大学に入りたての頃、田舎から無理矢理上京してきた私は完全に田舎者貧乏モサ子だった。
サークルに紛れ込んだものの、あらゆる意味で人前に出るのが恥ずかしく、裏方として隠れるように過ごしていた。
そんなある日、イケメンなサークルの先輩に交際を申し込まれた。
罰ゲームの類か、「ちょっと○○まで付き合って」の聞き間違いかと思ったけどそんなことなかった。
あまりの奇跡っぷりに舞い上がった私を先輩は鏡の前まで連れて行き、私の顔に化粧をはじめた。
(先輩はサークルのメイク担当。男性なのに上手過ぎ)
眉を整えられ、化粧をされ、私はどんどん見たことのない姿に。
あっという間になりたくてもなれなかった今風の顔になっていた。
ビフォーアフターが終わった瞬間、先輩はがっかりした顔で
「ごめん。思ったより化けなかった。別れて」
と言った。
意味が分からなくてポカーンとなってたら、なんか化粧したらものすごく好みの顔になるから付き合いたいと思ったけど、思ったよりそうでもなかったので取り消しにして欲しい
的なことを言われ、すごいショックだった。
いやおかしいと思ってたけどさあ、釣り合わないのは痛いほど感じてたけどさ、これはないんじゃないの?
ていうかそれならまず私に化粧をしてからどうかするか判断すれば良かったんじゃないですか?
って思いながら泣きそうになってしまっていたら、先輩は悪いと思ったのかその後半年ほど私の脱モササポートを約束してくれた。
正直最初はふっざけんなよ状態だったけど、アドバイスもレクチャーも適切すぎてすぐにありがとうございます状態。
先輩の友人達(女性)とかサークルの仲間も色々助けてくれて、安くていい服の選び方から化粧の仕方、飲み会での盛り上がり方まで徹底サポート。
おかげでなんとかサークルに溶け込むこともでき、サークル外でも積極的に話せるようになって友達もでき、彼氏もでき、今は結婚して今子供もいる。
先輩は美の伝道師だったのも知れない。
と、サークルOB会で当時の私のモサさがネタになった時思った。
先輩は今、地元で家業を継いで全然美とは関係ない職業に就いている。
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