俺はドイツの大学で日本語クラスの補助教師をしている。
(ほら、中学とか英語のクラスに一人ネイティブの先生がいたみたいなやつ)
正式には教員じゃなくて、生徒としてそのクラスに入っているから第二言語の単位とその他履歴に色々追加されるだけで特別給料をもらっている訳ではない。
生徒は30人強。
ドイツ人だけじゃなくて中近東や英語圏の生徒も多い。
今日は授業を任されて「こそあど」について説明していた。
その時急に生徒が一人泣き出した。
お、おい、どした!?やめろよ!
180センチ越えのマッチョがしくしく泣くなよ!筋肉がうっとうしいんだよ!
自分よりデカいマッチョが急に泣き出した事にビビッて慌てふためく俺に、マッチョが言った。
「大変だ。クレヨンしんちゃんのクリエイターが亡くなったんだ」
瞬間教室中がざわめいて、俺もこいつが何を言ってるんだか分からなかった。
なに言ってんだ、こいつは・・・とそのしくしく泣くマッチョの席に行けば、こいつ隠れてパソコンしてやがる。
マッチョのモバイルパソコン覗き込めば、アニメ関連サイトのトップニュースになっている。
そんな事を全く知らなかった俺は、愕然とした。
全く何も考えられなくなった。
泣き止まないマッチョ。
そうだ、思い出した。
こいつはしんちゃんオタクだ。
深夜放送されていたアニメではまって、日本語の原作を読んで日本語勉強したんだと。
だがおい、授業中に夫婦のサインを送ってくんのはやめろww
そして、今日は教室中で黙祷した。
「いろんな宗教のやつらがいるけど、彼は日本人なんだから、日本式でやろう。
やらなくっちゃいけない」
ってマッチョがしくしく泣きながら言うから、みんなで目を閉じて、彼の為に祈ったよ。
しくしく泣くマッチョの声が鬱陶しいんだ、馬鹿野朗。
涙止まんねえだろ。
カンボジア人の子がお前に釣られて泣き出しただろ。
やめろよ。
別にアニメオタクじゃなくても生徒のほとんどがしんちゃん知ってた。
みんな自分の息子の靴のキャラクターだったとか、アニメを見たとか、ベッドイン前にぞうさんの真似して彼女にフラれたとか、みさえはあんなに痩せてるのに太ってると言われて、日本人って・・・!と戦々恐々としたとか、色んな思い出があるんだよ。
だけど知らないやつもいるからさ、来週のクラスでは一緒に映画を見ることにした。
アッパレ戦国見てやる。
だけどマッチョが泣き止まないから、
明日うちへ招待して日系スーパーで買ったチョコビを一緒に食うよ。
ずっとチョコビが食いたかったんだとさ。
よかったな。俺も本当は、ずっと食べたかったんだよ。
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おもしろいくせに絶対泣いちゃうよ。
でも大人帝国に出てくる「におい」ってどう訳してんのかな?
「におい」は雰囲気とか懐かしいで表現してるんじゃね?
しかし大人帝国は泣いた…いい年してたけど
ちょっと笑ってしまった
遠くドイツのマッチョを号泣させる
すごい時代だな
俺の中ではコアラのマーチが想像していた味に近い
初代チョコビは不味かった。
私もコアラマーを期待してたのに、中身はココア味のラムネ。
最近のチョコビは、ビスケットらしい。
前が見えねぇを見ると今は俺も涙で前が見えねぇよ
ドイツ人…
クレしんの作者を生き返らせてくれ!
それは無理な願いだ。神の力を超えている。
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