頭からゲロかけられたのがきっかけ
学生のときだ。
さあ金曜だ飲み会だと友人達を先導して居酒屋の階段を上ってるとき、急に上からビシャー。
頭からジャストタイミングで被災してしまった。
未消化の麺類が私のメガネに垂れ下がってた。
下手人は、飲み過ぎて帰ろうとしてた女の子。
いくら私でもご褒美にはなりません。
気持ち悪くなって、なぜか階段の手すりから身を乗り出して吐いたらしい。
下手人とその友達に平謝りされ、クリーニング代として5,000円だけ掴まされた。
私の後ろでうわぁ…となっていたサークルの仲間に帰るとだけ伝え、そのまま歩いて帰った。
歩いて家までたった10分程の道のりのだったが、あまりに臭い。
我慢できない。
ただこのままではコンビニにも入れないので、途中の公園に寄って水飲み場で頭を洗った。
水はすっごく冷たいし、何か物凄い惨めな気分になって頭に水をかぶりながら大声で泣いてしまった。
そのとき通りかかった人に
「だだだ大丈夫ですか!?」
と声をかけられた。
顔をあげるとこれがまた凄いイケメン。
えづきながらも簡単に事情を説明すると
良いかおりのするタオルをさっと取り出し、頭にかけてくれ、
「大丈夫!使ってないやつだから!それだけ悪い事あったら明日には良い事あるよ!」
とさわやかな笑顔。
これは抱かれてもいいわーとか思いながら、吐瀉物の残骸が付着したタオルの弁償を申し出ると
冊子を渡され
「お礼はいいからこれ読んでよ!サークルで作ってる奴!良かったら広めてね!」
と言って去っていた。
どうやらフリーペーパーを作るサークルの人らしい。
去り際までイケメンだった。
後日、新品のタオルを持ってそのサークルの部室に行くと、女の子が1人PCに向かっていた。
その子にイケメンの特徴を伝えると
「多分すぐ来ると思いますよ。なんならその辺座って待ってて下さい」
と。
部屋に2人っきりで黙ってるのも気まずいので、色々ぼかして事のあらましを伝えると、
「あー、あの人そういうとこありますねー。イケメンの上にいい人過ぎて彼女できないんですよー」
と笑った。
えくぼが特徴的で、愛嬌のある笑顔だった。
はい、その子が私の嫁です。
イケメンはその頃からずっと仲良くしてて、結婚式のスピーチでは彼に「バタフライエフェクト婚」と言わた。
私にゲロをかけた女はその後私の人生に何ら関わることはなかったが、彼女にはこっそり感謝している。
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