俺の友達夫婦なんだけど、俺が言った一言を皮切りに、目の前で修羅場になったことがある 

まず俺の友人夫婦 

A 小中高同じ学校に行った腐れ縁の友達。俺は高校卒業後に就職したけど、Aは大学に行った 
  今でもよく飲みに行く仲 



A嫁 Aの大学時代の同級生。2年の交際を経て結婚
     かなり美人。気立てもよく、物腰も柔らか。Aの自慢の嫁で、二人の仲はかなり良かった 

俺は結婚前からA嫁のことはよく知っていた。
Aの家に行った時にA嫁も含めて三人で飲んだりしてた
結婚が決まった時もAが真っ先に俺に電話してくれたし、婚姻届けの立会人(だったかな?)にもなった

でまあ結婚してからもオシドリ夫婦として友人間で有名だったA夫婦
俺もあんな嫁さん欲しいなと思うくらい羨ましかった

……と、前置きはここまで
ことの発端は、A夫婦の旅行がキッカケだった

とある夏の日、A夫婦は旅行に行くことになった
なんでも、結婚記念日の前倒しの旅行だったらしく、決行豪華な日程になるとAが自慢してた
AとA嫁は共働きで、二人の長期休みが被ることはかなり珍しい
そんな中、たまたま二人とも長期休みが同じ時期に取れたということで、旅行を計画してたわけだ

俺は適当にAにお土産を頼んで、電話で見送った
もっとも、俺はどこに行くかなんて聞いてなかったけど

で、その時期に俺がちょうど仕事でポカして、取引先まで謝りに行くことになったんだが、それが結構遠いところだった
新幹線に乗って、相手先に土下座する勢いで謝って事なきを得たんだ
まあそれはどうでもいいとして、その日はかなり日も落ちてたからビジネスホテルに泊まった

次の日、帰るために新幹線の駅構内で時間まで待ってた
そしたら、近くにあるトイレから見たことがある人が出てきた―――A嫁だった
そこは観光名所が多い土地だったし、ニコニコしながら旅行バック持ってて楽しそうだった
俺がそこに謝りに来てるのにAの奴は楽しみに来てたことに、なんか理不尽にもジェラシーを感じた
帰ってきたら、たっぷりお土産をもらおうと固く決意して、俺は帰った

俺が見たのは、“見てはいけないもの”だったわけだ

で数日後、A夫婦の自宅に呼ばれ、直々にお土産を渡された
よくわからん地酒だったが、なかなか高いものらしい

しかしまあ一人で飲むのも面白くないと、俺はA達と飲むことにした

酒はいい感じで回り、いつも通り和気藹々と飲んでいて、自然と話題は旅行の話に
Aは饒舌に語る
やれ温泉が最高だったとか、やれ特産の飯が旨かったとか、とても上機嫌
A嫁もニコニコしながらAの話を聞いてた

でだ、俺はその時に、何気なく“禁断の話題”を口にしたんだ

俺『――そういえば、俺もちょうどお前が旅行で行った先に行ってたんだよ』

A『マジで?何しに?』

俺『いやあ仕事でしでかしてな、相手先に土下座の旅』

A『何だよそれwww』

俺『笑いごとじゃねえって。マジで大変だったんだぞ。お前らはいいよな。楽しんでたみたいだったし』

A『なんだよ。見たなら声かけろよ』

俺『新幹線の時間があったから無理だって。
     てかお前、○○県に行ったんなら、名産の××買って来いよ。俺、あれ好きなの知ってるだろ』

A『……は?なんで○○県?』

俺『なにとぼけてんだよ。なんだお前?得意の誤魔化しか?www』

A『いやいや、俺〇〇県とか行ってねえんだけど。お前誰と見間違えたんだ?』

俺『見間違えるわけないだろ。A嫁さんくらい美人が見間違えるほどいたら世の中幸せだぞ』

A『……は?A嫁が?いつ?』

俺『いつって……〇〇月〇〇日だよ。新幹線の駅でA嫁さん見たぞ?』

A『………』

そこで、俺はようやく気付いた

さっきまでニコニコしてたAが、(´゚д゚`)ってなってるのに

……そしてそれ以上に、A嫁が、この世の終わりのように顔を青くし固まっていることに

そん時の俺、二人の顔を交互に見て、何が何だか分からず『え?え?』みたいになってた

そっからAが、顔をみるみる般若の如き形相に変え、ギロリとA嫁を睨み付けた
A嫁、その視線を見た瞬間、傍から見ても分かるくらい体をビクッとさせてた
俺はすぐに分かった
A、ブチ切れてる

A『……どういうこと?』

A嫁『いや……きっと見間違えだと……』

A『だったら何ですぐに言わないわけ?てかさっきからその顔なに?』

A嫁『………』

A『―――何黙ってんだよ!!!!』

A、テーブルの上のコップを弾き飛ばす
A嫁更に固まる
俺もびっくりして固まる

Aとは長年の付き合いになるが、基本的に滅多なことじゃ怒らない
友人間で、菩薩とも言われるほど温厚だ
もちろん、A嫁と喧嘩したことなどない

そっからAの尋問が始まる

聞けば、実はAとA嫁は、俺がいたところとはほぼ真逆のところに旅行に行ってたらしい
で、最終日にA嫁が急な仕事が入ったと、一人で先に新幹線で帰ったそうだ
Aは仕事なら仕方ないと信頼度120%で見送り、一人で車で帰ったと

……だが、A嫁は帰ってなどいなかった
その証人が……俺だったわけだ

ここまでA怒りを露わにするのは理由がある
Aは学生時代、付き合っていた女子に二股をかけられ、手酷くフラれたことがある
奴は、浮気という二文字を凄まじく毛嫌いしているんだ

Aの問いかけは続く
そして、やがてA嫁が観念したのか、目の前で泣きながら土下座をし始めた

A嫁『……ご、ごめんなさい!!!』

―――その言葉で、Aは静かに項垂れた……

ちなみに俺、相変わらず(´゚д゚`)って感じで固まっていた

上で書いてる通り、俺が見たのは浮かれ顔でトイレから出てくるA嫁だけ
とうぜんAもいるものと思ったんだよ
だってそうだろ?普通にそんな場面だったなんて想像も出来ないだろ?

そっから、A嫁の釈明の時間
A嫁は涙ながらに説明をしてきた

・実は、A嫁はAと出会う前にとある人物と付き合っており、大恋愛の末、つまらない口論で別れていた
・ところが数か月前、その人物とたまたま町中で再会し、食事に行った
・相手から『付き合ってる人がいるのか?』と聞かれた時、つい『いない』と答えてしまった
・それからちょくちょく遊びに行くようになり、一か月ほど前、ついに体の関係にまでなってしまった
・Aには悪いとは思っていたが、昔の記憶が甦り、その人物との時間が楽しかった
・そして俺が見たのは、まさに二人で1泊2日の旅行に行く最中であり、Aにバレないように敢えてAとの旅行とは正反対の場所に行った
・でも、このままではいけないと思い、そろそろ終わりにしようと思っていた
・その人物は、A嫁が結婚してることを知らない。何も知らずに、昔のように仲良くしてくれる

とのこと
で、とどめの一言が、

・当時のことが甦り、その人のことをまた好きになってしまった

そこで、Aはトイレに駆け込み嘔吐した
で、トイレから出てきて、

『なんで……なんで……!!』

って泣き崩れた

なお、当時の俺氏、どうすればいいか分からず混乱しまくり、

『とりあえず……お茶!!』

って結論に行き付き、バタバタコーヒー作ってた
おっとバカにすんなよ
お前らだって、目の前で修羅場が始まったら自分でもわけの分からん行動をとること必至だぞ

それからしばらくAは泣き続けた
A嫁はそんなAを見て、もしかしたら良心の呵責に苛まれてたのかもしれない
ずっと下向いて唇を噛み締めてた

コーヒーを入れた俺は、そんなAの背中を撫でることしか出来なかった
だってそんなヘビィ過ぎる話の後で、俺なんかが何も言えるはずないだろ?

でも、そんな俺でも、だんだんとA嫁に腹が立って来た
俺とAは、腐れ縁だとしても間違いなく親友だった
そんな親友が裏切られたんだ
だんまりなんて、出来るはずなかった

俺『……A嫁さん、今のAを見てどう思う?』

A嫁『………(首を横に振っていた)』

俺『いいから見ろよ!!アンタのせいでこうなってんだぞ!?自分がどんだけコイツを裏切ったのか、全力で見ろよ!!』

俺も、久しぶりに全力で怒鳴った
そしたらA嫁、ようやく視線をAに向けた

Aの顔はグチャグチャだった
いつもニコニコしてて、何言っても笑って許して、軽く冗談を飛ばして周囲を明るくさせるAは、見る影もなかった
涙、鼻水、汗、涎……顔から出るあらゆる体液が床にボタボタ落ちてた
まともに見たら、俺も号泣しそうになる

その顔を見たA嫁、目から涙を滝のように一気に流し始めた
床にデコを押し付けて、必死に『ごべんだざい……ごべんだざい……』って謝ってた
もう何て言ってるかは分かんなかったけど、必死に謝ってた

朝方まで泣き続けたAとA嫁は、次の日二人とも仕事行かなかった
行けなかったんだけどね
燃え尽きたように、二人とも壁にもたれかかって、廃人みたいになってた
たぶん会社からだろうけど、二人の携帯がけたたましく鳴ってた
二人ともまったく携帯を触ろうとしないから、俺が電話に出て、

『夫婦揃って急な熱発です。友人の俺が面倒見てますけど、今日はおそらく無理だろうと思います』

と断り入れた

もちろん、そんな状態の二人を放っておくわけにもいかず、俺も休んだ

昨日の夜まで幸せでいっぱいだった部屋は、まるで廃屋みたいに静まり返ってた
天国と地獄……その言葉が、本当によく合ってた

夕方くらいになっても、二人ともピクリとも動かんかった
でも、そのままじゃ何も終わらんのは何となくわかった

とりあえず、Aを呼んでみた
もちろん反応なし
器用な奴なら、ここで気の利いた言葉でもかけてただろうけど、俺頭悪いから何も思い浮かばんかった

死人みたいになってるAの胸ぐら掴んで、思い切り引き上げた
で頬を一発全力ビンタした
A、ようやく俺の顔を見る。すかさず怒鳴ってしまった

俺『しっかりしろ!!俺じゃケジメ付けれん!!お前がしないで誰がするんだよ!!』

Aは何とか俺の顔を見て、小さく

『……分かった』

って言った

それから、Aはとりあえず俺を帰らせた
なんでも、二人っきりで話がしたいんだと
一応Aには確認した

『ないとは思うけど、下手なことすんなよ?』

って言ったら、

『安心しろ。ただ話すだけだ』

って返って来た

まあ実際、そっから先はA夫婦の話だし、俺はぶっちゃけ言えば部外者

あとはAに任せて俺もそのまま帰宅した

そっから、Aからしばらく連絡を控えるというメールが来た
一か月くらいかな
二人でずっと話し合ったらしい
A妻の主張は……まあ、よくあるパターンだ

あなたの涙を見て自分がどれだけバカだったか改めて思い知った
言い訳をするつもりもないし、あなたがどんな結論を出しても受け入れます
でも、可能なら、もう一度やり直したい

とか言ってたらしい(たまに俺に相談してきたAから聞いた)

正直、俺はさっさと離婚することを勧めた
上でも書かれてたけど、結婚記念日の前倒し旅行で不倫旅行する奴とはやり直しは難しいだろうし
Aほどの人格者なら、たぶん相手もそのうち見つかるとも思えたし、一人にそこまで執着することはないって言ったんだ
でも、アイツ言ってた

実は、数か月前からどっか変な感じだったらしい
なんとなく、違和感みたいなのがあったそうだ
気が付くとA嫁が黙り込んでたりもしたとか
その時、自分が声を掛けていれば、もっと早く解決してた
だから、全部が全部A嫁のせいじゃない

『どんだけお人良しなんだよ』

と突っ込んだが、

『別にそうじゃなくて、急に人生の片割れがいなくなるのが怖いだけ』

なんだって
未婚の俺にはよくわからん

A夫婦は離婚せず、再構築することになった

ぶっちゃけ俺は納得できなかった
何度もAに考え直すように言ったが、Aは考えを変えなかった
しかも、Aは今回の件を他言無用と言ってきた
つまり、今回の件を知ってるのは、俺、A夫婦、それと、相手の男だけって感じ
(実名とか出さないから許可でた)
話を広めて、さらに事態をややこしくしたくないらしい

で、後日、AはA嫁の不倫相手と会っていた
相手は凄まじく驚いていたらしいが、Aが事情を話すと深々と謝られたらしい
知らなかったとはいえ本当に申し訳ない、賠償を求めるなら可能な限り応じます、とまで言われたとか

まあ、そこでAが感じたのは、A嫁は嘘をついてないってことらしい
包み隠さず全部自分に話したし、謝罪もした、反省もした
これ以上責めることはない……だって

俺にはそう結論付けるのは無理だろうな

でもまあ、Aがそう決めたなら、俺があんましとやかく言うのも筋違いとは思う

とにかく、今A夫婦は絶賛修正中だ
まだ微妙に蟠りがある(視線が合うたびにA嫁が頭を下げたりするとか)みたいだけど、少しずつ前のように戻ってるらしい

最後に、Aに

『また同じことしたら?』

って聞いてみた
そしたら

『ないだろうけど、また泣いて話し合う』

だって

どこまでもお人好しなAが幸せになれるように願いつつ、この話を締める

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この記事のコメント一覧
1 . 名無しさと  ID:5jvIDucN0編集削除
Aがそれでいいって言ってるんだからそれでいいね
2 . 名無しさん  ID:Q7JQvIYQ0編集削除
実話じゃなくて作家の創作。
リアルタイムで見ていたが、他所で書き込んでいたコテ(2バイト数字)書き込んでいて、突っ込まれて気にすんなって流していた。
あほらしくなって最後まで読まなかったが、こういう落ちだったんだな。やっぱつまらん。
3 . 名無しさん  ID:7KFZAI6Z0編集削除
長い。
4 . 名無しさん  ID:vObpXi1E0編集削除
※2
お前も皮切りに行ったんだよな。
5 . 名無しさん  ID:y.GAbOdX0編集削除
面白い話だが、現実的には再構成するサレはヘタレ。
6 . 名無しさん  ID:xSNJQFQP0編集削除
なかなかうまい創作だがな、
不倫した奴は、必ず繰り返すんだよね
これはガチな
7 . 名無しさん  ID:LBECuAtd0編集削除
なぜ本当にありそうな話を創作するのか

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