」

「いやくないって!けど…だけど…昭和男児は、こういうの…恥ずかしくてたまらんのです…」

私はこの男に殺される、そう確信しました。
なにこの可愛い生き物。

可愛くて面白くて何度もそのやり取りを繰り返していると、ヤマトさんは耐性がついてきたのかいちいち倒れなくなりました。
それでも構わず頬やこめかみや顎にキスをしまくって遊んでいると、急に真顔でこちらを向いた彼に唇を奪われました。
すぐに何事もなかったようにくるりと正面を向くヤマトさん。
私は緩む頬を抑えもせずに言いました。

「もう一回!」

ヤマトさんも笑います。
真夜中の海岸で、私たちは何度も何度も唇を重ねました。

唐突にヤマトさんが強く私を抱きしめました。
横座りをしていた私は膝立ちになり、私の胸に頭を預けるヤマトさんを見下ろします。
とてつもない愛おしさが込み上げてきて、抱擁を返したかったのですが、
腕ごと抱きしめられていたためにそれは叶いませんでした。

「…押し倒してしまいそう」

くぐもった声が聞こえてきて、その内容に私は一瞬驚きましたが、もちろん不快感はありませんでした。

「いいよ?」

「…だめ」

より一層強く抱きしめられ、地面が砂浜ということもあり、バランスを崩した私は体勢を立て直そうとすることもせず
ヤマトさんのひざを枕にして仰向けに寝転びました。

「あーあー砂だらけになるよー」

「いいよ別に、後で払えば」

ヤマトさんは私の額から頭頂をゆっくり撫でます。
とても心地が良くて、このまま眠れたらどんなに幸せかと思いました。

「星、見えない」

「あー…曇ってるねー」

「晴れてたら見える?」

「多少はねー」

「多少かー」

私と同じく空を仰いでいたヤマトさんが下を向き、視線がかち合いました。
そのまま顔が近づいてきて、一瞬唇が触れました。

「もう一回」

ヤマトさんは笑って首を横に振ります。

「じゃあ抱きしめてもいい?」

「うーん、いいんじゃないかな」

微妙なOKサインを頂いた私は、ヤマトさんの腿を挟む形で膝立ちになり、頭ごと抱きしめました。

ヤマトさんは私の腰のあたりに腕を回していましたが、お互い無言でいるうちに
何やら彼の手の動きが怪しくなってきました。
最初は服の上から臀部をさすっているだけでしたが、私が指摘しないでいると、スカートの中に手を入れてきて、直にお尻を揉みしだき始めたのです。

「こらこら(笑)」

「…だって、そういうことするから」

「どういうこと?」

お尻を揉まれたくらいでは多少くすぐったい程度で済みますが、さすがに際どい部分を下着の上から撫でられては心中穏やかではありません。

「!」

どうしたものかと考えている間に、ついに下着をずらされ体内に指を入れられました。

「ねえ、最後までするの?」

「…したい。けど、しない」

「?良いって言ってるのにー。さすがに屋外は嫌だけど」

しかしヤマトさんは手を止めて私を抱きしめました。
それから何度か上記のようなやり取りを繰り返しますが、彼は途中で手を止めては自己嫌悪の呻き声を上げて私にしがみつきます。

「こんな中途半端に触られたら生殺しもいいところなんだけど」

率直な気持ちを申し上げるとヤマトさんはピクリと反応しました。

「…すみません、やめます」

やめるんかい

「移動しようか」

ヤマトさんは言いました。
手を引かれるままについていって、彼が歩みを止めたのは先程通りすぎたラブホテルの向かいの歩道。

「考える」

そう言ってヤマトさんのシンキングタイムがスタートしました。
ヤマトさんは、しゃがんでみたり、顔を覆ってみたり、唸ってみたり、頭を抱えてみたり、後ろを向いてみたり、間で思い出したようにキスや尻揉みやハグを挟んでみたり…見てて笑ってしまったほど本気で悩んでいました。

「私ラブホ入ったことないやー」

「え!?えっ、彼氏いたんでしょ?どゆこと?え?え?」

何気なく言った一言でしたが、予想外に食い付かれました。

「いたけど、一人暮らしだったから。ご利用する必要がなかった。お金もないし」

「あぁ」

「残念?」

「いや」

そして彼は再び悩み始めました。

「よし、決めた」

少なくとも5分は経過した頃だと思います。
結論が出たらしいヤマトさんは私の両肩に自分の手を乗せ、しっかりと視線を合わせました。
私は期待に顔を輝かせ、彼の次の言葉を待ちます。

「帰ろう」

私は相当びっくりしました。
そして相当落ち込みました。

「そんな顔しないでよ」

両手で私の顔を包み込んで、ヤマトさんは困ったように笑います。
そして手はそのままに、顔だけ下を向くと、盛大なため息を一つ吐きました。
再び顔を上げたヤマトさんは、切なげに眉根を寄せて私を見つめると、噛みしめる様に言ったのです。

「見れば見るほど可愛い」

想像してください。
恋人、片思いの相手、芸能人でも二次元でも、とりあえず自分の一番好きな容貌の人に、顔を両手でホールドされて至近距離でそんなことを言われたら、どうなると思いますか?
嬉しいとか恥ずかしいとかやりたいとか超越して思考回路はショートしました。
まして普段外見を褒められることが滅多にない私です。
よく生きていられたなと今振り返ってみて思います。

帰ろうといったくせにそんなセリフを吐くわキスはするわ直尻は揉むわ…
私は完全に拗ねました。

「スカートの中に手入れないで」

「…ごめんなさい」

「したくないんでしょ?」

「したくないなんて一言もいってない。むしろしたい。ていうかしたくてしたくてたまらない」

「じゃあなんでだめなの?」

「…」

「子どもに対して申し訳ないとか?」

「いや、そういうんじゃない」

「じゃあどうして?」

「…」

ヤマトさんは黙秘を続けます。
問い詰めるような視線に耐えられなかったのか、黙って私を抱き寄せました。

「逆になんでそんなにしたいの?」

暫くの沈黙の後、彼に問いかけられました。

「それは…この距離だし、もう会えないかもしれないから、思い出が欲しいです」

私がそう答えると、ヤマトさんは勢いよく身体を引きはがし、私の顔を凝視します。
心なしか少し怒っているようにも見えました。

「俺は思い出にしたくない。思い出で終わらせたくない」

張りつめていた顔はすぐにへたれて、彼は再び私を抱きしめました。

「…そういう関係になってしまうと、離れがたくなるから。帰したくなくなるから」

私は堪らなくなって、強く抱きしめ返しました。
今まで何人かとお付き合いしたことはありましたが、こんなに胸を打たれたことは恐らくなかったと思います。
だって、こっちが病気でも持っていない限り、男性側にデメリットなんてないじゃないですか。

「…そんなこと言われたら逆効果なんですけど」

「ええっ」

ヤマトさんの決意が揺らぎそうにもなかったので、私は渋々諦めました。
そして彼の案内で、行きとは違う道から宿泊先へと戻ります。

「こんな若くて綺麗な人と手繋いで歩いてるとか、宝くじ当たるより奇跡」

「そんな価値ないけどw」

「でもそれを捨てるようなことをしてる。俺ってばか?」

「そうかもね」

「やっぱり…はぁ」

「でも、残念だけど、嬉しかった」

そう言うと、抱き寄せられてキスをされました。

「決意が揺らぐのでやめてください」

私は繋いでいた手を離して先を行こうとしますが、ヤマトさんは立ち止まっています。

「どうしたの?」

「…手だけ!…だめ?」

本当に10コも上なんでしょうか。
溢れ出る可愛さが留まるところを知りません。
私は思わず笑って、彼の手を取りました。

「俺についてこいってタイプじゃなくてごめん」

「うーん。どっちがリードするとかじゃなくてさ、一緒に並んで歩きたいですね、私は」

「良いこと言うね」

帰り道は言葉少なだったと思います。
唯一覚えているのが上記のやり取り。
我ながらクサイな。

さて、楽しい時間はあっという間です。
相当ゆっくり歩いていたにも関わらず、行きよりもずっと短い時間でホテルに戻ってきたように感じました。
行きよりずっとヤマトさんのことを好きになっていたからでしょうか。
ヤマトさんはホテルの入り口を指して帰るよう私を促します。
私は首を横に振って駄々をこねます。
抱きしめて、ちゅーして、もう一回して。
時間稼ぎの触れ合いは、満たされるどころか焦燥感が募るばかりでした。

「また会えるよ」

ヤマトさんは笑みを携えながら言いました。
大人の余裕というやつでしょうか。

「絶対会いに来るから」

「うん」

「…じゃあ、かえります」

「はい」

「…」

「どーした(笑)」

「…もう一回」

両手を広げると、ヤマトさんは自身の胸の中に私を収めてくれました。
ド平日だったので、ヤマトさんは勿論翌日(というか既に当日)も仕事を控えています。
いい加減相手に迷惑がかかると、本気で部屋に戻ろうと決めたとき、

「!」

ヤマトさんに強く手首を掴まれ、連れて行かれたのは私の背側にあった非常階段。
半ば抱えられるようにして階段を上り、踊り場に到達すると乱暴にキスをされ、身体をまさぐられ、「ちょっと待てどこでスイッチ入った!?」と考えながらも全く思考が追い付かず、驚いたのが9割、別人のようで怖かったのが1割あって、私としたことがうっかり泣いてしまいました。

私が泣いていることに気付いたヤマトさんは大慌てです。
しかし私は自分が泣いたことに驚いて、泣き止むどころか次から次へと涙が溢れて止まりませんでした。

「ごめん、ごめん。怖かった?ごめん、もうしないから…」

ヤマトさんは、返事をしたくとも上手く言葉を紡げない私を、抱きしめたり、頭を撫でたり、額にキスをしたりして、どうにかして落ち着かせようと必死です。

「大丈夫、びっくりしただけだから、怖くないから…ヤマトさんのしたいことしてくれたら、私も嬉しい」

しゃくり上げながら何とか意志を伝えると、彼は私を階段に座らせて、自身はしゃがみ込み、大きなため息を吐きました。

「泣いたりしてごめん」

「違う、違う。謝ることじゃない」

ヤマトさんは俯いて、なかなかこちらを向いてくれません。
涙がすっかり引いたころ、相変わらず下を向くヤマトさんの頭を撫でてみました。
何回か繰り返すと、ようやく顔を上げてくれたヤマトさん。

「する?」

彼は無言で頭を横に振ります。

「…でも本当は、触りたくて仕方がないよ」

暫しの沈黙の後発された言葉。
再戦のゴングでした。

今までのやり取りでヤマトさんの性格というか性質を掴んで頂けていたら幸いなのですが、一緒に過ごした張本人からの印象を申し上げさせて頂くと、「極めて気性の穏やかかつ温厚なはにかみ屋さん」です。
その彼が本能の赴くままに私の身体を粗々しく弄り倒してくるわけです。
正直堪りませんでした。

大分息が上がってきたのと、体勢がきつかったこともあり、私はヤマトさんに言いました。

「私もヤマトさんの、したい」

「えっ、いっ、いいよ…」

「やだ。ヤマトさんに気持ち良くなってもらいたいもん」

一瞬動きが固まった彼でしたが、私の眼前に自身の中心が来るように無言で立ちました。
私はベルトに手をかけますが、訳のわからない構造をしていたので手間取っていると、自ら外してくれたので、そののちジーパンと下着を一枚ずつ下ろしました。
露わになったものの先端に口づけると、ヤマトさんの身体がピクリと震えます。
入るだけ口に咥えて頭を上下すると、たまに上の方から熱っぽい吐息が降ってきて、私はそれにとてつもない興奮を覚えました。

ヤマトさんは施されながら至極優しい手つきで私の頭を撫でてくれます。
堪らなく気持ちがよく、幸せでした。

私の口内に陰毛が侵入してきて、どうしようとりたいなーと考えていた時。
ヤマトさんは私の口から陰茎を引き抜いて、私の両脇に手を入れ立ち上がらせました。

「壁、手ついて」

切羽詰まった声色で言われ、指示された通りにすると、後ろから一気に挿入されました。
彼の波動砲はかなり大きい部類なので、かなりの圧迫感がありました。
足が震えて崩れ落ちそうになっても、ヤマトさんはそれを許してくれません。
が、10コスリ弱程で、彼は私の中から出ていきました。
どうやらフィニッシュしたようです。

「早すぎる…」

私じゃありませんよ。
恐らく自分の手の平に出したのでしょう、生命線あたりをじっと見つめて、ヤマトさんは絶望していました。

「…結局してしまったし、早すぎるし、情けない」

盛大にため息をつくヤマトさん。
男性にとっては重大事件なのかもしれませんが、あまりにも凹むもので
私は大笑いしてしまいました。

「ごぶさただったんですか?」

「あたりまえでしょ。てかこれどうしよう…」

再び手の平を見つめてヤマトさんは言います。
私は汗ふきシート(フローラルの香り)を持っていたので、一枚渡しました。
手と、私に背を向けて下半身も拭いていましたが、今ヤマトさんのムスコは
フローラルの香りなのかと思うと一人でにやついてしまいました。

今思ったんですがあの時の陰毛はどこ行ったのでしょうね。

「屋外でしたの初めてです」

「えっ」

「生でしたのも初めてです」

「えっ…初めてずくしだね…」

「そうだねw」

非常階段を降りて、再びホテルの入り口です。
私はバッグの中にデジカメを入れていたことを思い出し、写真を撮ろうと提案しました。
一枚目は不意打ちでヤマトさんをピン写したので変な顔をしてます。
愛しい。
一人は嫌だというので二枚目は二人で撮りました。
余談ですが決め顔のヤマトさんはくっそかっこいいです。

時刻は午前5時を回っていました。
今度こそお別れです。
ヤマトさんはオールなのと体力を使ったことで大分ふらふらでした。
再開を誓って最後に口付けをして、ヤマトさんの姿が見えなくなるまで後ろ姿を見つめていました。

ホテルに戻り、睡眠時間は2時間もありませんでしたが、部屋に入った瞬間どっと疲れがこみあげてきて、そのままベッドに倒れこむようにして眠りにつきました。

起床し、午前中のチケットで帰る私たちは慌ただしくホテルを後にしました。

「ここはね、人工ビーチなんですよ」

タクシーの運転手さんは言いました。
そこは紛れもなく昨夜ヤマトさんと行った海岸で、どうやら私たちは
その時見上げた幹線道路上を走っていたようでした。

出発ギリギリ、昨日のお礼、また会おうね、仕事がんばってね、首にキスマーク付けたなこのヤロウ
の内容でヤマトさんにメールを送りました。
私の胸は幸せでいっぱいでした。

>どんぐらい距離離れてるのよ

飛行機で3時間弱!
時間は有り余ってるから大したことないが、いかんせん財布がつらたん!

その上で諦める必要がないと判断するならまた考える
いまだに好きで好きでたまらないからな!

地元に戻り、私はヤマトさんの話を色んな人にしました。
大学の友達、地元の友達、バイトの友達、元彼などなど。
中でも元彼に好きな人ができたと報告できたのは個人的にすごく嬉しかったです。
何人かに写真も見せましたが、かっこいいと言ってくれたのは極少数でしたww
まあ私がかっこいいと思っているから何でも良いんですが。

メールは一日2〜3往復程度していました。
メール不精な私にとって、この頻度はべらぼうです。
ちなみにヤマトさんの顔文字のチョイスはものすごく女子力高いです。

このままで関係を終わらせるつもりなどさらさらなかった私は、また会いに行ったら会ってくれますか、ということを聞きたくて、6月某日、23時以降10分くらい電話できる?という内容のメールを送信しました。
返信はありませんでしたが、23時になりヤマトさんからの着信がありました。
どうやらちょうど仕事が終わったらしく、帰り道を歩きながらかけてきてくれたようでした。

「家まで歩き?」

「うん」

「近いんだっけ?」

「うーん、1時間くらい」

「え、遠いw」
「大体バイクなんだけど、たまに歩きたくなる」

「へーバイクのるんだ!」

「そうそう…てか暑い…」

「だろうね」

「髪切りたい」

「えーせっかく伸ばしたのに」

「いや、放置してたらこうなっただけ」

「まじかwでもめっちゃ似合ってるよ」

「そう?」

「うん、髪長くなかったら多分声かけてなかったと思う」

「そんなにw」

「うんw」

「髪切りたい理由は鬱陶しい以外にもあってさー」

「うん」

「職場のトイレの洗面台に、『髪の毛をまき散らさないでください』って張り紙がしてあってさー、
 明らかに俺へのあてつけじゃん?」

「wwそんなのわかんないじゃんww」

「いーや分かる。だって俺のいる階以外のトイレには貼ってないもん。好きでまき散らしてるわけじゃないのに…」

「ごめん笑っちゃうww」

「見るたびに凹むから、最近はわざわざ他の階のトイレ行ってまき散らしてる」

「まき散らしてるんじゃんwww」

「まあでもそんなに気になるなら切っちゃえば?短髪のヤマトさんも見てみたい」

「それがそう簡単に行かないんだよ」

「なんで?」

「サイドが短いから、どうしていいかわからん」

「あー、ていうかそういえばなんで横だけ短いの?」

「モヒカンの名残」

「モヒカンwwだったのww」

「うん、金髪の」

「金ww髪wwwめっちゃ見たいww写メ送ってww」

「探しとくwでもそんなことしてたから毛根が死滅したんだろうなぁ…」

「やめてwww」

ここでヤマトさんの毛髪事情を整理させて頂きますと、黒髪の長髪オールバックで、後ろで一つに結っていますが、サイドは刈り込みとは行かないまでも、3〜4cm程度の長さです。
そして額の面積は顔面の約3分の1ほどを占めています。
ちなみに私の50代の父も黒髪長髪オールバックかつ年々後退する生え際に震える日々を送っていますが、その父よりも広いかもわからんですwでも好き。

そんなことを話している内に、電話した本来の目的を忘れていたことに気付きました。

「あの、今日電話したかったのはですね」

「うん」

「私またヤマトさんに会いたくて、7月か8月にでもまたそっちに行こうと考えているんですけど、
 行ったら会ってもらえますか?」

「一人で?」

「うん。会ってもらえないなら行かないけど」

「もちろん会うよ!俺も会いたい。でも大丈夫?」

「大丈夫だよー」

「本当に?無理だけはしないでよ?」

「ありがとう、大丈夫。ていうか多少無理してでも会いたいし」

「うーん…本当は俺がそっち行けたら良いんだけど…」

「気にしないでー。子どもも仕事もあるんだし。しょうがないよ」

会いたいと言ってもらえたこと、心配してくれたことがとても嬉しかったです。
その後も、好きな音楽の話(お互いにバンドを組んでいたことがあった)、趣味の話、成人式の時の話、この前会った時の話(なぜ急にスイッチが入ったのか)などなどを話しました。

中でも印象的だったのが、連絡先を渡してから電話をかけてきてくれるまでのヤマトさんの話です。

「連絡先もらって電話したとき、嬉しくて電話したって言ったけど、あれ本当に嬉しくってさ」

「そーなの?(笑)」

「うん。あの時俺すごい凹んでて」

「…離婚したばっかだったから?」

「それが一番大きいけど、あと子どものこととか、仕事でも色々あって、
 なんていうか、自分の存在価値を見失てたのよ」

「…」

「もうほんと抜け殻という感じで毎日過ごしてて、でもそんな時に愛ちゃんから連絡先貰って…
 こんな自分に好意を抱いてくれる人が現れて、本当に嬉しかったし、救われた訳よ」

この時点で私は号泣していました。

「だから、ありがとう」

ありがとうはこっちの台詞です。
好きな人から感謝されることが、こんなにも感動するものだと初めて知りました。

「ヤマトさんが嬉しかったって言ってくれたことが、私は嬉しくてたまらない」

本当に心の底から思いました。
今まで一瞬も地元を離れたいと思ったことのない私でしたが、今後も彼の力になれるのであれば、喜んで行こうとこの時思いました。

当初10分を予定していた通話時間は、結局3時間を超えました。
ヤマトさんはとっくに家の前までたどり着いており、時刻は深夜1時を回っていました。

「明日も仕事でしょ?」

「うん」
「じゃあそろそろ切ろうか」

「まだ大丈夫だよ」

「駄目です、寝なさい」

「はい….じゃあ、おやすみ.声聞けて良かった」

「私も!時間合ったらまた電話してもいい?」

「うん、俺も話したい」

「やった!おやすみなさい、今日はありがとう.ちゅ!」

電話の向こうでヤマトさんが動揺しているのが分かりました.

「…またそういうことする」

「えぇw口で言っただけだよw」

「だから昭和男児は…」

可愛いなあもう。

後日旅程が決定し報告メールを送りました。
2泊3日の真ん中1日、できたら空けてもらえないかという事を電話した時に話していたので、ありがとう、楽しみにしてる、調整しておきます!
と返事が返ってきました。

その返信を最後に、何の前触れもなく音信不通が1週間続きました。

こちらからメールを送って返信がなかったことがなかったので、始めの2、3日こそ忙しいんだろうと放置していましたが、その後も2日に一回程度の頻度でメールをしてみたり
着信履歴を残してみたりしましたが、一切リアクションはありませんでした。
連絡が取れない間に誕生日を迎えたこともあり、寂しさは募ってゆきます。
次第に寂しいよりも心配な気持ちが勝ってきました。
今年の春に親しい友人を事故で亡くしていたことも私の不安感を過剰に加速させていった要因の一つです。
そしてもしヤマトさんの身に万が一のことがあったとしても、私にはそれを知る術はありません。
悪い想像をしては一人で泣いて、この期間は恐ろしくて仕方がありませんでした。

1週間と数日経った頃、ヤマトさんからメールが届きました。

・連絡くれてるのにずっと返事できなくてごめん
・ここしばらくかなり忙しくてずっとバタバタしてる
・まともに返事もできないくらい余裕がない

忙しいことが文面からも伝わってきました。
私は、
・何度も連絡してしまってごめん
・無事が確認できて安心したので暫く連絡は控えます
・無理しないでね
と送り返して、出立の前夜までの10日と少々、連絡を絶ちました。

連絡絶っている期間中、旅費を稼ぐために昼夜問わずバイトに明け暮れました。
そのわずかな間を縫って、髪を切りました。
新しいワンピースと下着を買いました。
腹筋をして、走って、甘いものを絶って、早寝早起きを心掛けて体調を整えました。
最近気になっていたニキビを治すために、皮膚科にも行きました。
少しでもヤマトさんに良い印象を持ってもらえるように、いつまでもうじうじ悩んでいる暇は私にはないのです。

出発前日、明日何時に着きますという業務連絡をしました。
返信が来ることはありませんでしたが、想定の範囲内だったのでメンタルは余裕です。
それより何か少しでも喜んでもらえるようにと、紅茶のクッキーを焼いてみました。
我ながらかなり可愛らしくラッピングしたものを2つ、小さな手提げに入れました。

当日、夕方発の便だったので、午前中だけシフトに入っていました。
たまたま元彼と上がりの時間が一緒で、更衣室で

「この後学校ですか?」

と尋ねられたので、例の人に会いに行きますと答えました。

「楽しんできてください、気を付けて」

本当は、会えるかどうか不安で不安で仕方がなかった。
無理に忙しくして考える時間を作らないようにしても、ふとした時に思い出してしまうんです。
一瞬泣きそうになりましたが、精一杯笑顔を作ってお礼を言って、帰宅して少し休んで荷物の最終チェックを済ませ、いざ出陣ですパート2。

移動中、わくわくというよりはそわそわと落ち着きませんでした。
RADWIMPSなどを聴いて無理にリア充気分を高めようとしましたがあえなく失敗に終わったので
THE BACK HORNを聴いてみました。
すごく落ち着きました。
窓から見えた夕焼けが美しく、少しだけ癒されました。

ひと月待たずに再び訪れたかの土地ですが、いまいち実感が湧きません。
タクシーに乗り込みホテルまで行く道すがら、やはりあの幹線道路を通りました。
既に21時前だったので、十分な街灯のない周囲は暗くてよく見えませんが、恐らく今走っている道路の下には、ヤマトさんと赴いた人工ビーチがあるでしょう。
そう思うと、急に鼓動が高鳴るのを感じました。

ホテルに到着し、初めて一人でチェックインを済ませました。
指定された部屋に入ると、染みついた煙草の臭いに喉がチクチクと痛みます。
禁煙・喫煙の部屋は選ぶことができ、かつ私は煙草を吸わないのですが、ヤマトさんが喫煙者だったので。
でも少し後悔するほど強烈でした。
換気をしつつヤマトさんに仕事が終わったら連絡をくださいとメールをいれました。
空腹でしたがあまり人のいる所に行きたくない気分だったのでコンビニで済ませようと思いました。
ああ、ならじゃあヤマトさんの働いているコンビニに行こうかなと。
そちらのシフトに入っているかも不明でしたが、とりあえずあの場所に行きたいと思いました。
が、前回宿泊したホテルとは別だったので、場所が分かりません。
しかし思い出しました。連絡先を渡す時に買ったチューハイのレシートをとっておいてあったことを。

過度の方向音痴である私にはありがたいことに、ホテルからコンビニまでほぼ一直線の道のりでした。
見たことのある通りが見えてきて、私は急に弱気になってきました。
今日シフトに入っていたとしたら、どんな顔をされるだろう?
嫌がられるだろうか?無視されたらどうしよう?
怖かったです。
それでも会えないよりは何億倍もましだと思いました。

あー思い出したらちょっと泣きそうw

結局、ヤマトさんはコンビニにはいませんでした。
残念なような安心したような気持ちで夕飯を買い、ホテルに戻ります。
ちなみにレジをしてくれたのはおそらく、連絡先を渡され動揺しまくるヤマトさんを笑ったパートのおばちゃんだと思いますw

部屋で一人テレビを観ながら黙々と夕飯を食べ、ひたすらヤマトさんからの連絡を待ちます。
シャワー浴びたいな、でも連絡来たらどうしようと考えていた22:21、ヤマトさんからの着信がありました。

3時間を超えるあの長電話ぶりに聞くヤマトさんの声は、ひどく疲れているように感じました。

「遅くなってごめん、今仕事終わった」

「ううん、大丈夫。お疲れ様。遅かったねー」

「最近ずっとこんな。今日は早い方」

「そうなんだ!10時出勤は変わらない?」

「や、最近8時には会社いる」

「えー…7月って忙しいの?」

「特に何月はって決まってはないんだけど、なんか忙しい」

「そっかー…」

会話が途切れて、私は最近ずっと考えていたことを口にしました。

「明日…会えそうにない?」

自分でも笑ってしまうようなか細い声が出ました。

「…ごめん。抜けられない会議が入ってしまった」

予想はしていた筈なのですが、私は思わず泣いてしまいました。

「しょうがないよ、大丈夫だから」

自分に言い聞かせていたんだと思います。
泣きながら努めて明るく言い続けました。
1、2分ほどして、ヤマトさんはようやく口を開きました。

「…今から会いに行ってもいい?」

断る理由などありませんでした。

「来てほしい!ヤマトさん、めっちゃ会いたい…」

思わず本音が口をついて出ました。
それから一旦電話を切って、ホテルの名前と住所、コンビニとの位置関係をメールで送りました。
メールを送り終えた後、シャワーを浴びている時間はなさそうだったのでとりあえず身体を拭いて、化粧を直して、誕生日プレゼントに友達に貰った薄ピンクの口紅も引いて、お気に入りの香水を振って、テレビも消し、携帯を握りしめながらヤマトさんの到着を待ちます。

23時過ぎ、部屋のドアがノックされました。
私は飛び上がるように腰かけていたベッドから立ち上がり、ドアに駆け寄ります。
以前何かのホラー映画でトラウマになっていたドアスコープを何のためらいもなく覗くと、間違いなくヤマトさんその人が立っていました。
勢いよく扉を開け、中に招きます。
数週間ぶりに見た彼は、いっそ笑ってしまいそうな程疲労でボロボロで、人相が違って見えたほど。
こんな状態で会いに来てくれた彼に、文句などあるわけがありませんでした。

ベッドに腰掛けるよう促すと、落ちるようにして腰を下ろすヤマトさん。
大きなため息を一つ吐いて、

「疲れたー…」

と一言。
私は床に膝をついて、俯きがちなヤマトさんの顔を見ようと覗き込みます。

「隣、座りなよ。服汚れるよ?」

「ううん、いい」

「そう?」

会話をすることですら体力を消耗しるように見え、私は何と声をかければいいのか、言葉が見当たりません。
そこでふと、お土産を持ってきたことを思い出しました。

「ヤマトさん、お土産があります!」

少しだけ顔を上げてくれたヤマトさん。

「なになに?」

と、興味を持ってくれた彼に背を向けて、
割れないように大切に持ってきたクッキーを手渡しました。

「何でしょう」

「なんだろう?全く思いつかない」

「クッキーを、焼いてきました」

「え、ほんとに?」

やっと、ヤマトさんが笑ってくれました。

「甘いもの嫌いじゃない?」

「うん」

「ならよかった」

「2つある」

「うん、そう、ヤマトさんと、OOちゃんに。お兄さんの分も持って来ようかなと思ったんだけど、
  誰か甘いもの嫌いだったら多いかなーと思って。職場の人にでも貰ったって言っといて」

「そっか−…ありがとう。絶対喜ぶよ」

「だといいなー」

「今日は、ゆっくりしていけるんですか?」

「んー…早く出ないといけない」

胸が痛みましたが、私は気持ちが顔に出やすいタチなので、努めて平静を装います。

「そっかー…仕事早いの?」

「仕事はいつも通りなんだけどね。あのさ、兄貴と子どもと3人で暮らしてるって言ってたじゃん?」

「うん」

「その兄貴が、県外に移動になっちゃって。今子どもと二人で暮らしてるんだ」

「えっ、じゃあ今子ども一人なの?」

「ううん、俺帰り毎日遅いから、さすがに一人はまだ心配だし、近所の親戚の家で預かってもらってる。
 だから、迎えに行かなきゃいけなくて」

「そっ…か…」

「7月に入ってから、色々状況が変わってしまって。今月一回もコンビニ入れてないし」

「そうなんだ…。あ、私さっきコンビニ行ったよ。ヤマトさんいるかもと思って」

「あ、そうなの?」

「それでね、多分私が連絡先渡した時ヤマトさんのことを笑ったパートのおばちゃんにレジしてもらった!」

「え?」

「確か○○さん」

「あぁ、そうそうあの人(笑)」

>宿泊者じゃない人は部屋まで行けないんじゃか?

フロントの人に確認したから大丈夫!
一般的にはNGらしい

ヤマトさんを待っている間、口紅をくれた友達とラインをしていたのですが、明日会えなくなっちゃったんだと伝えると、「じゃあ今日はいっぱいわがまま言って甘えておいで」と言ってくれました。
しかし本人を目の前にして、私のするべきことはどうやら逆でした。

「ぎゅってしていい?」

「はい」

ヤマトさんは右手を差し出しました。
私は笑いました。

「もっと…全体的に!」

両手を広げると、意図を理解したヤマトさんは笑って私に体重を預けてきました。

「ハグすると、ストレスって緩和されるんだって」

背中をとんとん叩きながら言うと、言葉になり切らない相槌が返ってきます。
ヤマトさんも微弱な力で私の背中をさすってくれました。

「甘えていいよ?」

私が言うと、耳元でふっと息がこぼれる音がしました。
そしてヤマトさんは私の胸に顔を摺り寄せます。
可愛いヤマトさん。
愛しいヤマトさん。
ずっとこうしていたいと本気で思いました。

再会出来た喜びと、その時間がごく限られているという寂しさで、ヤマトさんの温もりを感じながら私は泣きました。
声を押し殺しても身体の震えは制御できず、察したヤマトさんに強く抱きしめられ、私は堪らず嗚咽を漏らしました。
「会いたかった…」

「うん」

触れているのに目の前にヤマトさんがいることが信じられず、私は時折少し身体を離しては顔を確認していました。
彼は眼を閉じて、私の脇に顔をうずめていました。

私は相変わらず止まる気配のない涙を垂れ流していました。
私が鼻をすする音だけが部屋に響く状況がどれほど続いた頃でしょうか。
ヤマトさんは唐突にスカートの中に手を入れて、直尻を揉み始めました。

「…」

「…」

「…ヤマトさんってさぁ…尻フェチでしょ…」

しゃくりあげながら尋ねると、ヤマトさんは

「ふふっ」

と耳元で笑いました。

「笑ってほしいのが半分、下心が半分」

「したごころw疲れてるんじゃないのー?」

「すごくつかれてる」

そう言いながらヤマトさんは私の首筋にちゅっと音を立ててキスをしました。
唇の感触が気持ちよくてヤマトさんに身体を預けます。
ヤマトさんは私に構わず私のお尻をいじり倒しています。

「あのー、ムラムラしちゃうのでやめてもらえませんかね」

「んー?すればいいんじゃない?」

「えー。じゃあとりあえず口にちゅーして」

「ん」

ちょっとぶりに見たヤマトさんの顔は、やや活気づいているように見えました。
いやはや性欲とは恐ろしいものだ。

ヤマトさんは私のシャツをめくり、手背でお腹を撫でました。

「すごい腹筋だね」

私の腹筋は6つに割れているので当然の感想だと…嘘です、彼の皮肉です。

「…自分が痩せてるからって」

「いや、太ったよ。お腹出てきた」

「どこがー!」

ヤマトさんは文句を言う私を無視して背中に手を回します。
背全体を優しく撫でまわされ、くすぐったさと気持ちよさで私は目を細めました。
不意に、胸の圧迫感が消えます。

「…外したなー」

「はずした」

シャツを鎖骨のあたりまでたくし上げられ、胸があらわになります。
ヤマトさんは乳首を口に含みました。
自分の乳首を舐められている様子をまじまじと見たのはこれが初めてでしたが、夢中で吸っている姿が何だか微笑ましく思えて、私は気付かれないように小さく笑いました。

ヤマトさんのこめかみあたりにキスをすると、彼が顔を上げたので口にもします。
ヤマトさんの唇の弾力を楽しんでいると、生ぬるい舌が入ってきました。
煙草の味がしましたが、不快ではありませんでした。
唇は合わせたまま、ヤマトさんは再び下腹部に手を伸ばします。
大好きなお尻を揉んだ後、スカートの中で下着を下ろして触れてきました。
堪らずヤマトさんの首に腕を回すと、天地がひっくり返りました。
ベッドに押し倒され、スカートも下着も完全に取り払われます。
部屋が明るい上に彼がじっと陰部を見つめながら触るので、羞恥心から手で隠しました。

「手、どけて」

優しいけれど有無を言わせぬような声色でした。

自然と漏れそうになる声を押さえるべく私はもう片方の手で口元を押さえます。
それに気づいたヤマトさんは私の手を外して自身の指を口腔内に入れてきました。
男性の指を三本も入れられては口の中はいっぱいです。
苦しいことの意思表示としてやや強めに噛むと、頬の中と外から軽くつねられ、彼の指は出ていきました。
息の上がった状態で彼を見上げると、目が合い、彼は私の唾液の絡んだ指を舐めあげました。
エロすぎわろた。

しかし相手が大好きなヤマトさんであろうと、やられっぱなしは気に食わない私です。
上体を起こすと、抱きついて、スラックスの上から股間を撫でました。
ヤマトさんがびくりと震えます。

「触ってもいい?」

「…もう触ってるじゃん」

「直接」

「いやー…」

「いや?」

「ううん」

「してほしい?」

「…どちらかというと」

私は吹き出しました。
再びベッドの端にヤマトさんを座らせて、私は床に膝をつきます。
またも訳の分からない構造をしたベルトをしていたので外してもらい、下着の上からはむはむすると、熱気と微かな臭気を感じました。
下着を下ろして、先端に口づけます。
手で支えながら全体的にキスをすると、どんどん大きくなっていくのが分かりました。

基部から先端に向かってべろんとひと舐めすると、

「あのー…」

「なんでしょう」

「ものすごく、じれったいです」

「そうしてるんです」

「…いじわるですね」

「ヤマトさんほどではないですよ」

「俺はいじわるくないよ!」

可愛いので咥えてやりました。
ため息とも違う熱っぽい吐息が時折漏れるのが聞こえてくる度に愛しさは増しました。

少し顎が疲れてきたので、口から離しました。
いつの間にか上体を倒していたヤマトさんのお腹に顔を乗せて、シャツのボタンを一つずつ外していきます。
グレーのインナーを捲りあげると、衝撃的な映像が飛び込んできました。

「ぴあす…?」

ヤマトさんは右乳首にピアスをしていました。
私は爆笑しました。

「痛そー」

「…痛くないよ、今は」

「引っ張ってもいい?」

「…やさしくね」

リング状のピアスを極軽い力で引っ張ると、当然ですが乳首も一緒に伸びました。
私はシュールなその絵面にふっと笑ってから、ピアスごと口に含みました。
男性の乳首を責めるのが好きな私からしてみれば少々邪魔な存在でしたが、もう片方はそのままだったので、一度で二度美味しいなあとも思いました。

お臍に舌を差し込み、脇腹をあま噛みして、胸、肋骨、腹筋等々、上半身全体に音を立てながら唇を付けます。
脇の匂いをくんくん嗅いでいると、ヤマトさんが私の背をなでるので、嬉しくてぎゅーっと抱き締めました。
抱き締め返してくれたヤマトさんは、私ごと上半身を起こしてキスをしてくれました。
その感触に酔っていると、彼は私の胸をまさぐり始めます。
耐えきれず刺激から逃げるようにして床にしゃがみこむと、ヤマトさんは私を抱きあげてベッドに放りました。
この前もさらっと身体を抱えられたと書きましたが、私はかなり身長が高く、体重もそれなりです。
よく持ち上がるなあと、口にこそしませんでしたが他人事のように感心しました。

ヤマトさんはスラックスとボクサーパンツを脱ぎ捨て、私の脚の間に身体をねじ込んできました。
必要以上に脚を開かせようとするので抵抗すると、膝にキスされほだされました。
先端を入口に宛がわれますが、私はストップをかけました。

「また生でするのー?」

「だってないんだもん…」

切羽詰まった様子で懇願するように見つめられ、あまりの可愛らしさに許しそうになりましたが、前回会った時の話をした友達の一人に、出立前、誕生日プレゼントと称して
人生が変わる0.02ミリを頂いていたので、スーツケースから取り出しました。
この前も今も当然のように生でしようとしたので、もしかして着けたことないんじゃないか?
と思った私は言いました。

「着けましょうか?」

「いい!」

ものすごい勢いで拒否されたのでやや拗ねながら装着シーンを眺めていると、

「見なくていいから」

と背を向けられたのでちょっとニヤッとしました。

「きつくない?」

「大丈夫と思う」

「良かった。ヤマトさんのおっきいから、友達と心配してたの」

「…うるさいよ」

このうるさいよ、の言い方がものすごく可愛かったことを今でもよく覚えています。

再度ヤマトさんが私の上に覆いかぶさります。

「怖くない?」

思わず頬が緩みました。
前回私が泣きだした事を気にかけてくれたのでしょう。
まったく恐怖は感じていませんでしたが、そんなことを言ってもらえたのは
初体験時以来でなんだか嬉しくて甘えたくなったので、首に手を回しました。
そんな私の首筋にやさしくキスをしてくれるヤマトさん。

「ありがとう、怖くはないけど、電気消して欲しいな」

ヤマトさんは手を伸ばして照明をいじりました。

「真っ暗もいやだなあ(笑)…あ、良い感じ」

私がOKを出すと間髪入れずヤマトさんが中に入ってきます。
やっぱり大きくてお腹が苦しかったので、思わず顔が歪みます。
ヤマトさんは気付かず激しく突いてくるので、

「ゆっくりして」

と言いました。
一旦動きが止まって、緩やかに出し入れしてくれたので大きさにも慣れてきました。

「ヤマトさんの好きにしていいよ」

というと、なぜか彼の動きが再び止まったので不思議に思っていると、

「…そういうこと言われると、たまらん」

たまらんのはこっちです。笑ってしまいましたけど。
身体も心も最高に気持ちが良かったです。

最中のことは何て書けばいいのかわからんw
いっぱいいっぱいで何かを考える余裕がなかったというのもありますが。
時間はどのくらいだったでしょう、前回の10コスリ異常は確実に続いてました。

「…いくっ」

ヤマトさんが言うので私は思わず

「だめ!」

と叫びました。
私がまだ満足していないからという理由ではありません。
この行為が終わってしまえばヤマトさんは帰ってしまうと思ったからです。
しかしそれも効果なくヤマトさんは果ててしまいました。
いく瞬間、ヤマトさんは私の中から出ていきました。
生でやり慣れてるから反射的に抜いたのかなと邪推しています。

ヤマトさんは私に覆いかぶさったまま沈黙していましたが、暫くして彼は上体を起こすと口を開きました。

「シャワー浴びておいで」

「やだ」

「なんで」

「その間にヤマトさん帰っちゃうんでしょ?」

「そんな下種じゃないよw」

「そうだねwでも、帰らなくても、時間がもったいないから」

「…とりあえずこれ取っていい?」

「まだ着けてたの?w見してー」

「だから見ないの!」

「時間大丈夫?」

「もうちょっとだけなら」

それからお互い服を着て、2〜30分程雑談していました。

「最近さー」

「うん」

「職場の廊下にまで張り紙がされててさー」

「張り紙?」

「『髪をまき散らさないでください』ってやつ」

「www嘘でしょww」

「ほんとほんと。すごい傷つくんだけど」

夢にまで見たヤマトさんとせっかくこうして会話できているのに、私は正面に置かれたデジタル時計が気になって気になって仕方がありませんでした。

ふと会話が途切れた時、聞きたかったことを尋ねました。

「…ヤマトさんはさ、再婚したいとか、彼女欲しいとか願望ある?」

「うーん…離婚したばっかりで、まだ正直実感がないんだよね。
  再婚なんて簡単に決められることじゃなし、子どももいるし。…ただ、支えてくれる人がいたらいいなあとは思う」

「そっか…」

私はそれを聞いて、この距離で私に何ができるのだろうとかなり落ち込んだ記憶があります。
2人で並んでベッドに腰掛けていた私達ですが、私は床に膝をついて、ヤマトさんを見上げました。

「なになに」

「ヤマトさん」

「ん?」

「ご存知でしょうが、私はあなたのことが好きです」

ヤマトさんは唐突にそう言う私に笑って

「ありがとう」

と言いました。

「ヤマトさんはどうですか?」

「ん?俺?」

「ヤマトさんは私のことどう思ってますか?」

私は私の持ちうる全ての眼力でヤマトさんを見つめました。

「うーん…うん、好きだよ」

「なんだそれw」

「いや、好きだよ。けど…」

ヤマトさんが言葉に詰まるので、私は笑いました。

「けど、私に対する程度の好きな人はごまんといますか?」

「そんなこと言ってないでしょ。
  俺は基本的に他人シャットアウトするというか、信じてないから、好きな人なんてそうそう…」

「うん、そうだよね。前聞いた」

「…」

「離婚切り出したのってさ、奥さんの方から?」

「まあ、どちらかと言えば」

「まだ奥さんのこと好き?」

「…分からない」

「そっか。疲れる話してごめんね?」

「全然!疲れるなんてことはないけど…」

「や、私が疲れる。この話はやめ。ちゅーして」

「ええw」

「何、いやなの?」

「いやくないです。ん、」

ちなみに私の中で「好き」と言葉にして伝えることは告白ではないです。
何故なら毎度バレバレな行動をとるので、相手にとってしてみたら特に意外性のない発言だからです。
そして今回の滞在中に、私は告白(交際を申し込む)をしようと思っていました。

しかし私にはできませんでした。
常にダメ元の恋愛ばかりしてきたので、成功率は関係ありません。
その私が、できなかった。
自己満足の告白をして、ヤマトさんの心労を増やすことは分かっていたので
そんなことできない、してはいけないと思ったんです。

そして再びくだらない会話に戻り、午前1時を回る少し前。

「そろそろ帰らなきゃ」

ヤマトさんは言いました。

泣いてはいけない、そう思っても意思に反して涙は溢れてきます。
ヤマトさんは無言で抱きしめてくれました。

「…泣いてばっかりでごめんね」

「…ううん」

「明日、一瞬でも会えないかなぁ?」

「いや、仕事終わってからなら会えるよ」

「ほんと!?」

私は全力で食いつきました。

「なるべく早く終わらせてくる。終わったら即行連絡する」

「うん、待ってる…」

数分ヤマトさんの胸の中で泣いた後、革靴を履いて、鞄を持ち、ヤマトさんは帰って行きます。
私の部屋の入口から、エレベーターホールが見える位置だったので、乗り込むヤマトさんに手を振りました。
ヤマトさんも振り返してくれて、投げキッスをしてみるとヤマトさんは笑いながら手で払うしぐさをしました。

扉が閉じかけた時、ヤマトさんはハッとした顔をして部屋に戻ってきます。

「クッキー忘れた」

「あぁ!」

私もうっかりしていたお土産を確実に手渡しました。

「じゃあ、また明日ね」

そう言って背を向けるヤマトさんの裾を引っ張り、引き止めました。

「一回部屋に入るごとに、一回ちゅーしなきゃいけないんだよ」

「なんだそれ」

我ながら恥ずかしいことをしたと思いますが、ヤマトさんは笑って応えてくれます。
再度エレベーターに乗り込むヤマトさんに笑顔で手を振りました。

ヤマトさんも笑顔で振り返してくれました。

今日見た中で一番の笑顔です。

エレベーターの扉が閉まりました。

最後に見れたのが笑顔で良かったと、今になって思います。

馬鹿だなあ、もう一回くらい、もう一秒くらい長くキスするんだった

翌日、夜まで暇な私は日中の時間を観光に当てることにしました。
バスで片道2時間強のそこへ、もちろん一人でいたのですが、アクシデントがあり、なんやかんやで初対面のおっさんと二人で回るハメになってしまいました。
私は人間と喋りたくない気分だったのですが、まくタイミングを逃し結局…
このおっさんがヤマトさんだったらなあと、何度思ったことか。

ホテルのある市に戻ってきたのは17時過ぎ頃。
私はお腹が空いていて、やはり人間が大勢いる空間には居たくない気分だったのですが、せっかくこんな遠くまできて二日連続夕食がコンビニって…と思ったので、ホテルの近くにあった程よく寂れた定食屋に入りました。
無愛想そうなおばさん店員の目の前のカウンター席に座ります。
無性に肉が食べたかったのでトンカツ定食を注文しました。
数分して運ばれてきた御膳には、ハーフサイズですらないラーメンが付いてきて、店員とコミュニケーションとりたくない系女子の私ですが思わず

「おそばも付いてくるんですか!」

と言ってしまうと、
無愛想だと思った店員さんが笑っていました。

ドラゴン桜を読みつつ消化しながら2時間かけてなんとか完食し、会計を頼みました。
例のおばちゃんで、

「全部食べれた?」

と声をかけてくれたのがなんだか嬉しくてほっこりしました。

ホテルに戻り、化粧を直して、この日の為に買ったワンピースに着替えて、ヤマトさんからの連絡を待ちました。

約一時間後、20時、ヤマトさんから着信がありました。
予想より早い連絡に私の胸は躍りました。

「もしもしヤマトさん?お疲れ様!」

「今大丈夫?」

「うん!今お仕事終わったとこ?」

笑えるほどはしゃいでいる私は聞きました。

「ごめん、今日会えなくなってしまった」

息が詰まりました。
目の前が真っ暗になりました。
頭を鈍器で殴られたような痛みと、吐き気を覚えました。

今日、お昼過ぎ、会社に学校から連絡あって、子どもが怪我して病院に運ばれたと。
そうしたらストレスで消化器症状も出ていることが分かり、緊急で入院することになったそうです。
ストレスの原因は両親の離婚、親戚に預けられていること、生活リズムの違いによる父親とのコミュニケーション不足などが考えられると医師に言われたようで、ヤマトさんはそれはもう、それはもう酷く落ち込んでおりました。

そんな状況で泣き言を言えるわけがありません。

自分には父親でいる資格がない、母親に付いて行った方が幸せだったと言うヤマトさんに叱咤もしました。

「疲れた…」

「うん、昨日会って、本当に疲れてるんだなって思った。ぐったりしてたもん。本当にお疲れ様」

「…愚痴ばっかりでごめん。他に言える人も、時間もなくて」

「わかってますよ。私で良ければいくらでも聞きますよ」

私はヤマトさんのことが心配で心配でたまりませんでした。

「病院行ったら、迷惑?」

「…迷惑とかじゃないんだけど、前の奥さん来てるんだよね」

「あぁそうなんだ…。それは行けないね(笑)」

「…うん、ごめん。最初会社に繋がらなくて、前妻の携帯に先に連絡いったみたいで」

「そうなんだ。何か話した?」

「あぁ…なんか、うちらのせいだねーみたいなことを…」

それから暫く自分を否定し続ける彼を慰めました。
病室に戻らなくてはと言うヤマトさん。
私からは切れないので切ってくださいと伝えるも、ヤマトさんはなかなか切ってくれません。
もう涙腺が限界だったので、私から電話を切りました。
通話時間は24分08秒。
ポーズはそのままに携帯がベッドに落ちました。
追って、重力のままに腕を垂らすと、私は声を上げて泣きました。
誰も悪くない。
今まで不都合があると他人のせいにしてきがちだった私です。
でも今回は誰のせいにもしようがなく、ただただ悲しくて泣きました。
遣り場のない悲しみに涙はとどまることを知らず、私はいつの間にか泣き疲れて眠っていました。

最終日。
軽い頭痛のする中シャワーを浴びて、朝食を摂り、部屋に戻って荷物をまとめます。
チェックアウトのタイムリミットは午前10時。
時計に目を遣るとあと15分程でした。
ベッドに仰向けに寝転び天井を見つめます。

「…ヤマトさん」

無意識の内に呟いてしまった大好きな人の名前。
視界が滲みましたが必死でこらえました。

私はなんの為にここまでやってきたのだろう?

悲しくて、寂しくて、惨めで、それでもヤマトさんが大好きで。

たまらず私は部屋を出、涙をいっぱいにためながらチェックアウトを済ませました。

外に出て、電池を節約していたiPodを取り出し、イヤホンを耳に差し込みました。
少しでも孤独感を紛らわそうと、タイトルも確認せずに流した曲はandymoriのteen’s。
もう、人目も憚らず号泣してしまいました。
別に恋愛の曲でもなんでもないのですが。
メロディと、「こんな馬鹿な気持ちを 歌にしたら笑うだろう」という歌詞がもう無理でした。

タクシーを使うと例の幹線道路を使わざるをえません。
しかも時間はまだ午前中。
確実にあの人工ビーチが視界に入ってしまう、それは耐えられないと思い、泣きながらスーツケースを引っ張り、駅まで歩きました。

空港につき、私はメール作成画面を立ち上げました。
宛先はヤマトさんです。

帰りたくないよ
もっと一緒にいたかったよ

と打って、削除しました。
こんなメール送って何になると思いました。

搭乗ぎりぎりになって、先月一緒にこの地に旅行に来た友達からラインが来ました。
ことの顛末を書くと、また感情があふれてきて困りました。

本当は、この二泊三日でヤマトさんとやりたいことがいっぱいあったんです。
写真をとりたかった、お酒を飲みたかった、告白をしたかった、もっと好きと伝えたかった、もっと話したかったし、もっと触れたかった。

帰宅してから、私は部屋に篭りぼんやりしていました。
二泊三日で2時間しか一緒にいられることが出来ず、いまいち会えた実感がなかったのです。
本当はヤマトさんなんて人はいなくて、全部自分の妄想だったのではないかと本気で思いました。

しかし、連絡先を渡す場面を見ていた友達が二人もいて、ヤマトさんからのメールや発着信履歴が存在していて、妄想にしては映像や音声、肌に残る感触が鮮明過ぎると思ったし、そして先月カメラに収めた唯一のツーショットは、紛れもなくヤマトさんと私で。

私はこの旅で大いに傷つき、数年分といっても過言ではない程の涙を流しました。
正直財布も痛んだ。

でもきっと、ヤマトさんは今私なんかよりもっともっと傷付いている。

人付き合いが苦手で、口下手で、子ども想いな人です。

シャイで、尻フェチで、愛嬌のある人です。

不器用で、要領が悪く、嘘がつけない人です。

ネガティブで、繊細で、優しい人です。

私は、そんなヤマトさんが大好きです。

===================
※返信不用
===================
こんばんは!
○○ちゃんは退院できたかな(´・ω・` )?

ヤマトさんの悩みは、経験値的にも距離的にも私には解決できないことばかりだけど、愚痴聞くことくらいなら出来るから、気が向いて、時間できたらいつでも連絡くださいね(^_^)

日本全国どこにいても、ヤマトさんの幸せを心から願ってます!
あなたを好きでいることに、○○〜●●間は大した距離ではありません

今日も一日お疲れ様でした\(^o^)/
===================

いてもたってもいられず送ったメール。
この後、私はこの距離でどうヤマトさんを支えられるか考えました。

先日の帰り際、ヤマトさんは言っていました。

「あなたは俺のことを好きと言ってくれる。でも、扉を出たら現実が待ってる…今も現実なんだけど」

暗い表情で言う彼に対して私は言いました。

「この部屋から出たって、私がヤマトさんのこと好きなのは変わらないよ?
  ヤマトさんが望むなら…望まなくても、これからもいくらでも好きって言うよ!」

そして無言で頭をわしわしされたことを思い出した私は、ヤマトさんにとって私は良い意味で現実逃避できる存在なのではと思いました。

私は、ヤマトさんのはにかんだ顔が大好きです。

一日の内一瞬でも笑って欲しい、一瞬でも悩まなくて良い時間を持ってほしくて、私はメルマガと称して写真を送ることにしました。

写真はどこかしらに私が写っているものに加工して一言添えたもので、風景が綺麗なもの、様々なコミュニティの友達と写っているもの、バイトのユニフォームを着ているもの、若かりし頃の私などなど、ちょっと笑えるものを厳選して毎日仕事が終わる頃にメールに添付して送り付けました。
イタイなーとも思いつつ、これ以上のアイディアが浮かばなかったので続けました。

返信が来ることは微塵も期待していませんでした。
返信する暇があるなら子どもに構え、もしくは寝ろ、とも思っていました。

湿っぽい曲は聞かないようにしていました。
逆に最高に元気が出たのは忍たま乱太郎でお馴染みの勇気100%ですw
特に2番が良すぎるので以下抜粋
ぶつかったり 傷ついたり すればいいさ
HEARTが燃えているなら 後悔しない
(中略)
そうさ100%勇気 さぁ飛び込むしかないさ
まだ涙だけで終わる ときじゃないだろう
そうさ100%勇気 もうふりむいちゃいけない
ぼくたちはぼくたちらしく どこまでも駆けてゆくのさ

おすすめです。
元気でます。
いやほんとに。

そんなこんなで、メルマガを配信し始めて10日が経過した7月某日。
奇しくもヤマトさんと私が出会って丁度31日目のことでした。
またその日のは私の将来を左右する大事な大事な試験の日でした。
疲れ果てて帰宅し即行ベッドにダイブした私。
起床しスマホを見ると、ヤマトさんからメールを受信したとき仕様の点灯が。
そしてヤマトさんフォルダに新着メールが。
私は寝惚けていて、大した感動もなくメールを開いた覚えがあります。

==================
全く返事も出来なくてごめん。

○○は益々体調が悪くなっていくばかりで、話し合った結果
前妻と同居する事になった。

子供達の事がやっぱり心配だからその方がイイかもって事になった。

自分の中で優先するのがやっぱり子供だから他の事がどうしても後回しになってしまう。

返事もしてあげられないし、時間も作れない。
本当にごめんね。
==================

私はこのメールを見て、諦めようと決意しました。
この人の人生に私は必要ないなとも思いました。
涙は出ませんでした。

私はこれ以上ヤマトさんに悩み事を増やしたくないのです。
だから、伝えたいことは沢山あったけど、返信はしませんでした。
本当に心から幸せになってほしいと今でも思っています。
それが私に接点のないところであっても、私にできなくて前妻にできるなら彼女の力を借りてほしいと本気で思うし、それによって子どもが幸せになって更にヤマトさんが幸せになるなら私も幸せです。
綺麗事と思われるかもしれないですが、自分でも驚くくらい本気です。
私が良い奴じゃない事は私自身が一番よくわかってますから。
そして私の拙い文章では伝わり切っていないかもしれませんが、本当に彼は素敵な人で、私は本当に惚れていました。
単身で彼の元を訪れ、2時間しか会うことができず、そのことを話した友達にタイミングが悪かったねと言われ、私自身もその時はそう思いましたが、仮にもし一日でも旅程が遅れていたら一瞬も会えなかったし、逆に早くてもヤマトさんの現状を知るのはもっと後になったでしょう。
一度だけした長電話の中で、連絡先を渡した時彼は自分の価値を見失っていて、私の好意に救われたと話し

「タイミングって大事だね」

と言いました。
一度目は勿論、二度目の逢瀬だって、こんなベストタイミングはなかったと思います。

生活は何も変わりません。
ヤマトさんにメールを送ることがなくなっただけで、私は未だに彼を大好きでいますし、待ち受けも金髪モヒカンのヤマトさんのままです。

私は幸せです。強がりでもないです。
不運だったかもしれませんが決して不幸ではありませんでした。
あの時ヤマトさんに声をかけて良かった。
清々しいほどに後悔は一つもありません。
本当に楽しい一ヶ月でした。

昨日、当時のことを思い出したのと、感情が高ぶり、自分の出した答えが正しかったのかが分からなくなって、一旦冷静になろうと思い、散歩してきました。

で、一つの結論に辿り着きました。

私の考え、気持ちをお話させてください。

ヤマトさんは以前自身の離婚について、「親の勝手で子ども達に寂しい思いをさせてしまって申し訳ない」と言っていました。
それはフォローのしようのない事実で、子ども達からしたら本当に良い迷惑だと思います。
それがまたこうして両親とも兄弟とも一緒に生活出来るようになって、想像したら微笑ましい映像しか思い浮かばないのですよ。

私は結婚したことも離婚したことも、子どもを産んだこともないので、妻帯者や親の気持ちなんてちっとも分かりません。
でも、子どもの気持ちは分かります。
私の両親は共働きで、二人とも帰ってくるのは日付が変わる頃です。
甘えたい盛りの当時は寂しくて仕方ありませんでしたが、私には兄弟がいました。
また、二人が喧嘩をした際、母親が家出をしたことがあるんですが、たった数日でもどれだけ不安で心細かったことか。
ヤマトさんについてきた一番上の子は、たった一人で、親戚に預けられ、お父さんと会話する時間も殆どなく、寂しくても言い出せない日が続いていたでしょう。
もしかしたらヤマトさんが懸念していたように、本当にお母さんについていけば良かったと思っていたかもしれない。

ヤマトさんの元で就職して、支えてあげてと言ってくれた方がいましたね。
私も、彼が前妻と同居する前はずっとそう考えていました。
私の持つ資格をもってすれば就職先にはまず困ることはなく、かつ高給が期待できるので、ヤマトさんが深夜まで働く必要もなくなり、結果子どもと過ごす時間が増える…最高じゃないかと思いました。
でも今前妻との同居が始まり、子どもにとって夢にまで見た環境が実現している訳で、私にそれを壊す勇気はとてもありません。

私はヤマトさんが大好きです。
子どもが一番最優先のヤマトさんだから好きです。
好きなら諦める理由がどこにある?と言ってくれた方がいましたが、好きだからこそ諦めて、引こうと思いました。
私の気持ちを伝えることは、彼の心労を増やすでしょう。
幸い本人を目の前にして気持ちを伝えることができたので、それ以上はただのストレス発散、自己満足以外の何物でもないと思っています。
状況が違えば、私の性格からして未だに好き好き言ってたと思いますが。

また、ヤマトさんの気分転換に恋愛を、と言ってくれた方もいましたが、彼は片手間に恋愛できるほど器用ではないと思いますw

私はこの度、大いに傷ついて、みっともないくらい泣いて、悩みに悩んで、考えて、考えて、考え抜いた結果、この件に関しては引くことが最良であり、それが私の持ちうる最高の愛だという考えに到達しました。

本当に彼には幸せになって欲しいものです。
他の女とセクロスしまくって満たされるものがあるならそうして欲しいし、こんなビッチがいたわーと私とのことをネタにされることなど願ってもないこと、本望です。
私もこうして大いにネタにさせて頂いている訳ですしw

何かすごい良い奴っぽいというか偽善者っぽいというかな感じですが、間違っても私が良い奴なのではなく、ただ単にヤマトさんが素敵すぎてこのような行動を取らせただけなのでお間違いなく。

そして先ほど、ヤマトさんの電話帳、メール、発着信履歴全て削除しました。

写真と思い出があれば十ーーー分です。
着信拒否、受信拒否には指定していないので、まぁ無いとは思いますが彼から連絡を取りたいと思ってくれた時には繋がるでしょう。

あーーー
楽しかったでしょ、○○さん?
私もすごい楽しかった。
最高に幸せだった。
出会えて良かったー
大っっっっ好きだーーーー!!!! 

↓時は流れて・・・1か月後

進展があったというかさっきまで一緒にいたのでご報告を…!!

結果から咲に書くと、
・お付き合いすることになった
・遠距離じゃなくなる
です!!!!しねる!!!!!

そうヤマト!

事の発端は先週、私は尻ポケットに入れたスマホを便器の中に水没させました。
幸いSDカードにバックアップをとってあったので
本体は死にましたがデータは復元できました。
ヤマトさんのデータも復活してしまいました。
久々に見た彼のフルネームを暫く凝視していましたが、近況を知りたいという欲に抗えず、私は通話ボタンを押してしまいました。
出ないだろうなと思いました。
何なら着信拒否されてるだろうと思っていました。
まあその日は彼は電話に出ませんでした。

ちなみに保険入ってたから修理代5000円で済んだよ!
5000円で付き合えるなら御の字すぎるわww

折り返し電話が来ることもなく、私も一週間放置していました。
で、昨日。
私はレポート書きながらさんまのまんまを見ていました。
昨日のゲストはオレンジレンジでした。
ヤマトを見てクソ笑いました。
やっぱりあんま似てないなあと思いながら、また声が聞きたくなってしまいました。
ヤマトさんが仕事終わるくらいの時間に電話をかけてみました。
またしても応答はなく、自分の未練たらしさにやれやれと思いながら机に置くと、十数秒後着信のバ●ブが。
ヤマトさんの名前と写真が画面いっぱいに表示されています。
自分でかけたくせに、嘘だろ、と思いました。

諦めるとか言ったくせに諦められてなかったわけだし
最初繋がんなかった時はかなり自己嫌悪に陥ったw

尋常でないほどの手汗が滲んで、ただ震えるスマホを凝視。
出たところで何を話せばいいんだ?とか、うまく会話できるのか?
とか、頭の中はとっ散らかっていましたが、早く出ないと切れちゃうと思い、着信に応じました。

「もしもし」

もうそれだけで泣くかと思いました。
私は金魚みたいに口をパクパクさせていました。
あれー?とかもしもしーとか聞こえるー?とかヤマトさんは言っています。

「ど、どうしたの?」

「え?w」

「な、なんで?」

「な、何が?」

「え、で、電話?」

「え、かけてきたでしょ?」

「いや、かけ、かけたけど、かけなおしてくると思わないじゃん」

「かけなおさない方が良かった?」

「いや!うれしいです!!」

「それはよかったw」

「先週かけた時は出てくれなかったから…」

「ああーあの時扁桃腺腫れまくってて声出なかったんだよ。今も完治はしてないから、声変だけどごめん」

「全然大丈夫!」

「愛(仮名)は?元気だった?」

「超元気!てか、名前、覚えててくれたの」

「当たり前じゃんw」

ここらへんで私号泣w

「…大丈夫?」

「全っ然大丈夫!…もう一生声聞けないと思ってたから、嬉しすぎて涙腺おかしくなった」

「…」

「むしろ着拒されてるかと思ってた」

「そんなことしないよ。嫌いになったわけじゃないんだし」

更に号泣する私

「子どもたちは元気になった?」

「うん。全体的に元気になった」

「全体的にw今お家?」

「いや、東京」

「は?」

I live in Tokyo.

「なんでなんでなんでなんでry」

「落ち着いてw話せば長くなるけど、仕事の関係でちょっと」

「東京のどこ!?」

ヤマトさんの宿泊先は、頑張ればチャリで行ける距離でした。

「…行ったら迷惑?」

「ううん、今日はもう何もないから大丈夫」

「行っても良い?」

「うん」

即行で化粧して着替えて、suicaと財布と携帯だけバッグにぶちこんで
ヤマトさんの元へ向かいます。

指定されたビジネスホテルまで向かい、フロントに掛け合うと、

「我如子様から伺っております」

といわれたのでお部屋まで行きます。
エレベーターおっせえええええと思いながら階数の表示をにらみ続けること30秒ほど。
やっと開いたと思ったその先に、ヤマトさんは立っていました。
彼は片手をあげて

「久しぶり」

と。
もー崩れるように抱きつきました。

せっかくしてきた化粧も瞬殺するほどの大号泣。
引きずられるようにして部屋まで連れて行かれます。

「お茶飲む?」

「飲む」

インスタントのお茶を入れてくれるヤマトさん。
背を向ける彼に抱きつきました。

「なにw」

「何じゃないよ…何でこっち来るって教えてくれなかったの?」

振り返ったヤマトさんはほほ笑んで私の頭をなでます。
そのままはい、とお茶を渡されたのでベッドに腰掛けてすすりました。
ヤマトさんはベッドの向かいの椅子に座りました。

「会いたくなかった?」

「会いたくなかったら今ここに居ないよ」

「じゃあなんで教えてくれなかったの?」

「そんな都合良い事出来ないでしょ」

「都合?」

「うん。俺の都合でさんざん振り回したのに、たまたまこっちに来たからって、会いたいなんて言えないよ」

「…そう?」

「そう」

ヤマトさんは俯いて

「あーー」

と割と大きめの声を出しました。

「…だから、びっくりした。嬉しかった、電話。ありがとう」

なんかもう泣き過ぎて頭が痛かったです。

「なんでこっち来たの?出張するような仕事じゃないよね?」

「うん。あの仕事、辞めるんだ」

「えっ」

「で、こっちで働く」

「えぇ!?」

「知り合いの紹介なんだけど、今日話聞いてきた」

「みんなでこっち来るの?」

「ううん、俺だけ。出稼ぎ」

「え…だって、せっかくみんなで暮らせるようになったのに…」

「ねー(笑)」

ヤマトさんは視線を合わせずに笑いました。
乾いた笑いってこういうことだなあと思いました。

「いてもいなくても同じって言われた。から、なら少しでも高給で働けるところ探そうと思って。
 こっちの友達に冗談で仕事紹介してよって言ったらほんとに世話やいてくれて、来た」

ヤマトさんは泣いていました。

「何で愛が泣くのw」

「ヤマトさんが泣くからでしょー!なんでそんなこというの…」

「いやーでも返す言葉なかったよ。みんなが寝てる間に帰ってきて、みんなが起きる前に出勤して、
  休みも週一あればいい方だし、どうせ構えないなら為になることしようと思ってさー・・・」

何でもない風に語るヤマトさんを見ているのがつらくて、私は彼を抱き締めました。

「見てないから泣いていいよ」

「…ありがとーでももう泣いてるw」

「もっと激しく泣いていいよ!」

「激しくw引くよ?w」

「引かないよ!」

結局激しくは泣きませんでしたが、彼は数分間無言で私の胸に顔をうずめていました。

「落ち着いた?」

「ごめん、情けないとこ見せて」

「情けなくなんかないよ。私の方がよっぽど泣いてるしw」

「大体俺のせいだけどねw」

「確かにww」

それから詳しく話を聞くと、こっちに引っ越してくるのは今年の12月で、仕事は二年間の契約社員だそうです。

「いつまでこっちにいるの?」

「明日帰る。17時台の便だったと思う」

「そうなんだ…明日は何してるの?」

「その友達と会う約束してる」

「そっかぁ…」

「愛は?明日何してるの?てかまだ夏休み?」

「明日夏休み最終日だよwレポート書いて終わると思う」

「そうなんだー…」

何故か急に気まずい沈黙が流れました。

「ヤマトさんさ、前会いに行った時私が再婚願望とかある?って聞いたの覚えてる?」

「うん」

「その時自分がなんて答えたか覚えてる?」

「うーん、今すぐには考えられないとか言った気がする」

「うん。それも言ってたけど、支えてくれる人がいたら良いなと思ってるとも言ってたの」

「言ったかも」

「言ってた。でね、その時は私この距離でどうやってヤマトさんのこと支えられるかなって考えてたんだけど、
  答え出なかった。ていうか、私じゃ無理だと思って人知れずショックを受けてた」

「人知れずw」

「うんwでもさ、ヤマトさんこっち来るじゃん?」

「うん」

「私に出来ることありまくりなんですよ」

「愛、」

ヤマトさんは私の言葉を遮ります。

「はい」

「やめときなさい」

「何をですか?」

「俺はほんとろくでもないから。愛はまだ若いんだし、これからたくさん出会いもある。
  一時の気の迷いで時間を無駄にしちゃだめだよ」

私は切れました。

「一時の気の迷いって何?ヤマトさんがろくでもないかどうかはヤマトさんが決めることじゃない。
  私がこの前どんな思いで会いに行って、帰ったと思う?これからどんな出会いがあるかなんて知らない。
  今私はヤマトさんが好きなの」

「…ごめん」

ヤマトさんは謝ってきました。

「私はヤマトさんが好きです」

「ありがとう」

「ヤマトさんは?」

床に膝をついて椅子に座るヤマトさんを見上げる私の両肩に、彼は手を乗せます。

「好きだよ。大好きだよ」

ヤマトさんは俯いたまま私を抱きよせてきました。

「愛といるとすごく癒される。嫌な事全部忘れられる。近くにいて欲しいってずっと思ってた。
  でも俺は愛に何もしてあげられないし、もしかしたら彼氏がいるかもしれないと思って、今回も連絡しなかった」

自信がないんだなあと思いました。
出会ってから事あるごとに歳のこととかバツついてる事とか子どもがいることを口にしていたことを思い出しました。

「何もしてあげられないなんてことないよ。抱き締めてくれるだけで良い。一緒に居られれば幸せ。
  自分でも意味分からない位ほんとにヤマトさんのことが好きなんの。だから一時の気の迷いなんて言わないで」

「うん、ごめん…」

しょんぼりした顔をするヤマトさんを見て、私は少し笑いました。

「ヤマトさん、明日見送りに行って良い?」

「来てくれるの?俺は構わないって言うか、嬉しいけど…せっかく夏休み最後の日なんでしょ?」

「夏休み最後の日に好きな人の見送りなんて最高じゃん!」

「…う、うーん、ありがとう」

「それで、私は今からあなたに告白をしますので、明日お返事を聞かせてください」

「えっ!?あっ、はい…お願いします?」

あからさまにキョドるヤマトさんが可愛いくて、私は吹き出しました。

「ヤマトさん、好きです、付き合って下さい」

私は至極真面目な顔で言ったのですが、ヤマトさんはにやっとしました。

「ちょっと」

と言いつつ私もつられて笑ってしまいます。

「ごめんwあの、俺なんかで良ければ、お願いします」

ヤマトさんは頭を下げながらそう言いました。

「本当に…?」

無言で何度も頷くヤマトさんを見て、涙が滲みました。

「でも、明日返事聞かせてって言ったんだけどw」

「あぁ、そっかwどうしよう」

「もういいよw嬉しすぎるから、どうでもいい…」

思いっきりだきしめると、思いっきり抱き締め返してくれました。
目があって、笑って、久しぶりにキスをして…以下割愛。

独り身=独身ってことなら出会ったときからずっと独り身!
同居してたけどよりを戻したわけではないから
上京は家族ってか子どものためだよ!
家族の定義がわからんくなってきたけど

事後、私はヤマトさんに尋ねました。

「この前会いに行く前さ、長電話したじゃん?」

「うん」

「その時私が一番ヤマトさんとしたいって言ったこと覚えてる?」

「うーん、ごめん、覚えてない」

「ふーん?」

私はにやにやしながら横たわるヤマトさんの腕の中にもぐりこみました。

「なになにw気になる」

「今してること」

「?さっきしてたことじゃなくて?」

「違うよーwそれが一番したいこととか残念過ぎるでしょww」

「じゃあ何―教えてー」

「一緒のベッドでくっついて寝たいって言ったの」

「…言ってたかも」

「うん。だから私今すっごい幸せ。幸せすぎて泣ける」

ごめんちょっと眠すぎるのでこのあとのことざっとまとめると、翌日(今日)、朝一旦別れて、搭乗の2時間前位に再会して、本当に俺でいいのかみたいなやり取りをまたして、お見送りして、帰宅、今みたいな感じです。

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この記事のコメント一覧
1 . 名無しさん  ID:00W8fjai0編集削除
今までこんなこと言ったことないんだけど


長い
2 .   ID:n67.0SNP0編集削除
うむ、長い。
しかも尻切れトンボくさい
3 . 名無しさん  ID:4YNW8kQx0編集削除
最近長いのが多い
4 . 名無しさん  ID:IG4OuFP30編集削除
長い話だから どっか他に投稿ナリした方が、読んでくれるかも・・・・
まぁ どこでもイイか

途中で読み切るの諦めたから・・・
5 . 名無しさん  ID:Ds9op.QI0編集削除
自分が好きなだけ。
6 . 名無しさん  ID:2vcp1R5w0編集削除
米1 さすがにウソだろ?

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