オス猫を膝にのせたお婆さんが居眠りをしていると、魔法使いがやってきました。
「やあ、俺、魔法使い。三つのお願いをかなえてあげるよ」
「あっちへお行き」
お婆さんは言いました。
「年寄りをからかうのはやめとくれ」
「お婆ちゃん、俺、本当に魔法使いなんだよ」
「じゃあ、向こうの畑のカボチャを金の馬車にしてごらんよ」
「ああいいとも」
魔法使いが杖を振ると、カボチャはたちまち馬車になりました。
これを見て、お婆さんは急にやる気を出しました。
「私を、若くてきれいなお姫さまにしておくれ」
「いいとも」
魔法使いが杖を振ると、お婆さんは美人のお姫さまになりました。
「つぎは何? さいごのお願いだよ」
「私の猫ちゃんを、ハンサムでお金持ちの王子さまにして!」
魔法使いが杖を振ると、猫はりりしい王子さまになりました。
「お願いはこれで終わりだよ。じゃあね」
魔法使いが帰ってしまうと
王子さまはうっとりしているお姫さまの手をとって、耳元にささやきました。
「去年、動物病院で私を去勢したのを、今じゃ後悔してるんじゃないかい」
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