カテゴリー:

衝撃体験談

サークルのママ友(友人ではないが)が泥してた。
スーパーでパートしてるんだけど、商品をくすねて持って帰ってると自慢。
話を聞いていると万単位行くこともあるみたい。

言われた時は面と向かって反応できず、

「え?…あ…ハハ」

みたいな曖昧な顔しか返せなかった。
でもその店は大手チェーンとかではないので、ヘタすると潰れかねない。
悩んだあげく、匿名で通報した。

そしたら調査されてお縄になったらしく、しばらく休んだ後サークルに

「誰よ!誰が通報したの!!!」

と怒鳴り込んできた。


すっごいビクビクしたが、泥奥に

「それは駄目だよ」

と言えた勇者ママが何人かいたらしく、反応しなかった私よりそちらが怪しいと思ったのか

「おまえか!それともおまえか!」

と他ママにわめき立て、バッグとか携帯とか振り回してた。

主催者さんが追い出した後、サークル内でどういうこと?と話し合いになったけど

「私が通報しました」

とは言い出せず……。
そのうち、勇者ママ複数宅に嫌がらせがあったと聞いた。(郵便受けに汚物とか)

私のせいで!と背筋が冷たくなったけど、どうしても怖くて言い出せなかった。
おまえか!って襟首掴んでた形相が鬼みたいで、大げさだが

「ばれたら殺される!」

と思ってしまった。

勇者ママの一人が警察に通報し、捜査したそうだけど、どうなったか分からない。
ヘタレは何もしない方がいいのかもしれないと思った。
テキスト:勇者「一体何の列なんだろう……ていうか、みんなどうしてスーツ着てるんだ」 [おもしろ]

ざわざわ、ざわざわ・・・

勇者「一体何の列なんだろう……ていうか、みんなどうしてスーツ着てるんだ」

武闘家「並んでるの全員人間みてぇだな。魔王城まで続いてるぜ」

僧侶「わぁ〜! 屋台がいっぱい出てますよ!イカ焼き食べましょ、イカ焼きー!」

勇者「そ、僧侶ちゃんはマイペースだなぁ。とりあえず並んでいる人に尋ねてみようか…あのー」

「はい?私でしょうか 何か?」

勇者「あ、その、この列って何なのかなぁと…」

「決まってるじゃないですか。皆、魔王討伐へ来ているんですよ」

勇者「え?」

「あなたも同じではないのですか? だったら早く後ろに並んだ方がいいですよ」

勇者「えっ…ここにいる人達、みんな勇者なの…?」

「ええ、勇者です」

勇者「……スーツ姿なのに?」

「そうですけど」

「ていうかあなた本当に知らないんですか? 勇者ですよね?」

勇者「勇者ですが」

「なのにご存じないと」

「数年ほど前から勇者を名乗る者が急増した結果、魔王が戦う勇者選別するようになったんですよ」
「ですから、こうして1年に1度こうして各地から勇者が集い、魔王城で勇者試験を受けるのです」
「最終試験まで上手く通過することができた1人の勇者のみが、
 その年魔王と戦うことができるというわけですよ」

勇者「初耳なんだけど……!」
勇者「もう一つ!どうしてみんなスーツで…!」

「当たり前でしょう。常識ですよ?」

「大体、そんなボロボロの鎧を身に付けて試験へ来るなんて失礼じゃないですか」
「おそらく面接までは通ることはできても、そこで一発蹴りでしょうね。その恰好では」

勇者「えぇ…」

僧侶「ゆうひゃひゃま〜 いかやき! いかやきたべまひょ〜!」モグモグモグ

勇者「僧侶ちゃぁん…」

僧侶「おいひーでしょう!」

勇者「うん、今はよく味わえないや……」

武闘家「うちの国は相当田舎だったからな 情報が入ってこなかったんだろうな」

勇者「そういう問題じゃないと思うな!! この光景すごく異常だと思うの僕だけ!?」

武闘家「まぁ、とにかく並べばいいんじゃねぇの」

勇者「そ、そうだね」

「…………」

勇者「あ、あのぉー」

「まだ何か?」

勇者「試験って、何するんですか……」

「は? あ、あー まぁ仕方がないですよね。初めてみたいだし」
「最初に身体測定検査。それから体力テストに学力テストはもちろん。
 あとは面接が数回ほどあって……」
「と、私が分かっているのはこれぐらいです。実は毎年試験内容が変わるみたいでしてね」

勇者「……あの、魔王退治にここまで来たんですけど」

「はい」

勇者「ここは魔王城で本当に間違いないんですよね…」

「そうですよ。紛うことなく魔王城ですとも」

僧侶「勇者さま! 待ち時間にこの前買ったゲームやりましょう〜! いい暇潰しになるかと!」

魔物「こんにちは!あなたも勇者ですね!」

勇者「ま、魔物ッ! 武闘家、僧侶ちゃん!」ジャキーン

魔物「あわわ、いきなり剣を向けるなんて酷いじゃないか!」

勇者「な、何を」

魔物「えーっと、あなたはー……342番ね。はいこれ」

勇者「……何だこれは」

魔物「その番号プレートは胸に留めて大事にしてね。無くしたら試験は受けられないから気をつけて」

武闘家「おい勇者! お前が余所見するから負けちゃったじゃねーか!」

僧侶「勇者様のばか!あほ!」

勇者「えっ、いやだって!!」

魔物「む?」

魔物「そっちの二人はあなたのお連れさん? 勇者なの?」

勇者「いや、こっちの二人は僕の仲間だけど」

魔物「あー!あー!ダメダメー!」
魔物「勇者以外の人は列から出てください。当勇者試験を受ける資格はありませんから」

武闘家「何だよそれ。じゃあ俺たちも今から勇者だ。それで構わねぇだろう!」

魔物「ダメだよ。他の勇者さんたちも お連れさんたちとはここで別れてるんだから」

魔物「さぁ、出ていった出ていった!」

僧侶「ゆ、ゆうしゃさまぁ〜……」

勇者「え、え、本当にダメなのか!?」

「ダメというわけではないよ。ただ、彼らは明らかに勇者の風貌ではない。
 だから除外されたと見てもいいでしょうね」
「魔物たちの判断基準は偏っているから……この列に並ぶ時点で選別は始まっているのさ……」

勇者「何それ本物勇者でも下手したら蹴られるじゃないか!」

僧侶「ぐすんっ」

武闘家「泣くなよ 僧侶ちゃん。ほら、オレと一緒にスライム射的やってこようや」

僧侶「射的! やる!やります!やりたいです! さよなら勇者様、どうかご無事で〜…………」トテトテ

勇者「そ、僧侶ちゃん……」

勇者「僕の後ろにまたぞろぞろと列ができ始めたぞ…一体この世界に何人勇者がいるんだ」

魔物「はい 400番。……今年の勇者試験受験者はここで打ち切らせていただきます」

「あー!?」
「せっかく遠方から遥々来てやったのに そりゃねーぞ!」
「私たちも並ばせろー!」

魔物「」パチンッ

あぶれた勇者たち が 爆発して こなみじん になった !

魔物「また来年どうぞ〜」

勇者「ひぃ……」

マッチョ勇者「おう、兄ちゃん。まさか今の見てびびったわけじゃねぇだろうなぁ〜?」

勇者「そ、そんな事はない! 僕だってここまで色々大変な思いをして来たんだ、あの程度なら…」

マッチョ勇者「ふーん。あ、俺は北の国の勇者やってるもんだ。精々宜しく頼むぜ」

勇者「あ、ああ」

マッチョ勇者「お近づきの印に、これやるよ。美味いんだぜ このジュースよぉ」

勇者「ジュース? わぁ、ありがとう…少し緊張して喉が渇いていたんだ…!」

マッチョ勇者「…そうかぃ」ニヤリ

勇者「…………」モゾモゾ

マッチョ勇者「おい、どうした。さっきより落ち着きがないように見えるぜ?」

勇者「な、何でもないよ! ……いや、やっぱり」

勇者「ここトイレとかないかな……急にお腹が痛くなってきちゃって……」

「トイレなら向こうの離れにありますけど。大丈夫? 薬あるけれど」

マッチョ勇者「いいや、こういう時は一発トイレでぶちまけてきた方がいいって話だぜ!」
マッチョ勇者「トイレで一発……そうすりゃ緊張も解れるだろうよ……」

勇者「で、でも」

「ぎゃー!!」
「うわぁ、こいつ糞漏らしやがったぜ!」
「臭ぇ!この日の為にあしらえたスーツが台無しだ!」

漏らし勇者「う、ぎゅ、うっふ……」プルプル…プスー

勇者「…………あれは」
「ああ、毎年の事ですよ。限界まで我慢する人がいるんですよね」

マッチョ勇者「おら! お前もああならん内にさっさと行ってこいよ!」

勇者「そ、そうだな……じゃあ失礼して〜……うぐっ」よろよろ

マッチョ勇者「……」ニヤニヤ

勇者「はぁ、スッキリしたー……イカに当たっちゃったのかなぁ」

ぞろぞろ、ぞろぞろ・・・

勇者「あれ? 列が前に進んでる。僕も急いで並び直さないと」

マッチョ勇者「…………お?」

勇者「いやぁ、トイレ結構遠くて遅くなっちゃったよ! だいぶ前に進んだみたいだ―――」ス

マッチョ勇者「おい、何割り込もうとしてやだんだ!!」

勇者「はい?」

勇者「割り込むって……元々あなたの前は僕だったじゃないか。ふざけてないで入れてくれよ」

マッチョ勇者「ふざけてんのはお前の方じゃねーのか?
               大体お前が俺の前に並んでいた証拠はどこにある?」

勇者「証拠なら、さっき貰った番号プレートが……あれ」

勇者「な、ないぞ……あれ?あれ!? どうして!?」

マッチョ勇者「そら見ろ。また来年試験を受けに来るんだな〜!」

勇者「バカ言うなよ! な、なぁ、君なら僕の証人になってくれるよね!?」

「…………」

勇者「え、えっ?」

「私が証言を話したところで、何にもならないと思いますよ。ここはそういうところですからね」

勇者「何言ってんだよ!おかしいだろ、プレートだってさっきまで確かに…」

マッチョ勇者「お前の探し物はこれかな?」

勇者「あっ、お前!!」

マッチョ勇者「コイツを渡した魔物が言ってなかったか?『プレートは胸に留めて大事にしてね』ってよー」
マッチョ勇者「お前、まるで掏ってくださいと言わんばかりにポケットの中へつっこんだままだったよな。バカめ」

勇者「ぬ、盗んだのか! どうしてこんな酷いことを!」

マッチョ勇者「当たり前だ。俺たち勇者は少しでもライバルが減ってくれりゃ助かるんだからよぉ!」

マッチョ勇者「ふふ、いくら魔物に頼んでも列から離れて、
               しかもプレートを無くしたなんて奴はここで蹴られて終わりだ」

勇者「勇者のくせになんて汚い奴だ……」

「皆、自分が一番なんですよ。これを教訓にまた来年挑戦してください」

魔物「騒がしいですねぇ。何かトラブルでも?」

勇者「聞いてくれ!こいつが僕の番号プレートを盗んだんだよ!」

魔物「はぁ、そうですか。ではお帰り下さい」

勇者「えぇ…」

魔物「盗まれるような管理をされていたあなたが悪いのです。
       それに他の受験者のプレートをどうしようが私どもには関係ありませんし」

魔物「何が起ころうと、私どもの迷惑にさえならなければ目を瞑らせて貰っているので」

魔物「まぁ、また来年〜」

勇者「あんまりだぁ!!」

マッチョ勇者「おい、言っても分からねぇ奴だ。さっさとお得意のデスルーラを頼むぜ」

魔物「そうですね。ではでは……」

勇者の こうげき !  マッチョ勇者 は 喉に深々と 剣が刺さり いきたえた !

勇者「これでよしと」カチ 

魔物「ありゃあ……」

勇者「僕は342番。ほら、しっかりプレートつけてますよ!! これで文句ないでしょ!!」

魔物「……ええ、結構です」

勇者「みんな、人が殺されたのにざわめきすらしないのか?」

「それもよくある事ですから。にしても、あなた 思い切りがいいですね」スーツモ チャッカリ ウバッテルシ

勇者「こうと決めたら必ず実行するのが僕の強みなんだ。僧侶ちゃんも誉めてくれたよ」

勇者「……今のって、面接で使える?」

「さぁ。私は面接まで受かった試しがないから」
「それより見てください。城門が開いた…いよいよですよ」

勇者「うわ、また緊張してきちゃった……」

魔物「はーい 後ろが詰まるので早く中へ進んでねー」

「それじゃあ、お先に」

勇者「ああ、お互い頑張ろうね!」

魔物「入場料3000Gいただきます。……はい、丁度いただきました。中へどうぞ〜」

勇者「は?」

魔物「ほら!次! 後ろが詰まるって言ってるでしょうに! それともここで落とされたいの?」

勇者「ちょっと待ってくれよー!! 入場料って何だ…僕は聞いてないぞ…」

魔物「聞いてないなんてここでは通用しませんよ。ほら、さっさとお金出して!」

勇者「ま、待ってくれ!すぐ出すから! …………あ、ああぁ うそだ、お財布の中560Gしか入ってないぞ」

魔物「ちょっと……出すの?出さないの?早く!!」

勇者「う、うああぁぁぁ〜〜〜……どうする。考えろ僕。後ろの奴から無理矢理奪い取るか? いや…」

魔物「はい 時間切れ。342番!! お前はここで―――」

僧侶「はい、ぴったり3000Gですよ〜 さぁ!勇者様!入って入って!」

勇者「そ、僧侶ちゃぁん……!」


勇者「そんな大金どこから!」

僧侶「前にカジノで勝ったときに全部換金してもらったんです!
       何かあった時のためにずーっと隠し持ってました!」エッヘン

僧侶「勇者様〜! がんばって魔王と戦うに相応しい勇者になってくださいね!
        私と武闘家さんは外でいっぱい応援しますよ!!」

勇者「僧侶ちゃん……君って子は……!」

武闘家「そういうわけだ。俺たちのことは気にせずにしっかりやってきな」

武闘家「良い報告があるのを待ってるぜ……」トン

勇者「う、ううっ!! 僕はなんて素晴らしい仲間を持っているんだろうか……!」

僧侶「じゃあ勇者様の試験が終わるまで二人でゲームやって待ってましょーね〜」

武闘家「それよりオレ腹減ったよ」

僧侶「じゃあ 近くの焼肉屋行ってきましょうよ!」

勇者「…………」

僧侶「勇者様、ファイト! ……あ〜お腹減りましたね〜」

武闘家「なー」

魔物「早く、前に」

勇者「はい」

勇者「武器も道具も没収されなかったけど、いいのかな」

勇者「……ていうか 何でここにいる全員で魔王城攻撃しないのかな!
       みんなに倣って僕も色々従っちゃってるけど!」

ガリ勇者「そうするしかないからね」

勇者「うわっ、君は」

ガリ勇者「この城の中の魔物たちは魔王を含めて、
           辺をうろついてる雑魚とは 実力が天と地の差と言っていいぐらいなんだ」

ガリ勇者「つまり君が道中戦ってきた魔物はここの奴らと比べりゃ犬コロ同然さ」

勇者「ば、バカな!どいつもこいつも強敵だったんだぞ……
       勇者がみんな協力し合えばここの魔物たちだって!」

ガリ勇者「過去に、君と同じ考えを抱いた勇者が周りに呼びかけて 魔物たちを攻撃したことがある」
ガリ勇者「結果は700人の勇者全てが返り討ちにあって死亡。
            この会場の中にも経験者が何人もいるはずだ」
ガリ勇者「いいかい? 700もの勇者がいて、誰も魔王に辿り着けなかったんだ……この意味がわかる?」

勇者「いや……まったく……!」

ガリ勇者「その気になればここの魔物たちだけで人間を一気に滅ぼすことができる。
            この勇者試験は魔王の暇潰しと言っても過言じゃあないのさ……!」

勇者「そ、それならいくら魔王へ辿り着いた勇者がいたとしてもダメじゃないか!!」

ガリ勇者「いや、そうでもないのかもしれない」
ガリ勇者「魔王は真の勇者を探しているんだろう。
            自分を楽しませてくれるほどの力を持った最強の勇者っ奴をさ」
ガリ勇者「ここの連中を見てみろよ……どいつもこいつも勇者と名乗っているだけのバカばかり」
ガリ勇者「圧倒的な力を持つ魔王は飽きているんだよ、何百年も雑魚の相手をしてきた事にね……」

勇者「ぼ、僕にはわからない! どうしてそんな凄い力を持つ魔王たちがさっさと侵略を進めないのかが」

ガリ勇者「奴らにとって、世界を支配することすら暇潰しの一つなんだろうよ……
            だから、この勇者試験に飽きたその時」
ガリ勇者「魔王は侵略を再開し、完全にこの世の頂点として君臨してしまう」

勇者「ひえー……魔王ってそんな強かったのか」

ガリ勇者「ふん。俺たちはそれを食い止めるためにもこうして魔王の道楽に付き合っているようなもんさ」
ガリ勇者「まぁ、中には本当にこのお遊びを楽しんでいる勇者もいるだろうがね…」
ガリ勇者「いつか、本当に真の勇者が現れることを俺は祈っているよ……それじゃあ」

勇者「うわぁ、見た目のわりにカッコいいこと言ってくなぁ……」

試験官「えー、お集まりの勇者皆さん。遠路遥々 魔王城へお越しくださり真にありがとうございます」

ざわざわ、ざわざわ・・・

試験官「これより身体検査を行いますので、
          この先にある広間へ小さい番号順に検査を受けていってくださいね」

試験官「勇者皆さんのご健闘を我々は生温く見守らせていただきます。
          ではでは、次の1次審査でまたお会いしましょう」

勇者「身体検査か…僕の番号は342番…また待ち時間が長くなりそうなこった……」

「……あなたは」

勇者「あ、どうも。さっきの……えっと?」

女勇者「女勇者と呼んでください」

勇者「女の子だったの!? 凛々しい顔立ちだから てっきり男かと」

女勇者「失礼な人だ。…一つ忠告しておきます。いいですか、身体検査を甘くみない方がいいですよ」

勇者「えっ、体重とか身長とか視力を測るとかだろう? 何をそんな」

女勇者「例年半数の勇者たちはこの『身体検査』で脱落していますから」

勇者「何それ……んもう……」

女勇者「さっき質問に答えた代わりに、あなたに一つ聞きたいことが」

勇者「ああ、別に何でも聞いてよ。だけど 僕はこの試験が初めてで何も」

女勇者「あなたはどうしてここへ来たの?」

勇者「決まってるだろ! もちろん 魔王を倒すためだよ。君だってそうじゃないの?」

女勇者「いや、私は少し周りと目的が違うんです。それにしても みんな同じことを言うんですね」

女勇者「魔王を倒す、侵略食い止める。
          それにどこで立った噂か 魔王に最強の体へ改造してもらえるとか」

女勇者「はたまた魔王の財宝を与えられるからとか……みんな決まって同じ事ばかりです」

勇者「むぅ……じゃあ君は何のために!」

女勇者「見ているんです」

勇者「はぁ?」

女勇者「私は、ここに集った勇者たちを見ている。ただそれだけ」

勇者(この子関わると面倒くさいタイプなんだろうか)

魔物「次! 300〜399番まで中に入って身体検査を受けろ!」

女勇者「……呼ばれましたね。行きましょうか」

勇者「そーですねー」

魔物「身長170cm、体重62kg……握力は右が68、左が49……うーん」

勇者「別に勇者としては普通の数値じゃないっすかね」

魔物「次、視力ね。終わったら血液」

勇者「ふぅ、何だよ。やっぱり普通の検査じゃないか。何が甘く見ない方がいいですよ、だか」

ドスンッ  「ウギャー!!」

勇者「えっ」

「腹に穴どころか…体が木っ端微塵になってやがる…」
「ひいいぃぃぃ」
「軽く叩く程度だって言ってたじゃないか…」

魔物「ほれ、後が詰まってるからさっさとしてくれ!
        それとも自信が無くなったのならここから出ていくんだな!」


こっち耐久値検査→『腹パンであなたの耐久力を測ります。男性225値、女性205値以上で合格』


魔物「ふんッ!」ドグシャァ 「げっ」パァン! ビチャリ

勇者「……おかしいぞ、ここ!!」

魔物「おいおい、勇者さんたちどうした?
       腰が抜けたのか もう順番はバラバラでいいから早く誰か来なさいよ」

「無理に決まってんだろぉぉ…」
「お、俺やっぱり帰るわ…」
「やっぱり今年も腹パンあったかーきっちなぁ」

魔物「……臆病者ばっかりだな。もういい、これ以上は時間の無駄だ。前に出ない者はここで落とす」

鎧スーツ勇者「いや、待ちなァーッ!!」

魔物「ん、よし」

勇者「あいつ、スーツの上に無理矢理鎧を着重ねているぞ……まさかあれで検査受けられるの?」

「本当はダメに決まってるじゃない。
 ただ、あの男が検査官へお金を握らせたとこをアタシ見たわ。きっと頼み込んだのでしょうね」

勇者「それでもあれって明らかにアウトじゃね……?」

「この検査、最悪金の力で乗り越えられなくもないのよ」
「でもあの男はダメだわねー。鎧を着させて貰えれば何とかなるなんて考えじゃ…」

魔物「ふんッ!」ズボオォ 鎧スーツ勇者「おぐばぁ!?」グチャリ!

鎧スーツ勇者「ど、どじでぇ……?」

魔物「素直に無傷で通過させてくださいと頼めば良かったものを。バカな奴」

「……ね?」

勇者「あ、ああ」

勇者「ぼ、僕はどうすればいいんだ。金なんて560Gぽっちしか持ち合わせてないぞ」

勇者「賄賂を渡せる事知らない、検査内容を甘く見て挑んだ奴らがここで脱落していくわけか……そして」

魔物「お注射刺しますね〜」ブスゥ! 「ぎゃああぁああぁあああ」ギュンギュンギュン…ゲッソリ

勇者「この耐久値検査を越えた先にも難関が……!」 

魔物「次、耐久値検査を終えていないものは前へ!」

女勇者「 」ス

勇者「あ、あの子……大丈夫なのかあれ」

魔物「ふんッ!」

女勇者「……」ドスンッ!

魔物「……耐久値220。合格だ 血液検査へ進め」

女勇者「ありがとうございました」

勇者「な、何で無事なんだ! 君もあの検査官に何か」

女勇者「いいえ、別に何も頼んじゃいませんよ。私の実力です」

女勇者「次は……あなた、試してみたらどうです? がんばって」

勇者「えぇ…」

魔物「次はお前か。貧弱そうな勇者め、覚悟はできているだろうな?」

勇者「……」スス

魔物「む?」

勇者「これ握って。僕の全財産です……お願い 見逃して……!」

魔物「……」ニギ

魔物「俺をバカにしているのか。こんなちっぽけな金で俺を買えるとでも」

勇者「お願いだよっっっ、本当にこれ全財産だから! ね!」

魔物「歯ァ食い縛れ。もっとも、力んだところで何の意味も無いだろうがなァー!」

勇者(うわあぁぁぁ……僧侶ちゃん、僕ここで終わるかもしれないよ……)

勇者(ああ、僧侶ちゃんとの楽しい日々が頭の中で走馬灯のように)

〜僧侶『勇者様ー! 勇者様が新しく覚えた『硬化魔法』って頑丈になれるけど動けなくなるから役立たず魔法ですよねー! きゃはは おかしー!』〜

魔物「ふんッ!」

勇者「」ガキンッ

魔物「……え?」

魔物「……た、耐久値999…だと…?」

勇者「」

魔物「こんな事があってたまるものか! 貴様、まさか魔法を使ったな!」

勇者「……証拠は?」

魔物「はぁ?」

勇者「僕がいま魔法を使った証拠はあるんでしょうかね。
       何なら魔力が減っているかどうか確認してもらっても構わないぜ」

魔物「言われんでも―――へ、減っていない……いや、でも何か道具使ったに違いあるまい!」

勇者「身体検査の時は装備を外せと言われきました。
       あなたへ賄賂でも流さない限り装備はつけられないんだろう?」

勇者「何ならここで全裸になって確かめてもらってもいいぞ!」

魔物「このッ……はぁ、もういい」

魔物「さっさと行け!面倒だ! どうせこの先でお前が脱落姿は目に見えているわ」

勇者「そうかい、そうかい。さっき渡したお金は返してもらいますからね〜」ささ

「あいつも腹パンを耐えやがったぞ……」
「魔法も道具も使ってないってよ」
「さっきの女といい化けモンか!」

勇者「これ、約束の560Gね。魔法ありがとう」

「あんた結構度胸あるわねぇー。まぁまぁ面白かったわよ」ギュ

〜〜〜

勇者「な、なぁ? 560G払えば無事に通してもらえるかな」

「たったそれっぽっちで!? あははははは」
「無理無理! 出すなら最低1000はいかないとねぇ!」

勇者「じゃあどうしろっていうのさ!」

「んーここじゃあ基本魔法も道具の使用も禁止されてるから、
 純粋に耐える以外もう方法はないと思うわ」

勇者「くっそ……いや、待つんだ。検査を受ける本人以外が魔法でそいつを支援するのは?」

「は?」
「そんな前例ないねぇ、みんなライバル蹴落とす事しか考えてないような奴らばかりだし」

勇者「じゃあ君は?」

「アタシ? アタシは別に自分がどこまでいけるか試しているだけだし…別に…」

勇者「あなたを勇者と見込んで頼みがあります。僕のために魔法を使ってください!」

「えっ」

勇者「ここまで辿り着けた勇者なら『硬化魔法』ぐらい覚えている筈だ。
       ほら、あれって味方にもかけられるでしょう?」

勇者「今だけ、僕を味方として考えて……お願ぁーい!!」

「魔物じゃなく、アタシを買うってか。あ、あはは…」
「いいよ。ただし……それなりの度胸は見せて貰うわ。こっちもリスクが伴う行動なんだから」

〜〜〜

勇者「やっぱ女ってチョロいわ!」

魔物「はぁーい お注射するから腕まくってねぇん」

勇者「……」チラ

「……」コクリ

勇者「まさか最大回復魔法まで覚えてる人だったなんて、本当に助かってるよ。君のおかげだ!」

「気にすることないわよ。あんたみたいに妙にセコい奴は珍しいし、気に入ったからね」ギュウ

勇者「お、おぅふ! ぼ、僕には僧侶ちゃんという素敵な女の子がいるんだ……だから、君とは……」

オカマ勇者「アタシこれでも男なんだけど。ギリギリセーフじゃなーい? ほら、まずはお友達から……ね?」

勇者「ひいいぃぃぃぃ……!」

女勇者「……あ、無事通過できたようですね。おめでとう」

オカマ勇者「誰だこいつオイ?」

勇者「べ、別に…知り合いなだけ…ひぐぅ」

女勇者「運も実力のうち、か。次もお互いがんばりましょう。それでは」

勇者「次って」

オカマ勇者「ああ、例年通りだと学力の検査だったかしら?」

勇者「えぇ…」

試験官「見事『身体検査』を通過することができた勇者の皆さん。まずはおめでとう」

試験官「さて、次は皆さんの勇者としての頭の出来を測るテストを受けていただきます」

試験官「なーに心配する必要はありませんよ!
          真の勇者ならば平均80点以上は硬い軽めの問題しかありませんから」

試験官「こんな簡単なテストは皆さんなら余裕で通過できましょうなぁ。余裕でェー!!」

勇者「ムカつく…」

デブ勇者「口には気をつけたほうが宜しいですぞ?」

デブ勇者「あの試験官は自分を貶す者にはとても敏感と有名でしてな。
            去年は罵声を浴びせたDQN勇者殿の脊髄をぶっこ抜いたりしていて…」ハァハァ

勇者「うわ、息臭い……」ボソ

デブ勇者「あぁ!?」

勇者「き、君も敏感だねぇ!ひゅー!」

デブ勇者「チッ…死ね」

勇者(このデブが隣。オカマさんは向こうの席だ、答案を見せてはもらえないな……)

勇者(ならば、こいつの学力に期待するしかない……ッ!!)

試験官「答案は全員に渡りましたね。では制限時間は60分! 始めてください!」

ババッ、ペラ、ペラ、カキカキカキカキ・・・

勇者(うっ、このペンを走らせる音 急かされているみたいで嫌いだ……!)

勇者(問題の方は……うっ、何も分からないよ 僧侶ちゃん!! 僕、相当バカだったみたいだ)

勇者「」チラ

試験官「……」

魔物「……」ジロジロ

勇者(こいつはカンニングが見つかれば一発でアウトだな。監視の魔物は前に1匹、両端に2匹。後ろに1匹)ぐい

魔物「ッ!!」ジロッ

勇者(っ〜……ダメだぁっ!! 頭を上に持ち上げただけで視線がこっちに集中しやがる)
勇者(なんとか…視線だけ…首を動かさず、目だけを動かして…デブの解答を見なければ……)

デブ勇者「コフゥー……コフゥー……」

勇者(……こいつ、何でペンを握らず 腕なんか組んで余裕噛ましてるんだ?)

デブ勇者「ブフッ」ニヤ
デブ勇者「……」トン、トントン、トー……ン、トン

勇者(え? 急に何してんだこのデブ。机をペンで叩いて……こいつ、バカ過ぎて遊んでいるのかねぇ)

トントン、ト トトン……トントトン

デブ勇者「グブフッ!」カキカキカキカキ…

勇者(今度はいきなり問題を解き始めた……)

デブ勇者「フー……」トトントントントン

トーントントント、トン

勇者(明らかにおかしい。このデブは問題を理解しているようには全く見えないんだよなぁ…)
勇者(そして、さっきからデブと向こうの奴が鳴らしている音だ。まさかこれだけでやり取りしてるわけじゃないよね?)
勇者(……いや、待てよ。何かどっかでこういうの聞いた事があるぞ)
勇者(僧侶ちゃんが、前に……)

〜僧侶『勇者様これ知ってますかー? トントンって音を出して通信を送り合うんですって〜! 勇者様知らなそうだから教えちゃっいました!えっへん!」〜

勇者「……さすがだ、僕の僧侶ちゃん」

勇者(よく分からないけど、このデブはさっきからこの音で向こうと解答を聞き出していたのか!)
勇者(つまり! 僕もこいつらの音に耳を傾けていれば答えが分かるってわけだな!感謝するぜ、僧侶ちゃん)
勇者(さぁ、僕に精々盗み聞きされているがいいぞ!!)

トントントーン

デブ「フフゥ……」カキカキカキ…

勇者「…………」

デブ「……」トントントトートーン トートートーン

勇者(……さっぱり意味が分からないな)

試験官「30分切りましたよ」

勇者「ゲェー、マジでやばいっ!」
勇者(落ち着け僕! まだ30分も時間は残されているんだぞ!)
勇者(選択問題を見ていこう……こうなりゃ自棄だ、勘で答えていくしかねぇー)
勇者(……本当にそれでいいのか? ここで失敗して落とされたら、
        僕はどんな顔して二人へ「ただいま」と言えばいいんだ)
勇者(僧侶ちゃんも武闘家も僕を信じてここまで付いてきてくれたんだ)
勇者(考えろ。まだどうにかする方法はあるぞ……)
勇者「…………」ぴた

デブ勇者(ブフヒッ、こやつ完璧にやる気を失ったようだな。
            どうにかして小生の解答を盗み見ようとしていたようだが)

デブ勇者(我が腕の肉のカーテンで貴様のカンニングは阻止できているのだ!
            小生がただ太いだけだと思うなよ)

試験官「そこまでッ!! 解答を後ろから回収していきます。両手は机の下に」

勇者「…………」

デブ勇者「ンククゥー! どうでしたかなぁー!? 試験官殿が仰る通り楽勝でしたなぁー!!」
デブ勇者「ややっ、お主! 解答欄がどれも真っ白ではありませぬか! ブランク続きですのぉー!」
デブ勇者「まぁ、来年の試験でがんばるが宜しいですぞ!」

勇者「いや、その必要はない!!」

勇者の こうげき ! デブ勇者 は 頭をかち割られ いきたえた !

試験官「おいおい! 君ィ、一体何しとるんだね!」

魔物「また貴様か 342番ッ!!」

勇者「いいえ、僕は342番の勇者ではありません」

魔物「何を言って―――はっ」

勇者の 胸の番号プレートが 342番から デブ勇者が身に付けていた 194番へ すりかわっていた !

勇者「342番はそこに転がった彼のことだな……
       彼、試験中に音を出して遊んでいたから、僕 ちょっとカーッとなっちゃって」
勇者「この通りです。お騒がせしてすみませんでした。以後、気をつけますので」

魔物「試験官さま、これは」

試験官「うむ」

試験官「気をつけたまえよ、『194番』」

勇者「ええ」

試験官「では皆さん、1時間ほど向こうの大広間で待機していてください」

試験官「合格者は部屋に備え付けられた電光掲示板で発表しますので。それまではごゆっくり〜」

・・・・・・ざわざわ、ざわざわ!

オカマ勇者「あんた、本当に凄いことやらかす男ねぇ。度胸ある勇者って嫌いじゃないわよー?」

勇者「正直今回も冷や冷やさせられたよ……
       事前に身分をしっかり確認された上での 試験ならさっきの作戦は通らなかっただろう」
勇者「奴ら、僕たちを単に番号でしか判別していないんだ。
       だからあのデブを殺して、僕があの男の番号と答案用紙をいただいた!!」
勇者「あいつには悪いけど、奴も不正はしていたんだ。恨みっこは無しでしょうよぉー」

オカマ勇者「まぁ、勇者の中の屑! あははははっ でも嫌いじゃないわよ!」

勇者「……だけどさ、あのデブ勇者がもし合格できていなけりゃ
       僕も得意気に笑ってる場合じゃないんだけどね」

オカマ勇者「その作戦は信頼できる相手でなければ、難しいということね」

勇者「はぁ、結局ヤケクソになっちまったわけだよな…」

女勇者「上手く機転を効かせて壁を乗り越えられたようですね」

勇者「うっ、また君か……」

女勇者「正直あなたの行動には驚かされっぱなしですよ」
女勇者「掲示板を見てください。あなたは無事 学力検査をも通過しています」

勇者「お? 本当だぁぁぁっ!! あはは、やったな デブぅー!!」

オカマ勇者「ヒュ〜 さっすが!アタシも通過みたいね」

勇者「君はどうだった?」

女勇者「…………」

勇者「ま、まさか落ちちゃったんじゃないの〜? いやぁ、来年頑張らなきゃねぇ」

女勇者「通過してるに決まっているじゃないですか。あなた何様のつもり?」

『合格の勇者皆さま おめでとう! 次は運動能力検査を行いますので、案内の者に付いてきてください』
『残念ながら通過できなかったクソ阿呆な勇者皆さま! さようなら!!
  バカに生きる価値はございません!!』

「ギャー!?」ドカーン! 「ひぎぃ」グシャァァァ 「か、かあさ……ん」ポロリ

オカマ勇者「しっかり目に焼き付けておきなさい。あれが敗北者たちの末路よ」

勇者「えぐいっ」
勇者「……まぁ、なんだ。お互いここまで来れたんだ。最後まで全力で――あれ」
勇者「もういなくなってる。あの子、一人で大丈夫なのかな」

オカマ勇者「何言ってるのよ。ここではみんな一人が普通なの」
オカマ勇者「周りは敵ばかり……どんな目的を内に秘めているのかしらね」

勇者「はぁ。みんな勇者なんだから助け合えばいいのに。
        そしたら もしかするば全員で魔王へ挑めるかもしれないのにさ」

オカマ勇者「アタシたちは皆、魔王の手の中で踊らされているのよ。知らない内にね……」

試験官「勇者の皆さま、移動お疲れ様です。
           まぁ これから休まる暇もなく試験を開始させていただきますが」
試験官「ちなみにこの三次検査までで292名が脱落しました。
          残るは108名! わぁ、すごい 人の煩悩の数と同じだ」
試験官「冗談はさておき。
           この三次検査で恐らくこの人数の半分以上は、残念ながら消えてしまうでしょうねぇ」

ざわざわ、ざわざわ・・・

試験官「今から行う試験は皆さんの運動能力 及び 戦闘能力測るものとなります!」
試験官「向こうをご覧ください! ほそ〜い橋が見えるでしょう」
試験官「あの橋を渡った先には四次試験会場があります。
          つまり! あの橋を渡り終えることができれば合格!」

勇者(何だ、あれぐらいの橋を渡るぐらいなら楽勝じゃないの。びびらせちゃってさー)

試験官「この試験でも前の試験同様 魔法、道具の使用を禁止します。
          他のことならぜーんぶ何をやっても許されますよぉ」
試験官「さぁ、皆さん!! 頑張ってきてくださいね、私はここで皆さんとはお別れです。残念ですね」
試験官「では 小さい番号の順に橋をお渡りください。三次試験……スタートです!」


ワアアァァァァァァァ・・・!

勇者「オカマさんと番号が近くなって助かったよー! 一緒に協力してこの試験を突破しよう!」

オカマ勇者「…………ねぇ、そんな甘いこと言っていられないってまだ気づかない?」

勇者「はい?」

オカマ勇者「橋を……見てごらんなさいよ。木造りでしかも痛みまくりの古いオンボロ橋だわ」
オカマ勇者「そして、横の長さは目測だけど 1mも満たしていないんじゃないかしら。相当の細さよ……」

勇者「まぁ、確かに細いけどさぁ……。ていうかここ部屋の中のくせして霧が濃いよな」
勇者「これじゃあ橋がどれぐらいの長さかも分からないや」

オカマ勇者「そうね……」

勇者「でも、渡るだけなら気をつければいいだけっしょ! 今までで一番楽勝っすよ!」

オカマ勇者「どうかしら……アタシは最悪の試験だと思うわ……」

「よっと! おお、結構軋むなこの橋……」ギシィ、ミチ…ギシギシ…

勇者「うわ、今にも切れそうな勢いだぞオイ!?」 

オカマ勇者「はたして 一度にここにいる全員が橋へ乗っても大丈夫かしらね?」

勇者「あっ……」

オカマ勇者「運動能力とか戦闘能力どころの話じゃないわ。奴ら、アタシたちに殺し合いをさせるつもりよ」

勇者「僧侶ちゃぁん、無事を祈っていてください…!」

ギシ、ギシギシギシ・・・  橋へ乗った勇者の数、現在27名 !

「きゃあ、凄いギシギシね この橋……壊れそう……」ギシィ

オカマ勇者「30人目が橋へ乗ったわ。
              ねぇ、このままバカみたいに自分の番が待つのは危険だと思わない?」

勇者「順番を抜かすなんてことは試験じゃ流石に許されないと思うんすけど」

オカマ勇者「なら、どうやって自分が早く橋へ乗れるか……
              あんたなら既に気付いているんじゃないかしらね」

勇者(ああ、もちろん分かっているさ。
        順番を早めたいだけなら 自分の前の番号プレートをつけた勇者を殺せばいい)

勇者「だけど それができるのは何も僕らだけじゃない!
       他の受験者たちだって同じなんだろ……みんなそろそろ気づいているはずだぜ」

しーん・・・・・・

「もし全員が順番守って橋へ乗れたとしても、橋が重みに耐え切れず落ちてしまうかも」
「この試験、番号が小さい奴が有利じゃねぇか…」
「わ、私が先に乗るわ。みんな変な考えは起こさないでよ…」
「橋が落ちたら誰も合格できない…四次試験会場へ辿り着けない…」

オカマ勇者「いつでも戦う準備をしておいた方が良さそうよ。ホント、嫌な試験だわ」

勇者「いや待てよ…………」

〜僧侶『勇者様ぁー…私も勇者様が食べてるケーキ気になってたんですよぅ……半分こにして貰っていいですか?』〜

〜僧侶『ほら、私のケーキも半分こにして……ね!こうやってお互いが助け合えば美味しものが二つも食べられる!』〜

勇者「僕たちが争う必要なんて何もないんじゃないかな?」

オカマ勇者「えっ?」

勇者「だから最初から互いを蹴落としあう必要はないってことだ!」

オカマ勇者「あんた、まだ生温いこと言って」

勇者「みんな 自分が橋を渡り終えられる事しか考えていないのがそもそもの罠なんだよ」

勇者「試験官は橋を渡ることが試験と言った。だけど、ここにいる全員で一斉に渡れなんてことは一言も話しちゃいなかったぜ……」ジカンセイゲン モ トクニナサソウダシヨォー

オカマ勇者「つまり、何よ。今橋を渡っている勇者たちを先に向こうへ渡らせ、次に30人、また次にと……」

勇者「そうだよ! 少人数なら橋が崩れる可能性も圧倒的に低い!
       この方法なら安全にみんなが三次試験を突破できるわけよぉ〜」

勇者「ははぁー! やっぱ今までで一番楽勝じゃないか―――」 

「いや、その方法は恐らくこの試験では通じないだろうよ」

勇者「おい人のアイディアにケチつけてんじゃねーよ!」

オカマ勇者「ううん、アタシもそいつと同意見よ……
              協力する前提という事は置いて、アンタ自分でさっき気付いていたじゃないの」

オカマ勇者「この部屋は霧で満ちている。そのせいで橋がどれぐらい長いのか分からない」

勇者「あっ、しくった…」

「つまり、お前さんの今のアイディアは既に今30人が渡った時点で難しいってこったよ」

勇者「いや、でもまだ通用するはずだ!!例えばあなたが今から橋を渡って、
       先の30人が無事に渡り終えた事を確認してから もう一度ここへ戻ってきて…」

「俺の報告を待ってから動けばいいってかい? さっきも言ったがこの橋がどれぐらい長いのか見当がつかん」

「恐らく痺れを切らして強行手段へ出る奴も少なくないんじゃねぇかな?
 それに先に渡った奴らが橋を落とす可能性もあるんだぜ」

勇者「グダグダって面倒くせぇな…」

「そりゃお前 俺もできれば勇者同士争いたくはねーよ。
 だけどよ、もはやこの集団の中では 調和を取ろうとする奴の方が異端なんだ」
「俺は同じ勇者に殺されるぐらいなら、喜んで自分のためにお前たちを切り捨ててやる覚悟がある。
 他のみんなだってそうだ」
「先に渡り終えた勇者たちが橋を落としちまわねぇか内心気が気でないだろうさ。
 こんなくだらん話で時間を食わせられちまうとは……」

受験者たち は お互い 武器を手に持ち にらみあっている !

「悪いが俺の合格のための糧となってもらうぜぇ!」
「あたしのために死んでちょーだい!」
「お、俺を渡らせてくれ!頼む!」

勇者「……お、オカマさんの言う通りだ。みんな魔王の手の中で踊らされちまってる」

オカマ勇者「そして、アタシもその一人だということね」

勇者「何?」

オカマ勇者のこうげき ! 勇者は ずっこけて こうげきを かわした !

勇者「オカマさんっ……危ねぇだろぉ!!」

オカマ勇者「フー……」カチャリ

オカマ勇者「あんたは好きよ。だからアタシが誰よりも先にあんたを殺すの」

勇者「ひぃん、歪んだ愛の押し売りは勘弁だよぉぉぉ……そ、僧侶ちゃぁん……」

オカマ勇者「遅かれ早かれこうなることは分かっていた。
              あんたとはもっと別の出会い方をして、素敵な関係を築きたかったわね」

「うおおぉぉーーーッ!!」 「きゃあ!?」 ブシュー 「切って悪かった!あやまるから…うぎぎっ」

オカマ勇者「……なんて醜い光景かしら。これでみんな同じ人間なのよ」

オカマ勇者「人って怖い生き物よ、ちょっとした状況でこんな簡単におかしくなれるんだからサ」

勇者「オカマさん……少し落ち着こう……ね?ね?
       僕ちょっと腰抜けちゃったの……ちょっとタンマ。マジお願い……」

オカマ勇者「最後ぐらいはカッコいいとこ見せてみなさいよね……!」「うぎゃ!?」「ぐふぅ!」ブシュー

勇者「えっ」

オカマ勇者は 番号178と番号190の勇者を たおした !

オカマ勇者「先に進みなさい!! アタシの気が変わらないうちにね!!」

勇者「何だと……」

勇者「オカマさんさっきは先に殺すとか言ってたじゃないか。何だよ このいきなりの心変わりは!」

オカマ勇者「アタシ、真性のサドなの。
              好きな人がビビってる姿を見ておきたくてねぇー……最後になるかもしれないから」

オカマ勇者「」よろり

勇者「!」
勇者「お、オカマさん……血が出てるじゃないさ……! いつ刺されたんだ」

オカマ勇者「この乱戦状態に視界不良よ。
              …まぁ、不意を突かれたアタシが悪いんだけどねぇ……おえぇ」ビチャチャ!
オカマ勇者「さぁ、行きなさい。大丈夫。
              あんたはアタシが愛した勇者よ……きっとこの先の試練だって乗り越えることができるわ…」

オカマ勇者「橋へ……進むのよ……四次試験会場へ、急いで」

勇者「お、おおおおおぉぉ、うおおおぉぉぉぉぉー…………!」プルプル

オカマ勇者は いきたえた !

勇者「カマさんッ!! 僕は、僕はあんたを一生忘れません……
       あなたは僕にとって最高の勇者だったっす……」

女勇者の こうげき ! 勇者は オカマ勇者のからだをたてに こうげきを防いだ !

女勇者「……!」

勇者「あ、ああ……! よくもオカマさんを切りやがったなぁ!?」

女勇者「盾として使ったのはあなたじゃないですか。私だけが悪いみたいな言い方はどうかと」
女勇者「それより、いつまでボサっとしているんです?
          私以外にも生き残った勇者全員があなたへ狙いを定めているわ」

勇者「な、何ぃー……」チラ

「……コロセ」 「コイツダ……」 「……コイツガ」 ぞろぞろ・・・

勇者「み…皆さんどうしちゃったんですかぁ……目が血走ってるよー……」

女勇者「まだ気づいていなかったの? あなたがこの中で最も番号が小さい勇者ですよ 『194番』さん」

勇者「はっ」

「ウオオオオオォォォ、俺の為に死ね!!」

勇者のこうげき ! こうげきしてきた 番号306の勇者 を げきたいした !

「油断するな……」 「こいつは汚い手を平気で使うような勇者よ……」 「全員で囲むんだ……!」

女勇者「観念して死んでくださいね」 

勇者(数が多すぎるよ……僧侶ちゃん、こんな時はどうすればいいんだ……)

勇者「僧侶ちゃん 僕を導いてくれ!」

〜僧侶『ヤバっ! と思ったら即逃げるのが一番ですよ 勇者様〜!』〜

勇者「そりゃ素直に逃げるべきだよねっ、この状況は!!」ダッ

「橋へ逃げたぞ!」 「追いかけてぶっ殺せ!」 「いや、お前が死ね!」「ひぎぃ!?」ブシュー

勇者「注意が僕からそれ始めた……けど」

鉄仮面勇者「お前のすぐ後ろの番号はこの俺さまだ……
                つまりこのままお前の後に続いて橋へ踏み込んでも問題はねェ」

勇者「う、後ろから10人ぐらい橋へ乗りこんできやがった!!
       お前たち橋が限界なのが分からないのかよぉーーー!?」

「僕が誰よりも先に橋を渡る!」 「どけ!俺を進ませるために退くんだ!」 「ひ、ひひ……ひひッ」

ギシ、ギシジジジジ・・・ギチィ、メキメキメキ・・・

勇者「は、橋が悲鳴をあげてる……うわぁあああ……」
勇者「この下、真っ暗で何も見えないぞ。底がないみたいだ……!」
勇者「ぜ、絶対に落ちるわけにはいかない。ここから落ちたら確実に帰れなくなるッ!!」

ぐらぐら・・・

鉄仮面勇者「うおぉ、かなり揺れるぜ……この部屋風も吹いてやがる……」

勇者「だ、だからみんな仲良くゴール目指そうぜ。
       何もしなければ無事渡り終えられるかもしれないんだから」

鉄仮面勇者「そんなこと言って手前が渡り終えたら橋を落とす気なんだろ! 騙されねェ!」

勇者「こいつ……何を言っても意味はなさそうだな!」
勇者「……とにかく前に進まなきゃ。この橋の細さなら無理に走ってきたりはできないだろ」ふら、ふら

ギギギギ・・・メキィッ!

勇者「ひぃ!?」

鉄仮面勇者「お、おい! 一歩も足を動かすんじゃあねェぜッ! ……橋にこれ以上負担をかけては」
鉄仮面勇者「確実に崩れ落ちちまうだよぉーーーッ!!」

ざわざわ、ざわざわ・・・!

「…………」

勇者(このまま黙っていても、いずれ全員の体重を支えきれずに風で煽られただけで橋が落ちちまいそうだ)

勇者(全員がこの橋を渡るなんて甘い考えはもうできなくなった……)

鉄仮面勇者「……おい、金をくれてやる。だからお前ら橋から降りるか、下へ跳び下りろ」

「ふざけんじゃねぇ!だったら俺も金ぐらいくれてやるから死ね!」
「お金があっても死んだら元も子ないじゃない! こんなところに落ちたら復活もできそうにないわ!」

勇者「……い、一度みんな落ち着こう。何か解決策があるはずなんだ」

鉄仮面勇者「何だって? 手前、それ本当なんだろうな? 出鱈目だったら…」

勇者「この状況でそんな事言うかよぉー……今考えてるんだから、妙な真似は起こすなよ」
勇者(どうやってこの橋を僕が安全に渡るか。そんな事の分かり切っているじゃないか!)
勇者(こいつらをどうにかして橋から落とすしかねぇ! そうだろ、僧侶ちゃん!)

鉄仮面勇者「おい! 早く何か思いつけ! …お、おい!!
                 俺の肩を掴むんじゃねェよバカ野郎ーッ!!」

細目勇者「そ、そんな事言ったって仕方がないでしょ!?
             足がふらついて……それに僕の後ろの奴も 僕の肩を掴んでいるんだぞ!」

「お、俺の後ろも詰まっているんだ! 何とか前へ進んでくれよ!」

鉄仮面勇者「知らねェよそんなの! おい、マジで早くどうにかしろよ! このままじゃ……」

勇者「…………これは賭けだ」

鉄仮面勇者「あ? 何だって?」

勇者「橋がどれだけ持つか、そして、僕の前にいる30人が既に橋を渡り終えているのか……」

勇者「もうこれしかないわ!!」

勇者の こうげき! 勇者は 剣を 鉄仮面勇者へ なげた !

鉄仮面勇者「うおおおぉぉ〜〜〜っ!? あ、危ねェーーーッ!!」ぐいっ

細目勇者「えっ…!」

鉄仮面勇者は 剣をよけるために 後ろへ体を そらした ! 後続で密着していた 勇者たちは全員 後ろへおしだされた !

「ちょ、ちょ……!」 「うわっ」

鉄仮面勇者「う……うぅぅーっ!?」ぐぐぐ・・・
鉄仮面勇者「お、俺様を支えろぉー!! やばいやばい、やべぇよ!!」

細目勇者「おお、おもっ、重たい……む、む、無理……!」

鉄仮面勇者「このクソガキ、てめェ〜〜〜ッ!!」

勇者は おいうちに 携帯ゲーム機を 鉄仮面勇者へ なげた !

鉄仮面勇者は 反射的に 後ろへのけぞってしまった !

鉄仮面勇者「……あ――――――」

細目勇者「おふっ――――――」

〜僧侶『勇者様ぁ、ドミノ倒しって知ってますー? ある間隔で牌を並べて、先頭の牌を倒すと』〜

〜僧侶『牌はさらに隣の牌を倒していっちゃうんです! この連鎖で ぜーんぶの牌が倒れてくの見ると 爽快なんですって!』〜

「うわあああああああああああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!?」ばたばたばた、・・・ぼとぼと

勇者「人間ドミノ倒しだッ! ただ爽快感に浸っている場合じゃねぇー!」

ギシギシギシ! ミチミチミチ・・・ブチィッ!

勇者は 橋を 一気にかけだした !

勇者「うおおおぉぉおおおぉおおおおおおおお〜〜〜!!」

勇者は 走った ! 力いっぱい踏み込んだ板はおれ 崩れるのも時間の 問題のようだ !

勇者「うわあぁぁ、早く、早く向こうへ辿り着け! ゴールはまだなの!?」
勇者「いや、見えたっ!! 目と鼻の先にあるじゃないか!! へ、へへ…賭けは僕の勝ちだ……!」

ブチッ、ブチブチブチッ、ブチンッ!


勇者「ひっ……!?」

橋を 支えていた縄が ちぎれ 橋は 崩壊した !

勇者「あ、あのもう少しなのに……! うわぁああああぁぁ〜〜〜っ!?」

勇者は 橋と ともに 奈落の底 へ 落ち ・・・・・・がしっ

勇者「〜〜〜っ…………あ、あれぇ」

女勇者「……」ギュ

女勇者が ゴール から手をのばし 勇者を つかんだ !

勇者「君は……いつのまに僕を抜いてゴールへ辿り着いたんだ……!」

女勇者「今、その質問へ悠長に答えられていて平気なんですか」

勇者「……助けてくだしゃい」

女勇者「よいしょ」ぐい

勇者「あーっ、もうダメかと思ったよ! 本当にありがとう! 君がいなかったら僕は今頃…」

女勇者「でしょうね。私へ一つ貸しができましたね?」

勇者「へ?」
勇者「……お金はもう持ってないぞ。あるのはこの身一つだけだ、しょうがないなぁ…」

女勇者「いりません」
女勇者「今回はかなりヤケクソでしたね。正直期待していたものとは違って 残念でした」

勇者「助かりゃ過程なんかどうでもいいんだよバーカ!!
        ……それより、さっきは攻撃してきたのに どうして今度は助けて」

女勇者「勘違いしないでくださいよ。手が伸ばされたから反射的に手を掴んでしまっただけです」
女勇者「正直助ける気なんてなかった。
           さっきのあなたの様子を見ていたらここまでかと見限ってしまいましたし」

勇者(相変わらずわけわかんない女の子だなぁ、正直僕に惚れてるじゃないの この子?)

女勇者「とりあえず、三次試験突破おめでとうございます」

勇者「ああ、お互いね」

勇者「僕はこのまま外で待つ仲間たちのためにも、
       僕の背中を押してくれたオカマさんのためにも 勝ち抜いてみせるよ!」

女勇者「あの……もはや魔王を倒すなんて眼中になくなってきていませんか、あなた」

勇者「え」

女勇者「試験を全て通過することが目的となってしまっているのではと言っているんです」

女勇者「さっきの台詞聞くとそんな感じに思えましたよ。どうですか?」

勇者「……しょ、正直否定はできないかもしれない」

勇者「で、でも! 魔王は倒す! 僧侶ちゃんたちと約束したんだからな!」

女勇者「意気込みが全く感じられませんね」

勇者「あぁ!? 君なんかにわかってたまるかよ! とにかく 僕が魔王を倒す勇者に選ばれてみせる!」

女勇者「ああ、そう。……さぁ、四次試験会場はこの先にありますよ。行きましょうか」

勇者「くそ、バカにした目で見やがって……
        あれであの子が落とされたら 僕は指差して鼻で笑ってやるからな」

魔物「194番、341番の勇者さんですね。三次試験合格おめでとうございますぅー」
魔物「四次試験は集団面接となります。
       番号が呼ばれるまでは そちらの部屋で他の受験者さんと一緒に待機をお願いします」

勇者「いよいよ面接か……僕、面接とか受けたこと一度もないんだよなぁ……」
勇者「な、なぁ? 良ければ呼ばれるまでの間、二人で練習しておこうぜ―――あれ」
勇者「またいつのまにいなくなってるし……トイレにでも行ったのかぁ?
       表情には出してなかったが本当はかなり緊張してたりして、ぷぷっ」
勇者「……一応、怖いから僕もトイレ行っとこ」
勇者「はぁー…………あ?」
勇者「なんてこった! 小便のキレが悪いぞ……なんだか嫌な予感がするな」

「なぁ、あの噂は本当なのかな」
「さぁねぇ、所詮はただの噂だろー」

勇者「むぅ?」
勇者「ねぇ、一体何の話してるの? せっかくだから僕にも聞かせてくれよ」

「お前はイレギュラーじゃねぇか……!」

勇者「何ぞそれー」

「今年一番のダークホース候補だってみんなお前を言ってるぞ。
 正直 オレらの中じゃ今一番敵に回したくない奴ナンバーワンってとこだ」

勇者「知らないところで僕が脅威とされていたとはなッ。
       いいな、そういうのカッコイイ! 帰ったら僧侶ちゃんに自慢できるし」
勇者「まさか、今の会話は僕のことを言ってたわけ?
       いやぁ! 人気者はつらいっすねぇ〜〜〜えっへへへ!」

「何調子乗ってんだてめぇ!! 別にお前のことなんて話してねーよ」
「イレギュラー……あんたはこんな噂を聞いてこなかったかい?」
「この勇者試験の参加者の中には、魔物側が用意した視察官がいるってよぉー……」

勇者「視察官って、つまりスパイが潜り込んでいるの?」

「あくまでも噂だがな。通常の試験以外でもオレたちはそいつに見られているってことさ」
「もし そいつに気に入られりゃ、苦労なく最終試験まで突破することができるかもしれねーのよ」
「まぁ、逆も然りだわな。飽きられるようなら即切り捨てられたりとか」

勇者「……ん」

〜女勇者『正直あなたの行動には驚かされっぱなしですよ』〜
〜女勇者『正直助ける気なんてなかった。
              さっきのあなたの様子を見ていたらここまでかと見限ってしまいましたし』〜

勇者「まさか、なー…………」

「さて、イレギュラー。俺たちはそろそろ面接のお時間だ」
「お互いここまで来たら全力を尽くして挑んでこうぜ」

勇者「いや、結構今までも全力だったんだけど。既に満身創痍……」
勇者「……視察官か、ふむ」
勇者(あの子は行動も言動もどこか他の勇者たちとは違和感があった)
勇者(噂が真実だとすれば、女勇者が視察官という可能性は今までの彼女を見るに十分あり得る)
勇者(……視察官の彼女がもし僕を本当に見限ったのだとすれば
        試験官たちに僕を落とすように密告するかも……)
勇者「少しでも不安要素があるなら、それを確実に取り除かなきゃ。
        ここまで頑張ってきたんだ、簡単に落とされてたまるかよ!」

女勇者「ずいぶん大きな声の一人言ですね?」

勇者「うっ!?」

女勇者「どうしたんですか。面接の練習かしら。
          それなら周りの迷惑にならないようにしなきゃ失礼だと思います」

勇者「噂をすればな……!!」

女勇者「は?」

勇者「ちょっとこっちに来い……!」ガシッ

女勇者「あ、あの?」
女勇者「……どうしたんですか。急に人気のない場所なんかに連れてきて」

勇者「君に大事な話があるんだ」

女勇者「はぁ、そうですか。できれば手短にお願いしますね」
女勇者「もうすぐ私たちの番号が呼び出されるかもしれないから。
           お互い、遅れるわけにはいかないでしょう?」

勇者「そうだね、大丈夫だ、時間は取らせないよ……」
勇者「…………もし僕を推薦してくれたら、あとで5000Gを出そう」

女勇者「…………」

女勇者「ぷぷっ!」

勇者「っ!?」

女勇者「す、すみませ…ふふっ、大事な話ってこれですか? 推薦って…!」

勇者「僕はこれでも大真面目で言ってんだぞ!!」
勇者「あとでみんなには分からないように こっそり渡すから……な!?」
勇者(彼女をこのまま放置していたら僕の障害となる。
        それなら、こうして先に味方へ引き込んでしまうまでだ……!)

女勇者「……私へ賄賂を渡しても無意味ですよ。私にあなたを先へ進ませる力なんてありませんから」

勇者「惚けるな。僕は知っているんだからなぁ、
        お前が魔物側がこっそり忍び込ませた視察官ということを……っ!」
勇者「さぁ、正体を明かしてみろ!! 大丈夫、他の勇者たちには内緒にしといてあげるから!!」

女勇者「やれやれって感じですね……」

勇者「あ?」

女勇者「決めました。私、あなたを全力で潰しにかかりますね」ニコ

勇者「……は?」

『番号17、53、99、194、341の勇者さん。面接室の前に移動し、試験をお待ちください』

女勇者「さ、行きましょうか」

勇者「えっ、あ、うん……はい……そだね…」

熱血勇者「おお、お前が例の勇者か。だいぶ皆を騒がせたみたいじゃねーか!」

勇者「……」

熱血勇者「おい、大丈夫か? 緊張なんかすんなよ、たかが面接だぜ! ドーンと行こう!ドーンとねっ!」

勇者(うぅ、さっきの女勇者の言葉が頭から離れてくれないぞ。
        あの子、何を企んでいるんだ……視察官じゃないのか……!?)

冷静勇者「たかが面接、されど面接だ。笑っていられるのも今のうちだぞ」

狂勇者「ウォオオオオオオオオオオオオォォォーーーッ!!」

勇者「ひぃ!?」

女勇者「……そんなに緊張していては伝えたい事が何も話せなくなってしまいますよ」

勇者「う、うるさい…」

女勇者「うふふっ」ニコニコ
女勇者「仲間たちのためにも、助けてくれたあの勇者のためにも勝ち抜くんでしょう?」
女勇者「最後まで意地を貫き通して見せてくださいよ。
           こうと決めたら必ず実行するのがあなたの強みなんでしょう?」

勇者「……や、やってやろうじゃねぇか!! 僕は勇者だッ!!」

〜僧侶『なんだか、勇者様って勇者のくせに 肝心なところで勇ましくありませんよね〜』〜

勇者「うっ、こんな時に嫌な思い出が……僧侶ちゃぁん空気読んでくれ……」

女勇者「私、あなたをしっかり見ていますからね」

『お待たせしました。番号17、53、99、194、341の勇者さん、中へどうぞー』

勇者「は、はい!!」バッ

熱血勇者「失礼します!!」

冷静勇者「失礼します」

狂勇者「ウォオオ」

女勇者「失礼します」

勇者「ひ、ひひ、しっ、失礼しますぅー!!」

熱血勇者「私は砂漠の国出身、番号17 熱血勇者と申します! 宜しくお願いします!」

冷静勇者「私は氷の国出身の 番号53 冷静勇者です。本日は宜しくお願いします」

狂勇者「ウォオオオ、ウォ、99ウォッホ。ウォオオオオオオオオオ」

勇者「ぼ、僕……いえ!私は田舎の国出身、勇者です! 本日はお日柄も良く……」

勇者「……絶好の面接日和だと思います。ハイ」

面接官「番号を教えてもらえますか?」

勇者「あっ、194番です!! すみませんでした…っ」

面接官「はい、結構です。早速の自己紹介ありがとう。
           みんな元気な感じが僕らにもひしひしと伝わってきたよ」

面接官「どうぞ、椅子へおかけください」

「「「失礼します!」」」
「ウォオオオオォォ!」

勇者(……あれ、まだ全員紹介は済んでいないはずだぞ。いいのか?)

女勇者「…………」スタスタスタ、サッ

「!!」

女勇者「それでは面接を初めていきたいと思います。今日は此方ともども、よろしくお願いします」

勇者「あ……ああぁ……!」

面接官「あ、面接へ入る前にちょっと……」ポチ

熱血勇者・冷静勇者「!」

勇者たちの 背後の壁から 機銃が あらわれた !

機銃は 4つ 4人の勇者それぞれの 背中へ 銃口を むけている !

熱血勇者「お、おい!! これは一体の何の真似……でしょうか。
             不躾な質問、申し訳ありません……」

面接官「見ての通り銃ですよ。これから面接を始めていこうと思いますが」

面接官「我々の質問に対しての返答が15秒遅れた場合、
           問答無用でそれが火を噴くことになりますのでご注意を」

勇者(な、何言ってんだあの面接官はーーーーーッ!?)
勇者(質問に15秒以内で答えなきゃ即射殺!?
        こんな凶悪にふざけた面接があってたまるかよぉ……!!)

女勇者「皆さんどうか気を楽にしてください。私たちは素のあなたたちを見たいのです」
女勇者「包み隠さず、勇者としてのあなたたちを私たちへアピールしてくださいね?」

「…………」

勇者(この面接……かなりやばいぞ……っ!)
勇者(ていうか、やっぱりあの子視察官で間違いなかったじゃないか……
        おまけに面接官も兼ねていたなんて!)

女勇者「……」

勇者(うわ、凄いこっち見てる……)

〜女勇者『私、あなたを全力で潰しにかかりますね』〜

勇者(あの言葉が本気なら、あの子は僕をここで落としにかかるつもりなのか! くそぅ!)
勇者(……見せてやろうじゃないか、勇者の意地って奴を。あの女にッ!)

面接官「それでは最初に簡単な質問からいきましょうかねー」
面接官「ズバリ あなたはどうして魔王様と戦おうとしているのかな?
          では左の熱血勇者くんからお願いします」

熱血勇者「は、はい!!」

勇者(面接は今までのような誤魔化しは効きそうにない。
        あの女もいるからな……まずは落ち着いて他の勇者の話に耳を傾けるんだ!)

熱血勇者「私は、勇者として、世界をあなた方の魔の手から救うべくして、
             魔王と対決を望んでいます!」

熱血勇者「私には魔王を討つ自信があります!
             過去に私は砂漠の国を攻めてきたドラゴンを一人で仕留めた経験がありまして」

面接官「へぇ〜」カキカキ

勇者(ドラゴンをたった一人で? 見た目からして強そうな奴だったけど、マジすか)

面接官「きみ、身体検査でも中々の数値を出していたみたいだね。
          そっか、ドラゴンを一人で倒せる実力があるのね。はい」
面接官「それでは隣の冷静勇者くん? お願いしますね」

冷静勇者「はい。私はここにいる勇者の皆さんとは比較にならないほど頭がキレると自負しています」

面接官「ふーん、すごい自信だね 君ィ」カキカキ…

勇者(何でみんな躓かずにあんな長い台詞喋れるんだよ……
        聞いてたら逆に自信が喪失しちまいそうだぞ……っ)

冷静勇者「はい。昔から機転が効く、
             天才だと周りの友人や両親、教師からも評価をいただいていました」
冷静勇者「ですから―――」

女勇者「うーん、私はあなたの話からは賢さを感じられませんでしたよ」

冷静勇者「は……?」

勇者(初めて動いた……!)

冷静勇者「で、ですから周りから評価もいただけていて……」
冷静勇者「学力検査でも断トツで上位へ入っていたでしょう! それも証拠として」

女勇者「あんな子ども騙しのような問題ばかりのテスト、普通なら高得点を取って当然のものです」
女勇者「前の彼のように……何か実績があるエピソードを交えて、
           もう一度質問へ答えていただいて構いませんか?」

勇者「!!」

冷静勇者「いや、だから……昔から…頭良かったから……何というか……えっと……」

女勇者「質問の答えになっていませんね」ポチ

冷静勇者「ぐばぁー!?」ズドンッ!!

冷静勇者は 機銃に うたれ いきたえた!

熱血勇者「ひっ……」

狂勇者「フォオオオオ……」

女勇者「さきほどの説明にこちらのミスがあったので訂正させていただきます」
女勇者「返答するのに15秒の沈黙、または質問の意味を理解していない話を語った場合」
女勇者「殺します」

勇者「ぁ…………!!」
勇者(考えろ考えろ考えろっっっ!! まだ僕の番まで回ってきていない!!
        今のうちに返答を推敲し直せ!!)
勇者(うわあああぁぁぁぁ……!)

面接官「では次に狂勇者さん、どうぞお願いしますね」

狂勇者「ふ、ふご……」
狂勇者「ウォオオオオ、ウオォン! ウォオオオオオオオォオオオオ」

面接官「…………(苦笑)」

狂勇者「ウォオオン! ウォ、ウオオオ……」

女勇者「共通言語も喋ることができない勇者を魔王様の前へ出すわけにはいきませんね。
          お話にもならない」ポチ

狂勇者「ウォオオウッ!?」ズドンッ!!

狂勇者も 機銃に うたれ いきたえた !

勇者「うわあああぁぁぁ……ひぃいいいぃー……」
勇者(物の1分もかからず僕の番が来ちまったぞ!?
        やばいっ、まだ頭の中で練り直している途中なのに!!)

女勇者「…………」じー

勇者(あの女! やっぱり本気で僕を殺す気でいる……)

勇者「あ、あ」

面接官「では次の勇者さん。質問に答えてくださいね」

勇者「はっ、はひィっっ!!」

勇者「…………あ、あぁ、あっ」パクパク

面接官「……」

女勇者「……」じー

勇者(頭が、頭の中、全部真っ白になっちゃった……)

女勇者「7秒経過しました」

勇者「っー!!」

勇者「はい!! わ、私は故郷の村長から勇者の称号をあ、あたえられ……て!」

勇者「……それ、でですねぇ。えっと……魔王を倒す事ができれば
       お前は英雄として永久に語られる存在になるだろうと言われて、ねっ!?」

女勇者「……」

勇者「つ、つまり!私は魔王を倒し栄光をいただきたいと考え、
       魔王へ挑もうとしているんですね! はははは……はは……は」ブワッ

勇者(自分でも何言ってるかわけ分かんなくて泣きそうだぁぁぁ……うあぁ)

面接官「まるでお金欲しさに入社したい、みたいな内容の理由だねぇー」
面接官「そう、名誉欲しさに魔王様へ挑むのか。正直な子だね 君は」

勇者(め、メモすら取られていないッ!! このままじゃ最悪な評価を受けて落とされる!)

勇者「……ごめんなさい。今の理由は出鱈目です」

面接官「は?」

面接官「君さー、ここまで昇って来て一体何を話にきたのかな?
           私たちは真面目に質問させてもらったんだけど」

勇者「はい。重々承知しています……」

面接官「これ完璧に舐めてるって見ていいんだよね。そういう子はちょっとなー」

勇者「お願いします。いまの質問、あらためて答えさせてくださいっっっ!」

面接官「んんー?」

勇者「無理を言ってるは自分でもわかります!
        だけど、あんな適当な理由を話した自分が許せないんです!」

勇者「お願いしますっ……私にもう一度、チャンスをください……!」

面接官「次の質問へ移りま―――」

女勇者「待って」

面接官「えっ」

女勇者「包み隠さず話してもらおうと私は初めに言いましたよ。
           あれは彼の真実ではなかったみたいですし」
女勇者「本来、面接にチャンスなんてありはしませんが……いいでしょう。どうぞ もう一度話して」

勇者「あっ……あぁ〜……!!」

女勇者「ただし。またあなたが碌でもない話を語った場合、
           そこにいる熱血勇者くん共々死んでもらいますね」

熱血勇者「えっ……」

勇者「あっ……」

熱血勇者「待てよ!! ……待ってくださいっ」

熱血勇者「どうして彼の失敗で、私まで被害を被らなければいけないのですか!」

面接官「落ち着いてください、熱血勇者さん。そうですよ、これは少し理不尽なペナルティでは…」

女勇者「では、勇者さん もう一度同じ質問です。
           あなたが魔王様へ挑む本当の理由を聞かせてください」

熱血勇者「ちょっと!!」

面接官「主任っ」

女勇者「今だけはお静かに」

「……」

勇者「…………」
勇者「はい!」
勇者「私が魔王へ挑む理由、それは勇者として魔王を倒すことが当然の使命と感じているからです!」
勇者「…私は、出身地の田舎の国で開かれた剣術大会で一位を取り、
        国一番の猛者として皆から讃えられました」
勇者「王は私の腕を見込んでこの私へ『勇者』の称号を与えてくれました。
       「お前は私たちの希望だ」と国民たちまでも私へ期待をかけてくれています」
勇者「旅の仲間も、きっと私ならば魔王を討てると信じてくれました。
        みんなが…僕を信じてくれているんです」
勇者「ですから、私は勇者としてかならず魔王を倒し、
        私の報告を今か今かと待っていてくれるみんなのために」
勇者「魔王へ挑みに参りました……」

女勇者「そうですか」

面接官「……」カキカキ

熱血勇者「はぁ はぁ…はぁ はぁ…………!」ガタガタ

勇者(言葉使いも、流れも滅茶苦茶だけど、嘘も混ざってるけど、言いたいことは全部伝えられた)
勇者(これで蹴られたら、僕は勇者じゃない……)

女勇者「……聞いていいですか」

勇者「!!」

女勇者「勇者として魔王様を倒すことは当然の使命。結構です」

女勇者「ですが」

勇者「うわ…」

女勇者「次の、『私の報告を今か今かと待っていてくれる みんなのために魔王へ挑みに参りました』
           ……私の理解力が足らないだけかも知れませんが」

女勇者「今のあなたのお話を聞くと、これら前後の理由に繋がりがあるのか、よくわかりませんでした」

勇者(あ、あれ……上手く繋がってると思ったんだけど……えっ)

女勇者「良ければ、説明していただけますか?」

勇者「なっ!?」

面接官「勇者くん お願いねー」

勇者「うぉう!?」

熱血勇者「っ〜…………」ジロリ

勇者(……落ち着け。何も慌てることはないぞ)

勇者「はい。王も国民も仲間も、世界を脅かす悪魔である魔王は、
        正義の味方の勇者にかならず倒されるものだと信じています」

勇者「ですから、私は『勇者』の称号を与えられた者として、
        当然のように、信じられた通りに使命を全うしようとしている」

勇者「だから、私は魔王へ挑むというわけです……これで、よろしいでしょうか……」

女勇者「……」じー

  勇者(なんだよぉ…!!)

女勇者「そうですか、わかりました。ありがとうございます」

勇者(や、やった……)

熱血勇者「はっ、はっ、はっ……はぁ、あぁ〜…!」ホッ
熱血勇者「―――という過去の経験からそれらを活かし…」

面接官「主任、そろそろ時間が」

女勇者「そうですね」

女勇者「話の途中で打ち切ってしまい申し訳ありませんが、これであなたたちの面接を終了します」

熱血勇者「なっ!?」

勇者(よ、容赦ねぇー……というかやっぱり理不尽すぎっ)

面接官「二人ともお疲れ様。結果はこっちから報告しますので、
          ゆっくり待機室で羽根を伸ばしていてね」

熱血勇者「あ、ありがとうございました……」

勇者「ありがとうございました!」

熱血勇者「……失礼します」

勇者「失礼します!」

・・・ガチャリ

面接官「主任、一体さっきのは何のつもりですか? 驚いちゃいましたよ」

女勇者「ごめんなさい。あの勇者はどうしても気になったの」
女勇者「……また私に一つ貸しを作っちゃったみたいですね、あの人」

面接官「は?」 

熱血勇者「お前ぇーッ!!」ガシッ

勇者「ひぃ!?」

熱血勇者「お前……お前一人が死ぬなら問題ねぇよ。
              だけど俺まで巻き込むとはどういうつもりだぁ!?あぁ!?」

勇者「そんな事言われても条件を出してきたのは向こうの方だろうが!
       僕に当たられても困るわ! 手を離せこの野郎ッ!!」

熱血勇者「何逆ギレしてんだよ、おい!!
              今ここで俺が魔王の前にお前をぶっ殺しても構わないんだぜ!?」

勇者「お、お前こそ何言ってんだよ!? ただでさえ疲れてるんだから もう僕に構わないでくれ……」

熱血勇者「てめー……ずいぶんお高く止まってんじゃねぇかよ。
              受け答えもしっかりできていなかったバカ勇者が」

熱血勇者「決めた、やっぱりお前をぶっ殺すッ!!
              ドラゴンキラーの力をその身に刻みつけてやるぜ……」シャキーン

勇者「止せって言ってるでしょー!?」

熱血勇者「うるせぇ! 黙って死んでくれ!」

熱血勇者「覚悟ぉーーーッ!!」

〜僧侶『勇者様! 売られたケンカは倍返しにしてかえすのが一番ですよぉ〜!』〜

勇者の こうげき ! 熱血勇者は くびを はねられ いきたえた !

勇者「……お前がドラゴンキラーなら、僕はドラゴンキラーキラーだな!」カチャリ

「またあいつか! あいつ今日で何人の勇者を殺したんだ……」
「勇者殺しの勇者かよ。大人しそうな顔して残酷な野郎だぜ」

勇者「もし次もまた面接が待ってるとしたら、僕はたぶん死ぬっ」
勇者「僧侶ちゃぁん、あと武闘家……僕はそろそろ限界が近いよ……」
勇者「今日だけで何人もの死に様を見せられた。
       僕の正義の心が、ちょっぴり霞んじゃった気がしてならない」

勇者「……まるで、僕は魔王に思い通りに動かされているみたいな気分だ」

『えー、さっきの面接の結果を発表します。なんと、合格者は4人……!!」

「!!」

勇者「急激に通過者が減らされたちまった……頼む、ここまで来てデスルーラは勘弁してくれぇ……!」

『発表します。番号17、42、118、227…………以上』

勇者「あっ……!?」
勇者「……」キョロキョロ、バッ

熱血勇者「†」

勇者は 熱血勇者から 番号プレート をうばった !

『合格者の勇者皆さん!! 本当によく頑張りましたね、おめでとうございますぅー!!』

「お、落ちた」
「ここまで来て……ひでぇ」
「こ、殺されちまうのか? あいつらみたいに」

『残念ながら不合格でした皆さん。
 来年も懲りずに頑張ってください。お帰りの際は非常階段をお使いになられ、
 出口に立つ係員からお土産の受け取りを忘れずにー』

ざわざわ、ざわざわ・・・!

「殺されないだと?」
「頑張ったから、努力に免じて見逃してくれるのか!」

『お土産は故郷まで持ち帰って、家族や恋人と一緒に仲良く開封することをオススメしますよ〜」

がやがや、がやがや〜・・・

『さ、合格した4人は廊下を出た先にある階段を昇ってきてください。お待ちしてますぅー』

勇者「……あの、お土産が気になるんだけど(最悪お土産持って帰ってもいい)」

『毒ガス発生装置です。長時間苦しみ悶え、
 中々死ねないガスが開封されると同時に噴射されるのです」

勇者「僕、17番です。合格者です」

『では こちらへどうぞー」

勇者「面接じゃありませんように、面接は嫌です、面接は嫌…………ん?」

忍勇者「……」
機械勇者「……」
偽勇者「……」

勇者「あなたたちが僕以外に通過することができた勇者なのか?」

偽勇者「フン、俺は番号42の偽勇者さまだ。覚えときな」

機械勇者「私ハ機械ノ体ヲ持ツ、ナンバー118 機械勇者デス。ドウモ コンニチハ」

忍勇者「拙者は番号227、忍勇者で候。勇者は副業で、本来は忍を生業としている」

勇者「こ、こいつら!! 異常なほど勇者の称号にミスマッチじゃねぇか!!」

女勇者「……あら、どうしてあなたがここにいるんですか?」

勇者「き、君は……」

女勇者「おかしいですね。194番は蹴ったつもりだったのですけど……」

勇者「いや、僕は17になったから。あの熱血野郎の意思は僕が受け継がせてもらった……」

女勇者「そうですか。あなたは本当に頑張っていますね」

勇者「ここまで来たら意地でも勝ち抜いてみせるさ。よく見ていろよ、視察官!!」

女勇者「ええ、最後まで私も意地であなたを見届けましょう」

魔物『……大変お待たせいたしました。この五次試験が最後の勇者試験となります」

魔物『通過することができる受験者は、ただ1人のみ。
        その方こそが真の勇者として魔王様との対決が許可されます」

偽勇者「そんな事はもう分かってんだよ。さっさとこの『五次試験』の中身を言えってんだ」

勇者(3人とも最終試験だというのに全く動じてないな……それより)

機械勇者「充電ガ残リ20%ヲ 切リマシタ!充電オ願イシマス!
              充電ガ残リ20%ヲ 切リマシタ!充電オ願イシマス! 充電ガ残リ20%…』

勇者「こいつ大丈夫なんすかね?」

忍勇者「どうせ、またくだらぬ試験を行うつもりだろう。面倒だ。さっさと開始せいィーッ!!」

女勇者「わかりました」

女勇者の こうげき ! 忍勇者 は上半身 が吹き飛び いきたえた !

忍勇者「…………」ヨロヨロ、パタリ

勇者「むごいっ」

女勇者「さっさと開始しろと言われましたのでつい先走ってしまった。すみません」バッ

偽勇者「…………おいおい、例年通りなら最終試験は個人面接じゃなかったっけ…?」

女勇者「そんな決まりはありませんよ」

女勇者「五次試験は私を殺す、です。別に皆さんが協力して戦っていただいて構いません」

女勇者「魔法も道具も使用を許可します。
          あなたたちが持てる最大限の力で挑んでいただけると幸いです」

女勇者「ではでは、いざ勝負」

勇者「ま、待って!! 質問がある!!」

女勇者「また質問ですか。あなたは最初から最後まで私に質問ばかりです、ほんとに」

勇者「うるせぇ。さっきは君から質問責めだったんだから 別にいいだろ!」

女勇者「では、どうぞ。何ですか?」

勇者「…もし僕たちが協力してお前を倒せたとき、三人が生き残っていた場合どうなるか教えて」

女勇者「その心配はありません。これは意味のない質問でしたね」

偽勇者「何言ってやがる……まさか絶対に負けない自信があるのかぁ? ふん、女のくせに」

勇者「あんまり舐めてかからないほうが良さそうだぞ…慎重に」

偽勇者「うるせぇ!! 先手必勝だオラ!! そのほっそい首コキャっとへし折ってやるぜぇーーーッ!!」

偽勇者「ぃぎい」コキャ

女勇者「えいっ。よくこんな不用心な性格でここまで来れましたね、面接官も見る目がないわ」

偽勇者は 首コキャ されて いきたえた !

女勇者「……あとは、実質あなた一人ではありませんか? 生き残りは」

勇者「ま、まだ機械勇者がいるだろ……」チラ

機械勇者「充電オ願イシマス!充電オ願イシマス!タダチニッ!!!」

勇者「くそぅ! くそぅ! 何なんだよこいつは!」

勇者「結局最後に頼れるのは自分だけなんだよな……いつもそうだぜ……」

機械勇者「機械勇者「充電オ願イシマス!充電オ願イシマス!」

勇者(明らかに油断してたのが敗因だったとはいえ、
        恐らく殺された二人の勇者は僕以上の実力者だったはず)

機械勇者「機械勇者「充電オ願イシマス!充電オ願イシマス!」

勇者(真正面から向かっていったら確実に殺されちまう……ていうか、
        戦って勝てるわけねーよ あんな化物に)

機械勇者「充電オ願イシマス! …充電オ願イシマス(´;ω;`)」

勇者「…………」

女勇者「あなたの考えが手に取るように分かりますよ」

勇者「何だって?」

女勇者「私にはけして勝てっこない。手持ちの道具や魔法でどう切り抜けるか、
          一生懸命考えていますよね?」

勇者「もちろんだ!」

女勇者「嘘吐き。どうせ逃げることを考えているのでしょう?」

勇者「……やっぱり君はムカつくぜ。僕が一番苦手なタイプだよ」

女勇者「それは光栄ですね」

女勇者「…………諦めるなら、見逃しもいいですよ。
          別にあなたを殺したところで得る物は何一つないのだから」

勇者「えっ、いいの!?」

女勇者「今のは思い切り断って欲しい場面でした。勇者として」

勇者「なぁ、本当は僕と戦うのは嫌なんだろ。魔王から無理矢理こんな役を押しつけられて…」

女勇者「いいえ、むしろこの試験には私から買って出ました」

勇者「……そんなに僕が気になるのか、お前!」

女勇者「そもそもあなた合格メンバーじゃなかったでしょうが」
女勇者「まぁ、きっとかならず汚い手段を使って ここへ来るとは思ってましたけど」
女勇者「……正解ですよ。私はあなたが今回の受験者の中で一番気になっています。
          目が離せません」

勇者「えっ……あの、その言葉は嬉しいんだけどさ……僕には僧侶ちゃんって可愛い子がいまして」

女勇者「僧侶ちゃん? ああ、あなたのお仲間の一人ですか……
           ねぇ、彼女が今どうしているか気になりません?」

勇者「何?」

女勇者「彼女が現在どこで何をしているのか気になりませんかと聞いたんですよ」
女勇者「もし、あなたが望むなら私の魔法で特別に『僧侶ちゃん』の姿を見せられますよ」

勇者「マジか……まぁ、きっと僕を心配してお祈りを捧げている最中だと思うけどな。
       あの子はとても優しい子だから」

勇者「……いいだろう。僧侶ちゃんが何をしているのか見せてくれ!!」

女勇者「ええ。最初に言っておきますよ、『見せろ』と言ったのはあなたですから。そこのところ忘れずに」

女勇者は 魔法を となえた !  壁に せんめいな映像が うつしだされる !

僧侶『武闘家さぁん〜…武闘家さぁん! きゃっ、くすぐったいですよぉ〜…そこはいやぁん』イチャラブ

武闘家『いいじゃあねェか 減るもんじゃねーしよ! おらおら、もっとよがってみせろや』イチャラブ

僧侶『あぁ〜〜〜…………ん……///』

武闘家『ふぅ…もう1戦…』

勇者「…………」

女勇者「これが あなたを信じて待っていてくれる仲間たちの姿ですが」

勇者「あ、ああああ……ああああぁ……うそや……」

女勇者「真実です」

僧侶『アン、アン、あはァ〜〜〜ん!』

勇者「うそだぁあああああああああああああああああああああああああああぁぁぁーーーッ!!?」
勇者「うあっ! うわああぁぁっ!! いやだっ、うそだうそだうそだぁぁぁ……ああああぁぁぁ……!」ガクッ
勇者「武闘家……武闘家ぁあああぁぁーーーーーーッ!!」ガンッ、ガンッ

女勇者「壁に当たっても無駄ですよ。こっちの声は向こうへは届きませんから」

勇者「なんで……ナンデ? 僧侶ちゃん……いやだよ、僧侶ちゃん……うそだと誰かいって……」

機械勇者「充電……オ…願イ……シマ…………充…」

女勇者「ねぇ、仲間のために魔王様へ戦いを挑む必要 もう無くなったんじゃありませんか?」

女勇者「自分はたった一人で試験をがんばっていたのに、
           信じていた仲間はあなたを裏切らってこの有り様です」

女勇者「本当はまったく信頼されていなかったのでは?」

勇者「あ、ひ………………」
勇者「……裏切り?」

女勇者「僧侶ちゃんとは恋仲ではなかったとはいえ、
           武闘家はあなたが彼女へ恋心を抱いていた事を知っていたのでしょう?」
女勇者「これはもう裏切りと呼んで間違いないでしょう。
           あなたが見てなければ良かれと彼は考えていますね」

勇者「武闘家ぁ……」

女勇者「もう魔王様のことなんてどうでも良くなったでしょう?」
女勇者「あなたは、勇者に相応しくないわ……。私と一緒に魔王様へ忠義を尽くしませんか……」

勇者「…………」

女勇者「そしてこんな下賤な人間どもなんて殲滅しましょう」
女勇者「さぁ、私の手を取りなさい……こっちに、きて……?」ス

勇者「断るッ!!」

勇者は 電撃魔法を となえた ! 電撃は 女勇者の背後にあった 機械勇者へ ちょくげきした !

女勇者「えっ!?」

機械勇者「充電100%デス!!(`・ω・´)」

機械勇者の こうげき!  レーザービームが 女勇者を つらぬく!

女勇者「げぼぉ……!」ビチャア

勇者「流石に不意打ちすぎて避けられなかっただろ。
        まさか機械勇者さんがこんな凄い力を持っていたとは……」

機械勇者「キミヲ信ジテイマシタ。感謝感激デス」

女勇者「ごほっ! ……そんな、バカな。どうして……いつのまに、策を……!」

勇者「作戦でも何でもねーさ。僕はただ、頼まれ通り彼のお腹をいっぱいにしてやった。
        そして彼は君を攻撃した」

勇者「ただそれだけだぜッ!!」

女勇者「どうして……仲間から裏切られ、それでもなぜ 誘いを拒んだの……?」

勇者「言ったはずだよ、面接官……こうと決めたら『必ず』実行するのが僕の強みなんだって」
勇者「例え今僕が見せられたものが真実だとしても、僕は魔王退治を諦めるつもりはない!」

機械勇者「勇者サンカッコイイ。……シカシ、今ノ最大出力レーザーデ マタバッテリー ガ 空ニ―――」

女勇者のこうげき !  機械勇者は バラバラに なった !

勇者「!」

女勇者「はぁ……さっきのお返しですよ……」

勇者「大丈夫か、機械勇者さん!!」

機械勇者「ユウ者サン……! 私ノ事ハ気ニシナ――ガァーーーーピーーーーー」

女勇者「さすが機械の体を持つ勇者と言ったところですね。
           この程度じゃ大したダメージにもなっていないわ」

勇者「お前はレーザー一発で大ダメージだな……深手を負ったお前なら僕でも倒せそうだぞ!」

女勇者「試してみますか? たぶん死にますよ」

勇者「……むぅ」

勇者「なぁ……君はさっき本当に俺を仲間へ迎えようとしてたのか?」

女勇者「また質問ですか」

勇者「一々嫌そうな顔してんじゃねーよっ」

女勇者「…ちょっとだけ本気になっていたかもしれない。
           少なくとも私はあなたは勇者としては向かない人だと感じていたから」

女勇者「あなたは確実に私たちよりの人です」

勇者「ふん、誰が何と言おうと僕は勇者なんだよ! 以前変わりなく!」

女勇者「そう。……でも正直、私の誘いを断ってくれたとき、安心してしまいました」

勇者「は?」

女勇者「何ていうか、自分で誘っておいて何ですけど……
           ここで仲間になっていたら殺していたと思います、私」

勇者「君 かなり歪んだ性格してるよね…」

女勇者「ムカつく人ですね。……ここまで何の力もなく、やって来れた勇者はあなたが初めてですよ」
女勇者「もしかしすれば あなたが 魔王様が探し求める真の勇者なのかもしれませ―――」バタリ

勇者「おい!!」

女勇者は 出血が ひどく瀕死状態 だ !

女勇者「ざ、ざんねんですけど 本当にわたし、あなたにたおされてしまうかも…あはは、げぇ!」ビチャ

勇者「今なら僕の力でも君にとどめを刺せるというわけだね」

女勇者「ええ…」
女勇者「どうぞ、すきにしてください。どうせ 黙っていても 死ぬでしょうし」
女勇者「でも、どうせ死ぬなら……真の勇者であるあなたに……最後を……」

勇者「……なぁ、また質問ができた。恐らくこれで最後だ」

女勇者「えぇ……?」

勇者「君、僕のこと好きになっちゃったんでしょ……?」   

女勇者「えっ……そ…そんなの、わかりま―――――」

勇者の こうげき ! 女勇者は 胸に 深々と剣を突き立てられ いきたえた !

勇者「ごめん。やっぱり僕には僧侶ちゃんしか考えられないよ!」
勇者「女勇者が見せつけたあの映像はまやかしに違いない。
       僧侶ちゃんが僕以外の男に抱かれるわけねーだろうが」
勇者「大体聖職者なんだから貞操は守り続けてるとか聞いちゃったしな!」
勇者「お前の敗因はたった一つだ、
       女勇者……あの程度のまやかしで僕の心が折れるなんて事はない……」
勇者「だって僕は、僧侶ちゃんを信じてるんだから〜!」

〜僧侶『勇者さまカッコいいですよぉ〜! きゃ〜!』〜

勇者「ふ、ふふふっ……今からもうあの子が笑顔で僕に抱きついてくるイメージが沸いてきちゃうな……」
勇者「だって、僕は手に入れたんだから。魔王と戦う資格を。勇者として真に認められたんだからなっ」

パチパチパチパチ

勇者「ん……?」  

『最終試験通過おめでとう! 良くぞ 我が側近を討ちとることができたな。さすが我が宿敵 勇者だ!』

勇者「誰だ貴様ッ!?」

魔王『魔王だよ』

勇者「お前が魔王だって? どこからどう見ても普通の人間じゃないか……!」
勇者「いや……お前確か……どうして……」

ガリ勇者(魔王)『やぁ、数十時間ぶりの再会だなッ』

勇者「お前、最初から僕たちに紛れていたのか!!」

ガリ勇者(魔王)『こういう楽しいイベントは特等席から見なければ面白味が薄れてしまうだろう?』
ガリ勇者(魔王)『まさかお前のような勇者が勝ち残るとは思いもしなかったぞ』

勇者「……お前、あの時自画自賛を僕に聞かせていただけだったんだな。
       さすが魔王といったところか…」

ガリ勇者(魔王)『いやァ、あの話は事実だよ 勇者。
                     我はこの勇者試験をただの暇潰しのゲームとして見ている』
ガリ勇者(魔王)『あ、ちなみにこの体は前回 我と戦って敗北した勇者の体なのだ』

勇者「何だってー!? ……何だよ、去年のは僕より大した事なさそうじゃん」

ガリ勇者(魔王)『見た目だけで判断するのは最も愚かしい行為だぞ、勇者〜!』
ガリ勇者(魔王)『この体は近いうちに我が魂に耐え切れず、塵と化す。
                     つまり勇者、お前は我の新たなボディとなる資格をこの試験で手に入れた!!』

勇者「おい、待ててめぇ!! 聞いてた話と全然違うじゃねぇかよ!! 何だよそれ!!」

ガリ勇者(魔王)『何だかんだいって楽しめていたのではないか? 残念ながら、全てただのお遊び。
                     我はお前たち勇者がバカみたいに足掻く姿に爆笑だったよー』
ガリ勇者(魔王)『何マジになって面接とか受けちゃってんの?(笑)」

勇者「 」プッツン

ガリ勇者(魔王)『いやぁ、本当にお前たち勇者はバカみたいに付き合いが良い奴らだよ』
ガリ勇者(魔王)『絶対的な力を我が持っているだけで、
                     こんなバカらしい試験に来てくれたりさぁー……』

ガリ勇者(魔王)『我がそんなに怖いんでちゅかー?ばぶー?(笑)』

勇者の こうげき ! しかし 剣が こわされ 回避された !

勇者「あぁ…っ!?」

ガリ勇者(魔王)『わっはっはー! 何だ今の蝿が止まりそうな すっとろい剣は!』

ガリ勇者(魔王)『全く、ここまで来れた褒美に少し手合わせしてくれようと思ったんだが
                     これでは戦いではなく、いじめになってしまう』

ガリ勇者(魔王)『今までのぜーんぶっ まぐれだったんですか〜? 勇者様ぁ〜!?(裏声』

勇者「おい……次に僧侶の下手糞な真似を見せてみろ……ぶっ殺すぞ……」ピキ、ピキ

ガリ勇者『えーっ? 僧侶ちょーこわいんですけどぉ〜? もぉー勇者様ってば  > <(裏声』

勇者「うおおおおおおおぉぉおおおおおおぉぉおおおおおおぉおおおおおおぉぉーーーーーーッ!!!」

勇者の こうげき ! ガリ勇者(魔王)は 容易くこうげきを うけとめた !

ガリ勇者(魔王)『何だかいきなりらしくなくなっちゃたんじゃーないの、勇者きゅん』
ガリ勇者(魔王)『こんな、ちっぽけな攻撃しかできぬのだからよぅ。
                     今までのように汚い手で来てみたらどうかねぇ……?』

勇者「……魔王、お前自分でさっきこう言ったな。この体は近いうちに塵と化すと」
勇者「お前の元の体はたぶんもう無いんだろ……。魔王、早く僕を殺して体を乗っ取らなければ」
勇者「一体どうなるのかなっ―――――」

ガリ勇者「 」どさっ

機械勇者(魔王)『いや、別にお前に拘っているわけじゃあないんだよ』ガーーーピーーーー

勇者「えっ!?」

機械勇者(魔王)『むぅ、この体では少し動き辛いか……まぁいい』
機械勇者(魔王)『もうお前に飽きたわ。用はないからさっさと城から出て行くがよい』

勇者「は……?」

ガリ勇者の体が 塵と化して しょうめつした !

機械勇者(魔王)『ギリギリでセーフだったようだな。
                       しかし、機械の体か。肉の体より長持ちするやもしれんな』ビーーーー

勇者「おい」

機械勇者(魔王)『まぁ、その分体の整備が必要となってゆくのだろうな。
                       少し面倒だが、食事が必要ないというのは助かる!』ガ、ガガガ

機械勇者(魔王)『慣れるまでは時間は掛かりそうだが、良いボディだなァ……』ビビーーーー

勇者「おいってば」

機械勇者(魔王)『何だお前、まだそこにいたのか。存在感の無さに気付くのが遅れてしまったわ』ビギギギーーーピ

機械勇者(魔王)『さっきも言わせてもらったが、我はお前に飽きた。遊んでいても面白味がないのだ』ガ、ガ

勇者「お前その体……」

機械勇者(魔王)『やかましいなァ、飽きたと言ったぞ!
                       さっさと出てい――――充電が10%を切りました!充電してください!』

機械勇者(魔王)『…………え?』

機械勇者(魔王)『な、何だ? 今我は自分で何を……充電してください!充電してください!」

勇者「魔王、お前どうやら間抜けみたいだな!
        そこの機械勇者さんはレーザー撃って電気を大量に放出した後の体だ!」

勇者「しかも、バラバラにぶち壊された残骸へ 喜んで憑依しちゃうとはなぁ〜〜〜 このバーカッ!!」

機械勇者(魔王)『う、うううッ……!? う、うごけん……充電してください!……充電お願いします(´・ω・`)』

勇者「いやだね! ガラクタごとその魂を散らして死んじまえ!」

勇者は 魔法を となえた! 機械勇者(魔王)の残骸は炎で やかれた !

『ぎぃああああああぁぁぁぁあああああああああああぁぁぁ……!』

勇者「魔王、僕の敵じゃなかったな!! 僕の勝ち―――」

女勇者(魔王)『まだ終わってなぁぁぁい……』

勇者「……い、いい加減にしろ 魔王」

女勇者(魔王)『側近の体……女の体へ憑依したのはこれが初めてだぞ……
                    こんな貧弱な体を得るなら、貴様を殺してその体を奪った方がまだましだッ!』
女勇者(魔王)『貧弱といえども、貴様程度の勇者を殺すぐらいなら我にとって造作もないがなぁー!』

勇者「……ど、どうしたんだよ 魔王。
       さっきより余裕がなくなっているように見えるぞ、このままだと何かまずい事でもあるのか…えぇ?」

女勇者(魔王)『勇者如きが魔王の我を愚弄するかっ……別に……うぉおおおぉぉ……」ボロボロ
女勇者(魔王)の体が 少しずつ塵へ変わり 崩れはじめた !
女勇者(魔王)『やはり女の体では、我が入るだけで持たぬぅぅぅ〜〜〜……っ!!」ボロボロ

者「こわいっ」

女勇者(魔王)『ゆうしゃ…おまえのからだを、はやく、我へよこせ……ゆうしゃあぁぁぁ……!」よろよろ

勇者「終わりだな、魔王」

女勇者(魔王)が 勇者の首へ 手をかけた瞬間 その体は塵となり 崩れた !

女勇者「  」サァァ…

勇者「ふん、やっぱり呆気なかったな魔王!
        真の勇者である僕の前ではお前の力なんて無意味に等しい!」
勇者「…………いや、魔王を倒したのは僕じゃないか。また一つ君に借りができちゃったね」

女勇者「」

勇者「君は一体何回僕を助けてくれたら気が済むんだろうなぁ」

勇者(死んでからも世話かけちゃうなんて、
        僕は君がいうような『真の勇者』にはまだ程遠いのかもしれないなぁ)
勇者(ある意味 真の勇者は魔王を滅ぼすことができた『女勇者』なのかもしれない)

その日、魔王は『勇者たち』によって討たれた。

武闘家「よ、よせ……勇者、一旦落ち着こう……! な!?」

勇者「……」

武闘家「話し合えばわかることもあるはずだろ……そんな、俺たち仲間だったじゃねェか……だから」

勇者「僕は、まだお前たちが仲間だと思ってるよ。お前の中じゃもう僕は過去形の存在なんだ」

武闘家「いやっ!? 今のは言葉であやで、そういう意味じゃ―――」

勇者のこうげき ! 武闘家は 見るも無残な 姿で いきたえた !

勇者「地獄で僕に詫び続けろッ!! それでも僕はお前を永遠に許さねぇ!!」
勇者「武闘家、お前はこのままドブ川へ投げ捨てさせてもらうぞぉーーッ!!」

どぼんっ

勇者「……僕は僕自身の仇を討っただけ……だから、別に後悔とかは全くない」
勇者「復讐は無事に終わった! あとは僧侶ちゃん、君は僕のお嫁さんになってもらうだけだ」
勇者「勇者をやめて、農家を継ぐことになるけれど……僧侶ちゃんならきっと」
勇者「よし!!」
勇者「僧侶ちゃーーー……―――――――――」

ざわざわ、ざわざわ・・・

勇者「僧侶ちゃんの家に長蛇の列が……! みんな綺麗目なスーツを着た男ばかりじゃないか!?」

「あんたも僧侶ちゃんに惚れた口かい? 諦めな、あの子は俺のような金持ちが好きなんだよ」
「何だと! 俺と一緒にドライブへ行くのが好きだと僧侶ちゃんは言ったぞ!
  そんな汚い女なわけあるか!」
「ふん、誰が僧侶ちゃんに相応しい男かなんて、
  この『僧侶ちゃん相性チェック検査』ではっきりするだろうよッ!」

勇者「…………とりあえず並ぶか」


コメントの数(52)|
コメントをする
コメントの注意
名前  記事の評価 情報の記憶
この記事のコメント一覧
1 . 名無しさん  ID:HQqcyCBH0編集削除
これは始めてのパターンだ!!!!!!
2 . 名無しさん  ID:XOO4phWh0編集削除
いいね!
3 . 名無しさん  ID:YnCNBR..0編集削除
泣けた!
4 . 名無しさん  ID:COQ6Vn2kO[評価:5 ]編集削除
衝撃!
5 . 名無しさん  ID:ajQvwItJ0編集削除
Alt+Ctrl+↑で画面反転させたら読めた。
6 . 名無しさん  ID:s50gcOsN0編集削除
本当、衝撃だ!
7 . 名無しさん  ID:HQqcyCBH0編集削除
日付が俺の誕生日!!
8 . 日付ww  ID:ylsdQhU70編集削除
管理人は未来からやってきたらしいwww
9 . 名無しさん  ID:W0ICqm190編集削除
5>> バカヤロー!やったら壊れたかと思ったわwww
10 . 名無しさん  ID:mfoULdw90編集削除
あぶり出し?
11 . 名無しさん  ID:MrHudtvz0編集削除
2015年12月11日
・体験談 (9)-[ 衝撃体験談 ]
12 . 名無しさん  ID:yXF95Rhq0編集削除
ワロタw
13 . 名無しさん  ID:N4j5ZHYX0[評価:1 ]編集削除
えっw
14 . 名無しさん  ID:IM9DDApv0編集削除
みんな意外に過去なんだな。
俺のところはもう2016年明けたぜ?
15 . 妹があたりめ  ID:w2UUrfhg0編集削除
ズギャーーーーン
ド・ド・ド・ド・ド・ド・ド・ド
16 . 名無しさん  ID:vbgOZcMI0編集削除
やったよ俺タイムスリップできたで!!
17 . 名無しさん  ID:1Ovq1TuR0編集削除
ああ、今年も就職決まらなかった
また郵便でバイトだ
18 . 名無しさん  ID:GZrA17h20編集削除
俺には読めないけど、これは馬鹿には読めない体験談なんだよ。
ほんとここは馬鹿ばっかだな。
19 . 名無しの独身  ID:75tLeU0.0編集削除
この記事が再掲載される頃までに、ボクにもおヨメさん来てくれてるかな?
20 . 名無し  ID:r16AbCqO0編集削除
胸糞だなあ
こんな記事初めて見たし
21 . 名無しさん  ID:51btkTBu0編集削除
こんな素晴らしい体験談は初めて読みました。
爆笑な上、衝撃的で、萌えな上に適度にエッチで、最後には感動の嵐
しかも立て読みまで仕込んであるなんて。
2チャンネル史上最高の傑作です。
22 . 名無しさん  ID:fxAqzvRC0編集削除
あれ? 最初見た時は空っぽだったのに。
今度は超なげー。
23 . 名無しさん  ID:9N5jOCVv0編集削除
大放出再び!
24 . 名無しさん  ID:9N5jOCVv0編集削除
と思ったら2つ目が長いだけだった
しかもつまんない…
25 . 名無しさん  ID:ckdLRhod0編集削除
え、わりと好きだったけどw
26 . 名無しさん  ID:gUm7Uwfa0編集削除
3000G払ったとこまで読んだ。
27 . 名無しさん  ID:0ewiCFnb0編集削除
馬鹿馬鹿しいと思いつつも最期まで読んじまった

なんか悔しい
28 . 名無しさん  ID:TucOWZPP0編集削除
勇者なら死んでも王様の前で生き返るだろ。
つまり生き返った勇者連合による復讐スレの開幕だ。www
29 . 名無しさん  ID:V7KyfhlW0編集削除
まさか、これ面白いと思ってやってる?
センス最悪だねwww
30 . 名無しさん  ID:8pqoTc.r0編集削除
これ、女管理人の作文?
31 . 名無しさん  ID:k1furr7D0編集削除
突然の勇者登場に奥様方はちくわ大明神
32 . 名無しさん  ID:7JbOChBZ0編集削除
まだ残してるのか。ジャマだから速く消せばいいのに。
33 . 名無しさん  ID:LRC8YKnP0編集削除
ぎゃあああああああ
途中からビックリしたわ
ゲシュタルト崩壊起こしそう
もう見るのやめる
34 . 名無しさん  ID:s6mrzHbXO編集削除
未来日記は内容見ずに米のみ見てます。管理人の程度がわかるからw
35 . 名無しさん  ID:DYW5mbft0編集削除
これどっかのSSだったな
36 . ななし  ID:J3zo8XhU0編集削除
随分コメ伸びたなww
どんどん増えろww
37 . 名無しさん  ID:tqeGz3l30編集削除
なんだこれ、新手の詐欺か?wwwwww
38 . 名無しさん  ID:Np0BTCyv0編集削除
なにこれ
39 . あ  ID:rggSVunH0編集削除
長いし胸糞悪い話ばっかり。神爆笑ってタイトル変えれば?全く笑えない。
40 . 名無しさん  ID:CcytaVuR0編集削除
こんな誤爆更新、今までに見た事が無いブッ飛び方だわ…

>勇者ママの一人が警察に通報し、捜査したそうだけど、どうなったか分からない。
>ヘタレは何もしない方がいいのかもしれないと思った。
―――までがこの報告者さんの話でおけ?
41 . 名無しさん  ID:mkE64pPt0[評価:1 ]編集削除
この記事定期的にコメついて上がるな。
だれか保守でもしてんのか?
42 . 名無しさん  ID:DLX0..1e0編集削除
コメントされたら記事が上がるとか2chの見過ぎ
単に記事一覧での日付設定でこの記事が2014年12月11日になってるから一番上に来てるだけ
43 . 名無しさん  ID:sTBG7J1Q0編集削除
これは新しいwwwwwww
44 . 名無しさん  ID:NzxJmYIN0編集削除
管理人キチガイだろ
45 . 名無し  ID:QFA0ZL1wO編集削除
二ヶ月放置か
46 . 名無しさん  ID:nrSexl940編集削除
もうすぐ歴史がこの記事に追いつくよなww
47 . 名無しさん  ID:g2wCtj320編集削除
泥ママの話読めないんなら帰るわ
48 . 名無しさん  ID:aRUyjMur0編集削除
明日追いつくのか・・・。何かの予言としてこれ残ってるのかな?明日魔王復活?
49 . 名無しさん  ID:Y.AIdHbf0編集削除
12月11日になったね、
明日に成ったらこの記事も埋もれてしまうかと思ったら一抹の寂しさ
50 . 名無し  ID:9..AB6bc0編集削除
記事「フフフ…、ようやく我に時代が追いついたわ…」
51 . 名無しさん  ID:dbaZR.9k0[評価:5 ]編集削除
まとめアンテナサイトから来ました
52 . 名無しさん  ID:4du3x1EU0編集削除
何の嫌がらせだよこれ

コメントを書き込む

今月のお勧めサイト



週間人気ページランキング
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

人気ページランキング
過去30日間の人気ページランキングです。


以前のはコチラ↓


このカテゴリー内ネタの情報求む!
タグ

ブログパーツ ブログパーツ