若かりし頃に、連れに騙されて背負わされた借金があった。
付き合ってた女にも逃げられ、返済出来るほど給料なんて出ないし…とか、自棄になってパチスロと酒ばっかりやってた。
嫁と出会い、借金を承知で結婚してくれてもうすぐ4年目。
3桁万円の借金がなくなった。
感謝の気持ちはある。
勿論大切だ。
同僚にデブだのブスだの言われようと、俺には過ぎた嫁だ。
でも今まで一度も、そんなこと口にしたことない。
言わなくてもわかると思ってたし、男はそんなもん口にしないもんだと思ってた。
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あのあと飯食って寝て、嫁は入れ違いに仕事行った。
「給料日後だからねー」
って、俺の大好物のオムハヤシ作って出掛けてった。
嫁の帰りまでに、掃除しておく。
プレゼントも用意したい。
ヘソクリは3000円弱しかないが、何か喜ぶもんてあるかな?
ここでよく見る花やケーキは嫁さん好きじゃないし、酒も嫌いなんだ。
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あのあと掃除して、風呂に入って丁寧にヒゲ剃って、近くの大型スーパーで便箋を物色しました。
嫁好みのデザインのやつを買って、机の前で唸ってました。
付き合いだして、本気で好きになって、クズの俺が改心して、入籍して、幸せだと言うこと。
それに感謝してること。
仕事をしだしてイキイキしてるが、最初の方針の専業にしてやれなくてすまん、と詫びるのと心配してること。
少ない給料なのに、やりくりしてくれて借金が片付いてほっとしたこと。
手紙書きながら気付いたら泣いてたよ俺。
田舎のばあちゃんが死んだとき以来だ。
んで、何回も読み返しちゃ直してたら、嫁が帰って来たから風呂を勧めて夕飯作った。
昔嫁が喜んでくれたキムチチャーハン。
それから、普段なかなか買わない缶に入った紅茶もプレゼント用の袋に入れた。
風呂から上がった嫁は驚いてた。
嫁「あっ!チャーハンだ!」
俺「食えし。」
嫁「しかもキムチチャーハンだ!いいの?え、俺さんの分は?」
俺は辛いものが苦手で、嫁は俺に遠慮して普段なかなか作らない。
こうやって昔から俺の事ばっかりだ。
俺「普通のもある。飯にしよう。」
嫁「うん。ありがとうね、いただきます。」
嫁の他愛ない話を聞きながらチャーハン食べて、粗方食べ終わったらまずプレゼントを渡した。
俺「ん」
嫁「ん?」
俺「さっきカボチャのオバケが置いていったです」
嫁「逆ハロウィンwww開けてイイ?」
ウチの嫁はなんか知らんがハロウィン大好きらしい。
包みもハロウィンのオバケのやつにした。
中身をとりだしてポカンとしてる嫁に手紙を渡した。
互いに無言。
したら、嫁が暫くして泣き出した。
また俺は何か下らんミスをしたんだろうか、と思ってちょっとびびってたら、押し倒された。
嫁が言うには、借金が片付いて、振られるんじゃないか心配してた。
最初は遊びだったことも気付いてたし、余計に怖かった。
子供も産めないから、これを機にいっそ身を引こうとしてた、と次々泣きながら言われて俺パニック。
で、頑張って唱えてみた。
「俺は堪え性ないから、イヤやったらとっくに出ていっとる。
不器用やし、上手い事は言えんが愛しとる。」
噛みまくりながら言い切った。
嫁は余計に泣き出した。
暫く撫で撫でしてたら、疲れてたらしくそのまま寝た。
布団まで連れてったら、はなしてくれなくて俺もそのまま就寝。
と思ったら明け方4時に起こされてもげる羽目になった。
省くけど、そっからまた嫁さんは寝た。
嫁さん起きたら今日はデートしてくる。
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